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新人魔導師、発表会に参加する
同日、女王陛下の仰せのままに
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零は夏希の手を引いて食堂へと戻っていく。
「僕は妹と……一花と、戦わなくてはいけません。貴女が死ぬなんて、僕は耐えられない」
「……あたしだってそうだ。戦う」
「他の子を巻き込むわけにはいきませんから。安全な場所に逃げてもらいましょう」
「そうだな……国外なら安全だろ」
「は? 何言ってんの」
様子を見に来ていたのだろう。壁にもたれかかっていた恭平が、心底馬鹿にした口調で言った。
「オレらだって戦うに決まってる」
「2人が死ぬなんておかしい」
「天音が捕まるのもおかしい」
扉から顔を覗かせた双子が恭平に続いた。背後では、何やら怪しげな機械を準備している葵と、それを止めない透が見える。和馬は厨房に籠り、食事を作っていた。雅と由紀奈は大量の包帯やガーゼを用意し、天音はあちこち本をひっくり返して魔導の復習をしている。
「皆、戦う気マンマンッスよ!」
「逃げたりなんてしません」
「2人で背負わないでください」
「わらわを除け者にしようなど、1000年早いわ!」
「私を置いていくのもっ、1000年早いです……っ!」
「皆、お2人の味方です」
皆の声を聞くなり、夏希は凄まじい勢いで目を瞑って俯いた。そうしないと、また涙がこぼれそうだったから。
「お前ら……バカじゃねぇの……」
「バカでもいい」
「いいから、死のうとしないで」
双子が零と夏希、それぞれを押して、食堂の席に座らせた。
「まずは、体力と魔力を回復させましょう。戦うのは、それからでいいはずです」
全員の好物を用意した和馬が、テーブルいっぱいに皿を並べていく。それぞれが定位置に座って、「いただきます」の号令と共にあちこちから箸が伸ばされた。
「……僕たちも、食べましょうか」
「……あぁ」
少し遅れて、2人も箸を取った。
テーブルに置かれた皿が全て空になり、片付けられたころ。魔力回復効果のあるハーブティーを飲みながら、一同は作戦会議を行っていた。
「ここ以外の国立研究所はもうダメだな」
「ですね……」
輝夜以外の所長と副所長が裏切ったとなると、研究所は「白の十一天」に支配されていてもおかしくない。
「私設の研究所はどうでしょう?」
「多分、そこは狙われてる」
「どこにいるんでしょうね……」
首を傾げながら天音がうんうん唸っていると、夏希がポツリと呟いた。
「第1研究所」
「え?」
「第1だ、いるならそこしかねぇ」
「なんで断言できるんですか?」
「あそこなら魔導考古学省とも近い。それに、研究発表会の会場から瞬間移動の術で着く」
瞬間移動は便利だが、移動できる範囲が狭いという欠点がある。もちろん、近くにいると見せかけて遠くまで逃げたという可能性もあるが、地方には博物館も私設の研究所も少ないので、正しいように思えた。
「それに、あそこは……」
「僕たちにとって始まりの場所であり、忌まわしき場所でもあります。一花が選んでもおかしくない」
「つ、つまり、私たちは第1研究所の防御魔導を突破しないといけないんですか!?」
由紀奈が絶叫した。この国の最高峰、第1研究所には、ありとあらゆる防御魔導がかけられている。侵入することは不可能だと言われているほどだ。
「忘れたのか? あたしは『破壊の星の子』、そんなモン、3秒ありゃ壊せる」
「よっ、さすが『純白の破壊者』!」
「葵、お前よくも!」
「いやあ、よく似合ってるッスよ!」
けらけら笑う葵の脇腹に、透の肘鉄が入った。手加減はされているとは思うが痛そうだ。
「うぐっ……」
「お話、続けてください」
「おう……」
若干引いた顔をした夏希が、静かに返事をした。軽く息をついて切り替える。
「問題は人数の少なさだな」
「僕たちは11人。相手は100人以上。劣勢ですね」
「これから敵側につくヤツもいるだろうしな」
敗色濃厚な魔導師側を見て、「白の十一天」に味方する者は確実にいるだろう。そうすれば、ただえさえ人数の少ない第5研究所は勝ち目がなくなってしまう。
「なら奇襲ですかね。あえて二手に分かれるとか……」
人数が少ないのに、さらに少なくなるような真似は普通ならしないはず。天音はそう考えて提案してみた。
「分けるとして、お前ならどうする?」
「あ、え、ええと……」
はるかとかなたは離れられない。固有魔導を使うことを考えると恭平と由紀奈は同じチームにいないといけない。由紀奈はあくまで看護師なので、医師である雅が共にいる必要がある。零と夏希、天音は狙われているのでできれば分散させたい。
「む、難しいですね……」
「あぁ。だからいっそ、奇襲してくるだろうっつう相手の考えの裏をかいて、正面突破する」
「正面突破!?」
「んで、そっからは各自戦闘だ。作戦らしい作戦とは言えねぇが、この人数じゃできるコトも少ねぇからな」
「なら、夏希が防御魔導を破壊後、順に乗り込みましょう。僕は殿を務めます」
「だな。ひとまず、魔導考古学省がどう動くか見ようぜ。それまで仮眠とっとけ。万全の状態で戦えるようにしとけよ」
そう言うと、夏希は立ち上がった。つられて、全員が立つ。
「こういうとき言うのはやっぱあれッスよね?」
「そうですね」
葵と透が笑い、皆が頷く。そのまま夏希以外の全員が胸に手を当てて一礼し、あの台詞を口にする。
「女王陛下の仰せのままに!」
ぴったりと揃った声が、食堂に響いた。
「僕は妹と……一花と、戦わなくてはいけません。貴女が死ぬなんて、僕は耐えられない」
「……あたしだってそうだ。戦う」
「他の子を巻き込むわけにはいきませんから。安全な場所に逃げてもらいましょう」
「そうだな……国外なら安全だろ」
「は? 何言ってんの」
様子を見に来ていたのだろう。壁にもたれかかっていた恭平が、心底馬鹿にした口調で言った。
「オレらだって戦うに決まってる」
「2人が死ぬなんておかしい」
「天音が捕まるのもおかしい」
扉から顔を覗かせた双子が恭平に続いた。背後では、何やら怪しげな機械を準備している葵と、それを止めない透が見える。和馬は厨房に籠り、食事を作っていた。雅と由紀奈は大量の包帯やガーゼを用意し、天音はあちこち本をひっくり返して魔導の復習をしている。
「皆、戦う気マンマンッスよ!」
「逃げたりなんてしません」
「2人で背負わないでください」
「わらわを除け者にしようなど、1000年早いわ!」
「私を置いていくのもっ、1000年早いです……っ!」
「皆、お2人の味方です」
皆の声を聞くなり、夏希は凄まじい勢いで目を瞑って俯いた。そうしないと、また涙がこぼれそうだったから。
「お前ら……バカじゃねぇの……」
「バカでもいい」
「いいから、死のうとしないで」
双子が零と夏希、それぞれを押して、食堂の席に座らせた。
「まずは、体力と魔力を回復させましょう。戦うのは、それからでいいはずです」
全員の好物を用意した和馬が、テーブルいっぱいに皿を並べていく。それぞれが定位置に座って、「いただきます」の号令と共にあちこちから箸が伸ばされた。
「……僕たちも、食べましょうか」
「……あぁ」
少し遅れて、2人も箸を取った。
テーブルに置かれた皿が全て空になり、片付けられたころ。魔力回復効果のあるハーブティーを飲みながら、一同は作戦会議を行っていた。
「ここ以外の国立研究所はもうダメだな」
「ですね……」
輝夜以外の所長と副所長が裏切ったとなると、研究所は「白の十一天」に支配されていてもおかしくない。
「私設の研究所はどうでしょう?」
「多分、そこは狙われてる」
「どこにいるんでしょうね……」
首を傾げながら天音がうんうん唸っていると、夏希がポツリと呟いた。
「第1研究所」
「え?」
「第1だ、いるならそこしかねぇ」
「なんで断言できるんですか?」
「あそこなら魔導考古学省とも近い。それに、研究発表会の会場から瞬間移動の術で着く」
瞬間移動は便利だが、移動できる範囲が狭いという欠点がある。もちろん、近くにいると見せかけて遠くまで逃げたという可能性もあるが、地方には博物館も私設の研究所も少ないので、正しいように思えた。
「それに、あそこは……」
「僕たちにとって始まりの場所であり、忌まわしき場所でもあります。一花が選んでもおかしくない」
「つ、つまり、私たちは第1研究所の防御魔導を突破しないといけないんですか!?」
由紀奈が絶叫した。この国の最高峰、第1研究所には、ありとあらゆる防御魔導がかけられている。侵入することは不可能だと言われているほどだ。
「忘れたのか? あたしは『破壊の星の子』、そんなモン、3秒ありゃ壊せる」
「よっ、さすが『純白の破壊者』!」
「葵、お前よくも!」
「いやあ、よく似合ってるッスよ!」
けらけら笑う葵の脇腹に、透の肘鉄が入った。手加減はされているとは思うが痛そうだ。
「うぐっ……」
「お話、続けてください」
「おう……」
若干引いた顔をした夏希が、静かに返事をした。軽く息をついて切り替える。
「問題は人数の少なさだな」
「僕たちは11人。相手は100人以上。劣勢ですね」
「これから敵側につくヤツもいるだろうしな」
敗色濃厚な魔導師側を見て、「白の十一天」に味方する者は確実にいるだろう。そうすれば、ただえさえ人数の少ない第5研究所は勝ち目がなくなってしまう。
「なら奇襲ですかね。あえて二手に分かれるとか……」
人数が少ないのに、さらに少なくなるような真似は普通ならしないはず。天音はそう考えて提案してみた。
「分けるとして、お前ならどうする?」
「あ、え、ええと……」
はるかとかなたは離れられない。固有魔導を使うことを考えると恭平と由紀奈は同じチームにいないといけない。由紀奈はあくまで看護師なので、医師である雅が共にいる必要がある。零と夏希、天音は狙われているのでできれば分散させたい。
「む、難しいですね……」
「あぁ。だからいっそ、奇襲してくるだろうっつう相手の考えの裏をかいて、正面突破する」
「正面突破!?」
「んで、そっからは各自戦闘だ。作戦らしい作戦とは言えねぇが、この人数じゃできるコトも少ねぇからな」
「なら、夏希が防御魔導を破壊後、順に乗り込みましょう。僕は殿を務めます」
「だな。ひとまず、魔導考古学省がどう動くか見ようぜ。それまで仮眠とっとけ。万全の状態で戦えるようにしとけよ」
そう言うと、夏希は立ち上がった。つられて、全員が立つ。
「こういうとき言うのはやっぱあれッスよね?」
「そうですね」
葵と透が笑い、皆が頷く。そのまま夏希以外の全員が胸に手を当てて一礼し、あの台詞を口にする。
「女王陛下の仰せのままに!」
ぴったりと揃った声が、食堂に響いた。
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