誰にも言えない初恋

山本未来

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赤い糸伝説

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彼女が海外に出発する日

僕は自宅で彼女が来てくれると信じて

朝からずっと待っていた


彼女が来る確率は1%

最後に会った日に僕の想いは伝えたけれど

内心、無理だと言う事は分かったし

彼女の色々な理由もよく分かるから、、


そんなに簡単に離婚は出来ない事

全てを捨てて僕の所に来るのは

相当の勇気がいる事も、、


でも1%の確率でも僕は信じてみようと思った


彼女から海外に行くと聞いてから

僕は彼女にプロポーズしようと思い

高価ではないけれど指輪を百貨店で

購入していた


もし彼女が来てくれたら渡すつもりだ

そして彼女の裸体をよく書いていたけれど

今、彼女のとても可愛い笑顔の絵を書いている


いつも彼女の優しい笑顔に救われていた僕

だから最高に可愛い絵に仕上げて

指輪と一緒に渡すつもりだ、、


時間はあっという間に経ち

彼女が来る気配は全くなかった、、


彼女の笑顔に助けられた日々、、


初めてキスした日、、


愛し合った日々、、


花火に囲まれてキスした事、、


恋人岬で永遠の愛を誓った事、、



沢山の出来事が走馬灯のように

僕の頭を駆け巡った、、、



『やっぱり無理だったな、、

でも、僕の想いは全て伝えたし、、

精一杯頑張った、、

涙も枯れる位流した、、

後は彼女の幸せ願おう、、

でも、、

どうしてか分からないけれど

これが最後とは思えない、、

心は繋がっているから

いつかまた会える気がする、、』


僕はそんな気がした


そして彼女はやはり来る事はなかった、


僕は一番失いたくないものを一瞬で失くした、、

だけど僕達が愛しあった日々は

永遠に残る、、


だからこれからも生きて行けるような

気がした、、


生きていかないと彼女が悲しむと思った、、




あれからもう3年が過ぎた

あれからも彼女がいつも心にいたし

何故だか寂しくなかった、、


会いたい気持ちはあったけれど

心が諦めていた、、


職場で知り合った女性に告白され

付き合ったりもした

だけどやっぱり彼女以上に愛する事は

出来なくて一年で別れて


今は一人で頑張っている


何ヶ月か前にBXのライブの申し込みをして

当選した僕は、今からライブ会場に向かう

回りにBXファンがいない為一人で参戦

でも初めてのライブなので

とてもワクワクしていた


会場に30分前に到着し時間があるので

スマホをいじっていた


まだ会場の席は埋まってなくて

僕の両隣も空いていた


『早く始まらないかな~

今日は日頃のストレスを発散さすぞ~』


僕はスマホを見つめながらそう思った


しばらくすると僕の左隣に誰かがやって来た



「もしかして翔くん!!」


その女性は僕の顔を覗き込むように言った

僕は顔を上げその女性を見て驚いた



「加奈子!!」


「やっぱり翔くんだ!!

こんな所で合うなんて、、

夢じゃないよね、、」


彼女はまん丸な目で優しい変わらない笑顔で

僕を見つめた


「翔くん一人で来たの?」


「うん!一人で来た

初めてのライブ参戦なんだ!

加奈子も一人?」


「そう!最近ストレス溜まっていたから

スッキリしたくて来たんだけど

まさか翔くんに会えるなんてね!

こんな不思議な事あるんだね、、

やっぱり私達、赤い糸で繋がっている

感じだね!!」


僕達は微笑み合った


「実はね、、

去年主人が交通事故で亡くなって、、

私も玲奈もかなり落ち込んだけど

やっと立ち直って

今は日本で玲奈と二人で頑張ってる、、」


「そうだったんだ、、

大変だったな、、」



そんな話しをしているとライブが開演し

爆音が会場に轟き渡った



「あっ!始まる、、

翔くん燃えつきようね!!」


僕達は見つめ合い


次々に流れる曲に合わせて

手拍子したり曲に合わせて踊ったりした



そして僕達が好きな曲「ALONE」が流れた


「翔くん!!ALONEだよ!!」


彼女がそう言うと


会場は暗めになり静かに曲が流れた



曲の途中で僕達はどちらともなく

手を繋合っていた


そしてじっと見つめあった、、


まるで僕達の事を歌っているような歌詞、、


そう、、


僕達は巡り合う為に生まれたんだ、、


彼女に再会出来た喜び、、


彼女の笑顔をまた見れた事、、


そして彼女にまた触れる事が出来た事、、


僕は最高に嬉しかった、、



ライブが終わり僕達は会場の出口を出た


「翔くん!ライブ最高だったね!

翔くんと隣でライブ見れて今日は

最高の日だったな~

夢見たいな日だったよ~

翔くん、、

とってもしっかりした顔になったね!

本当にかっこいいよ!」



彼女は笑顔で僕を見つめてそう言った


「加奈子も変わらない!

あの頃と一緒だよ!」


僕達は指と指を絡めて強く握り合った


僕はこの再会は運命だと信じる、、


そしていつかあの日渡せなかった指輪と


僕が描いた加奈子の笑顔の絵を渡そう


僕はそう心に決めた


僕の人生には沢山の悲しみや

幸せがあった


まだまたこれからも沢山の出来事があるだろう

だけどどんな事が起こっても僕は乗り越える

その側に彼女がいてくれる事を願って、、


僕は駅までの道のりを彼女と歩いた


彼女に沢山励ましてもらった事、、

激しく愛し合った事、、

全てが今の僕を作ってくれたんだから、、


愛する事の喜び、切なさ、苦しさ、、

僕は彼女に出会えたから

知る事が出来たんだから、、


僕も少しは大人になったかな?!

そんな事を思っていると


「今度恋人岬行って2人で書いた相合傘

ちゃんと残ってるか確認に行こう!!」


彼女ははしゃいで僕の手を引っ張ると


「翔くん!早く!、早く!」

と駅に向かって走り出した


真夏の夜はとても暑かったけれど

時折風が吹いて僕達を包んだ



僕達はきっと赤い糸で結ばれる


いつかその日が来る事を僕は信じた、、




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