最下位の最上者

竹中雅

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第三章

格上

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筋骨隆々、長身痩躯、中肉中背。それぞれ異なった容姿の男3人。一年のようだが、同じクラスではないことはわかる。
人数は違えど、あの時と同じだ。また面倒ごとに絡まれてしまった。
禍福は糾える縄とは良く言ったもので、不幸の前にはラッキーなことがあるものだ...いやさっきのスカート事件は俺は見ていない。
前回の桑原たちと異なるのは服の色。ランクが違う。
「良いもの見させてもらったよ」
良いものとは何のことだろう。こいつらも藤桜の...
「そこから見てるなんて変態じゃないですか?」
「そんなこと言われてもな。見てたもんは仕方ない」
「かなり距離があったぞ?まさか最初から見るためにロックオンしていたとかか?」
「いやいや、やってる音が聞こえりゃ見るだろ」
「やってはない!見えちゃいはしたけどな」
...見えてしました。
「やってだだろ?稽古。その木刀で」
「木刀...あーそっちか。確かに練習に付き合ってましたね。勘違いさせるな」
「勘違いもなにも無いだろ。何と間違えてたんだよ」
「いえ、お気になさらず」
『良いもの』は打ち合いのことだったらしい。事の顛末と話の流れから良くない方へ勘違いしてしまった。
「まあいいや。ところで今日は俺たちの貸し切りの筈なんだが?」
「え?」
「入口に書いてあっただろ?俺たちの予約つて」
「知らないぞ」
確かに確認した。予約欄には一切記載は無かった。
だからここで練習していたのだ。
「わかったわかった。じゃあ改めて忠告してやる。俺たちの予約だ。君たちは帰ってくれ」
随分と横暴なことを言ってくる。
「予約がないなら誰が使ってもいいでしょう?Aグループなのに権力を用いて排斥するのか?情けない」
Dグループのような中途半端な強さを持ったやつより権力にものを言わせる輩の方がたちが悪い。
上にいないからこそ危惧するものはなく威光を最大に発揮できるわけだ。
「は?だから俺たちの予約と言ってるだろ!」
「書いてない以上、真実とは言えないな」
「面倒くせーな。穏健に済ませようと思ったが」
「こちらとしてもその方がありがたい」
男子生徒3人が前に踏み出してくる。
「お前...テストで不正して退学命令受けたやつだろ。舐めた口聞いてると思えば、そりゃ何言っても良いよな!ははははははははは」
その笑い声に釣られるように残りの二人も破顔する。
「なら、どうしようと問題ないよな。そっちの女子は見逃してやるが、お前には最後まで楽しませてもらうぞ」
三人が一斉に刀を抜く。
「おれ、そういう趣味はありませんけどね」
男三人に襲われるのは、地獄が過ぎる。実際襲われているわけなのだが。
俺も準えて刀を抜くと、敏捷に三方向から駆け出してきた。
早い。
Dグループの桑原たちとは全く動きが違う。
だが俺もあの時とは違う。
桑原の時は、怪我をさせることで訴えられた時のことを考えていた。もう今は関係ない。斬りかかろうが、殺そうが退学は決まっているわけだ。
嵌められた桎梏がなければ猛獣は暴れだす。
尤も、枷が外れようと自分を制御するほどの意識は残っているが。
弱腰と言われようと血が飛ぶような相手を傷つけるのは戦いは苦手だ。
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