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ロケット発射計画
第497話 帰れません
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無事にコンクリートの流し込みも終わり、私たちの作業は完了した。あとはコンクリートが固まるのを待つだけだ。
「よし、終わったぞ! やった!」
リア充らしく、リーダーシップをとってみんなを扇動する高橋雅人さん。妹の聖美ちゃんは手持ち無沙汰で髪を指でくるくると巻いている。作業の半分くらいはさぼっていた。
「記念にみんなで手形をつけようぜ」
「いいね」「やろう、やろう」
雅人さんの号令でみんなで1つずつ、合計で9個の手形が残された。
2日間の作業は大変だった。無人島には巨大な土台が完成し、コンクリートが固まる1週間後にはここからロケットが宇宙へ向けて飛び立つ。宇宙に隠されたプリミティブ・デバイスを回収しに行くのだ。
すべての作業が終わり、全員が私を見た。一応リーダーということになっている私の言葉を待っている。
「あー、えー。みなさん。おつかれさまでした。ちょっとみなさんにお知らせがあります。詳しくは湊から話があると思いますので、聞いて下さい」
湊ちゃんは私の横に立った。全員の視線が湊ちゃんに注がれる。
「えっと、雅人さんと聖美ちゃん以外はみんな知っていると思います。この島でとある物が盗まれた可能性があります。もしも、身に覚えがある人がいましたら、名乗り出てください」
湊ちゃんは全員を見回す。その中にはテレビクルーも入っている。私たちの様子はテレビカメラで記録されていた。
「雅人さんと聖美ちゃんは完全に部外者となります。ですが、この問題が解決するまではこの島から出られません。春菜が島から出してくれません」
部長を始め、その場にいる全員が固まっていた。私のドラゴンがいなければ島から出ることはできない。
ちなみにテレビクルーはヘリコプターが迎えに来ることになっている。
「何のことだよ? わけわかんねえよ。説明してくれねえか?」
雅人さんが湊ちゃんに詰め寄ろうと前に出てきたが、湊ちゃんはそれを手で制した。
「春菜のプライバシーに関わることなので、詳細は言えないんです」
「はあ? 聖美は関係ないんだよね? 帰してくれるんだよね?」
聖美ちゃんは砂浜に体育座りしている。膝の上に顎を乗せていた。
「いいえ。雅人さんと聖美ちゃんはこの件に関係ないんですが、帰すわけにはいきません」
「帰れないってどういうこと!? 聖美、関係ないんだけど。マジなんなの!?」
「なくなったものが見つかって、犯人が判明すれば島から出ることができますよ。今から犯人探しです」
犯人探しと聞き、私は湊ちゃんに言った。
「ねえ、湊? 単に部長がなくしただけかもしれないんだよ、私のパンツ」
「パンツ!?」
雅人さんが驚いた声を上げる。
湊ちゃんは私のプライバシーだと言ってパンツのことは口にしなかった。しかし、パンツと言ってしまわないと話が進まない。
「お前、今ノーパンなの!?」
「履いているよ!!」
スカートをめくろうとして、湊ちゃんに止められる。
「見せなくていいから、春菜」
もちろん見せるわけがない。単にめくるフリだけだ。
湊ちゃんはもう隠し事がなくなり、開き直ることができたようだ。話は一気に核心へと迫っていく。
「さて、部長がなくしただけかもしれないという春菜の意見ですが、私は否定します。パンツは何者かにより盗まれたと私は思っています」
「その根拠は?」
雅人さんが湊ちゃんに尋ねる。
「口の開いたリュックがテントの外に投げ捨てるように置かれていたそうです。これはもう盗まれたことが明白です」
「なるほど。まあ、俺でもわかるけど」
「次に犯人です。犯人の目星はついています。私は3人に絞っています」
「3人ね。じゃあ、ダンジョン部の誰かかな。部長の高峰さん。部員の石田さん、九条さん、葛城さん、椎名さん。この中の3人? どうやって絞ったの?」
「違いますね。雅人さん。その中に犯人はいません」
「え? どういうこと?」
「もしもダンジョン部の中に犯人がいるとします。そうしたらすぐに犯行がばれるようなことはしないでしょう。リュックを投げ捨てるなんて目立つことはしません。なぜなら発覚を少しでも遅らせたいからです」
「ああ、なるほど」
「つまり、犯行動機も合わせて考えなければなりません。するとこういう推理が成り立ちます。犯人は春菜のパンツが欲しかったわけではありません。番組を盛り上げるためです。コンクリートの土台を作るというあまりに中身のない番組に、一石を投じたかった。少しでも番組を盛り上げたかった」
「つまり、犯人はテレビクルーの誰か。リポーターかカメラマンか音声担当か……」
雅人さんだけでなく、全員がテレビクルーを見た。カメラはまだ私たちを撮影している。
「3人です。犯人は3人。テレビクルーは全員がグルだってことです」
「そうなの!?」
私は思わず叫んでしまった。
「まず、リポーターの行動は不自然だった。さっきの放送で、私たちの作業の様子をリポートする様子がなかった。大方、パンツがなくなったことでスタジオと盛り上がっていたのでしょう。それでカメラマンと音声。この2人は知らなかったとしたら動揺を見せるはずです。ところが、平然と撮影を続けていた」
「それが湊の推理なんだね?」
湊ちゃんは頷き、テレビクルーへと顔を向けた。
「どうですか? 違いますか? みなさん」
リポーターの男がぼりぼりと頭をかきながら前に出てきた。
「いやあ、バレちゃいましたね。こんなに早く真相が判明してしまうなんて。しかし、物的証拠がありませんね。肝心のパンツがまだ見つかっていません」
湊ちゃんは余裕がある顔を彼らに向けた。
「だいたい見当がついています。あなた方テレビマンが考えるようなことくらい」
「なんですか、そこまでお見通しだとでも? では、パンツはいったいどこにあるのでしょう?」
「筋書きなんてわかっています。部長か石田さんあたりが犯人の濡れ衣を着せられ、私たちが内輪揉めするのを撮影したかったのでしょう。そして収拾がつかなくなるほど混乱した時にドッキリのネタバラシのごとく、パンツを出してくるつもりだった」
「ほう……。鋭いね」
「つまり、パンツの在り処はここです。木を隠すなら森に隠せ。その格言通り」
湊ちゃんはゆらりと右腕を持ち上げた。
「よし、終わったぞ! やった!」
リア充らしく、リーダーシップをとってみんなを扇動する高橋雅人さん。妹の聖美ちゃんは手持ち無沙汰で髪を指でくるくると巻いている。作業の半分くらいはさぼっていた。
「記念にみんなで手形をつけようぜ」
「いいね」「やろう、やろう」
雅人さんの号令でみんなで1つずつ、合計で9個の手形が残された。
2日間の作業は大変だった。無人島には巨大な土台が完成し、コンクリートが固まる1週間後にはここからロケットが宇宙へ向けて飛び立つ。宇宙に隠されたプリミティブ・デバイスを回収しに行くのだ。
すべての作業が終わり、全員が私を見た。一応リーダーということになっている私の言葉を待っている。
「あー、えー。みなさん。おつかれさまでした。ちょっとみなさんにお知らせがあります。詳しくは湊から話があると思いますので、聞いて下さい」
湊ちゃんは私の横に立った。全員の視線が湊ちゃんに注がれる。
「えっと、雅人さんと聖美ちゃん以外はみんな知っていると思います。この島でとある物が盗まれた可能性があります。もしも、身に覚えがある人がいましたら、名乗り出てください」
湊ちゃんは全員を見回す。その中にはテレビクルーも入っている。私たちの様子はテレビカメラで記録されていた。
「雅人さんと聖美ちゃんは完全に部外者となります。ですが、この問題が解決するまではこの島から出られません。春菜が島から出してくれません」
部長を始め、その場にいる全員が固まっていた。私のドラゴンがいなければ島から出ることはできない。
ちなみにテレビクルーはヘリコプターが迎えに来ることになっている。
「何のことだよ? わけわかんねえよ。説明してくれねえか?」
雅人さんが湊ちゃんに詰め寄ろうと前に出てきたが、湊ちゃんはそれを手で制した。
「春菜のプライバシーに関わることなので、詳細は言えないんです」
「はあ? 聖美は関係ないんだよね? 帰してくれるんだよね?」
聖美ちゃんは砂浜に体育座りしている。膝の上に顎を乗せていた。
「いいえ。雅人さんと聖美ちゃんはこの件に関係ないんですが、帰すわけにはいきません」
「帰れないってどういうこと!? 聖美、関係ないんだけど。マジなんなの!?」
「なくなったものが見つかって、犯人が判明すれば島から出ることができますよ。今から犯人探しです」
犯人探しと聞き、私は湊ちゃんに言った。
「ねえ、湊? 単に部長がなくしただけかもしれないんだよ、私のパンツ」
「パンツ!?」
雅人さんが驚いた声を上げる。
湊ちゃんは私のプライバシーだと言ってパンツのことは口にしなかった。しかし、パンツと言ってしまわないと話が進まない。
「お前、今ノーパンなの!?」
「履いているよ!!」
スカートをめくろうとして、湊ちゃんに止められる。
「見せなくていいから、春菜」
もちろん見せるわけがない。単にめくるフリだけだ。
湊ちゃんはもう隠し事がなくなり、開き直ることができたようだ。話は一気に核心へと迫っていく。
「さて、部長がなくしただけかもしれないという春菜の意見ですが、私は否定します。パンツは何者かにより盗まれたと私は思っています」
「その根拠は?」
雅人さんが湊ちゃんに尋ねる。
「口の開いたリュックがテントの外に投げ捨てるように置かれていたそうです。これはもう盗まれたことが明白です」
「なるほど。まあ、俺でもわかるけど」
「次に犯人です。犯人の目星はついています。私は3人に絞っています」
「3人ね。じゃあ、ダンジョン部の誰かかな。部長の高峰さん。部員の石田さん、九条さん、葛城さん、椎名さん。この中の3人? どうやって絞ったの?」
「違いますね。雅人さん。その中に犯人はいません」
「え? どういうこと?」
「もしもダンジョン部の中に犯人がいるとします。そうしたらすぐに犯行がばれるようなことはしないでしょう。リュックを投げ捨てるなんて目立つことはしません。なぜなら発覚を少しでも遅らせたいからです」
「ああ、なるほど」
「つまり、犯行動機も合わせて考えなければなりません。するとこういう推理が成り立ちます。犯人は春菜のパンツが欲しかったわけではありません。番組を盛り上げるためです。コンクリートの土台を作るというあまりに中身のない番組に、一石を投じたかった。少しでも番組を盛り上げたかった」
「つまり、犯人はテレビクルーの誰か。リポーターかカメラマンか音声担当か……」
雅人さんだけでなく、全員がテレビクルーを見た。カメラはまだ私たちを撮影している。
「3人です。犯人は3人。テレビクルーは全員がグルだってことです」
「そうなの!?」
私は思わず叫んでしまった。
「まず、リポーターの行動は不自然だった。さっきの放送で、私たちの作業の様子をリポートする様子がなかった。大方、パンツがなくなったことでスタジオと盛り上がっていたのでしょう。それでカメラマンと音声。この2人は知らなかったとしたら動揺を見せるはずです。ところが、平然と撮影を続けていた」
「それが湊の推理なんだね?」
湊ちゃんは頷き、テレビクルーへと顔を向けた。
「どうですか? 違いますか? みなさん」
リポーターの男がぼりぼりと頭をかきながら前に出てきた。
「いやあ、バレちゃいましたね。こんなに早く真相が判明してしまうなんて。しかし、物的証拠がありませんね。肝心のパンツがまだ見つかっていません」
湊ちゃんは余裕がある顔を彼らに向けた。
「だいたい見当がついています。あなた方テレビマンが考えるようなことくらい」
「なんですか、そこまでお見通しだとでも? では、パンツはいったいどこにあるのでしょう?」
「筋書きなんてわかっています。部長か石田さんあたりが犯人の濡れ衣を着せられ、私たちが内輪揉めするのを撮影したかったのでしょう。そして収拾がつかなくなるほど混乱した時にドッキリのネタバラシのごとく、パンツを出してくるつもりだった」
「ほう……。鋭いね」
「つまり、パンツの在り処はここです。木を隠すなら森に隠せ。その格言通り」
湊ちゃんはゆらりと右腕を持ち上げた。
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