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-バルーカ壁外区ツトム宅にて-
「ツトムさんは大丈夫なのかしら?」
「ロザリナ、その特殊個体というのは強いのか?」
「オークキングより強いとされてる魔物よ」
「「オークキング??」」
「ルルカさん、以前ツトム様に庭で見せてもらったあの魔物です」
「ああ、あの時の…………」
「ディアにもわかるように言うなら、スノーオークの最上位種?」
「私は戦ったことはないが、スノーゴブリンやスノーオークには統率種がいるという噂を聞いたことがある。それだろうか?」
「そうだと思うけど、ツトム様が帰ったら実物を見せて頂くといいわ」
「う、うむ…………」
「それにしても、どうしてツトムさんばかり戦わないといけないのかしら?
今日だって本当ならお休みのはずなのに」
「ツトム様はお強いので、どうしても周りから頼られてしまうのでしょう。
もっとも今日の狩りは自主的に行ったみたいですが」
「ロザリナはそう言うけど、私にはどうもツトムさんが強いという感じがしないのよねぇ。
性欲が強いというならすごく、ものすごぉぉく納得するのだけど!」
「そこは私も異論はないのですが…………」
「隙あらば私らとしようとしてくるからな!」
「で、でも、4等級なのに未だソロでの活動というのは、本当に凄いことなんですよ」
「パーティーを組まないのは不純な動機からだけどね…………」
「ですがそのおかげで私達はツトム様と長く共に過ごせるわけでして。
普通に冒険者として活動していたら、朝から依頼をこなしたり護衛で長期に渡って家を空けたりと、ツトム様がいない状態が今よりずっと長くな…………」
「それはダメよ!!」
「…………」「…………」
「コホン。え~っと、ツトムさんはまともに冒険者として活動していないの?」
「そうですね。ほとんど休止状態と言いますか、ギルド側としても困ってるみたいです。
ツトム様のような年齢や等級で依頼を受けないなど通常はあり得ないことなので」
「でも前にこれからはギルドの依頼を受けていくと言ってたぞ」
「たまにツトム様宛に指名依頼が来るの。そのことね」
「どんな依頼なの?」
「主に宿屋や料理店からの清掃依頼ですね。
ツトム様の浄化魔法目当てで、依頼料も高額らしいですよ」
「報酬が高額なのは当然だわ。
ツトムさんの浄化魔法ならそれを主軸に新たな商会を立ち上げられるぐらいだもの」
「掃除と洗濯から解放してくれるツトムの浄化魔法は、主婦なら誰でも欲しがるだろうからな!」
「(ルルカさんとディアが最も評価しているのが浄化魔法だなんて…………ツトム様が知れば大層がっくりされるような…………)」
「それで最初の問いに戻るけど、ツトムさんは大丈夫なの?」
「きっと大丈夫ですよ!」
「ケガとかもしない?」
「おそらくは。ツトム様は回復魔法もお使いになられますし」
「はぁ、心配ねぇ…………」「まったくだな!」
「…………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「南から1体だけ、向かって来ている!
奴かもしれん!!」
「ついにおでましかっ!!」
敵感知にも強力な反応が現れた。
ランテスが剣を抜いて構える。
ようやく目標と遭遇できると思ってか、随分と嬉しそうだ。
俺は零式改の発動準備をする。
出会い頭にぶっ放して一気に勝負を決めてしまおう、という作戦だ。
これが成功するとランテスの活躍場所がまったくないということになるが、それはそれということで。
零式改は風槍9個分の魔法力を途中まで超圧縮して撃ち出す俺の切り札だが、拡散気味に放出するので敵に与えるダメージが非常に不安定だ。
まともにヒットすれば倒せるが、そうでないなら敵に与えたダメージを見定めて戦い方を決めなければならない。
前回は自分1人だけだったので即撤退する決断をしたが、今回はランテスがいるのでさらに戦闘を継続するという選択が可能だ。
可能…………だよな?
ランテスはグリードさんより数段強く、武闘大会でもベスト4まで残るほどの実力者だ。
メルクで活動していた2等級パーティー烈火に所属していた時は、一本角相手に傷ひとつ付けられずに敗れたとのことだが、今回の火力担当はその時と違ってこの俺なのだ。
前衛として二本角とある程度渡り合ってくれれば俺の魔法で…………
……ドッ…………ドッドシッドッドッドシッドッドッドシッ!!
徐々に接近してくる音が大きくなり、木々の間を駆けて来る黒い巨体を視界に捉える。
「額に二本の角! 奴だな!」
俺の視力ではこの距離で角の数まで視認できないが、両手にトンファーブレードを持ち前傾姿勢で迫ってくる姿は間違いなく二本角の黒オーガだ。
こちらの射程に入る直前で零式改を発動させる。
奴のほうから突っ込んでくるんだ。それぐらいで丁度いい。
景色や時間が引き延ばされるような感覚に陥りながら、迫ってくる二本角に照準を合わせ…………
「避けろ!!」
!?!?
-バルーカ壁外区ツトム宅にて-
「ツトムさんは大丈夫なのかしら?」
「ロザリナ、その特殊個体というのは強いのか?」
「オークキングより強いとされてる魔物よ」
「「オークキング??」」
「ルルカさん、以前ツトム様に庭で見せてもらったあの魔物です」
「ああ、あの時の…………」
「ディアにもわかるように言うなら、スノーオークの最上位種?」
「私は戦ったことはないが、スノーゴブリンやスノーオークには統率種がいるという噂を聞いたことがある。それだろうか?」
「そうだと思うけど、ツトム様が帰ったら実物を見せて頂くといいわ」
「う、うむ…………」
「それにしても、どうしてツトムさんばかり戦わないといけないのかしら?
今日だって本当ならお休みのはずなのに」
「ツトム様はお強いので、どうしても周りから頼られてしまうのでしょう。
もっとも今日の狩りは自主的に行ったみたいですが」
「ロザリナはそう言うけど、私にはどうもツトムさんが強いという感じがしないのよねぇ。
性欲が強いというならすごく、ものすごぉぉく納得するのだけど!」
「そこは私も異論はないのですが…………」
「隙あらば私らとしようとしてくるからな!」
「で、でも、4等級なのに未だソロでの活動というのは、本当に凄いことなんですよ」
「パーティーを組まないのは不純な動機からだけどね…………」
「ですがそのおかげで私達はツトム様と長く共に過ごせるわけでして。
普通に冒険者として活動していたら、朝から依頼をこなしたり護衛で長期に渡って家を空けたりと、ツトム様がいない状態が今よりずっと長くな…………」
「それはダメよ!!」
「…………」「…………」
「コホン。え~っと、ツトムさんはまともに冒険者として活動していないの?」
「そうですね。ほとんど休止状態と言いますか、ギルド側としても困ってるみたいです。
ツトム様のような年齢や等級で依頼を受けないなど通常はあり得ないことなので」
「でも前にこれからはギルドの依頼を受けていくと言ってたぞ」
「たまにツトム様宛に指名依頼が来るの。そのことね」
「どんな依頼なの?」
「主に宿屋や料理店からの清掃依頼ですね。
ツトム様の浄化魔法目当てで、依頼料も高額らしいですよ」
「報酬が高額なのは当然だわ。
ツトムさんの浄化魔法ならそれを主軸に新たな商会を立ち上げられるぐらいだもの」
「掃除と洗濯から解放してくれるツトムの浄化魔法は、主婦なら誰でも欲しがるだろうからな!」
「(ルルカさんとディアが最も評価しているのが浄化魔法だなんて…………ツトム様が知れば大層がっくりされるような…………)」
「それで最初の問いに戻るけど、ツトムさんは大丈夫なの?」
「きっと大丈夫ですよ!」
「ケガとかもしない?」
「おそらくは。ツトム様は回復魔法もお使いになられますし」
「はぁ、心配ねぇ…………」「まったくだな!」
「…………」
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「南から1体だけ、向かって来ている!
奴かもしれん!!」
「ついにおでましかっ!!」
敵感知にも強力な反応が現れた。
ランテスが剣を抜いて構える。
ようやく目標と遭遇できると思ってか、随分と嬉しそうだ。
俺は零式改の発動準備をする。
出会い頭にぶっ放して一気に勝負を決めてしまおう、という作戦だ。
これが成功するとランテスの活躍場所がまったくないということになるが、それはそれということで。
零式改は風槍9個分の魔法力を途中まで超圧縮して撃ち出す俺の切り札だが、拡散気味に放出するので敵に与えるダメージが非常に不安定だ。
まともにヒットすれば倒せるが、そうでないなら敵に与えたダメージを見定めて戦い方を決めなければならない。
前回は自分1人だけだったので即撤退する決断をしたが、今回はランテスがいるのでさらに戦闘を継続するという選択が可能だ。
可能…………だよな?
ランテスはグリードさんより数段強く、武闘大会でもベスト4まで残るほどの実力者だ。
メルクで活動していた2等級パーティー烈火に所属していた時は、一本角相手に傷ひとつ付けられずに敗れたとのことだが、今回の火力担当はその時と違ってこの俺なのだ。
前衛として二本角とある程度渡り合ってくれれば俺の魔法で…………
……ドッ…………ドッドシッドッドッドシッドッドッドシッ!!
徐々に接近してくる音が大きくなり、木々の間を駆けて来る黒い巨体を視界に捉える。
「額に二本の角! 奴だな!」
俺の視力ではこの距離で角の数まで視認できないが、両手にトンファーブレードを持ち前傾姿勢で迫ってくる姿は間違いなく二本角の黒オーガだ。
こちらの射程に入る直前で零式改を発動させる。
奴のほうから突っ込んでくるんだ。それぐらいで丁度いい。
景色や時間が引き延ばされるような感覚に陥りながら、迫ってくる二本角に照準を合わせ…………
「避けろ!!」
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