最下位の最上者

竹中雅

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第四章

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「では。まず事実だけ単刀直入に申し上げますが、鍵を盗んだのはこの桑原君たちです」
「はあ?な、何言ってんだよ!」
透百合の射止めた発言に一堂がざわめきはじめた。
「正直に認めなさい?」
「いくらAグループだからって嘘が通ると思ってるのか!」
「それはアナタたちも一緒でしょう?桑原君たちが起こした問題を茜澤君に押しつけて嘘を貫く。アナタたちの場合はその嘘が通ったものね。結果退学の事態にまで追いやられた」
「そ、それは何も根拠がない!」
「仕方ないわね。今から悉皆に説明するわ」
脇に挟んでいたファイルを持ち直すと、宣言するように話し始めた。
「これは桑原たち四人が茜澤君に濡れ衣を被せようと計画されたものです」
「だから理由を言え!」
桑原の方も怒りが沸点に達し、鋭く透百合を睨んでいる。
「アナタたち、茜澤君がなせ解答用紙を持っていることを知っていたのかしら?」
「それは...あーちょうど金庫の部屋に入っているところを見えたからだよ。それを注意深く見てたら自分のロッカーに入れているのを見たから、先生に話たんだ」
「なるほど。では先生は茜澤君のロッカーに解答用紙が入っていたころに立ち会っているということですね?」
「そうだねえ、確かに入っていた。僕も疑ってはいたけれど、不正関係なら黙っていられない上にこの子たちが必死なもんで、勝手に開けさせてもらった。茜澤君、そこは申し訳ない」
プライバシーも何もない。
不正を疑ったとしても、一言許可を取ることが普通ではないのか。
これも上の者の意見だからと纏められてしまいそうだ。
だがおかしい。俺はいつもロッカーには鍵を掛けている。
「鍵はどうやって開けたんですか?」
「鍵?そういえば掛かっていなかったね。だから勝手に開けさせてもらったんだけど。流石に鍵まで開けるわけにはいかないし」
「そうですか...」
最低限のプライバシーは守られているようではある。てっきりぶち破ってでも開けるかと思っていた。
あの日も鍵はしっかり掛けていた筈だ。とは言っても絶対的自信がないため強くは言えない。
「では、桑原君。それは何日のいつ事か覚えていますか?」
「...そうだな。一日目のテストが始まる前の日だったかな?時間は昼だ」
「そう...それはおかしいわね」
「は?」
確かにおかしい。俺はその日、裏庭で昼飯を食べていた。
「おれ...」
俺もと言いかけようとすると透百合に目で制された。何かあるのだろうか、その牽制に従っておくことにする。
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