自然と世界は廻る

已己已巳己

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第二十六話 繰り返すとされる人類と関係のある祭

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村の人 まあ…話に戻るか。どっかからの言い伝えでな、実はこの世界はループしているんだって言われていてな。
百鬼 え!じゃあもう1人の私に会えるかもしれないってこと!?
村の人 そんな数年に1回とかの話じゃあないよ。もう少しわかりやすく言うと、俺たち人類や生物は、生まれて繁殖するが、いづれは絶滅するんだ。だがそこから幾年いくねんが経って再び同じかそれに近い形で復活する。その影響で元々使われていた言語や習慣がリセットされるんだ。
百鬼 あー、なるほど!
村の人 だがこれと祭りに何の関係があるんだって話だろ?ここで重要なのが、そのリセットされる周期の話だ。これが長ければ長いほどこの世界の気象や人類の生まれる場所が異なりやすくなるんだが、ここで言い伝えの1つに、今俺らが使っているこの言語は1つ前の人類の発明した言語なのではないかということなんだ。
百鬼 あー、なるほど!
 みなもは先ほどと同じ口調でそう言った。
錫谷 じゃあ、もしその言語が本当に1つ前の人類の使っていたものだとしたなら、そのリセットの周期が近くなったってことですか?
村の人 ああ、だがもちろん1つ前の人類は絶滅したはずだ。ならなぜそんなことが仮説として立てられるのか。それもいくつか理由があるんだ。1つ目としては、ここから南の方向によくある石の建造物が証拠になる。
桜木 私たちが来た方向ですね。
 鈴音はふと思い出したようにそう言った。
葉月 確かに、あの建造物は自然にできたものじゃなさそうだよね。戦争の跡地とか、紛争の残骸ざんがいだと勝手に解釈してたかも!
村の人 いや、もちろん確証はないぜ。だが石の建造物ってのは、木や鉄の素材よりも自然に還りにくいんだ。というか段違いって程にな。
灰白 そうなんですかー!へーー!
村の人 いづれすべては土に還るとはよく言ったもんだが、石でできたものはそのほかの人工物が土に還りきった約1万年後にも、当時とほとんど変わらずに存在し続けるんだ。
百鬼 あー、なるほど!
葉月 みなも、分からなかったら無理せんでいいんよ…
百鬼 あ、ばれた?w
岩田 1万年か、あんまり想像つかないな…
村の人 まあ無理もないだろう。だが実際、この数字でさえも世界にとってはあまりにも短い時間なんだ。だが物好きな奴はいるもんでな、その石の建造物を調査する団体みたいなもんが自然とできたわけだ。
葉月 面白くなってきましたなー!
村の人 そう、そこで見つかったんだよ。腐敗して今にも無くなりそうな金属の破片を。
 村の人は、少しずつスイッチが入っていくように話した。
灰白 え、じゃあ…!
錫谷 周期が1万年より前であることが決定されるってことになるのか…
村の人 正直俺も、その約1万年がどんな理由でその数になっているのか詳しく知っているわけではないが、俺にそのことを教えてくれた爺さんは、本来の人類の生まれる周期は滅亡してから少なくとも、約600万年はかかるだろうと言い続けていてな。
桜木 そのおじいさんに話を聞いてみたいけど、それより前に、私としてはここからお祭りの話に繋がるように感じられないのだけれど…
村の人 そうだな、少し回り道をしすぎたな。俺が言いたかったのは、そのリセットの周期が短くなることの証明は、本来の世界の道理が狂いだしていることに繋がってくるということだ。
錫谷 俺たちの使っているこの言語が、元々はその金属を使っていた人類のものだったとしたら、具体的に俺らはどうなるんですか?
葉月 実害があるようには思えないよねー。
 話す勇紀の方を向いて彩里はそう言った。
村の人 ここで初めに言った俺たちが話せることが当たり前であるというはずの認識にもつながるんだ。石の建造物関係の研究が始まったのはつい最近からの話で、元は生まれてくる子供の言語習得率がどんどん悪くなってきたことが発端ほったんだったんだ。
桜木 私達が生まれてからってことですか?
村の人 いや、みんなはまだ子供だろうけど、君たちが生まれたあたりで始まった大戦争が始まるよりも前から問題になりつつあったんだ。だがこの通りの現状で、それに触れてる時間も余裕もなくなって研究はストップされたんだ。そっからは何も進展はないまま今までの時間を流れてしまったってことさ。もしかしたらここから先の未来は、子供が話せるだけで優位に立つことができる世界が来るのかもしれないな。
錫谷 俺らが歳をとった後の世界にそれが来るかもってことのヤバさってことか。
村の人 それもある。だが俺らがここのお祭りを開く理由としてはまだ理由はある。何せ俺らの祭っている神は、神話に出てくる太陽の神だからな。
葉月 神ってのがいるんですかー。
 彩里はあまり理解できずにそう言った。
村の人 …?ああ、祭りも知らなきゃ神も知らないか。まあその辺は割愛かつあいかな。言ってしまえば、その神ならこの問題を解決してくれるかもしれないといった先代からずっと続いてきた儀式がこれってわけだ。
錫谷 改めると、人類のリセット周期が速くなってきていることに連れて、言語が話せない、つまりは人類の衰退すいたいが見えてきたから、それを解決するために太陽の神を祭ってるってことですか?
 勇紀は頭を整理させながらそう言った。
村の人 そうっちゃそうなんだが、大事なのはもう1つある。それは、周期が短くなった先の、その距離がゼロになった時だ。つまり可能性としては今生きている自分たちの人類と、次の人類と共存する可能性が出てくるってことだ。
百鬼 え!じゃあもう1人の私に会えるってことじゃないの!?
 みなもは再び目を輝かせてそう言った。
村の人 ループの基準は不確定な要素に変わりはないが、歴史は繰り返すというのなら、その可能性も捨てきれないな。だがこれにも問題点はある。同じや似ている人類がしてきたこと同士がぶつかるのは、歴史上の齟齬そごが生じてしまう可能性があるんだ。
百鬼 あー…わからん!
葉月 分かった!流れている今自分たちが生きている人類の歴史と、新しく始まった人類の歴史は、時間は一緒でも、繰り返そうとしている最中に順当に起こっていた今の自分達を作る歴史を、次生まれる人類は今いる人類によってその歴史を邪魔されるってことですな!だから滅亡しない世界や今じゃ考えられないような新しい何かが起こってしまうってことですか!
村の人 だいたいはそんな感じだな!俺も最初はさっきの子みたいに、そういったオカルト的な話はあまり信じないタイプだったんだ。だがそれが俺の生きているうちのいつしかに来るとしたなら、少し興味がわいてな。
桜木 まあ、千聖は単純に怖がってるだけなんですけどね…
岩田 ってか、お祭りに対してやけに詳しいですね。そんな興味なかったんじゃないんですか。
 進は不思議そうにそう尋ねた。
村の人 まあ、さっき言った話にもなるんだが、俺が興味を引いたその話を聞いたあたりに、ちょうどそれを解明しようとして動こうとしていた団体、いわば石の建造物についての団体の話が流れてきてな、そんときはそこに所属していたからな。
灰白 おおびっくり!
葉月 どおりでいろいろ知ってたわけですかー!!
村の人 まあな…そうだ、せっかくだからみんなも祭りに来ないか?一緒にはまわれないかもだが、雰囲気を楽しむのも一興だぞ!
百鬼 えー行きたいー!!
 そう言いながらみなもは瞬時に後ろを向いて5人の方を向いた。
葉月 ぜひとも行きたいです!!
桜木 そうね、今いない2人もいたら行きたいって言ってるでしょうし。
萩原 呼んだー?ってか…あいつ、なんなの?速すぎ…
 鈴音が話す中、そこに疲れ切った千聖と瞬太が戻ってきた。
相馬 ただいまー!
岩田 勇紀も、大丈夫そうか?
錫谷 もちろん、俺はついてきてる身だからみんなに合わせるさ。
葉月 まあそういわずにさー!
相馬 え、なんの話?
灰白 お祭りにみんなで行こって話をしてたんだよー!
萩原 え!何それ楽しそう!やったー!
 千聖は先ほどまでの疲れをものともしないような元気な声でそう言った。
村の人 それなら…おっと。
村の人 宿とれたぞー!
 村の人は宿を取りに行った人が返ってくるのを見つけ、話を途中で切った。
葉月 お!本当ですか!!
村の人 宿屋側に話を持ち掛けたら、倒産させる予定だったからって、最後にお客さんを見つけられて喜んでたぞ。もちろん、お代はいらないってさ。よかったな!
相馬 よぉー!!
萩原 今日めっちゃ動いたから疲れたー!!早くいこー!!
錫谷 そうだな。すみません、わざわざありがとうございます。
村の人 こっちとしても外部からの人は久しぶりだから、歓迎するよ!俺が言うことじゃないかもしれんが、ゆっくりしていってくれ。
葉月・灰白 ありがとうございます!
桜木 …
萩原 どうしたん鈴音、いこー!
桜木 …そうね。
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