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レイシス姫の部隊が続々と森の中へと退却していく中、正面の魔物の大軍はすぐそこまで迫っていた。
1万を優に超える大集団が襲って来る様子は、まるで映画やゲームの1シーンを見てるかのようだ。
それまで歩くスピードで悠然とこちらに迫って来ていた大集団だったが、俺との距離が詰まったからだろう、先頭に位置してたオーク共がこちらへと駆け出してきた。
せっかくギャラリーがいる(=チラチラとこちらを見ながら退却していく兵士たちのこと)のだから、普通に魔法を撃ち始めてはつまらないと思い、両腕を上に掲げ両手を握り合う。そのまま両腕を振り下ろし…………
(喰らえ! オーロラ・エクス……………………コホン! 土槍斉射!!)
ドッドッ! ドッドッ! ドッドッドドッドッ! ドッドッ…………
無数の土槍(回転)を撃ち出していく。
前に撃てば必ず当たる状況なので、撃つというよりバラ撒くように土槍(回転)を射出していく。
土槍(回転)で攻撃しているのには理由がある。
別に土甲弾で薙ぎ払っても良かったのだけど、どうせなら死体を大量にゲットして換金しようと考えたからだ。
なぜならこの戦闘は軍から依頼されたものではなく、レイシス姫からの個人的なお願いでしかない。
それも姫様(=イリス・ルガーナ殿下)とレイシス姫との親密な関係性を慮れば、断るという選択肢が最初から存在しない厄介なお願いなのだ。
なので当然のことながら報酬などはまったく期待できない。
むしろレイシス姫からすれば、アルタナ王国の貴族女性を嫁入りさせるつもりなのだから逆に感謝しなさい、とでも思っていそうだ。(嫁入りの件は一応先送りにしてはいる)
より射出数を増やした土槍(回転)を扇状に撃ち出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
-ルミナス要塞南の森の中にて-
「敵はすぐそこまで迫って来ています!
なお、敵の中に上位種は見当たりませんでした」
先行させていた騎馬からの報告だ。
魔物には相手の数が倍でも勝つことができる。
軍に入って初期の頃に教わることだ。
敵の主要戦力であるオークは人より体躯が大きいが、個体間でも集団同士でも連携するということをしない。
それに加えて遠距離攻撃において人族側とは圧倒的な差がある。
魔術士がほとんどいない上に、(遠距離攻撃の)主力であるオークアーチャーの強弓から放たれる矢は脅威ではあるものの、部隊単位で見ればその個体数は限定的だ。
こちらの練度や敵に上位種やオーガ(=通常種)がいるかどうかで戦況に変化はあるが、正面からぶつかればまず負けることはない。もちろん相応の犠牲は覚悟しないといけないが…………
「姫様、このまま突撃しましょう!」
迫って来る敵の数はおよそ2000。
背後から大軍が追撃して来るのであれば、隊を密集させて突撃し要塞への帰還を目指すべきだ。
しかし…………
「全隊この場にて防御陣を敷く!
前方からの敵を迎撃します!!」
「ひ、姫様?!」
「それでは敵の大軍に背後を突かれてしまいますっ!」
「後ろは気にせずともよい!」
ツムリーソなら防いでくれる…………はず。
「時間がありません! 迎撃準備!!」
彼我の遠距離攻撃力の差を最も生かせるのがこの迎撃戦闘だ。
突撃しかしてこない魔物に対してもっとも有効な戦闘方法で、城壁や防壁越しの防御戦闘であれば戦死者を出すことなく完勝することさえ可能だったりする。
しかし魔物側もオーガによる投石など新たな攻撃を繰り出してきて、ベルガーナの南砦を陥落させたりルミナス要塞を突破して国内に侵攻するなど、迎え撃てば必ずしも有利な戦況を作れるわけではなくなってきている。
「逃げる個体は無視しなさい!」
土魔法を扱える魔術士が前面に防壁を作る。
胸の高さまでしかない簡易的なモノで、無いよりはマシ程度の壁だ。
木々の間からオークが次々と出て来る。
まだよ…………
十分引き付けて…………
「攻撃開始!!」
弓隊からは矢が、魔術士隊からは土や風属性による魔法攻撃が放たれた!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
敵は壊滅しつつあった。
全面的に潰走してるわけではないが、一部の集団はすでに退却を始めている。
どれほどの数の土槍(回転)を撃ったのか自分でもわからないが、1万発は優に超えているかもしれない。
それだけの数の魔法を撃ってもMPはそれほど減ってなかった。
戦闘後半は魔物の密度が減り押し寄せて来る圧も消えたので、1度に発射する数も減らしていたし撃つ間隔も長くなったのでMPの回復量が上回ったのが理由だろう。
もちろんMP回復強化Lv9とMP消費軽減Lv9、この2つのスキルのおかげであることは言うまでもない。
見渡す限りに広がる死体の山を眺めながら、
(これ、全部収納するのは大変だぞ…………レイシス姫の部隊から収納持ちの魔術士を借りられないかな?)
これから行う収納作業の大変さにため息をついてると、前方の一角にボロボロになった盾を構えて生き残っている10体ほどの魔物を発見した。
(あれは…………)
その中にいる特徴的な個体には見覚えが…………
1万を優に超える大集団が襲って来る様子は、まるで映画やゲームの1シーンを見てるかのようだ。
それまで歩くスピードで悠然とこちらに迫って来ていた大集団だったが、俺との距離が詰まったからだろう、先頭に位置してたオーク共がこちらへと駆け出してきた。
せっかくギャラリーがいる(=チラチラとこちらを見ながら退却していく兵士たちのこと)のだから、普通に魔法を撃ち始めてはつまらないと思い、両腕を上に掲げ両手を握り合う。そのまま両腕を振り下ろし…………
(喰らえ! オーロラ・エクス……………………コホン! 土槍斉射!!)
ドッドッ! ドッドッ! ドッドッドドッドッ! ドッドッ…………
無数の土槍(回転)を撃ち出していく。
前に撃てば必ず当たる状況なので、撃つというよりバラ撒くように土槍(回転)を射出していく。
土槍(回転)で攻撃しているのには理由がある。
別に土甲弾で薙ぎ払っても良かったのだけど、どうせなら死体を大量にゲットして換金しようと考えたからだ。
なぜならこの戦闘は軍から依頼されたものではなく、レイシス姫からの個人的なお願いでしかない。
それも姫様(=イリス・ルガーナ殿下)とレイシス姫との親密な関係性を慮れば、断るという選択肢が最初から存在しない厄介なお願いなのだ。
なので当然のことながら報酬などはまったく期待できない。
むしろレイシス姫からすれば、アルタナ王国の貴族女性を嫁入りさせるつもりなのだから逆に感謝しなさい、とでも思っていそうだ。(嫁入りの件は一応先送りにしてはいる)
より射出数を増やした土槍(回転)を扇状に撃ち出した。
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-ルミナス要塞南の森の中にて-
「敵はすぐそこまで迫って来ています!
なお、敵の中に上位種は見当たりませんでした」
先行させていた騎馬からの報告だ。
魔物には相手の数が倍でも勝つことができる。
軍に入って初期の頃に教わることだ。
敵の主要戦力であるオークは人より体躯が大きいが、個体間でも集団同士でも連携するということをしない。
それに加えて遠距離攻撃において人族側とは圧倒的な差がある。
魔術士がほとんどいない上に、(遠距離攻撃の)主力であるオークアーチャーの強弓から放たれる矢は脅威ではあるものの、部隊単位で見ればその個体数は限定的だ。
こちらの練度や敵に上位種やオーガ(=通常種)がいるかどうかで戦況に変化はあるが、正面からぶつかればまず負けることはない。もちろん相応の犠牲は覚悟しないといけないが…………
「姫様、このまま突撃しましょう!」
迫って来る敵の数はおよそ2000。
背後から大軍が追撃して来るのであれば、隊を密集させて突撃し要塞への帰還を目指すべきだ。
しかし…………
「全隊この場にて防御陣を敷く!
前方からの敵を迎撃します!!」
「ひ、姫様?!」
「それでは敵の大軍に背後を突かれてしまいますっ!」
「後ろは気にせずともよい!」
ツムリーソなら防いでくれる…………はず。
「時間がありません! 迎撃準備!!」
彼我の遠距離攻撃力の差を最も生かせるのがこの迎撃戦闘だ。
突撃しかしてこない魔物に対してもっとも有効な戦闘方法で、城壁や防壁越しの防御戦闘であれば戦死者を出すことなく完勝することさえ可能だったりする。
しかし魔物側もオーガによる投石など新たな攻撃を繰り出してきて、ベルガーナの南砦を陥落させたりルミナス要塞を突破して国内に侵攻するなど、迎え撃てば必ずしも有利な戦況を作れるわけではなくなってきている。
「逃げる個体は無視しなさい!」
土魔法を扱える魔術士が前面に防壁を作る。
胸の高さまでしかない簡易的なモノで、無いよりはマシ程度の壁だ。
木々の間からオークが次々と出て来る。
まだよ…………
十分引き付けて…………
「攻撃開始!!」
弓隊からは矢が、魔術士隊からは土や風属性による魔法攻撃が放たれた!
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敵は壊滅しつつあった。
全面的に潰走してるわけではないが、一部の集団はすでに退却を始めている。
どれほどの数の土槍(回転)を撃ったのか自分でもわからないが、1万発は優に超えているかもしれない。
それだけの数の魔法を撃ってもMPはそれほど減ってなかった。
戦闘後半は魔物の密度が減り押し寄せて来る圧も消えたので、1度に発射する数も減らしていたし撃つ間隔も長くなったのでMPの回復量が上回ったのが理由だろう。
もちろんMP回復強化Lv9とMP消費軽減Lv9、この2つのスキルのおかげであることは言うまでもない。
見渡す限りに広がる死体の山を眺めながら、
(これ、全部収納するのは大変だぞ…………レイシス姫の部隊から収納持ちの魔術士を借りられないかな?)
これから行う収納作業の大変さにため息をついてると、前方の一角にボロボロになった盾を構えて生き残っている10体ほどの魔物を発見した。
(あれは…………)
その中にいる特徴的な個体には見覚えが…………
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