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06 サラッと不穏な言葉が聞こえました
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「私……濡れて、います……」
「ええ。これなら十分でしょう」
リオネルが同意するように頷いて、とろりと濡れた指を見せてくれた。
だが、そうではない。マルティナの呟きは驚きの声だ。
不感症と罵られた自分が濡れるわけなどないと思っていたのに、しとどに愛液をたらしている。
それが信じられなかった。
呆然とするマルティナの心情など知らぬリオネルは、再び手を伸ばした。
「ここは、触れられるとどういった感覚なのですか?」
「え? ……あっ、ああっ!」
確かめるように、愛液に濡れた手で、ぬるっと陰核を撫でられた。
そのたびに身体は意図せずびくびくと震えてしまう。脚はつま先まで力が入り腰が浮く。
「あっ、先ほどより強い刺激が……あのっ、痺れるようなものが、そこに集まってくるよう、で……あっあぁっ、これが――」
これがきっと快感なのだろう。
「もっ、もう……っ、いやっそのように撫でられると、もうダメ……っ」
巨大な波が、遠くから一気に押し寄せてくるような感覚。その大きさに思わずひるんでしまう。
「待って、な、なにかきちゃう……っ、ああっ」
耐えるように伏せた睫毛を震わせたマルティナへ、反応を窺うような金色の眼差しが注がれる。
とたんに、これまで撫でるようにゆるゆると触れていた指は動きを変えて、一点を集中して責められた。
「……ここでしょうか?」
「あ――っ!?」
囁くような声が耳元でしたと同時、張りつめていたものが弾けたようにリオネルの指先から全身に衝撃が巡った。
「ああぁぁっ! ひぁっ――」
抗えない快感の波に意識が一気に引きずりこまれる。
その瞬間なにも考えられなくなって、昇りつめた身体は痙攣するように震えた。
大きな波が通り過ぎたあとも、余韻が中に燻る。
あまりの快感に意識を手放しそうになった。
むしろ手放してしまいたい。
弛緩しきった身体を放って意識の底に沈んで休みたい。
だが『できるだけ意識を持たせてもらいたい』と言われた以上、そんなわけにはいかなかった。
第二王子からの言葉は、マルティナにとっては命令そのものである。
(身体の状態を……!)
気合で眉根に力を込め、キリッと表情を引き締める。
「た、達しました……!」
まさか不感症と罵られた自分が、絶頂を迎えることができるとは思わなかった。
そんなこと一生ないのではとすら覚悟していたのに。
ついでに、当然ながら自分が達した報告をこんなに真面目にする日が来ようとも思うわけがなかった。
しかし、命令は絶対。
(なるべく詳細に……!)
なのだから。
「物足りないとすら思える力で触れ続けられると、おそらく快感と呼ばれる感覚が……こう、次第に高まっていきました。そこで強く刺激されると今のように絶頂を迎え、一瞬ですが意識が飛んだようになにも考えられません……」
キリッと顔を引き締めたまま、先ほどマルティナの身体に起きていた感覚を律義にも懇切丁寧に説明したら、なにやら驚いたようにリオネルが目を見張る。
「なるほど……! 愛撫する箇所に触れることですぐに快感を得るのではなく、少しづつ積み重ねていくような感じというわけですね?」
「と、とはいえ、やはりあくまで私個人の見解ではありますけど……!」
だが、マルティナが生涯諦めていた性の快感を得ることができたのは、間違いなく相手の手腕のおかげともいえる。
「それでも、殿下が触れてくるお手先の加減は素晴らしいと思います……はい」
彼でなければ昇りつめる感覚を味わうことなどなかっただろう。
恥じらいながらも本心からの思いを言葉にしたら、リオネルが今度は感動したように瞳を輝かせた。
「ここまで詳細に指南をして貰えたのは初めてです。……全員すぐに潰れてしまうので」
「え?」
なにやら不穏な言葉が聞こえた気がした。
だがその真意を尋ねるより早く、新たな刺激にマルティナの意識はすべて持っていかれる。
ぐちゅりと、はしたない音をさせながら、リオネルの指がすっかり濡れそぼったマルティナの中を探るように侵入した。
「ふあああぁっ」
以前は指ですら痛みで受け入れるができなかったというのに、溢れるほどの愛液を零す蜜口は骨ばった指を難なく受け入れている。
入口から奥に向かって、満遍なく刺激を与えるように抽送しながら責め立てられて、マルティナは涎が垂れるのも構わずひたすら喘いだ。
「ああっ、そこっ、ひぅっ、んっ、あっそうです……っ」
息もたえだえにマルティナが求める場所を、リオネルは的確に刺激してくる。
喘ぎ声で言葉にならない言葉のはずなのに彼は違うことがなかった。
「ええ。これなら十分でしょう」
リオネルが同意するように頷いて、とろりと濡れた指を見せてくれた。
だが、そうではない。マルティナの呟きは驚きの声だ。
不感症と罵られた自分が濡れるわけなどないと思っていたのに、しとどに愛液をたらしている。
それが信じられなかった。
呆然とするマルティナの心情など知らぬリオネルは、再び手を伸ばした。
「ここは、触れられるとどういった感覚なのですか?」
「え? ……あっ、ああっ!」
確かめるように、愛液に濡れた手で、ぬるっと陰核を撫でられた。
そのたびに身体は意図せずびくびくと震えてしまう。脚はつま先まで力が入り腰が浮く。
「あっ、先ほどより強い刺激が……あのっ、痺れるようなものが、そこに集まってくるよう、で……あっあぁっ、これが――」
これがきっと快感なのだろう。
「もっ、もう……っ、いやっそのように撫でられると、もうダメ……っ」
巨大な波が、遠くから一気に押し寄せてくるような感覚。その大きさに思わずひるんでしまう。
「待って、な、なにかきちゃう……っ、ああっ」
耐えるように伏せた睫毛を震わせたマルティナへ、反応を窺うような金色の眼差しが注がれる。
とたんに、これまで撫でるようにゆるゆると触れていた指は動きを変えて、一点を集中して責められた。
「……ここでしょうか?」
「あ――っ!?」
囁くような声が耳元でしたと同時、張りつめていたものが弾けたようにリオネルの指先から全身に衝撃が巡った。
「ああぁぁっ! ひぁっ――」
抗えない快感の波に意識が一気に引きずりこまれる。
その瞬間なにも考えられなくなって、昇りつめた身体は痙攣するように震えた。
大きな波が通り過ぎたあとも、余韻が中に燻る。
あまりの快感に意識を手放しそうになった。
むしろ手放してしまいたい。
弛緩しきった身体を放って意識の底に沈んで休みたい。
だが『できるだけ意識を持たせてもらいたい』と言われた以上、そんなわけにはいかなかった。
第二王子からの言葉は、マルティナにとっては命令そのものである。
(身体の状態を……!)
気合で眉根に力を込め、キリッと表情を引き締める。
「た、達しました……!」
まさか不感症と罵られた自分が、絶頂を迎えることができるとは思わなかった。
そんなこと一生ないのではとすら覚悟していたのに。
ついでに、当然ながら自分が達した報告をこんなに真面目にする日が来ようとも思うわけがなかった。
しかし、命令は絶対。
(なるべく詳細に……!)
なのだから。
「物足りないとすら思える力で触れ続けられると、おそらく快感と呼ばれる感覚が……こう、次第に高まっていきました。そこで強く刺激されると今のように絶頂を迎え、一瞬ですが意識が飛んだようになにも考えられません……」
キリッと顔を引き締めたまま、先ほどマルティナの身体に起きていた感覚を律義にも懇切丁寧に説明したら、なにやら驚いたようにリオネルが目を見張る。
「なるほど……! 愛撫する箇所に触れることですぐに快感を得るのではなく、少しづつ積み重ねていくような感じというわけですね?」
「と、とはいえ、やはりあくまで私個人の見解ではありますけど……!」
だが、マルティナが生涯諦めていた性の快感を得ることができたのは、間違いなく相手の手腕のおかげともいえる。
「それでも、殿下が触れてくるお手先の加減は素晴らしいと思います……はい」
彼でなければ昇りつめる感覚を味わうことなどなかっただろう。
恥じらいながらも本心からの思いを言葉にしたら、リオネルが今度は感動したように瞳を輝かせた。
「ここまで詳細に指南をして貰えたのは初めてです。……全員すぐに潰れてしまうので」
「え?」
なにやら不穏な言葉が聞こえた気がした。
だがその真意を尋ねるより早く、新たな刺激にマルティナの意識はすべて持っていかれる。
ぐちゅりと、はしたない音をさせながら、リオネルの指がすっかり濡れそぼったマルティナの中を探るように侵入した。
「ふあああぁっ」
以前は指ですら痛みで受け入れるができなかったというのに、溢れるほどの愛液を零す蜜口は骨ばった指を難なく受け入れている。
入口から奥に向かって、満遍なく刺激を与えるように抽送しながら責め立てられて、マルティナは涎が垂れるのも構わずひたすら喘いだ。
「ああっ、そこっ、ひぅっ、んっ、あっそうです……っ」
息もたえだえにマルティナが求める場所を、リオネルは的確に刺激してくる。
喘ぎ声で言葉にならない言葉のはずなのに彼は違うことがなかった。
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