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第五章
24話 つつじヶ池
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放課後。
大地が教室を出ると、ちょうどB組から出てきた英二と行き合った。そのうしろには天沢水緒もいる。
「よう英二。ちょうどよかった」
「ん?」
「おれ、今日ちょっと用事あるから先に帰って」
「ああ。オッケー」
と、英二はあっさりしたものだったが、水緒は「どこかいくの?」と聞いてきた。
天沢水緒──。
大地は一瞬閉口して、彼女の腕を掴み「ちょっといい」と廊下の先へと連れ出した。水緒はキョトンとした顔でされるがままについてきた。
「どうしたの」
「聞きたいんだけどさ」
「うん?」
「おまえ、龍と友だちなの?」
…………。
他愛もない冗談のつもりで聞いた大地だったが、水緒はあんぐりと口を開けたまま固まってしまった。
そうか、彼女も一応神社の子どもである。祭神の龍と『友だち』なんて言ったら怒るか──と大地が言い換えようとしたとき、水緒はようやく「な」とつぶやいた。
「なんで、そんなこと聞くの」
「いや……やっぱなんでもねえ」
説明するのも面倒くさいな、と思った大地は「じゃ」と踵を返して階段のほうを向く。
しかし水緒はそれをゆるさなかった。大地の腕を折らんばかりに掴んだのである。
「まってよ」
「いってえな、なんだよ!」
「理由を言ってよ、気になるじゃない!」
このままだと本当に腕が折られそうだ。
大地があわてて「大したことじゃないって」と携帯を取り出す。
「この間、奥多摩で花の写真とか撮ってたんだけど──妙なものが撮れたんで気になってさ」
「妙なもの……?」
水緒の顔がますます険しくなる。
しかたなく大地は件の画像を見せた。もっともいまとなっては、ふたつの淡い光が宙を浮いているだけのものになってしまったが。
しかし水緒は、その画像を食い入るように見つめるなり押し黙ってしまった。
「これ、元々は蛇みたいな……なんか細長いのが宙に浮いてる写真だったんだけど。時間が経つにつれてこんな感じになっちまって」
「…………」
「それにここ、お前が水の補給してたっつって出てきた草むらなんだぜ。だから、お前ただでさえ龍神祀ってる神社の子だし。そういう、龍と交流することとかあんのかなって思って聞いただけだよ」
といって、大地はため息をついた。
このような説明はいつも英二の役目なので、大地は慣れていないのである。
もういいだろ、と携帯を取り上げた。
「わるかったよ──変なこと聞いて」
「う、ううん」
「やべ。はやくしねえと日が暮れる……行かなきゃ」
「どこに?」
なぜか、水緒はふたたび食い下がってきた。
大地はめんどうくさそうに「裏山」とだけ言うと階段を駆けおりる。急ぐのも無理はない。
山に入るのはいいが、下りるときに日が暮れていたら危険だからだ。
昇降口で靴を履き替えていると、なぜか水緒もついてきた。
「…………なに」
「あたしも行きたい」
「は?」
「裏山、ちょうど行くところだったから」
「うそつけ!」
「ウソじゃないもん、ホントに!」
と妙に必死な彼女に押し負けて、大地は渋々同行することを許可したのであった。
※
その日の明け方、水緒は夢を見た。
水守のカケラを探すために山へ入る夢だった。すでに手にあるカケラは、光の筋を出して水緒を山の奥へと誘い込む。
ここは──どこの山?
心のなかで問うと、どこかで声がした。
「鶺鴒山」
セキレイ山?
となりを見上げる。そこにいた姿を見て、水緒は一驚した。片倉大地がいるではないか。
しかしこれは夢。
「奥に池があるんだ」
といって、彼はさっさと奥へ進んでゆく。
まって。
ちょっと待ってよ、片倉くん。
ねえっ、危ないったら!
────。
──。
「!」
がばりと飛び起きた。
は、は、と荒い息を吐いて、時計を見る。めずらしく目覚まし時計が鳴る前に目が覚めたようだ。
なぜか冷や汗をかいている。
あのあと怖い夢でも見たっけ──とも思ったが、あれからどうなったのかは思い出せない。
「……セキレイ山」
物知り長男、白月丸ならば知っているだろうか。水緒は毎朝恒例の滝行ついでに上へ寄ることにした。
「セキレイ山」
ウサギの白月丸は、豪瀑への道をともにしながらそう繰り返した。
うん、と水緒は眉を下げる。
「知らない?」
すると彼は知っていますとも、とわらった。
「そりゃあ学校の裏山の名でござろう。昔はあそこも鶺鴒ちゅう鳥がたくさんおったんで、鶺鴒山という名がついたんです。いまは池がのうなって、鶺鴒もなかなか寄り付かんようになってしまいましたがのう」
「池、もうないの?」
「はあ。つつじヶ池と呼ばれる立派な大池だったんですが、戦後のころですかな。開発とともに埋め立ててしもうたようで」
「…………」
────。
──。
そんな話をしていたものだから。
放課後になって、大地が裏山へ行くと聞いたときは、いてもたってもいられずに同行を申し出てしまった。
(もしカケラを見つけても、今度ひとりで取りにくればいいよね)
なんて楽観的に考えていたのだが。
「五月にもなると、日が長くなってきてたすかるぜ」
大地がいった。
現在の時刻は十六時をすこしすぎたところである。
それほど高くない山なだけあって坂道はゆるやか、空はまだ明るく道しるべもみじかい間隔で記されていることもあって、それほど奥まで行かなければ帰りも安心だろう。
「奥多摩のハイキングより楽勝だな」
「うん。……ねえ、こんな裏山までなにしにきたの」
「池をさがしてるんだ」
「い、池?」
水緒の足がとまる。
つられて足を止めた大地が首をかしげてこちらを見た。
「どうしたよ」
「つつじヶ池のこと?」
「え──ああ。おまえ知ってるの」
朝の白月丸がいったことばを思い出す。
──戦後のころ、開発とともに埋め立ててしもうたようで。
と。
「池、もう埋め立てられたって聞いたよ」
「マジかよ。残念だなァ」
「それでも行くの?」
「跡地があるかもしれないだろ」
「…………」
水緒の胸がざわついた。
この奥、なんだかイヤな感じがする。着々となにかに導かれているような、そのなにかが自分たちが来るのを待っているような──そんな感覚。
「まって。ちょっと待ってよ、片倉くん」
口から漏れた。
聞き覚えのある台詞だ。そう、今朝の夢で自分がいったことばだった。しかし大地はどんどん奥へと歩いていく。
「ねえっ、危ないったら!」
水緒が手を伸ばした。
なにが危ないのかはわからないがそう叫びながら。すると大地がようやく歩くスピードをゆるめてこちらを振り返る。
「なんだよ、行きたくなきゃべつについてこなくたっていいんだぜ」
「そうじゃなくて──この先は、なんか」
言いかけたときである。
「つつじヶ池をお探しかな」
声がした。
周囲に人影は見当たらない。しかしその声はふたりの耳にはっきりと届いている。大地は水緒を背中にかばうように立って目を凝らした。
「だれかいるのか?」
大地がさけぶ。
しかし声はわずかにわらうのみで、答えることはなかった。
(さっきの声──)
水緒はサッと青ざめる。
ゴウ、と風が吹いた。
「!」
匂いが変わる。
身体がふわりと浮いた気がして、あまりの強風に閉じていた目をうっすらと開けた。そこに見えたのは先ほどの山道とは違って開けた場所。
「つつじヶ池──跡地?」
そう書かれた看板と、ひと宇の祠。
水緒の手にあった水守のカケラがおおきくふるえた。
大地が教室を出ると、ちょうどB組から出てきた英二と行き合った。そのうしろには天沢水緒もいる。
「よう英二。ちょうどよかった」
「ん?」
「おれ、今日ちょっと用事あるから先に帰って」
「ああ。オッケー」
と、英二はあっさりしたものだったが、水緒は「どこかいくの?」と聞いてきた。
天沢水緒──。
大地は一瞬閉口して、彼女の腕を掴み「ちょっといい」と廊下の先へと連れ出した。水緒はキョトンとした顔でされるがままについてきた。
「どうしたの」
「聞きたいんだけどさ」
「うん?」
「おまえ、龍と友だちなの?」
…………。
他愛もない冗談のつもりで聞いた大地だったが、水緒はあんぐりと口を開けたまま固まってしまった。
そうか、彼女も一応神社の子どもである。祭神の龍と『友だち』なんて言ったら怒るか──と大地が言い換えようとしたとき、水緒はようやく「な」とつぶやいた。
「なんで、そんなこと聞くの」
「いや……やっぱなんでもねえ」
説明するのも面倒くさいな、と思った大地は「じゃ」と踵を返して階段のほうを向く。
しかし水緒はそれをゆるさなかった。大地の腕を折らんばかりに掴んだのである。
「まってよ」
「いってえな、なんだよ!」
「理由を言ってよ、気になるじゃない!」
このままだと本当に腕が折られそうだ。
大地があわてて「大したことじゃないって」と携帯を取り出す。
「この間、奥多摩で花の写真とか撮ってたんだけど──妙なものが撮れたんで気になってさ」
「妙なもの……?」
水緒の顔がますます険しくなる。
しかたなく大地は件の画像を見せた。もっともいまとなっては、ふたつの淡い光が宙を浮いているだけのものになってしまったが。
しかし水緒は、その画像を食い入るように見つめるなり押し黙ってしまった。
「これ、元々は蛇みたいな……なんか細長いのが宙に浮いてる写真だったんだけど。時間が経つにつれてこんな感じになっちまって」
「…………」
「それにここ、お前が水の補給してたっつって出てきた草むらなんだぜ。だから、お前ただでさえ龍神祀ってる神社の子だし。そういう、龍と交流することとかあんのかなって思って聞いただけだよ」
といって、大地はため息をついた。
このような説明はいつも英二の役目なので、大地は慣れていないのである。
もういいだろ、と携帯を取り上げた。
「わるかったよ──変なこと聞いて」
「う、ううん」
「やべ。はやくしねえと日が暮れる……行かなきゃ」
「どこに?」
なぜか、水緒はふたたび食い下がってきた。
大地はめんどうくさそうに「裏山」とだけ言うと階段を駆けおりる。急ぐのも無理はない。
山に入るのはいいが、下りるときに日が暮れていたら危険だからだ。
昇降口で靴を履き替えていると、なぜか水緒もついてきた。
「…………なに」
「あたしも行きたい」
「は?」
「裏山、ちょうど行くところだったから」
「うそつけ!」
「ウソじゃないもん、ホントに!」
と妙に必死な彼女に押し負けて、大地は渋々同行することを許可したのであった。
※
その日の明け方、水緒は夢を見た。
水守のカケラを探すために山へ入る夢だった。すでに手にあるカケラは、光の筋を出して水緒を山の奥へと誘い込む。
ここは──どこの山?
心のなかで問うと、どこかで声がした。
「鶺鴒山」
セキレイ山?
となりを見上げる。そこにいた姿を見て、水緒は一驚した。片倉大地がいるではないか。
しかしこれは夢。
「奥に池があるんだ」
といって、彼はさっさと奥へ進んでゆく。
まって。
ちょっと待ってよ、片倉くん。
ねえっ、危ないったら!
────。
──。
「!」
がばりと飛び起きた。
は、は、と荒い息を吐いて、時計を見る。めずらしく目覚まし時計が鳴る前に目が覚めたようだ。
なぜか冷や汗をかいている。
あのあと怖い夢でも見たっけ──とも思ったが、あれからどうなったのかは思い出せない。
「……セキレイ山」
物知り長男、白月丸ならば知っているだろうか。水緒は毎朝恒例の滝行ついでに上へ寄ることにした。
「セキレイ山」
ウサギの白月丸は、豪瀑への道をともにしながらそう繰り返した。
うん、と水緒は眉を下げる。
「知らない?」
すると彼は知っていますとも、とわらった。
「そりゃあ学校の裏山の名でござろう。昔はあそこも鶺鴒ちゅう鳥がたくさんおったんで、鶺鴒山という名がついたんです。いまは池がのうなって、鶺鴒もなかなか寄り付かんようになってしまいましたがのう」
「池、もうないの?」
「はあ。つつじヶ池と呼ばれる立派な大池だったんですが、戦後のころですかな。開発とともに埋め立ててしもうたようで」
「…………」
────。
──。
そんな話をしていたものだから。
放課後になって、大地が裏山へ行くと聞いたときは、いてもたってもいられずに同行を申し出てしまった。
(もしカケラを見つけても、今度ひとりで取りにくればいいよね)
なんて楽観的に考えていたのだが。
「五月にもなると、日が長くなってきてたすかるぜ」
大地がいった。
現在の時刻は十六時をすこしすぎたところである。
それほど高くない山なだけあって坂道はゆるやか、空はまだ明るく道しるべもみじかい間隔で記されていることもあって、それほど奥まで行かなければ帰りも安心だろう。
「奥多摩のハイキングより楽勝だな」
「うん。……ねえ、こんな裏山までなにしにきたの」
「池をさがしてるんだ」
「い、池?」
水緒の足がとまる。
つられて足を止めた大地が首をかしげてこちらを見た。
「どうしたよ」
「つつじヶ池のこと?」
「え──ああ。おまえ知ってるの」
朝の白月丸がいったことばを思い出す。
──戦後のころ、開発とともに埋め立ててしもうたようで。
と。
「池、もう埋め立てられたって聞いたよ」
「マジかよ。残念だなァ」
「それでも行くの?」
「跡地があるかもしれないだろ」
「…………」
水緒の胸がざわついた。
この奥、なんだかイヤな感じがする。着々となにかに導かれているような、そのなにかが自分たちが来るのを待っているような──そんな感覚。
「まって。ちょっと待ってよ、片倉くん」
口から漏れた。
聞き覚えのある台詞だ。そう、今朝の夢で自分がいったことばだった。しかし大地はどんどん奥へと歩いていく。
「ねえっ、危ないったら!」
水緒が手を伸ばした。
なにが危ないのかはわからないがそう叫びながら。すると大地がようやく歩くスピードをゆるめてこちらを振り返る。
「なんだよ、行きたくなきゃべつについてこなくたっていいんだぜ」
「そうじゃなくて──この先は、なんか」
言いかけたときである。
「つつじヶ池をお探しかな」
声がした。
周囲に人影は見当たらない。しかしその声はふたりの耳にはっきりと届いている。大地は水緒を背中にかばうように立って目を凝らした。
「だれかいるのか?」
大地がさけぶ。
しかし声はわずかにわらうのみで、答えることはなかった。
(さっきの声──)
水緒はサッと青ざめる。
ゴウ、と風が吹いた。
「!」
匂いが変わる。
身体がふわりと浮いた気がして、あまりの強風に閉じていた目をうっすらと開けた。そこに見えたのは先ほどの山道とは違って開けた場所。
「つつじヶ池──跡地?」
そう書かれた看板と、ひと宇の祠。
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