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22 祈りは大事なのです
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イクソン伯爵家の庭園のガゼボには、三人分のカップが並んでいた。
「いやー……幸せそうで安心したよ」
ホッとしたようにカップを口に運ぶハンスの向かい側には、ルイーゼとフレデリクが並んでいる。
幸せを絵にかいたような締まりのない顔をしたルイーゼを見れば、いい方向にまとまったのは一目瞭然。
本日、ハンスは改めてフレデリクからの招待を受けてイクソン邸を訪れた。
前回のツッコミどころ満載だった二人きりのお茶会から一変して、幸せ新婚夫婦とその友人。という構図に色々と察して胸をなで下ろす。
が、安心したのも束の間。
「ハンスには、ルイーザのお腹の子の父親などという疑いをかけてしまって本当に申し訳なかった」
「ちょっとそこまでは聞いていなかったなああぁぁっ!?」
危うく壮絶な修羅場に巻き込まれる直前だったことが発覚して、大量の冷や汗が噴き出した。
「え、なに? なにがどうなったらそういうことになるんだい!?」
「ほらね、フレッド。ハンスとはそんな関係ありえないわ」
「ああ、本当にすまなかった。今は疑ってなどいない」
にこやかに微笑み合う夫婦の前でハンスは混乱の極みだ。
「あ、もしかして、ルイーザはおめでたなのかな?」
「ええ? まさか! まだ早いわよぉー」
テレテレと顔を赤くするルイーザと会話が噛み合っている気がまるでしない。
「本当にどういうことだよ!?」
ハンスにはなにひとつ理解ができなかったが、とにかく友人夫婦が幸せそうなのでもう何も言うまいと諦める。
「まあ。いいんだ。二人が幸せならね。僕も早くいい人探そう……」
「ハンスならきっとすぐ見つかるわよ。なんたって令嬢たち憧れの的だもの」
「そうだな。俺から言えることはなにもないだろうが……ああ、ひとつだけ」
ここで、フレデリクはやけに真面目な眼差しでハンスを見据えた。
「創造主たる女神様へは真摯な気持ちで祈りを捧げることだ。俺からもハンスを何卒よろしくと祈っておこう」
「は?」
「そうよ、ハンス。女神様への感謝と祈りは忘れないようにね」
「二人ともなにがあってこうなった!?」
混乱するハンスをよそに、ルイーザとフレデリクは誰もが認めるおしどり夫婦として幸せ街道を邁進していくのだった。
─────────
読んでいただきありがとうございました!
「いやー……幸せそうで安心したよ」
ホッとしたようにカップを口に運ぶハンスの向かい側には、ルイーゼとフレデリクが並んでいる。
幸せを絵にかいたような締まりのない顔をしたルイーゼを見れば、いい方向にまとまったのは一目瞭然。
本日、ハンスは改めてフレデリクからの招待を受けてイクソン邸を訪れた。
前回のツッコミどころ満載だった二人きりのお茶会から一変して、幸せ新婚夫婦とその友人。という構図に色々と察して胸をなで下ろす。
が、安心したのも束の間。
「ハンスには、ルイーザのお腹の子の父親などという疑いをかけてしまって本当に申し訳なかった」
「ちょっとそこまでは聞いていなかったなああぁぁっ!?」
危うく壮絶な修羅場に巻き込まれる直前だったことが発覚して、大量の冷や汗が噴き出した。
「え、なに? なにがどうなったらそういうことになるんだい!?」
「ほらね、フレッド。ハンスとはそんな関係ありえないわ」
「ああ、本当にすまなかった。今は疑ってなどいない」
にこやかに微笑み合う夫婦の前でハンスは混乱の極みだ。
「あ、もしかして、ルイーザはおめでたなのかな?」
「ええ? まさか! まだ早いわよぉー」
テレテレと顔を赤くするルイーザと会話が噛み合っている気がまるでしない。
「本当にどういうことだよ!?」
ハンスにはなにひとつ理解ができなかったが、とにかく友人夫婦が幸せそうなのでもう何も言うまいと諦める。
「まあ。いいんだ。二人が幸せならね。僕も早くいい人探そう……」
「ハンスならきっとすぐ見つかるわよ。なんたって令嬢たち憧れの的だもの」
「そうだな。俺から言えることはなにもないだろうが……ああ、ひとつだけ」
ここで、フレデリクはやけに真面目な眼差しでハンスを見据えた。
「創造主たる女神様へは真摯な気持ちで祈りを捧げることだ。俺からもハンスを何卒よろしくと祈っておこう」
「は?」
「そうよ、ハンス。女神様への感謝と祈りは忘れないようにね」
「二人ともなにがあってこうなった!?」
混乱するハンスをよそに、ルイーザとフレデリクは誰もが認めるおしどり夫婦として幸せ街道を邁進していくのだった。
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