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新人魔導師、発表会に参加する
9月17日、戦いの始まり
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いつ襲撃されるかわからないので、その日は交代で眠った。魔力の消費が激しかった恭平や雅も回復し、今は魔導衣を着て準備をしている。
「……魔導考古学大臣の動きはナシ、か」
「家」のテレビでニュースを見て、夏希は吐き捨てた。早速「白の十一天」は動き始め、既に3箇所の博物館が襲撃されている。ただ、幸いなことに、怪我人は1人もいなかった。首都の博物館なので、恐らく真子が何らかの手を打ったのだろう。
「役に立ちませんね、あの人は」
「立つとも思ってねぇよ」
夏希は魔導衣のネクタイを締める。ジャケットを羽織り、零の手を取って立った。
「……お前たち、本当に行くんだな?」
「もちろんです!」
準備万端の天音は力強く応えた。全員、魔導衣や作業着を着てまっすぐに夏希を見つめている。
「今ならまだ間に合う、逃げ……」
「何度も言わせないでください! 行きますよ!」
夏希の言葉を遮り、天音は言った。逃げる気など、初めからない。相手の狙いは自分なのだから。他の人が戦って血を流しているのに、黙って見ていられるわけがないのだ。
「なら……行くぞ」
白と黒の魔力が辺りを包む。次の瞬間には、第1研究所らしき建物の前に立っていた。第5研究所と同じ、家のように見える建物だ。
「誰もいませんね……」
「入れるモンなら入ってみやがれってコトか、あたしの考えが間違ってたか。そのどっちかだろ」
夏希は門に軽く触れた。目が眩むほどの白い光が放たれる。次の瞬間には、建物にかけられていたあらゆる魔導が破壊され、様々な色の魔力が砕けて消えていくのが見えた。
「行くぜ、正面突破! 最短最速!」
門を潜り、走り出すと、建物の中から白い衣装を纏った者たちがぞろぞろと現れた。研究発表会の会場に現れた人数より圧倒的に多い。
「はっ!」
振るわれた剣を避け、強化した手でへし折る。天音はそのまま杖を振り、周辺の「白の十一天」構成員の足場を凍らせた。
「そなたら全員、全治1年の大怪我じゃ」
「ぐああああ!」
ピンク色の魔力が舞う。あちこちの骨が折れ、敵は立つことさえままならない。
「おやすみなさいっ!」
気の抜ける掛け声と共に、由紀奈の固有魔導が発動する。体力を奪われ、バタバタと敵が倒れていった。
「残念、後ろです!」
姿を消せる和馬が縦横無尽に飛び回る。
「隙だらけ」
「目指せ百発百中」
ライフルと拳銃が、銃弾の雨を降らせる。双子はあまり離れられないが、その分後方で支援をしてくれていた。
「うお、っとお!?」
葵は運悪く魔導師の敵にあたり、炎の術を放たれた。咄嗟に避けるが、そのままバランスを崩して倒れ込んでしまう。そこに、別の構成員の拳が振り下ろされた。
「その人に……汚い手で触れるな!」
普段の透からは想像もできないほど大きな声で叫ぶと、彼は同じ炎の術を放った。黄色を帯びた炎が敵の服や髪を焦がしていく。
「おっかねー……」
「助かった、くらい言えないんですか!」
「痴話喧嘩は後にしてくれる?」
刀を振るいながら、恭平は揶揄うように言った。まだ固有魔導は使っていないので、普段どおり会話ができる。
「ち、ちが、痴話喧嘩とかじゃ……」
「はいはい、それも後でねー」
軽く流して、恭平は走り去った。透も気持ちを切り替える。今はとにかく、1人でも多くの敵を倒さなくては。
「班長、右に来ます!」
「よっしゃあ、大爆発行くッス!」
「なら、そちらは任せましたよ」
右方の敵は技術班に任せ、零は中央、建物の方へと向かう。一花がいるならば、前線ではなく最奥、所長室のある場所のはずだ。襲い掛かる敵を薙ぎ倒し、建物に近づいていく。
「一花様のもとへは行かせない!」
「貴様にはここで死んでもらう!」
「申し訳ありませんが、貴方がたに用はありません」
黒い魔力が爆ぜた。周囲の敵を吹き飛ばし、零は進む。
「雑魚はこっちに任せろ!」
小柄な体からは想像もできないほどの力で、夏希は敵を蹴り飛ばす。彼女は身体強化に加え、硬化の術を使ってヒールすら武器にしていた。
「お願いします!」
減ることなく現れ続ける敵にうんざりした夏希は舌打ちをした。流石にこの量は多すぎる。このままだと、こちら側の魔力が尽きるのが先だろう。
(……魔法を復活させるしかねぇか?)
相手にも武器を与えてしまう状況にはなるが、そのことを知られさえしなければこちら側が有利になる。魔導文字を書く、という工程を省くことができるのだから。その分早く動くことができる。
(つっても、それには時間がかかる……)
世界中の封印を完全に破壊し、天音に魔法を復活させてもらわなければならない。どんなに短く見積もっても10分はかかる。
敵を倒しながら考えていると、
「待たせたね」
戦場に似つかわしくない、聞き慣れた美声がした。
「真子! それに、お前ら……」
「大臣をなぐ……大臣と話し合ってね。思ったよりも時間がかかってしまったよ」
殴る、と言いかけたような気がするが、夏希にとって大臣はどうでもいいので気にしない。真子はにっこり笑う。
「さあ、行こう。ここからは私たちの出番だよ」
「任せて」
「……勝利の星……」
「お前のためだからな」
「真子の右ストレートは素晴らしかったよ、見せてあげたかったくらいだ」
真子の背後には、美織や輝夜、秋楽、虎太郎、その他、あちこちの研究所から集まった魔導師たちが立っている。
「よし! 全員、準備はいいな?」
「はっ!」
まだ人数は少ないとはいえ、確実に戦況がよい方に変わっていった。
武器を構え、魔導師たちは走り出す。この戦いに勝利し、自由と平和を勝ち取るために。
「……魔導考古学大臣の動きはナシ、か」
「家」のテレビでニュースを見て、夏希は吐き捨てた。早速「白の十一天」は動き始め、既に3箇所の博物館が襲撃されている。ただ、幸いなことに、怪我人は1人もいなかった。首都の博物館なので、恐らく真子が何らかの手を打ったのだろう。
「役に立ちませんね、あの人は」
「立つとも思ってねぇよ」
夏希は魔導衣のネクタイを締める。ジャケットを羽織り、零の手を取って立った。
「……お前たち、本当に行くんだな?」
「もちろんです!」
準備万端の天音は力強く応えた。全員、魔導衣や作業着を着てまっすぐに夏希を見つめている。
「今ならまだ間に合う、逃げ……」
「何度も言わせないでください! 行きますよ!」
夏希の言葉を遮り、天音は言った。逃げる気など、初めからない。相手の狙いは自分なのだから。他の人が戦って血を流しているのに、黙って見ていられるわけがないのだ。
「なら……行くぞ」
白と黒の魔力が辺りを包む。次の瞬間には、第1研究所らしき建物の前に立っていた。第5研究所と同じ、家のように見える建物だ。
「誰もいませんね……」
「入れるモンなら入ってみやがれってコトか、あたしの考えが間違ってたか。そのどっちかだろ」
夏希は門に軽く触れた。目が眩むほどの白い光が放たれる。次の瞬間には、建物にかけられていたあらゆる魔導が破壊され、様々な色の魔力が砕けて消えていくのが見えた。
「行くぜ、正面突破! 最短最速!」
門を潜り、走り出すと、建物の中から白い衣装を纏った者たちがぞろぞろと現れた。研究発表会の会場に現れた人数より圧倒的に多い。
「はっ!」
振るわれた剣を避け、強化した手でへし折る。天音はそのまま杖を振り、周辺の「白の十一天」構成員の足場を凍らせた。
「そなたら全員、全治1年の大怪我じゃ」
「ぐああああ!」
ピンク色の魔力が舞う。あちこちの骨が折れ、敵は立つことさえままならない。
「おやすみなさいっ!」
気の抜ける掛け声と共に、由紀奈の固有魔導が発動する。体力を奪われ、バタバタと敵が倒れていった。
「残念、後ろです!」
姿を消せる和馬が縦横無尽に飛び回る。
「隙だらけ」
「目指せ百発百中」
ライフルと拳銃が、銃弾の雨を降らせる。双子はあまり離れられないが、その分後方で支援をしてくれていた。
「うお、っとお!?」
葵は運悪く魔導師の敵にあたり、炎の術を放たれた。咄嗟に避けるが、そのままバランスを崩して倒れ込んでしまう。そこに、別の構成員の拳が振り下ろされた。
「その人に……汚い手で触れるな!」
普段の透からは想像もできないほど大きな声で叫ぶと、彼は同じ炎の術を放った。黄色を帯びた炎が敵の服や髪を焦がしていく。
「おっかねー……」
「助かった、くらい言えないんですか!」
「痴話喧嘩は後にしてくれる?」
刀を振るいながら、恭平は揶揄うように言った。まだ固有魔導は使っていないので、普段どおり会話ができる。
「ち、ちが、痴話喧嘩とかじゃ……」
「はいはい、それも後でねー」
軽く流して、恭平は走り去った。透も気持ちを切り替える。今はとにかく、1人でも多くの敵を倒さなくては。
「班長、右に来ます!」
「よっしゃあ、大爆発行くッス!」
「なら、そちらは任せましたよ」
右方の敵は技術班に任せ、零は中央、建物の方へと向かう。一花がいるならば、前線ではなく最奥、所長室のある場所のはずだ。襲い掛かる敵を薙ぎ倒し、建物に近づいていく。
「一花様のもとへは行かせない!」
「貴様にはここで死んでもらう!」
「申し訳ありませんが、貴方がたに用はありません」
黒い魔力が爆ぜた。周囲の敵を吹き飛ばし、零は進む。
「雑魚はこっちに任せろ!」
小柄な体からは想像もできないほどの力で、夏希は敵を蹴り飛ばす。彼女は身体強化に加え、硬化の術を使ってヒールすら武器にしていた。
「お願いします!」
減ることなく現れ続ける敵にうんざりした夏希は舌打ちをした。流石にこの量は多すぎる。このままだと、こちら側の魔力が尽きるのが先だろう。
(……魔法を復活させるしかねぇか?)
相手にも武器を与えてしまう状況にはなるが、そのことを知られさえしなければこちら側が有利になる。魔導文字を書く、という工程を省くことができるのだから。その分早く動くことができる。
(つっても、それには時間がかかる……)
世界中の封印を完全に破壊し、天音に魔法を復活させてもらわなければならない。どんなに短く見積もっても10分はかかる。
敵を倒しながら考えていると、
「待たせたね」
戦場に似つかわしくない、聞き慣れた美声がした。
「真子! それに、お前ら……」
「大臣をなぐ……大臣と話し合ってね。思ったよりも時間がかかってしまったよ」
殴る、と言いかけたような気がするが、夏希にとって大臣はどうでもいいので気にしない。真子はにっこり笑う。
「さあ、行こう。ここからは私たちの出番だよ」
「任せて」
「……勝利の星……」
「お前のためだからな」
「真子の右ストレートは素晴らしかったよ、見せてあげたかったくらいだ」
真子の背後には、美織や輝夜、秋楽、虎太郎、その他、あちこちの研究所から集まった魔導師たちが立っている。
「よし! 全員、準備はいいな?」
「はっ!」
まだ人数は少ないとはいえ、確実に戦況がよい方に変わっていった。
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