異世界ライフは山あり谷あり

常盤今

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 その後は非戦闘系の奴隷は簡単な説明のみで戦闘系の奴隷を重点的に見ていく。
 買う予定のない非戦闘系の奴隷は簡単な説明もいらないのだが、今後の参考のために少しだけ見る。興味本位とも言う。

 戦闘系の奴隷は元冒険者か元軍人で、元冒険者だったら4等級と5等級がほとんどで、極まれに3等級がいるらしい。元軍人だと隊長クラスか何らかの高い技能を持つ者になる。

 この高額な女奴隷がいる区画は全て個室であり、部屋数は20。現在の空きは5、つまり15人の高額奴隷が販売されている。
 次々と見ていくが、若い女性がほとんどだった。10代前半ながら戦闘力は4等級クラスみたいな女の子もいて、その短い人生をどう苛酷に生きてきたのか非常に気にはなるけど全力スルーだ。
 非戦闘系の奴隷のほうは元貴族が多かった。そういった付加価値がないといくら顔立ちが良いとはいえ、何の技能も持たない女性に高額な値は付かないのだろう。

「それにしても『元貴族』が多過ぎないか?」

「貴族の最下層である騎士爵などは割と簡単に潰れます。
 それに元貴族の高額奴隷はベルガーナやアルタナからも送られてきますので」

 そういやロザリナの家も元騎士爵だったか。

「他は中堅クラスの貴族が同じく中堅クラスの商人と縁を結ぶケースですね。
 商売は必ずしも上手くいくとは限りませんので、破産すれば嫁入りした元貴族の妻も当然奴隷落ちします」

「貴族側は商人に嫁いだ娘を保護したりしないのか?」

「商人に嫁入りさせる娘は庶子や親戚筋の言ってしまえばいらない子ですので、莫大な借財を抱え込んでまで助けようとは思わないでしょう」

 元貴族の奴隷は金さえ出せば手に入れることは可能なのか。
 戦闘系の元貴族がいなかったのは運が悪かったのだろう。

「次が最後の奴隷となります」

 今まで14人見て1番良かったのは最初に見た元伯爵家側室36歳だ。
 戦えないのが返す返すも惜しい。
 もっとも、もし戦えたとしても(性格的に)護衛が務まるのか甚だ疑問だ。しかも護衛対象が元一般人の奴隷だし……

「剣と弓が使えます。32歳。帝国北方の辺境領域出身です」

 !?
 ダークエルフ??

 褐色の肌に黒い?ロングヘア、耳の形がわかればダークエルフかどうかがわかるのだが、耳は黒髪に隠れてしまっている。
 それにしても…………
 かなりのナイスバディだ!
 お山もロザリナ以上は確実でルルカまでもう1歩といったところか。腰からお尻にかけてのムッチリとしたラインも素晴らしい。

「詳しく」

「かしこまりました。
 彼女の名前はディアリーン・ロウ。
 困窮する部族を救うために奴隷として身売りした者達の1人です」

「元貴族なのか?」

「いえ、彼女が属していたヘクツゥーム族では結婚すると名字を持つ風習がございます。
 ですので貴族ということではありません」

 名字持ちなのでてっきり元貴族かと思ったが……
 変わった風習だがこの褐色ナイスバディは既婚者ということだ。
 夫が健在なのに身売りするなんてあるだろうか? なくはないか? 確認が必要だな。

「まずは話して問題がないようなら剣の腕が見たい」

「ではそのように……」

「その前に! 彼女の値段は?」

「550万クルツとなっております」

「た、高いな……」

 魔術士よりも高いのかよ!

「希少部族ですのでその分お高くなっております」

「ちなみに入り口近くの部屋にいた元伯爵家側室はいくらなんだ?」

「220万クルツですね」

 元貴族でもこの褐色ナイスバディの辺境部族出身という希少価値には勝てないらしい。

「お客様が話したいそうだ」

「客? この小僧がか?」

 部屋の奥から通路側に移動するわずか数歩の間にどれだけのエロさを見せ付けるのか。
 揺れるお山を筆頭に仕草の一つ一つがたまらなくエロい!
 隣にいる案内人は特に反応していない。
 これを見てなんとも思わないのか?
 それとも多くの女性奴隷を見過ぎて耐性でもできてしまったのか?

「お客様?」

「あ、ああ。
 俺の名はツトム。ベルガーナ王国で冒険者をしている。
 俺を主とするのに不服や不満はあるか?」

 ロザリナより背が高いぞ。
 頑張って顔を見るが、目線はどうしても目の前のお山に……

「小僧こそなぜ私を買おうとする?
 もっと若くて綺麗な奴隷はいくらでもいるだろう」

 小僧呼ばわりかよ!
 俺の好みだからと素直に答えるのもなんかしゃくにさわるな。

「俺が単に年増好きというだけだ」

「ほぉ……………………」

 ちょっと怒ったか?

「で、どうなんだ?
 俺に買われるのが嫌なら遠慮なく言ってくれ」

「いいだろう。
 年増好きな小僧に気に入られて光栄なことだ」

 了承したってことだよな?

「ベルガーナ王国の最南端、魔族との最前線であるバルーカの壁外区に住むことになる。
 問題ないか?」

「ないな」

「やってもらうことは俺への奉仕と同居人の護衛をすることだ。
 剣の腕はこの後試すが、できるか?」

「問題ないぞ」

「名字持ちなのは結婚時に名字を持つ風習と聞いた。
 旦那さんはどうしてる?」

「死んだよ。戦死した」

「戦死?」

「彼女らヘクツゥーム族は長年隣接する他部族との争いに敗北しまして、住み慣れた土地を奪われたので新たな土地へと移動したのですが、そこは豊かな土地ではなく生活は大変困窮しました」

 案内人が解説してくれるが……

「そんな折とある帝国貴族が、支援と引き換えに希少価値のあるヘクツゥーム族の女性を欲する取引を持ち掛けて部族側もこれを了承しました。
 10人を超えるヘクツゥーム女性がその貴族の下へ行き、」

「15人だ」

「……結局その貴族は10代の姉妹を手元に置いて他を売りました」

「売られた13人の内の1人がこの私ってわけだ」

「貴族の支援はヘクツゥーム族にきちんと行われたのか?」

「それは間違いなく。
 手元に置いた姉妹を含めてもそれらを大幅に上回る支援が行われましたので、どちらにとりましても良い取引だったかと」

「ふんっ!」

 彼女が奴隷になった経緯はともかく、帝国の北方ってそんな内乱状態なのか?
 いくら辺境とはいえそんなんでは国が安定しないだろうに。
 まぁこのことはバルーカに戻った後で誰かに聞くか。

「最後に、既に2人の奴隷が俺に仕えているが、この2人のことを先達として敬うことができるか?」

「私は3人目ということになるのか?」

「その通りだ」

「むぅ~~」

「無理そうなら言ってくれ。
 こちらとしても余計な火種を抱えたくはない」

「腕試しは小僧自ら相手するのか?」

「もちろんだ」

「お、お客様!?
 適当な奴隷を相手役にすることも可能でございますが……」

「その必要はない。俺自らやる」

「なら腕試しを先でいいか?
 さっきの返答はその後で」

「構わないぞ」

「場所は……」

「別にここ(通路)でいいだろ」

「お、お客様! 奥にそれなりの広さの部屋がございますのでそちらで」

「わかった」
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