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13 全方向に思い切りが良すぎる
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だがすでに慣れた浮遊感の中――またかと諦めの境地に至ったラウラとは反対に、道案内をしてくれていた狩人の青年の狼狽えっぷりはすごかった。
彼にとって放り投げられる女性というのはなかなかの衝撃映像であったらしい。
「うわああああああっ!」
焦りを多大に滲ませた叫び声。
そして、ギュッと目を瞑った直後であった。
「うぐぉおっ!」
潰されたような呻き声と同時に、身体の下になにやら柔らかい感触。
おそるおそる目を開けてみれば、ラウラは柔らかい茂みの上で狩人の青年を下敷きにしていた。ひと通り見回してホッと息を吐く。
「よかったわぁ。ゲオルクってば、一応は茂みの上に投げてくれたのね」
「投げる方がどうかしてると思いますけど!?」
「――はっ! そうよね!? 確かにそうだったわ!」
ここ数日の扱いで、ラウラもなんだか麻痺してきたようである。
久しぶりのまともな対応で我に返った。
「ごめんなさい、重いわよね」
「いえ、それより――うわあああっ!」
上からどこうとしたら、前方を指差した青年がなにごとかを言い切る前に目を見開き、再び悲鳴をあげた。
つられてラウラもそちらを向けば、視界いっぱいに炎が映る。
「きゃああああっ!」
青年ともども悲鳴をあげながら飛びのいたら炎は眼前すれすれを通過していき、続けて金属同士がぶつかる耳障りな音が響いた。
向けば魔獣に斬りかかるゲオルクの大剣と、それを受けるワイバーンの深紅の鱗から激しい火花が飛んでいる。
ゲオルクの驚異的な腕力によって大剣とは思えぬ素早さで振られる一太刀でも、鱗には傷ひとつ付いていない。
確かにこれでは、弓矢で仕留めることなど不可能であろう。
加えて、近づこうにもその度に火を噴かれては距離を取るしかない。
距離を取っては斬りかかり、また火を噴かれる。その繰り返しで、このままではゲオルクの方が圧倒的不利かに感じられた。
が、当の本人は――大剣を振りながらなぜか首を傾げていた。
しまいには一旦距離取ったのち、なにやら顎に手を当てて考えるような仕草をしたかと思えば、スタスタとこちらへ戻ってくる。
「ちょっとゲオルク、どうしたの?」
「どこか怪我でも……っ!?」
「いや、少しおかしいと思ってな」
おろおろと慌てるラウラと青年をよそに、珍しく難しい顔をしている。
「ワイバーンはあの翼で飛翔できることがなによりの利点であり、一番の能力であるはずなんだが……飛ばないな、あいつ」
言われて改めて様子を窺えば、確かにあの魔獣は最初の場所から動いていない。
しかもよくよく見ると、周辺一帯の焼け跡は現在魔獣がどっしりと鎮座している場所を中心にしてできているように思える。
つまり。
「あの魔獣、あそこから動いていないのかしら?」
近づく者をただ炎を噴いて追い払っている状況なのでは。そんな考えがよぎる。
現に、スタスタと戻ってきたゲオルクを追うことなく、あの場所を陣取ったままだ。
「でも、なぜ?」
困惑したまま横の青年とゲオルクを見るが、結局三人揃って首を傾げる。
魔獣の背後には生い茂った草木と、切り立った崖があるだけに見えるのだが――狩人の青年が「あ」と声をもらした。
「うしろのなにかを守っていますね」
「うしろ?」
聞けば、彼は確信したように頷く。
「子を守る獣と同じです。あそこ、草木で見えにくいですが、崖の下に小さな洞窟のような穴があるんですよ。多分そこになにかいる」
そして、ぎゅっと手元の弓を握り直した。
「俺が見てきます」
「え! それは危ないのでは?」
なにがいるのかわからないところへ、という意味でラウラが言えば青年は冷静に首を振った。
「いいえ。むしろああやって守っているなら、奥にいるのは立ちふさがっている獣より弱者ですから。ワイバーンにはさすがに手が出ませんが、奥の様子を確認するくらいならなんとかなるかと」
「なるほど。ならば、そのあいだ俺が引き付けておけばいいんだな」
ゲオルクは頷いているが、いまだに首を傾げたままである。
青年の意見に異論はないようだが、なにか考え込んでいる様子だ。
「なにが気になるの?」
聞いてみるものの、それでもなにやら「うーん」と釈然としない声が返ってくる。
「いやあのワイバーンもなぁ……確率は低いがありえなくはないし」
「……どういうこと?」
「いるんだよ。ワイバーンに化けるって言われてる魔獣が」
「そうなの!?」
「激レアすぎて見たこともないけどな。でもやはりどこか違和感があるし、少し気になるところもある」
「そうなのね。なら、そっちはゲオルクに任せて私は洞窟の方についていくわ」
グッと拳を握ったら男二人が「え!?」とラウラを見た。
特に青年は明らかな焦りを顔に浮かべている。
「いやいや、なにがあるかわからないですよ?」
「だからって一人でここで待っているのも、ゲオルクと魔獣に突撃することも私にはできないもの!」
こんなところに放置しないでほしいし、だからと言って戦えるわけがない。
洞窟の中の方が危険は少なそうだし、ついていくならそちら一択だ。
それでもさすがに青年は渋っていたが、ゲオルクが「それもそうだな」なんて鷹揚に頷くものだからガックリと肩を落としている。
「まあ大丈夫だろう。確かに奥からは強い気配もしないし、なによりこの森に詳しい狩人が一緒だ。俺のご主人様を頼んだぞ!」
はっはっはっといつもの豪快な笑みで青年の背を叩く。
「ハードル上げないでください……」
「そう心配するな! 実際に危険があればラウラが俺に『守れ』と命じればいい。命を賭しても助けに行くからな!」
「え、それはダメよゲオルク――」
「では頼んだぞ! 走れ!」
ラウラが反発する間もなく、強く背中を押された。
同時にゲオルクは身体の向きを変え魔獣の方へ走る。相変わらず全方向に思い切りが良すぎではないか。
すると、ゲオルクの接近に気付いたワイバーンが口を大きく開けた。
また火を噴く気だ。
だがゲオルクは構わず突っ込んでいき、火が触れる直前にスライディングで下へ滑り込む。炎の下ギリギリを潜り抜けてワイバーンの懐へ飛び込んだ。
それを見届けてから、ラウラは青年と茂みをかき分けながら走る。切り立った崖の下には、確かに小さな洞窟らしき穴があった。
「ここよね?」
「そうです。少し待ってください」
青年は周囲の枝をいくつか選別して切り取ると、手際よく小さな松明を作った。腰に下げていた荷物から布切れを取り出すと、松明の先に巻き付ける。
布切れにはわずかに油がしみ込んでいるらしかった。
青年はそこに火打石を叩いて手早く火を付けると、灯った松明を手にして洞窟へ入った。さすが狩人、慣れている。その後ろにラウラも続いた。
そして進んだ先で、二人は予想外のものを見つけたのだ。
彼にとって放り投げられる女性というのはなかなかの衝撃映像であったらしい。
「うわああああああっ!」
焦りを多大に滲ませた叫び声。
そして、ギュッと目を瞑った直後であった。
「うぐぉおっ!」
潰されたような呻き声と同時に、身体の下になにやら柔らかい感触。
おそるおそる目を開けてみれば、ラウラは柔らかい茂みの上で狩人の青年を下敷きにしていた。ひと通り見回してホッと息を吐く。
「よかったわぁ。ゲオルクってば、一応は茂みの上に投げてくれたのね」
「投げる方がどうかしてると思いますけど!?」
「――はっ! そうよね!? 確かにそうだったわ!」
ここ数日の扱いで、ラウラもなんだか麻痺してきたようである。
久しぶりのまともな対応で我に返った。
「ごめんなさい、重いわよね」
「いえ、それより――うわあああっ!」
上からどこうとしたら、前方を指差した青年がなにごとかを言い切る前に目を見開き、再び悲鳴をあげた。
つられてラウラもそちらを向けば、視界いっぱいに炎が映る。
「きゃああああっ!」
青年ともども悲鳴をあげながら飛びのいたら炎は眼前すれすれを通過していき、続けて金属同士がぶつかる耳障りな音が響いた。
向けば魔獣に斬りかかるゲオルクの大剣と、それを受けるワイバーンの深紅の鱗から激しい火花が飛んでいる。
ゲオルクの驚異的な腕力によって大剣とは思えぬ素早さで振られる一太刀でも、鱗には傷ひとつ付いていない。
確かにこれでは、弓矢で仕留めることなど不可能であろう。
加えて、近づこうにもその度に火を噴かれては距離を取るしかない。
距離を取っては斬りかかり、また火を噴かれる。その繰り返しで、このままではゲオルクの方が圧倒的不利かに感じられた。
が、当の本人は――大剣を振りながらなぜか首を傾げていた。
しまいには一旦距離取ったのち、なにやら顎に手を当てて考えるような仕草をしたかと思えば、スタスタとこちらへ戻ってくる。
「ちょっとゲオルク、どうしたの?」
「どこか怪我でも……っ!?」
「いや、少しおかしいと思ってな」
おろおろと慌てるラウラと青年をよそに、珍しく難しい顔をしている。
「ワイバーンはあの翼で飛翔できることがなによりの利点であり、一番の能力であるはずなんだが……飛ばないな、あいつ」
言われて改めて様子を窺えば、確かにあの魔獣は最初の場所から動いていない。
しかもよくよく見ると、周辺一帯の焼け跡は現在魔獣がどっしりと鎮座している場所を中心にしてできているように思える。
つまり。
「あの魔獣、あそこから動いていないのかしら?」
近づく者をただ炎を噴いて追い払っている状況なのでは。そんな考えがよぎる。
現に、スタスタと戻ってきたゲオルクを追うことなく、あの場所を陣取ったままだ。
「でも、なぜ?」
困惑したまま横の青年とゲオルクを見るが、結局三人揃って首を傾げる。
魔獣の背後には生い茂った草木と、切り立った崖があるだけに見えるのだが――狩人の青年が「あ」と声をもらした。
「うしろのなにかを守っていますね」
「うしろ?」
聞けば、彼は確信したように頷く。
「子を守る獣と同じです。あそこ、草木で見えにくいですが、崖の下に小さな洞窟のような穴があるんですよ。多分そこになにかいる」
そして、ぎゅっと手元の弓を握り直した。
「俺が見てきます」
「え! それは危ないのでは?」
なにがいるのかわからないところへ、という意味でラウラが言えば青年は冷静に首を振った。
「いいえ。むしろああやって守っているなら、奥にいるのは立ちふさがっている獣より弱者ですから。ワイバーンにはさすがに手が出ませんが、奥の様子を確認するくらいならなんとかなるかと」
「なるほど。ならば、そのあいだ俺が引き付けておけばいいんだな」
ゲオルクは頷いているが、いまだに首を傾げたままである。
青年の意見に異論はないようだが、なにか考え込んでいる様子だ。
「なにが気になるの?」
聞いてみるものの、それでもなにやら「うーん」と釈然としない声が返ってくる。
「いやあのワイバーンもなぁ……確率は低いがありえなくはないし」
「……どういうこと?」
「いるんだよ。ワイバーンに化けるって言われてる魔獣が」
「そうなの!?」
「激レアすぎて見たこともないけどな。でもやはりどこか違和感があるし、少し気になるところもある」
「そうなのね。なら、そっちはゲオルクに任せて私は洞窟の方についていくわ」
グッと拳を握ったら男二人が「え!?」とラウラを見た。
特に青年は明らかな焦りを顔に浮かべている。
「いやいや、なにがあるかわからないですよ?」
「だからって一人でここで待っているのも、ゲオルクと魔獣に突撃することも私にはできないもの!」
こんなところに放置しないでほしいし、だからと言って戦えるわけがない。
洞窟の中の方が危険は少なそうだし、ついていくならそちら一択だ。
それでもさすがに青年は渋っていたが、ゲオルクが「それもそうだな」なんて鷹揚に頷くものだからガックリと肩を落としている。
「まあ大丈夫だろう。確かに奥からは強い気配もしないし、なによりこの森に詳しい狩人が一緒だ。俺のご主人様を頼んだぞ!」
はっはっはっといつもの豪快な笑みで青年の背を叩く。
「ハードル上げないでください……」
「そう心配するな! 実際に危険があればラウラが俺に『守れ』と命じればいい。命を賭しても助けに行くからな!」
「え、それはダメよゲオルク――」
「では頼んだぞ! 走れ!」
ラウラが反発する間もなく、強く背中を押された。
同時にゲオルクは身体の向きを変え魔獣の方へ走る。相変わらず全方向に思い切りが良すぎではないか。
すると、ゲオルクの接近に気付いたワイバーンが口を大きく開けた。
また火を噴く気だ。
だがゲオルクは構わず突っ込んでいき、火が触れる直前にスライディングで下へ滑り込む。炎の下ギリギリを潜り抜けてワイバーンの懐へ飛び込んだ。
それを見届けてから、ラウラは青年と茂みをかき分けながら走る。切り立った崖の下には、確かに小さな洞窟らしき穴があった。
「ここよね?」
「そうです。少し待ってください」
青年は周囲の枝をいくつか選別して切り取ると、手際よく小さな松明を作った。腰に下げていた荷物から布切れを取り出すと、松明の先に巻き付ける。
布切れにはわずかに油がしみ込んでいるらしかった。
青年はそこに火打石を叩いて手早く火を付けると、灯った松明を手にして洞窟へ入った。さすが狩人、慣れている。その後ろにラウラも続いた。
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