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「あの、魔物と魔族の違いはなんでしょうか?」
「知能の高い個体や上位種を魔族と呼んでるね。人族側が勝手に区別してそう呼んでるだけなんだけどね」
「では魔物全体を指揮統率してる者あるいは集団なり組織がいる訳ではないのですね?」
魔王的存在がいたらヤバイよなぁ。
「それがよくわかってないのだよ。現在の金級冒険者がかつて1等級だった頃に大陸南部の中央あたりまで潜入したのが人族側の最高到達域でね。ある一定のラインを越すと空と地上の警戒網が半端なく敷かれていてそれ以上進むことができなかったみたいだ」
「船で海から様子を伺うとかはできないのでしょうか?」
「海の魔物は手強いからねぇ。沿岸伝いに南下すれば行けないこともないけど船からでは陸の様子はそれほどわからないだろう」
「船から魔術士を飛行魔法で飛ばすのはどうです?」
航空母艦的な感じだな。飛行甲板はいらないのだから既存の船でいいのだし、いけるんじゃね?
「海側の空の警戒が手薄なら有効かもしれないね。しかし船から魔術士を飛ばすのか。ツトム君はこの前もそうだけどなかなか面白い発想をするね」
「素人考えなので恐縮ですが」
飛行機のある世界と極一部の魔術士が魔法で飛ぶ世界の差なのだろうな。
「素人なんてとんでもない! 中々理にかなってるよ。どこかで習ったりしたのかい?」
「い、いえ本当にそんな大層なものでは。ほんの思い付き程度のことですから」
なんだろ? 俺自身の発明ではないからそんなに持ち上げられてもね。
「これからも何か思い付いたらどんどん言ってよ」
「わかりました」
訓練場に行くとこの前と同じぐらいの人がいて、さらに壁際に多くの人が集まっていた。
「ロイター様、あの人達は……」
「彼らは待機任務中の魔術士達でね。訓練には参加できないけど見てるだけでも得るものはあるだろうと任意で集まってもらったんだよ」
「待機任務というのはなんですか?」
言葉の響きでなんとなくはわかるけど……
「魔術士の勤務は3交代制でね。勤務→待機→休みというサイクルになる。待機任務中は魔力を使用すること。宿舎以外で寝ることの2つ以外は城内であれば自由に過ごせるんだ。もっとも大体みんな寝てるけどね」
「ということは皆さん睡眠時間を削って見に来てくれてる訳ですか」
「そんな大げさには考えなくていいよ。暇潰しに来てる連中もたくさんいるから。
まずは5人ほど見てもらいたい。習得が早そうなのを選抜して集中して訓練してたメンバーなんだ」
「わかりました」
5人が的(土魔法でぶ厚く作る)に向かって土槍(回転)を放っていく。
この前の訓練の時より威力が確実に増していた。
次は的の前に魔盾を1枚、後ろに2枚配置して全力で撃つよう指示する。
驚いたことに5人のうちの1人が魔盾を破り的に届かせていた。
「驚きました。ここまで上達されているとは」
この前の訓練の時は全然大した威力ではなかったのだ。
「修練に励んでいたからね」
なら俺がやることは……
「では皆さん集まってください。これから回転するサンドアローを撃ち続けます。近くで見て少しでも自分のイメージに、自分の魔法にするようにしてください」
土魔法で線を引く。
「この線の中には入らないでくださいね、ではいきます」
土槍(回転)を一定間隔で撃ち続ける。もちろん合間合間に魔盾を補充しながらなので結構忙しい。
その後は1人1人に撃ってもらって個別にアドバイスしていく。
もっとも多くは前回の訓練に参加した人達なので回転数を上げるぐらいしか助言のしようがなかった。
なので苦肉の策として同時に撃って違いを実感してもらうことにしたが、意外にこれが好評だった。
次は風魔法組を指導する。
こちらは土魔法でドリルを作りそれを腕に嵌めてもらって俺の魔力で回転させ的に穴を穿つ。
こうしてイメージを掴んでもらって風槍(回転)の練習をしてもらった。
う~ん。
俺が教えられることってもうほとんどない気がする。
後は自分で訓練するだけな感じだし。
ロイター子爵にそう伝えると、
「そうだね。指導は一旦今日で終わりにしようか。これ報酬ね」
大金貨2枚(20万ルク)も渡された!
「こ、こんなに頂けませんよ」
午後の3~4時間に素人がちょろっと先生の真似事しただけだ。
1日歩き詰めの護衛の報酬が日給2000ルク(見習い)なのに対して破格過ぎる。
「そこはほら、アイデア料も込みってことでね」
「ありがとうございます」
「また何かあったら呼ぶかもしれないけど」
「はい。その際はお気軽にお呼びください」
所持金84万2,120ルク→104万2,120ルク
今日は良い収穫があった。
報酬もそうだが、指導する合間に飛行魔法ができる人にコツを教えてもらったのだ。
今まで滞空魔法をいくら練習してもダメだったのだが、どうやら風魔法で体の周囲を浮かすようにするのが秘訣みたいだ。
試してみたら呆気なく出来て滞空魔法を習得できた。
今までの苦労はなんだったのかという簡単さだ。
ヘリコプターをイメージしてたのがダメだったのだろうか。
案の定スキルツリーには滞空魔法の次の段に飛行魔法が表示された。
もちろん飛行魔法のコツも教えてもらっているので近く習得できるだろう。
内城から出て、そんなことを考えながら城内の中央を左に曲がって北門に行こうとした時だった。
ドンッ!!
何かがぶつかったような感じがして建物の壁に引き寄せられた。
何だ?
体を動かそうとしても動けない。
顔を下に向けると自分のお腹を太い矢が貫いていた。
な、なんだコレ?
通常の倍はある太さの矢がお腹に……
体を貫通して矢尻が背後の建物に刺さって俺を縫い付けている。
か、回復魔法を…… い、いや待て。
回復魔法を使ったら矢は消えるのか? そのまま残ると臓器に癒着してしまうのでは……
矢を抜こう。でもこんな太い矢を体から抜くなんて……
そういや全然痛くないぞ。あれ? 痛みを感じないほうがヤバいって聞いたことある!
と、とにかく剣か何かで矢を切っ……あ、魔法でいい。風刃を小さくしてお腹の前で矢を切断する。
体を前に動かして矢を抜こうとするが少しだけ動かしてすぐ止めた。体の中をかき回すような感覚が非常にヤバイ。
辺りを見ると複数のオークが弓を射ている。
通行してた人を襲ってる個体もいるみたいだ。
「知能の高い個体や上位種を魔族と呼んでるね。人族側が勝手に区別してそう呼んでるだけなんだけどね」
「では魔物全体を指揮統率してる者あるいは集団なり組織がいる訳ではないのですね?」
魔王的存在がいたらヤバイよなぁ。
「それがよくわかってないのだよ。現在の金級冒険者がかつて1等級だった頃に大陸南部の中央あたりまで潜入したのが人族側の最高到達域でね。ある一定のラインを越すと空と地上の警戒網が半端なく敷かれていてそれ以上進むことができなかったみたいだ」
「船で海から様子を伺うとかはできないのでしょうか?」
「海の魔物は手強いからねぇ。沿岸伝いに南下すれば行けないこともないけど船からでは陸の様子はそれほどわからないだろう」
「船から魔術士を飛行魔法で飛ばすのはどうです?」
航空母艦的な感じだな。飛行甲板はいらないのだから既存の船でいいのだし、いけるんじゃね?
「海側の空の警戒が手薄なら有効かもしれないね。しかし船から魔術士を飛ばすのか。ツトム君はこの前もそうだけどなかなか面白い発想をするね」
「素人考えなので恐縮ですが」
飛行機のある世界と極一部の魔術士が魔法で飛ぶ世界の差なのだろうな。
「素人なんてとんでもない! 中々理にかなってるよ。どこかで習ったりしたのかい?」
「い、いえ本当にそんな大層なものでは。ほんの思い付き程度のことですから」
なんだろ? 俺自身の発明ではないからそんなに持ち上げられてもね。
「これからも何か思い付いたらどんどん言ってよ」
「わかりました」
訓練場に行くとこの前と同じぐらいの人がいて、さらに壁際に多くの人が集まっていた。
「ロイター様、あの人達は……」
「彼らは待機任務中の魔術士達でね。訓練には参加できないけど見てるだけでも得るものはあるだろうと任意で集まってもらったんだよ」
「待機任務というのはなんですか?」
言葉の響きでなんとなくはわかるけど……
「魔術士の勤務は3交代制でね。勤務→待機→休みというサイクルになる。待機任務中は魔力を使用すること。宿舎以外で寝ることの2つ以外は城内であれば自由に過ごせるんだ。もっとも大体みんな寝てるけどね」
「ということは皆さん睡眠時間を削って見に来てくれてる訳ですか」
「そんな大げさには考えなくていいよ。暇潰しに来てる連中もたくさんいるから。
まずは5人ほど見てもらいたい。習得が早そうなのを選抜して集中して訓練してたメンバーなんだ」
「わかりました」
5人が的(土魔法でぶ厚く作る)に向かって土槍(回転)を放っていく。
この前の訓練の時より威力が確実に増していた。
次は的の前に魔盾を1枚、後ろに2枚配置して全力で撃つよう指示する。
驚いたことに5人のうちの1人が魔盾を破り的に届かせていた。
「驚きました。ここまで上達されているとは」
この前の訓練の時は全然大した威力ではなかったのだ。
「修練に励んでいたからね」
なら俺がやることは……
「では皆さん集まってください。これから回転するサンドアローを撃ち続けます。近くで見て少しでも自分のイメージに、自分の魔法にするようにしてください」
土魔法で線を引く。
「この線の中には入らないでくださいね、ではいきます」
土槍(回転)を一定間隔で撃ち続ける。もちろん合間合間に魔盾を補充しながらなので結構忙しい。
その後は1人1人に撃ってもらって個別にアドバイスしていく。
もっとも多くは前回の訓練に参加した人達なので回転数を上げるぐらいしか助言のしようがなかった。
なので苦肉の策として同時に撃って違いを実感してもらうことにしたが、意外にこれが好評だった。
次は風魔法組を指導する。
こちらは土魔法でドリルを作りそれを腕に嵌めてもらって俺の魔力で回転させ的に穴を穿つ。
こうしてイメージを掴んでもらって風槍(回転)の練習をしてもらった。
う~ん。
俺が教えられることってもうほとんどない気がする。
後は自分で訓練するだけな感じだし。
ロイター子爵にそう伝えると、
「そうだね。指導は一旦今日で終わりにしようか。これ報酬ね」
大金貨2枚(20万ルク)も渡された!
「こ、こんなに頂けませんよ」
午後の3~4時間に素人がちょろっと先生の真似事しただけだ。
1日歩き詰めの護衛の報酬が日給2000ルク(見習い)なのに対して破格過ぎる。
「そこはほら、アイデア料も込みってことでね」
「ありがとうございます」
「また何かあったら呼ぶかもしれないけど」
「はい。その際はお気軽にお呼びください」
所持金84万2,120ルク→104万2,120ルク
今日は良い収穫があった。
報酬もそうだが、指導する合間に飛行魔法ができる人にコツを教えてもらったのだ。
今まで滞空魔法をいくら練習してもダメだったのだが、どうやら風魔法で体の周囲を浮かすようにするのが秘訣みたいだ。
試してみたら呆気なく出来て滞空魔法を習得できた。
今までの苦労はなんだったのかという簡単さだ。
ヘリコプターをイメージしてたのがダメだったのだろうか。
案の定スキルツリーには滞空魔法の次の段に飛行魔法が表示された。
もちろん飛行魔法のコツも教えてもらっているので近く習得できるだろう。
内城から出て、そんなことを考えながら城内の中央を左に曲がって北門に行こうとした時だった。
ドンッ!!
何かがぶつかったような感じがして建物の壁に引き寄せられた。
何だ?
体を動かそうとしても動けない。
顔を下に向けると自分のお腹を太い矢が貫いていた。
な、なんだコレ?
通常の倍はある太さの矢がお腹に……
体を貫通して矢尻が背後の建物に刺さって俺を縫い付けている。
か、回復魔法を…… い、いや待て。
回復魔法を使ったら矢は消えるのか? そのまま残ると臓器に癒着してしまうのでは……
矢を抜こう。でもこんな太い矢を体から抜くなんて……
そういや全然痛くないぞ。あれ? 痛みを感じないほうがヤバいって聞いたことある!
と、とにかく剣か何かで矢を切っ……あ、魔法でいい。風刃を小さくしてお腹の前で矢を切断する。
体を前に動かして矢を抜こうとするが少しだけ動かしてすぐ止めた。体の中をかき回すような感覚が非常にヤバイ。
辺りを見ると複数のオークが弓を射ている。
通行してた人を襲ってる個体もいるみたいだ。
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