4 / 35
第一夜
第3話 わらしもり
しおりを挟む
「なんでオレが藤宮神那を知っとるかって聞きたいんやろ、顔に出るやっちゃ」
「さすがの洞察力だね刑事さん。話が早いや。で、どうして?」
「……おまえ、藤宮って聞いてなんも引っかからんのか」
と、茂樹は信じられないと言いたげに首を振る。
藤宮? それがどうした。それを聞いたところで──。
「────藤宮。ああ、そうか」
「そういうこと。新財閥御三家のトップ、藤宮家のご令嬢やがな。ま、せやからおまえが言うように気品があるんも至極当然っちゅうわけや」
「そうだったのか──こいつはいい、僕はますます彼女がすきになった!」
「やめとけって」
「どうして」
「おまえなんざ相手にされへんぞ、たぶん」
「どうして!」
「…………」
茂樹は顔を渋らせ、閉口する。
その理由について語るつもりはないようで、わざわざ聞きたくもない夏目もむっすりと口をつぐむ。しばしの沈黙がテーブルを包んだ。ハイカラ袴のウエイトレスが水のおかわりにやってきたが、夏目と茂樹は互いをにらみつけたまま動かなかった。女性にはあまねく愛想を振りまく夏目九重も、一目ぼれの前には形無しである。
しばらくして茂樹は頭をがしがしと掻いた。
むりやりつくった笑みを浮かべて、「まあまあ」と話題を変える。
「おまえの悩みごとに関しては──とりあえず、座敷わらしが分かっただけでも良かったやん。おまえも一端の小説家なんやったら、じっさい陸奥まで赴いて現場取材でもしたらどうや。こんなところで手ェこまねいたってしゃーないやん」
「……取材ねぇ」
わるくはない。
が、一人きりで陸奥の山深い道々を往くというのも侘しい。下唇を突き出して拗ねた顔をする。もはや四十も手前に差し迫る男がする顔でもないが、夏目は一人旅が苦手なのである。人里離れたところに自身がぽつねんと立つところを想像するだけでなんだか寂しくなってしまう。
旅は道連れ──いい言葉だ、と夏目はやがてにっこりわらった。
「シゲ。どう?」
「なにが」
「おまえも有給休暇くらいとらなきゃだめだよ。たしか法令で決められているのだったね」
「アホか、オレは行かへんぞ! それに有休ならもう三月にとったっちゅうねん」
「それは昨年度分だろう。今年度分はまた別途取らなきゃ」
「なんでフリーランスのくせにそういうところは詳しいんや……いや、とにかくオレは行かへんって。なんでわざわざ休みとって山登りせなあかんねん。なんやえらい山奥にあったやんか、あの家」
と、茂樹は身ぶるいした。
しかしこの程度の抵抗で詭弁を止めるわけもない。
夏目は立ち上がり、わざわざ対面に座る茂樹のとなりまで移動してその手をぎゅっと握る。この従弟はげんなりした顔を隠しもせず身を引いたが、気にしない。
「たのむよ……僕の記憶力じゃああそこがいったいどこの何だったのかだっておぼえちゃいないんだ。あの家がなんて名前だったかだって、もう記憶の彼方さ。おまえがいなくちゃ僕は陸奥の山林で遭難してしまう」
「大げさなこと言うない! オレかてはっきりとはおぼえとらんぞ。何十年前のことやと思てんねん。周囲の家に聞いたらええやん。あの座敷わらしの──」
「座敷わらし?」
と。
ふいに差し込まれた声がある。茂樹はアァ? と不機嫌な顔で夏目を睨み付けたが、とんだ濡れ衣であった。夏目はキョトンとした顔で茂樹の頭上あたりを見つめる。なぜならそこに、あどけなくも色気のある笑みを浮かべた少女が立っていたから。
ぐるりと茂樹が振り返る。
「いっ……イッカ!?」
「は~アい。ぐうぜ~ん」
「ぐ、偶然っておま──なんや、今日はひとりか?」
と、茂樹はイッカと呼ばれた少女のうしろを覗き込もうと首を伸ばした。夏目は少女をとっくりと見つめてから「イッカ?」と茂樹に目を移す。彼はなぜかバツのわるそうな顔でうなずいた。
「古賀一花──通称イッカや。ほらさっき言うた大学生のひとり」
「うん、そうだとおもった」
夏目はにっこりと一花を見た。
見たところたいした持ち物もない。店外の窓ガラス越しに森谷のすがたを見かけたので、とりあえず声をかけに来たということだった。夏目が自席にもどると、一花も遠慮もせずに茂樹のとなりに腰かけた。
「はーア。最近日増しにあったかくなるよね。まだゴールデンウィークも来てねーのにさ」
「あのなァイッカ。おまえ、前のときもそうやったけど──知り合い見かけたからって構わず相席すんのはどうかと思うで? 今日は相手がコイツやったから良かったけどもやな。これがおまえ、罷り間違うてデート中なんてことなったら、オレから大顰蹙やぞ」
「シゲさん、デートする相手なんかいんの?」
「いやいてへんけど! いまは、の話やんかそんなもん。一週間後にはいてるかもしらんし」
「ふうん。そんでこっちの人はだアれ」
と、一花はとろんと垂れた目を夏目に向けた。ふうん、の一言で流される従弟はお気の毒だが、夏目はすっかり、目の前の少女に興味が移っている。女の子として──というよりは、もっと別ベクトルであるが。
茂樹から紹介されるより前に、夏目は人好きする笑みを浮かべて、手を差し出した。
「夏目九重と言います。シゲの従兄なんだ」
「ここのえ? 名前?」
「こいつのペンネームや。小説家やねん」
「エーッ。すご、小説書いてんだア! あたし古賀一花っていいます。イッカって呼んでね」
物怖じしない娘だ、とおもった。
お近づきのしるしに──とメニューを渡す。好きなの奢ってあげるよ、と言うと一花は瞳を半月型に細めてわらった。
「ありがとオ。でも、いまお腹いっぱいだからだいじょうぶ」
「なんか食うてきたんか」
「さっきまで恭ちゃんちにいてねーっ。あそこでたらふくおやつ食べてきたの」
「へえ、天下の藤宮家が出すおやつ言うたら、さぞえらそうなもんなんやろなァ」
「藤宮家! 藤宮家に行ってきたの、イッカちゃん」
口を挟まずにはいられなかった。
つい先ほど判明した、愛しき人の苗字である。一花はすこしおどろいたように目を見開いてから、ウンとかわいらしくうなずいた。
夏目の想いを汲み取ってか、茂樹は一花の顔を覗き込む。
「いま、藤宮の家ってあの兄弟のなかじゃだれが住んではんの?」
「恭ちゃんと神楽ちゃん。あと、神那ちゃんがけっこう頻繁に帰ってくるわヨ。さっきもお客さんといっしょに帰ってきたから、恭ちゃんったら大喜びでね」
と、なにを思い出したかケタケタわらう一花をよそに、夏目の瞳にはぎらりと光が宿る。
「か、神那さん──いま藤宮の家にいるんだ?」
「ウン。あ、でもこれからお客さんといっしょに宝泉寺に行こうかって話してたからもういないとおもうけど。アハ、だから……座敷わらし」
何故か。
一花が話を戻す。突然の話題転換に、あわよくば神那とのエンカウントを狙う夏目も気を削がれ、閉口する。
そのお客さんね、と一花はくるりと瞳を天井に向けた。
「座敷わらしがいるおうちに生まれたんだって。ネ、あの和尚が好きそうな話でしょ」
「…………」
茂樹と夏目の視線がかち合う。
すぐさま、茂樹が一花の肩をつかんで問いかけた。
「その──お客はんって、女の人?」
「ウン。冬陽ちゃんっていう」
「ふ、……!」
おもわず席を立つ。
店内の客が視線を寄越す気配がする。しかしそんなものは気にならない。小気味良いディキシーランドジャズも、いまは耳を滑るほどに。一花は夏目に対して目を剥いている。
「どしたの」
「い、いや──」
「まてイッカ。その冬陽って子が、座敷わらしの家に住んどったって?」
「だからそう言ってんじゃん。どしたの、シゲさんまで」
一花の声も、もはや夏目の耳には残らない。ふと思い返される二十年以上前の記憶。
──家の当主となった女は「 」というお役目に就き、座敷わらしのお相手をするのです。
あれは当主の女の言葉だった。
「 」──。
あのとき彼女は、なんと言った?
一花がグッと背を反らしてつぶやいた。
「なンかね、わらし……もり? とかなんとか」
──わらしもり。
────童守。
嗚呼。
夏目は糸が切れた人形のごとく、カタンと席に落ち着いた。
そうかそれや、と茂樹はさけぶ。
「童守──わらしもりやがな。あの家、そう……相良や! 思い出したッ」
「エ? シゲさん知ってるの。冬陽ちゃん、相良って名乗ってたよ」
相良冬陽。
夏目は肚底から込み上がる高揚を隠しきれず、ゆっくりと左手で口元を隠した。
「……フフ。これは、そうか。愈々神のお導きではなかろうかね」
気味のわるい偶然を前に、茂樹は閉口した。
「さすがの洞察力だね刑事さん。話が早いや。で、どうして?」
「……おまえ、藤宮って聞いてなんも引っかからんのか」
と、茂樹は信じられないと言いたげに首を振る。
藤宮? それがどうした。それを聞いたところで──。
「────藤宮。ああ、そうか」
「そういうこと。新財閥御三家のトップ、藤宮家のご令嬢やがな。ま、せやからおまえが言うように気品があるんも至極当然っちゅうわけや」
「そうだったのか──こいつはいい、僕はますます彼女がすきになった!」
「やめとけって」
「どうして」
「おまえなんざ相手にされへんぞ、たぶん」
「どうして!」
「…………」
茂樹は顔を渋らせ、閉口する。
その理由について語るつもりはないようで、わざわざ聞きたくもない夏目もむっすりと口をつぐむ。しばしの沈黙がテーブルを包んだ。ハイカラ袴のウエイトレスが水のおかわりにやってきたが、夏目と茂樹は互いをにらみつけたまま動かなかった。女性にはあまねく愛想を振りまく夏目九重も、一目ぼれの前には形無しである。
しばらくして茂樹は頭をがしがしと掻いた。
むりやりつくった笑みを浮かべて、「まあまあ」と話題を変える。
「おまえの悩みごとに関しては──とりあえず、座敷わらしが分かっただけでも良かったやん。おまえも一端の小説家なんやったら、じっさい陸奥まで赴いて現場取材でもしたらどうや。こんなところで手ェこまねいたってしゃーないやん」
「……取材ねぇ」
わるくはない。
が、一人きりで陸奥の山深い道々を往くというのも侘しい。下唇を突き出して拗ねた顔をする。もはや四十も手前に差し迫る男がする顔でもないが、夏目は一人旅が苦手なのである。人里離れたところに自身がぽつねんと立つところを想像するだけでなんだか寂しくなってしまう。
旅は道連れ──いい言葉だ、と夏目はやがてにっこりわらった。
「シゲ。どう?」
「なにが」
「おまえも有給休暇くらいとらなきゃだめだよ。たしか法令で決められているのだったね」
「アホか、オレは行かへんぞ! それに有休ならもう三月にとったっちゅうねん」
「それは昨年度分だろう。今年度分はまた別途取らなきゃ」
「なんでフリーランスのくせにそういうところは詳しいんや……いや、とにかくオレは行かへんって。なんでわざわざ休みとって山登りせなあかんねん。なんやえらい山奥にあったやんか、あの家」
と、茂樹は身ぶるいした。
しかしこの程度の抵抗で詭弁を止めるわけもない。
夏目は立ち上がり、わざわざ対面に座る茂樹のとなりまで移動してその手をぎゅっと握る。この従弟はげんなりした顔を隠しもせず身を引いたが、気にしない。
「たのむよ……僕の記憶力じゃああそこがいったいどこの何だったのかだっておぼえちゃいないんだ。あの家がなんて名前だったかだって、もう記憶の彼方さ。おまえがいなくちゃ僕は陸奥の山林で遭難してしまう」
「大げさなこと言うない! オレかてはっきりとはおぼえとらんぞ。何十年前のことやと思てんねん。周囲の家に聞いたらええやん。あの座敷わらしの──」
「座敷わらし?」
と。
ふいに差し込まれた声がある。茂樹はアァ? と不機嫌な顔で夏目を睨み付けたが、とんだ濡れ衣であった。夏目はキョトンとした顔で茂樹の頭上あたりを見つめる。なぜならそこに、あどけなくも色気のある笑みを浮かべた少女が立っていたから。
ぐるりと茂樹が振り返る。
「いっ……イッカ!?」
「は~アい。ぐうぜ~ん」
「ぐ、偶然っておま──なんや、今日はひとりか?」
と、茂樹はイッカと呼ばれた少女のうしろを覗き込もうと首を伸ばした。夏目は少女をとっくりと見つめてから「イッカ?」と茂樹に目を移す。彼はなぜかバツのわるそうな顔でうなずいた。
「古賀一花──通称イッカや。ほらさっき言うた大学生のひとり」
「うん、そうだとおもった」
夏目はにっこりと一花を見た。
見たところたいした持ち物もない。店外の窓ガラス越しに森谷のすがたを見かけたので、とりあえず声をかけに来たということだった。夏目が自席にもどると、一花も遠慮もせずに茂樹のとなりに腰かけた。
「はーア。最近日増しにあったかくなるよね。まだゴールデンウィークも来てねーのにさ」
「あのなァイッカ。おまえ、前のときもそうやったけど──知り合い見かけたからって構わず相席すんのはどうかと思うで? 今日は相手がコイツやったから良かったけどもやな。これがおまえ、罷り間違うてデート中なんてことなったら、オレから大顰蹙やぞ」
「シゲさん、デートする相手なんかいんの?」
「いやいてへんけど! いまは、の話やんかそんなもん。一週間後にはいてるかもしらんし」
「ふうん。そんでこっちの人はだアれ」
と、一花はとろんと垂れた目を夏目に向けた。ふうん、の一言で流される従弟はお気の毒だが、夏目はすっかり、目の前の少女に興味が移っている。女の子として──というよりは、もっと別ベクトルであるが。
茂樹から紹介されるより前に、夏目は人好きする笑みを浮かべて、手を差し出した。
「夏目九重と言います。シゲの従兄なんだ」
「ここのえ? 名前?」
「こいつのペンネームや。小説家やねん」
「エーッ。すご、小説書いてんだア! あたし古賀一花っていいます。イッカって呼んでね」
物怖じしない娘だ、とおもった。
お近づきのしるしに──とメニューを渡す。好きなの奢ってあげるよ、と言うと一花は瞳を半月型に細めてわらった。
「ありがとオ。でも、いまお腹いっぱいだからだいじょうぶ」
「なんか食うてきたんか」
「さっきまで恭ちゃんちにいてねーっ。あそこでたらふくおやつ食べてきたの」
「へえ、天下の藤宮家が出すおやつ言うたら、さぞえらそうなもんなんやろなァ」
「藤宮家! 藤宮家に行ってきたの、イッカちゃん」
口を挟まずにはいられなかった。
つい先ほど判明した、愛しき人の苗字である。一花はすこしおどろいたように目を見開いてから、ウンとかわいらしくうなずいた。
夏目の想いを汲み取ってか、茂樹は一花の顔を覗き込む。
「いま、藤宮の家ってあの兄弟のなかじゃだれが住んではんの?」
「恭ちゃんと神楽ちゃん。あと、神那ちゃんがけっこう頻繁に帰ってくるわヨ。さっきもお客さんといっしょに帰ってきたから、恭ちゃんったら大喜びでね」
と、なにを思い出したかケタケタわらう一花をよそに、夏目の瞳にはぎらりと光が宿る。
「か、神那さん──いま藤宮の家にいるんだ?」
「ウン。あ、でもこれからお客さんといっしょに宝泉寺に行こうかって話してたからもういないとおもうけど。アハ、だから……座敷わらし」
何故か。
一花が話を戻す。突然の話題転換に、あわよくば神那とのエンカウントを狙う夏目も気を削がれ、閉口する。
そのお客さんね、と一花はくるりと瞳を天井に向けた。
「座敷わらしがいるおうちに生まれたんだって。ネ、あの和尚が好きそうな話でしょ」
「…………」
茂樹と夏目の視線がかち合う。
すぐさま、茂樹が一花の肩をつかんで問いかけた。
「その──お客はんって、女の人?」
「ウン。冬陽ちゃんっていう」
「ふ、……!」
おもわず席を立つ。
店内の客が視線を寄越す気配がする。しかしそんなものは気にならない。小気味良いディキシーランドジャズも、いまは耳を滑るほどに。一花は夏目に対して目を剥いている。
「どしたの」
「い、いや──」
「まてイッカ。その冬陽って子が、座敷わらしの家に住んどったって?」
「だからそう言ってんじゃん。どしたの、シゲさんまで」
一花の声も、もはや夏目の耳には残らない。ふと思い返される二十年以上前の記憶。
──家の当主となった女は「 」というお役目に就き、座敷わらしのお相手をするのです。
あれは当主の女の言葉だった。
「 」──。
あのとき彼女は、なんと言った?
一花がグッと背を反らしてつぶやいた。
「なンかね、わらし……もり? とかなんとか」
──わらしもり。
────童守。
嗚呼。
夏目は糸が切れた人形のごとく、カタンと席に落ち着いた。
そうかそれや、と茂樹はさけぶ。
「童守──わらしもりやがな。あの家、そう……相良や! 思い出したッ」
「エ? シゲさん知ってるの。冬陽ちゃん、相良って名乗ってたよ」
相良冬陽。
夏目は肚底から込み上がる高揚を隠しきれず、ゆっくりと左手で口元を隠した。
「……フフ。これは、そうか。愈々神のお導きではなかろうかね」
気味のわるい偶然を前に、茂樹は閉口した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる