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翌日、真面目に朝一番で家を出てメルクへと飛ぶ。
途中昨日レドリッチから聞いたカナーン村という農村を見るために、メルクへのルートを北側に膨らみながら飛んだ。
カナーン村はバルーカとメルク以外でこの国の最南端に位置する村だが、最近になって小規模ではあるものの魔物の襲撃を受けているという話だった。
メルクを始めコートダールやグラバラス帝国など東方へと飛ぶ際に、いつも遠くにチラッと見える程度で飛んでいれば数多く見ることのできる農村の一つでしかなかったのだが、こうして近くを飛行速度を落としながら眺めてみると村の大きさと家屋の多さに驚かされる。
柵みたいな(たぶん木製だろう)もので村の全周を囲ってはいるが、防御としては無いも同然だろう。
村の中央に見える大きな家は村長宅だろうか?
バルーカから守備隊が派遣されているとのことだったが、宿営地みたいなものは見えず駐屯しているようには見えない。
小隊規模の派遣で村長宅か空き家にでも寝泊まりしているのかもしれない。
今度暇なときにでもちゃんとした防壁を作ってあげてもいいかも…………そんなことを思いながらメルクへ向けて飛行速度を上げた。
「待っていたわ!
無事に4等級に昇格したようね!」
「おはようございます、フライヤさん。
おかげさまで…………」
半ば覚悟していたことではあるが、不在だったらいいなと願っていたフライヤさんがメルクギルドの前で待ち構えていた。
フライヤさんはメルクギルド所属の4等級冒険者で、赤い髪の毛が特徴の美人剣士だ。
しかしながら性格というか気質に難ありで、しばしば暴走しがちな面が見受けられる。
俺が密かにトラブルメーカーではないかと警戒している人物だ。
メルクの領主のご落胤らしい…………ギルド職員からそう説明されたので事実なのだろう。複雑で厄介な事情を抱えていると思われるが詳しいことはまったく知らない。君子危うきになんとやらだ。
「今回は私とパーティーを組むからね!」
フライヤさんと…………だと?
「コラ。
”私達”と、だろ?」
「あっ、ヌーベルさん! おはようございます!」
「ああ、おはよう、少年。
今日からはよろしく頼む」
「やっぱり私の時とはツトムの態度が違うような…………」
ヌーベルさんもメルクギルド所属の4等級冒険者で、スレンダーながらもスタイルの良い斥候職のお姉さんだ。
「ところでフライヤさん、他のパーティーメンバーの方達はどうしたのです?」
フライヤさんは以前に、オークの虜囚となっていた5等級の女性冒険者3人を1人で助け出したことがある。
以降はその女性冒険者3人とパーティーを組んでいたはずなんだけど…………
「あの娘達は他の街へメンバーを募集しに行ったわ!
4等級を本格的に目指すことにしたみたいね!」
バルーカでもそうだが、メルクでもパーティーメンバー募集は他の街に行ってするものらしい。
…………いや、最初アルタナ王都でメンバー募集していたランテスの新パーティーも、結局はコートダールに移動してメンバー探しをしているのだった。
結局中堅クラス以上のパーティーがメンバーを補充するためには、優秀な冒険者が集まるコートダール(または帝国)で募集する必要があるってことだ。
もっともタークさん達のように王都でメディーナさんを加えることができたりと運次第な面も大きいか。
「少年。先に依頼を受けてきたらどうだ? 話なら後でもできるだろう」
「そうします」
ギルド内に入ると、依頼票が貼り出されるのを待つ冒険者の姿がそこそこいた。
混雑のピークはこれからだろうが、前回訪れたグリードさん達の昇格試験の時にはもっと人がいたと思うが…………
「ツトムさん!」
「お久しぶりです、ニナさん」
「指名依頼の手続きですね、少し待ってください」
メルクのギルド職員であるニナさんには、初めてここに来た際にフライヤさんを連れ戻すよう頼まれたことがある。
その時の貸しが1つあるのだが、俺のことは子供と認識しているようで脈は全く無い。
まぁ仮に脈アリだったとしても、姫様に結婚を申し込んでる現状では手の出しようがないのだけど…………
「受付はこれから混みますので、こちらへ」
必要な書類を持ってきたニナさんに受付内にある個室に案内された。
「バルーカのギルドで大体の説明を受けている、という前提で構いませんか?」
「それでお願いします」
「かしこまりました。
今回の合同パーティーによる偵察では、ツトムさん・フライヤさん・ヌーベルさんの3人で臨時にパーティーを組んで頂き、3等級の武烈と4等級パーティーにツトムさん達を加えた3組が主力となります。
他に2組の5等級パーティーに個別の魔術士を加えた支援部隊が途中まで同行します。
武烈のリーダーであるヘンダークさんが今回の指揮官となりますので、現場では彼の指示に従ってください」
これは結構な人数になりそうだな。
俺が参加した合同パーティーでは過去最大級になるのかも。
そして武烈か…………
グリードさん達の3等級昇格試験における対戦相手だ。
ヘンダークは20代後半の長身の大剣使いで、試合ではグリードさんと引き分けている。
メンバーには俺が戦った巨漢盾職のグラハムと獣人剣士のロイド、他にナタリアさんに負けた魔術士とアタッカーがいる3等級パーティーだ。
途中昨日レドリッチから聞いたカナーン村という農村を見るために、メルクへのルートを北側に膨らみながら飛んだ。
カナーン村はバルーカとメルク以外でこの国の最南端に位置する村だが、最近になって小規模ではあるものの魔物の襲撃を受けているという話だった。
メルクを始めコートダールやグラバラス帝国など東方へと飛ぶ際に、いつも遠くにチラッと見える程度で飛んでいれば数多く見ることのできる農村の一つでしかなかったのだが、こうして近くを飛行速度を落としながら眺めてみると村の大きさと家屋の多さに驚かされる。
柵みたいな(たぶん木製だろう)もので村の全周を囲ってはいるが、防御としては無いも同然だろう。
村の中央に見える大きな家は村長宅だろうか?
バルーカから守備隊が派遣されているとのことだったが、宿営地みたいなものは見えず駐屯しているようには見えない。
小隊規模の派遣で村長宅か空き家にでも寝泊まりしているのかもしれない。
今度暇なときにでもちゃんとした防壁を作ってあげてもいいかも…………そんなことを思いながらメルクへ向けて飛行速度を上げた。
「待っていたわ!
無事に4等級に昇格したようね!」
「おはようございます、フライヤさん。
おかげさまで…………」
半ば覚悟していたことではあるが、不在だったらいいなと願っていたフライヤさんがメルクギルドの前で待ち構えていた。
フライヤさんはメルクギルド所属の4等級冒険者で、赤い髪の毛が特徴の美人剣士だ。
しかしながら性格というか気質に難ありで、しばしば暴走しがちな面が見受けられる。
俺が密かにトラブルメーカーではないかと警戒している人物だ。
メルクの領主のご落胤らしい…………ギルド職員からそう説明されたので事実なのだろう。複雑で厄介な事情を抱えていると思われるが詳しいことはまったく知らない。君子危うきになんとやらだ。
「今回は私とパーティーを組むからね!」
フライヤさんと…………だと?
「コラ。
”私達”と、だろ?」
「あっ、ヌーベルさん! おはようございます!」
「ああ、おはよう、少年。
今日からはよろしく頼む」
「やっぱり私の時とはツトムの態度が違うような…………」
ヌーベルさんもメルクギルド所属の4等級冒険者で、スレンダーながらもスタイルの良い斥候職のお姉さんだ。
「ところでフライヤさん、他のパーティーメンバーの方達はどうしたのです?」
フライヤさんは以前に、オークの虜囚となっていた5等級の女性冒険者3人を1人で助け出したことがある。
以降はその女性冒険者3人とパーティーを組んでいたはずなんだけど…………
「あの娘達は他の街へメンバーを募集しに行ったわ!
4等級を本格的に目指すことにしたみたいね!」
バルーカでもそうだが、メルクでもパーティーメンバー募集は他の街に行ってするものらしい。
…………いや、最初アルタナ王都でメンバー募集していたランテスの新パーティーも、結局はコートダールに移動してメンバー探しをしているのだった。
結局中堅クラス以上のパーティーがメンバーを補充するためには、優秀な冒険者が集まるコートダール(または帝国)で募集する必要があるってことだ。
もっともタークさん達のように王都でメディーナさんを加えることができたりと運次第な面も大きいか。
「少年。先に依頼を受けてきたらどうだ? 話なら後でもできるだろう」
「そうします」
ギルド内に入ると、依頼票が貼り出されるのを待つ冒険者の姿がそこそこいた。
混雑のピークはこれからだろうが、前回訪れたグリードさん達の昇格試験の時にはもっと人がいたと思うが…………
「ツトムさん!」
「お久しぶりです、ニナさん」
「指名依頼の手続きですね、少し待ってください」
メルクのギルド職員であるニナさんには、初めてここに来た際にフライヤさんを連れ戻すよう頼まれたことがある。
その時の貸しが1つあるのだが、俺のことは子供と認識しているようで脈は全く無い。
まぁ仮に脈アリだったとしても、姫様に結婚を申し込んでる現状では手の出しようがないのだけど…………
「受付はこれから混みますので、こちらへ」
必要な書類を持ってきたニナさんに受付内にある個室に案内された。
「バルーカのギルドで大体の説明を受けている、という前提で構いませんか?」
「それでお願いします」
「かしこまりました。
今回の合同パーティーによる偵察では、ツトムさん・フライヤさん・ヌーベルさんの3人で臨時にパーティーを組んで頂き、3等級の武烈と4等級パーティーにツトムさん達を加えた3組が主力となります。
他に2組の5等級パーティーに個別の魔術士を加えた支援部隊が途中まで同行します。
武烈のリーダーであるヘンダークさんが今回の指揮官となりますので、現場では彼の指示に従ってください」
これは結構な人数になりそうだな。
俺が参加した合同パーティーでは過去最大級になるのかも。
そして武烈か…………
グリードさん達の3等級昇格試験における対戦相手だ。
ヘンダークは20代後半の長身の大剣使いで、試合ではグリードさんと引き分けている。
メンバーには俺が戦った巨漢盾職のグラハムと獣人剣士のロイド、他にナタリアさんに負けた魔術士とアタッカーがいる3等級パーティーだ。
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