異世界ライフは山あり谷あり

常盤今

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 それにしても、この5体のオークリーダーの高技量型はどこから追って来たんだ?
 普通に考えればあの2つの集落からと見るべきなんだろうが…………
 でもそうだとすると、あの崖崩れした地点の上から覗いてた時に魔物側に発見されたことになる。
 あの時、地図スキル範囲内に魔物がいなかったのは間違いないし、風向きのチェックまではしなかったけど、遠く離れた集落まであの短時間で匂いが届くこともあり得ないだろう。
 なら一体どうやって?
 偶々メルクに向かう俺たちの集団を見つけたから追って来た、そんな偶然を想定したほうがまだ現実的だろうか。

 こうして考えたところで答えは出ないので、先に行ったヌーベルさんたちと合流することにした。



 別れたのはついさっきのことなので、森中を飛んですぐに合流できた。

「魔術士ツトム。敵はどうした?」

「倒しました。
 追って来たのはオークリーダーの高技量型5体でした」

「高……技……? なんだそれは?」

「装備が充実していて戦闘技能の優れたオークのことです。技オークとも呼んでますが」

「??」

「特オークのことじゃないか?」

 ヌーベルさんが助け舟を出してくれた。
 けど、なんだ特オークっておかしな名称は!? まるで特価品扱いじゃないか!

「バルーカから注意すべき個体として情報が来ていたヤツだ。
 冒険者にも掲示されてたはずだが」

 ヌーベルさんはもう半分くらいはギルド職員なんじゃないか?
 今のはそんな印象を受ける言い方だったな。

「覚えがないな。
 見過ごしたかもしれん」

「無理もない。
 皆して特殊個体の情報のほうに目がいってたからな」

「なんにせよ後方の脅威は取り除けたわけだ。
 警戒を解いて移動に専念するぞ!」

「ヘンダークさん、自分が討ち取った5体についてなんですが…………」



 移動速度を上げた俺たちは、途中休憩する際も短時間で済ませてメルクの街へと急いだ。
 思えばどうしてこんなにも街への帰還を急いだのかはわからない。
 南方で見た、森の中に黒色の構造物がそびえ立つあの異様な光景を一刻も早くギルドに伝えなければならない、そんな切迫感みたいなものを全員で共有している不思議な感じだった。

 ちなみに、特オークは最初特殊オークと呼ばれていたそうだが、特殊個体との区別をはっきりするために短縮して特オークとなったらしい。だったら俺が命名した技オークでもいいと思うのだが…………


 メルクに到着したのは15時前だった。
 街の西門の近くにある冒険者の間で『森への出入り口』と呼ばれている崖を上ったところで、

「私はすぐにギルドで報告しなければならないからここで抜ける。
 フライヤ、まただ。
 少年! 今度は依頼抜きでメルクに来い!」

 こちらが返事する間も与えずヌーベルさんは走って行ってしまった。
 そこまで急ぐのなら、再合流後にメルクまで運んであげればよかったか。
 ヌーベルさんは斥候職なので、俺たちが抱いていた切迫感や焦燥感をより強く感じていたのかもしれない。
 報告を受けた冒険者ギルドがすぐに動くわけではないだろう。
 それをわかった上でヌーベルさんは報告を急いだのだ。

「ツトム! 私も行きたいところがあるからここで失礼するわっ!」

 続けてフライヤさんも立ち去ろうとしていた。
 行きたいところというのは昨晩ヌーベルさんと話していた結婚話関連だろうか。
 大方お相手の貴族と手合わせできるよう実家(=メルク領主)に頼みに行くってところか。

「お疲れさまでした。そして色々教えて頂きありがとうございました」

 ここは素直に御礼を言っておく。移動中教えてもらったのは事実だし。

「気持ち悪いぐらい素直ねぇ…………
 ようやく私とパーティーを組む気になったということかしら?」

「それはないです。ごめんなさい」

「なんでよっ?!」

 フライヤさんには是非ともお相手の貴族の人とめでたくゴールインして頂きたい!
 自分がパーティーを組まなかったせいで無理をして魔物に殺されてしまう、というのが最も最悪な結末だ。
 どんな結果になろうが自己責任が冒険者の常とは言え…………

 それから武烈と4等級パーティーに挨拶してからギルドへと向かった。




……

…………


「帰路で討ち取ったこの5体の特オークなんですが」

 ギルドの解体場でオークリーダーを収納から出して並べた。

「買い取った金額を今回支援してくれた方たちの報酬に加算してくれませんか?
 特に夜間の見張りをしてくれたパーティーに手厚くお願いしたいです。
 指揮官であるヘンダークさんの了解は得てますので」

 ニナさんに来てもらってこちらの要望を伝える。

「見ての通り損壊が激しいので、大した金額にはならないかもしれませんが」

 どの死体も状態が悪い。
 せめて自分が対峙したあの盾持ちだけでも綺麗に倒すべきだったと後悔した。

「かしこまりました。そのように処理致します。
 大丈夫ですよ、素材として使える部分もありますし、装備も含めればそれなりの額になりますので」

 ほっとする。
 支援組の働きには報いたいと考えていたので、このような措置を提案したのだ。








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 本日の投稿を持ちまして本年最後の更新とさせて頂きます。
 今年も『異世界ライフは山あり谷あり』を読んで頂きありがとうございました。
 来年も引き続きよろしくお願い致します。


 ※次回更新は、2026年1月6日(火)からとなります。
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