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新人魔導師、3回目の発掘調査に参加する
同日、封印解除の時
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すぐにやって来た夏希は、封印された壁を見て、「あぁ」と小さく呟いた。どうやら、この程度なら対処できるらしい。
「全員下がって目を瞑ってろ」
かなりの高火力で魔導を使うようだ。3人はそれに従って、反対側の壁まで下がると目を瞑ったうえに手で覆った。夏希の魔力の眩しさを知っているので、全員しっかりと目を守っている。
「……よし」
全員が準備をしたのを確認すると、夏希は壁に手を当てた。黒手袋に包まれた手から眩い白の魔力が光る。すると、封印が解けていき、壁が崩れ始めた。砂埃が舞うのを、風の術を使って抑える。
「終わったぞ」
「え、もう終わったんですか!?」
天音は目を開き、壁があったはずの場所を見つめた。そこにはもう遮るものは何もなく、ただ部屋があるだけだった。
「思ったより面倒な封印だったな……疲れた」
魔力の消費が激しかったのか、夏希は怠そうだ。だが、それでも並の魔導師より多くの魔力が残されているだろう。現に、疲れたと言いながらも隠されていた部屋の中に入って、罠がないか確認している。
「ったく、どこが丙種遺跡だよ。魔導考古学省のヤツら、サボってやがったな」
「乙種?」
「すごいよね」
「この封印に気づかなかったんだろうな。気づいてたら乙種か、下手したら甲種だぜ」
よく気づいたな、と夏希は3人を褒める。が、双子は律儀にも、気づいたのは天音で、自分たちではないと言った。
「天音が?」
「あ、はい……魔力を感じたので」
「……そうか。よくやったな」
僅かな間の後、夏希は天音の頭を撫でた。ヒールと段差があったからこそできた技だ。そう言ったら拗ねてしまうのだろうけど。
「恭平たちの方はハズレみたいだからな。合流させる。全員で調査にあたってくれ。あたしはお役人サマ方にお話してくる」
夏希はそう言うと、瞬間移動の術で地上へ行ってしまった。
「ひとまず、探そう」
「いいものあるといいね」
「あ、はい」
夏希のさっきの間はなんだったんだろう。何かしてしまったのだろうか。まるで、驚きのあまり何を言ったらよいのかわからないような顔だった。
(私が見つけられたことに驚いてただけか)
大したことではないだろう。天音は考えるのをやめて調査に加わった。遠くから、恭平と和馬の声がして、本格的に発掘調査が始まった。
一方、そのころ。地上では、技術班による修復作業が進められていた。葵が持ってきた大量の発明品の中から使えるものが選ばれ、重いものを運んだり、壊れやすいものに保護魔導をかけて作業をやりやすくしている。
パズルが得意という理由で、怪我人もなく暇を持て余していた雅まで修復作業に参加させられていた。石板を当てて、ピタリと嵌るところで接着の術を使う。
「先生に借りたパズルが、こんな風に役立つなんて!」
「わらわはそういう理由で貸したのではないぞ」
「いやー、でも2人とも作業が速くていいッスね」
「本当に。助かります」
その4人を守るように、秋楽は剣をいつでも抜ける体勢で立っていた。零もまた、少し離れたところで控えている。上空には、鉄扇を構えた真子が、夏希の帰りを待っていた。
暫くして、疲れた様子の夏希がふわりと飛んできた。伝言の術で零、真子、秋楽を呼ぶ。周囲に目を光らせながらも、3人は夏希のもとへ集まって来た。
「地下に封印された部屋を見つけた」
「封印された部屋だって? それが本当なら、ここが丙種遺跡だというのは大きな間違いだね」
魔導考古学省の怠慢だ、と真子はそこの職員らしからぬ発言をした。
「かなり巧妙に隠されてた。封印が得意な魔法使いだったんだろうな」
「見つけたのは恭平ですか?」
魔導探知に優れた彼の名を零は挙げたが、夏希は首を振って否定した。驚くなよ、と前置きして、
「……天音だ」
と低く言った。秋楽が驚き、真子は言葉を失い、零は何かを考えるように口元に手をあてた。
「無理だ、驚いた!」
「驚くなよって台詞の後には、大抵驚くコトが待ってんだよ」
「そうか……」
1つ賢くなった、と何故か秋楽はメモをした。真子がそれを見て吹き出している。彼女もまた、秋楽の本性を知る数少ない人物だった。
「……夏希から見て、その封印はどうでしたか?」
「そうだな……魔導探知が90超えてねぇなら見つけるのは難しいカンジだ」
「天音さんの最後に測った魔導探知は?」
「天音が85。双子は91。双子が見つけられなかったのに天音が見つけられたんだ。何かある……そう思っちまうのも仕方がないだろ」
双子は特定魔導現象が原因で、適性値こそ低いものの、魔導循環、魔導探知、魔導構築の値は全て高い数値を維持している。その2人が気づかなかったというのに、天音はいとも簡単に見つけたのだ。
「美織の予言に、天音は『白を超える者』ってあったんだ……初めは『白の十一天』のコトかと思ったけどよ……ホントは、白、つまり白の魔力のあたしを超えるって意味なんじゃねぇか……そんな風に思っちまったよ」
夏希の言葉に、誰も何も言わなかった。
誰も、何も言えなかったのだ。
「全員下がって目を瞑ってろ」
かなりの高火力で魔導を使うようだ。3人はそれに従って、反対側の壁まで下がると目を瞑ったうえに手で覆った。夏希の魔力の眩しさを知っているので、全員しっかりと目を守っている。
「……よし」
全員が準備をしたのを確認すると、夏希は壁に手を当てた。黒手袋に包まれた手から眩い白の魔力が光る。すると、封印が解けていき、壁が崩れ始めた。砂埃が舞うのを、風の術を使って抑える。
「終わったぞ」
「え、もう終わったんですか!?」
天音は目を開き、壁があったはずの場所を見つめた。そこにはもう遮るものは何もなく、ただ部屋があるだけだった。
「思ったより面倒な封印だったな……疲れた」
魔力の消費が激しかったのか、夏希は怠そうだ。だが、それでも並の魔導師より多くの魔力が残されているだろう。現に、疲れたと言いながらも隠されていた部屋の中に入って、罠がないか確認している。
「ったく、どこが丙種遺跡だよ。魔導考古学省のヤツら、サボってやがったな」
「乙種?」
「すごいよね」
「この封印に気づかなかったんだろうな。気づいてたら乙種か、下手したら甲種だぜ」
よく気づいたな、と夏希は3人を褒める。が、双子は律儀にも、気づいたのは天音で、自分たちではないと言った。
「天音が?」
「あ、はい……魔力を感じたので」
「……そうか。よくやったな」
僅かな間の後、夏希は天音の頭を撫でた。ヒールと段差があったからこそできた技だ。そう言ったら拗ねてしまうのだろうけど。
「恭平たちの方はハズレみたいだからな。合流させる。全員で調査にあたってくれ。あたしはお役人サマ方にお話してくる」
夏希はそう言うと、瞬間移動の術で地上へ行ってしまった。
「ひとまず、探そう」
「いいものあるといいね」
「あ、はい」
夏希のさっきの間はなんだったんだろう。何かしてしまったのだろうか。まるで、驚きのあまり何を言ったらよいのかわからないような顔だった。
(私が見つけられたことに驚いてただけか)
大したことではないだろう。天音は考えるのをやめて調査に加わった。遠くから、恭平と和馬の声がして、本格的に発掘調査が始まった。
一方、そのころ。地上では、技術班による修復作業が進められていた。葵が持ってきた大量の発明品の中から使えるものが選ばれ、重いものを運んだり、壊れやすいものに保護魔導をかけて作業をやりやすくしている。
パズルが得意という理由で、怪我人もなく暇を持て余していた雅まで修復作業に参加させられていた。石板を当てて、ピタリと嵌るところで接着の術を使う。
「先生に借りたパズルが、こんな風に役立つなんて!」
「わらわはそういう理由で貸したのではないぞ」
「いやー、でも2人とも作業が速くていいッスね」
「本当に。助かります」
その4人を守るように、秋楽は剣をいつでも抜ける体勢で立っていた。零もまた、少し離れたところで控えている。上空には、鉄扇を構えた真子が、夏希の帰りを待っていた。
暫くして、疲れた様子の夏希がふわりと飛んできた。伝言の術で零、真子、秋楽を呼ぶ。周囲に目を光らせながらも、3人は夏希のもとへ集まって来た。
「地下に封印された部屋を見つけた」
「封印された部屋だって? それが本当なら、ここが丙種遺跡だというのは大きな間違いだね」
魔導考古学省の怠慢だ、と真子はそこの職員らしからぬ発言をした。
「かなり巧妙に隠されてた。封印が得意な魔法使いだったんだろうな」
「見つけたのは恭平ですか?」
魔導探知に優れた彼の名を零は挙げたが、夏希は首を振って否定した。驚くなよ、と前置きして、
「……天音だ」
と低く言った。秋楽が驚き、真子は言葉を失い、零は何かを考えるように口元に手をあてた。
「無理だ、驚いた!」
「驚くなよって台詞の後には、大抵驚くコトが待ってんだよ」
「そうか……」
1つ賢くなった、と何故か秋楽はメモをした。真子がそれを見て吹き出している。彼女もまた、秋楽の本性を知る数少ない人物だった。
「……夏希から見て、その封印はどうでしたか?」
「そうだな……魔導探知が90超えてねぇなら見つけるのは難しいカンジだ」
「天音さんの最後に測った魔導探知は?」
「天音が85。双子は91。双子が見つけられなかったのに天音が見つけられたんだ。何かある……そう思っちまうのも仕方がないだろ」
双子は特定魔導現象が原因で、適性値こそ低いものの、魔導循環、魔導探知、魔導構築の値は全て高い数値を維持している。その2人が気づかなかったというのに、天音はいとも簡単に見つけたのだ。
「美織の予言に、天音は『白を超える者』ってあったんだ……初めは『白の十一天』のコトかと思ったけどよ……ホントは、白、つまり白の魔力のあたしを超えるって意味なんじゃねぇか……そんな風に思っちまったよ」
夏希の言葉に、誰も何も言わなかった。
誰も、何も言えなかったのだ。
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