異世界ライフは山あり谷あり

常盤今

文字の大きさ
436 / 454

433

しおりを挟む
 それにしても、俺はこんなに体力なかったっけ?
 特訓のたびにロザリナに毎回走らされていたのだけどなぁ。
 ただ逆に言うと、それ以外ではまったくと言っていいほど走っていない…………どころか、歩くこともあまりしてなかったかも…………
 目的地が近くてもついつい飛行魔法で飛んで行っていたような気がする。

 『そぉらを自由に~飛びたいなぁ、ハイ飛行魔法♪』

 と、現実逃避したくても運動不足という事実からは逃れられない。
 ステータスやスキルに夢見たこともあったが、自分の肉体のスペックの低さがそれらの効果効能を著しく減じている、と思われる。
 このまま歳を重ねれば確実に肥満体型化してしまいそうだ。
 若い肉体の新陳代謝を過信せず、日頃から走りざるを得ないか…………ベッドでの運動ならたくさんしているのだけど…………
 まずは日課である魔法の練習をしている壁外区北口への行き帰りからだな。

 一応他に、こちら(=メルク南)の森はバルーカ近郊の森とは違って木々の密度が濃く、その分地面の凹凸も激しくて走り辛いという側面もあったことは考慮すべきだろう。


 そろそろ息が整ってきたので、

「(後続がまだ来ていませんが、攻撃を始めても構わないか聞いてください)」

 隣にいるヌーベルさんに小声で言うと、待ってろという仕草をしてヘンダークのほうに向いた。

 ここに来るまでは土甲弾の連射で集落を壊滅させようと考えていたが、オークの死体を綺麗に残さないとパーティーの収入にならないと気付いて攻撃方法を変えることにした。
 特に5等級の支援組にも収入が行き渡るようにしなければならない。

「(少年、後続のことは気にせずに攻撃を始めてくれ、とのことだ)」

 武烈と仲が良いという4等級パーティーが露払いをしてくれたのもこの集落までの範囲だ。
 以降は警戒しながら森の中を進まなければならないので、後続もすぐに追いつくという判断なのだろう。

 茂みから出ると同時に、集落を囲っている簡易的な木の柵の出入り口で警戒しているオーク2体を土槍(回転)で倒す。

「ブフォォォォォォ!!」

 中にいた個体に気付かれたか。
 おそらく敵襲を告げる雄叫びを発していると思われる。

 ボロ布で作られたテントや集落の奥のほうからもオークが俺目指して突進してくる。
 とりあえずそれらは一旦無視して、集落全体に火玉(=ファイヤーボール)をバラ撒いた。
 火玉が直撃したテントは跡形もなく吹っ飛び、まき散らす火の粉が近くのテントを燃やしていく。

「グオォォォォォォ!!」

 怒りに満ちたオークが俺へと迫って来る。

 コロン…………ドサッ…………

 風刃で首を落とすと身体が少し遅れて倒れた。
 近くまで迫ってきたオークは風刃で首を落とし、距離のある個体は土槍(回転)で倒していく。

 今回はアルタナ王国のルミナス要塞の南で、万を超える魔物を撃退したような派手さや爽快感みたいなものは一切なかった。
 なるべく綺麗な状態で死体を残そうとすると、どうしてもチマチマと倒していく必要がある。
 他所の街のパーティーと行動を共にしている以上は、配慮を欠くような真似はできない。

 地図スキルでは結構な数の魔物が南へと退却していくのが表示されている。
 肉眼でも小さいオークを抱えた個体が南へ向けて走っていくのが見える。
 オークの親子だろうか?
 さすがにああいうのはやり殺し辛い。
 幸いにも殲滅する必要はないとの指示なので、逃げる個体はそのまま見逃してもいいだろう。

「もう始めちゃったの?!
 待っててくれてもよかったのにっ!」

 フライヤさんが来た。
 息が乱れてないところを見ると、ややペースを落として走って来たのだろう。
 もう1つの4等級パーティーも追い付いたよう…………ん? 3人か、1人遅れているようだ。

「君の魔法は見させてもらった。
 さすがグラハムとロイドに勝っただけのことはあるな」

「これぐらいはやってくれると思ったぞ!」

「どうもです」

「ヌーベル、集落を抜けたら引き続き先頭を頼む」

「承知した」

「よし! 突入するぞ!
 向かって来るオーク以外は相手にするな」

 ヘンダークを先頭に武烈の2人のアタッカーが続く。

「フライヤ、リーダーなんだから号令ぐらいしたらどうだ?」

「わ、わかってるわよ!
 …………コホン。
 私達も突入するわよっ!」

「「「お、おう~!」」」

 なぜか4等級パーティーも呼応して集落へと突入した。




……

…………


 集落の中のテントは8割方燃えていた。
 燃えてないのは端のほうにあるのと、樹木が盾となって火玉から逃れたエリアだけだ。
 一応延焼が広がりそうな箇所だけ水魔法で消火しながら移動する。

 こちらに攻撃してくる魔物はいなかった。
 地図スキルには突入経路である集落中央には反応がなく、火の手が及んでいない端のほうに赤点が表示されている。数は30に届かないぐらいだ。
 後から来る5等級パーティーが掃討する手はずとなっている。

 今回の戦闘で火魔法のスキルレベルが5に上がった。
 実戦で使ったことがレベルアップに繋がったと思われる。
 レベルが止まっている水魔法や氷結魔法も次の戦闘で試してみるかな。



川端努 男性
人種 15歳
LV43

HP  805/ 805
MP 8418/8427

力  163
早さ 188
器用 196
魔力 788

LP   30P

スキル
異世界言語・魔法の才能・収納魔法Lv8・浄化魔法Lv8・火魔法Lv4→Lv5・水魔法Lv4・風魔法LvMAX・土魔法Lv8・氷結魔法Lv4・回復魔法Lv9・魔力操作Lv9・MP回復強化Lv9・MP消費軽減Lv9・マジックシールドLvMAX・身体強化Lv4・剣術Lv2・槍術Lv2・投擲Lv1・敵感知Lv9・地図(強化型)・時刻・滞空魔法・飛行魔法・死霊術LvMAX
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。 しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。 全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。 クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

処理中です...