学校転移﹣ひとりぼっちの挑戦者﹣

空碧

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30話 魔法を目指して③

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「まず、最初に説明しておく。魔法についての話だから今は分からずとも、頭には入れておくように」
「え、ええ」
「魔法というのは、その属性によって生み出される現象の再現性のことを指すもので、魔力に性質を与えて具現化することを魔法という。
例えば、自身の魔力に水の性質を与えれば水魔法として発動することが出来る」

そう言って彼は彼女の前に水の玉を作り出した。

「とは言っても、水魔法で飲み水を出すにはここから更にイメージと魔力変換が必要になってくる。まぁ、そこら辺は魔力操作を覚えたらおいおい出来るようになるはずだ。ここまではいいな?」
「ええ」
「魔力を扱うにあたり、体内の魔力をまずは開花させる必要がある。この世界にきた時に肉体が適応したからか、俺たちにも体内にコアが存在していて、それは心臓部に存在している。そのコアから魔力を巡らせ、性質を与えて体外に放出することで初めて魔法が発動する」
「なら、今からするのはそのコアを動かすこと?」
「ああ」
「えっと…わ、私も抱きつかなくちゃいけない?」
《人間の雄は肉体が分厚い。特に、そこに居る海堂がいい例だな。魔力回路ができたとはいえ、体外から魔力回路を連結するにはその肉体が邪魔をするが、人間の雌の場合は肉体が薄いため、背中から操作することが可能だ》
「後ろを向け。背中から動かしてやる。まずは魔力感知からだ。海堂の方は、ひとまず魔力操作の続きを練習しておいてくれ」
「ああ」
「それじゃあ、今からコアを動かして魔力回路を全身に連結させ、暫く体内を循環させるから、その間に魔力の感覚を掴め」
「わ、わかったわ」

背中から心臓部に近い位置に手を置き、魔力を体内へ流し込む。そして、心臓部のコアを見つけるとそこから少しずつ全身に魔力を巡らせていく。

「ん、なんか暖かい…」
「それが魔力だ。この時点で感知できるなら、魔法の才能はある方だな。まだレベル上げもあまり出来ずに魔力感知も魔力操作も獲得していないみたいだしな。少なくとも海堂よりかは才能がある」
「ひでぇな」
「あ、少し分かってきたかも…自分でやってみてもいい?」
「もう少し待て、体内の魔力回路と大概への魔力放出まで出来るように回路を組み込む」
「わ、わかったわ」

そこから数分後、無事に彼女も魔力回路が完成した。

「よし、完成だ。魔力放出は外部に影響を与える可能性もあるから、当分は1人でやらずに誰か1人は護衛に置いておけ。海堂の方は…まだ練習が必要だが、及第点ってところか。宮、だったか。今のレベルは…まだ1か、となるとSPはまだ開放されていないな。ふぅむ…よし、明日また2人でここへ来い。ついでだ、お前のレベル上げもしてやる。
海堂は今から屋上へ行くぞ」
「あ?ああ、どうしたんだ?」
「言っただろう、風の魔力を使ってお前の属性を開花させると。できれば火の方が良いだろうが、ここらに火の魔力はあまりなくてな。今度木材でも集めて焚き火でもすればできるだろう」
「私も行っていい?」
「構わんが、魔力を取り込んで体内に入れる作業は見ててつまらんぞ」
「屋上からの景色も見ておきたいし大丈夫」
「そうか、なら全員で行こう」
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