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第四章
権威
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透百合が無実を証明してくれたことは有り難いことであったが、理由は俺にも分かっていない。
何か見返りを要求される可能性もあるかもしれない。
桑原たちが教室を出ていくと、少しずつ騒めき始め、次第に喧騒に包まれていく。
聞かなくても話題は分かるが、俺を瞥見しながら内談しているのが見て取れる。
今度は悪口ではなさそうだ。だが良い気持ちもしない。
「じゃあ、僕も職員室に戻るよ。やっと戻れる~
透百合君のいうこと聞くもんじゃないや」
先生も愚痴を独りごちながら歩いていく。
何があったかは理解できないが、俺の証言に聞く耳を持たなかった罰だ。
「...茜澤悪かった」
「ごめんなさい...拓真君」
樫谷と藍水から揃って頭を下げられる。
桑原との別の一件も尾を引いて、このまま険悪な関係が続く可能性も考えていたため、意外ではあった。
「別に気にしてない」
退学が撤廃されたおかげで、二人に対する怒りもなかった。
アドレナリンが分泌のように、その時は何も思わなくても、後に怒りが沸いてくることもありそうだが。
グループ全員が退学にならなかったのだから喜ばしいことだ。
「一生、拓真君のこと恨んでいるところだった」
「そうだな。桑原のやつに完全に嵌められたよ」
この二人とのトゲもなく自然に交わされる会話は久しぶりだ。
「だが、俺がお前のことを認めることとは別だ」
そうでもないらしい。樫谷は未だに俺を敵視しているようだ。友好的に取り合おうともしてこない。
「晃君も素直じゃないなあ。改めてこれからよろしくね」
「...よろしく」
「ああ。よろしく」
微かに笑顔を浮かべただけの沈黙が訪れる。
「せっかくだから、この四人で何かしたいけど、用事あるから戻るね」
「俺もちょっと戻るわ」
「わかった」
いよいよ教室に残ったのは藤桜と俺だけになった。
もう6時に近づき、外はセピア色の世界が広がっている。
「良かった...」
涙ぐんだような表情で俺を見上げてくる様子から安堵が大いに伝わってきた。
「お前が本当に学校やめると言い出したときは驚いたよ」
「えへへ...」
「俺たちを守るために言ってくれたと思うが、発端は俺なんだから自分を犠牲にすることないぞ」
前に藤桜がやめると言った時の真剣だったものの、ここまで頑なだとは思わなかった。
「勢いで言っちゃった」
「まあ良かったよ。俺も藤桜も退学になることがなくて」
「うん!良かった」
何もかも透百合のお陰だ。俺たち二人ではどうもならなかったのは目に見えていた。
同時に透百合が格別かもしれないが、上のグループの権威が一入強いものであると実感した。
何か見返りを要求される可能性もあるかもしれない。
桑原たちが教室を出ていくと、少しずつ騒めき始め、次第に喧騒に包まれていく。
聞かなくても話題は分かるが、俺を瞥見しながら内談しているのが見て取れる。
今度は悪口ではなさそうだ。だが良い気持ちもしない。
「じゃあ、僕も職員室に戻るよ。やっと戻れる~
透百合君のいうこと聞くもんじゃないや」
先生も愚痴を独りごちながら歩いていく。
何があったかは理解できないが、俺の証言に聞く耳を持たなかった罰だ。
「...茜澤悪かった」
「ごめんなさい...拓真君」
樫谷と藍水から揃って頭を下げられる。
桑原との別の一件も尾を引いて、このまま険悪な関係が続く可能性も考えていたため、意外ではあった。
「別に気にしてない」
退学が撤廃されたおかげで、二人に対する怒りもなかった。
アドレナリンが分泌のように、その時は何も思わなくても、後に怒りが沸いてくることもありそうだが。
グループ全員が退学にならなかったのだから喜ばしいことだ。
「一生、拓真君のこと恨んでいるところだった」
「そうだな。桑原のやつに完全に嵌められたよ」
この二人とのトゲもなく自然に交わされる会話は久しぶりだ。
「だが、俺がお前のことを認めることとは別だ」
そうでもないらしい。樫谷は未だに俺を敵視しているようだ。友好的に取り合おうともしてこない。
「晃君も素直じゃないなあ。改めてこれからよろしくね」
「...よろしく」
「ああ。よろしく」
微かに笑顔を浮かべただけの沈黙が訪れる。
「せっかくだから、この四人で何かしたいけど、用事あるから戻るね」
「俺もちょっと戻るわ」
「わかった」
いよいよ教室に残ったのは藤桜と俺だけになった。
もう6時に近づき、外はセピア色の世界が広がっている。
「良かった...」
涙ぐんだような表情で俺を見上げてくる様子から安堵が大いに伝わってきた。
「お前が本当に学校やめると言い出したときは驚いたよ」
「えへへ...」
「俺たちを守るために言ってくれたと思うが、発端は俺なんだから自分を犠牲にすることないぞ」
前に藤桜がやめると言った時の真剣だったものの、ここまで頑なだとは思わなかった。
「勢いで言っちゃった」
「まあ良かったよ。俺も藤桜も退学になることがなくて」
「うん!良かった」
何もかも透百合のお陰だ。俺たち二人ではどうもならなかったのは目に見えていた。
同時に透百合が格別かもしれないが、上のグループの権威が一入強いものであると実感した。
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