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幸せを世界に
嬉しい
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フィレント王国から帰ってきて早々にいろいろ事件があり、やっと一息ついた僕たちは平和な毎日を過ごしていた。
今日は実1月第1空の日。アイザックさんから先月は授からなかったと連絡が来ていた。今月もまた頑張ると意気込んでいたため、オリーと相談して精力増強の食べ物をアイザックさんに送った。割と喜んでくれて、またやつれたアイザックさんになるのかと心配しながらも経過を見守ることになった。
ペネロペさんは兄さんと文通を始めたそうだ。自分だけ魔法を使うのは楽しくないと言ってお互いに手紙を出し合っている。届く手紙はペネロペさんの宝物のようで、嬉しそうに手紙を抱きしめている姿を時折見かけるようになった。
のんびりと過ごして、学園生活を送っているとあっという間に1ヶ月が経ってしまった。魔力枯渇に陥る生徒もいない、授業に参加する生徒も徐々に減り僕とオリーは暇を持て余していた。
「暇だね」
「そうだな。だが、王国に戻ったら忙しくなる。それまでの休暇だと思えばいい」
「そうだけどさ。生徒も来ないし、この部署の存在意義がないような気がするよ。給料泥棒になってないかな」
「おっさんが必要だと思ってるなら問題ないだろ」
オリーはデスクの上で何かをいじりながら僕に返事を返していた。僕はその様子をボーッとしながらながめていると、窓からニョロニョロと黒蛇がやってきた。
[月モノが来ないとハンナが言っています。まだ、子がいるか確認は取れていません。来週あたりに判断できるそうです]
それだけ言うと黒蛇はスゥッと消えていった。僕はポカンっとしたまま黒蛇がいた場所を眺めてから、勢いよく立ち上がった。
「オリー!聞いた!?」
「ああ」
何かをいじりながら生返事をするオリーの頭を僕はペチペチと叩いて目線をこちらに向けさせた。
「来週、判明したら、どうする!?」
「…判明?」
「だから、アイザックさん達の子供!!」
「……できたのか!?」
「ああ、もう!聞いてなかったな!子供ができたかもって。来週にはわかるってさ」
「っっ!!」
オリーは目を見開くとガタッと音を立てて立ち上がった。そして僕の両脇に手を入れると軽々と持ち上げてそのままクルクルと回り始めた。
「やった、やったぞ!」
「うわ、わわ。まだわかんないんだよ!?うわぁぁ!オリー!!!」
「やった、やったぞ!!」
オリーは興奮しているのか、離して欲しいと暴れている僕に気がつかずクルクルと回った。気がすむまで回り続けてやっと床におろしてもらえた頃には、僕はグッタリしていた。
「す、すまん」
「ぅうう。もう…嬉しいのはわかるけど興奮しすぎだよ」
クラクラする頭を押さえて椅子に座ると、オリーもデスクの椅子に座った。
「あの2人で子供ができたなら、成功と言っても間違いないな」
「まぁ、そうだね」
オリーはそれだけ言うと何かを噛み締めたような顔になって作業の続きを始めた。僕は頭を押さえながらも、その様子を眺めた。
次の週。ハンナさんは懐妊したと連絡が来た。
僕達の研究は大成功という結果になった。
子供ができず悲しむ夫婦が減る
第二の聖女マイカを生み出さなくて済む
この2点はオリーの悲願でもあった。オリーはアイザックさんからの連絡を聞いてから、嬉しくて嬉しくて涙をポロポロとながして、聖女マイカの魔力石を抱きしめた。
今日は実1月第1空の日。アイザックさんから先月は授からなかったと連絡が来ていた。今月もまた頑張ると意気込んでいたため、オリーと相談して精力増強の食べ物をアイザックさんに送った。割と喜んでくれて、またやつれたアイザックさんになるのかと心配しながらも経過を見守ることになった。
ペネロペさんは兄さんと文通を始めたそうだ。自分だけ魔法を使うのは楽しくないと言ってお互いに手紙を出し合っている。届く手紙はペネロペさんの宝物のようで、嬉しそうに手紙を抱きしめている姿を時折見かけるようになった。
のんびりと過ごして、学園生活を送っているとあっという間に1ヶ月が経ってしまった。魔力枯渇に陥る生徒もいない、授業に参加する生徒も徐々に減り僕とオリーは暇を持て余していた。
「暇だね」
「そうだな。だが、王国に戻ったら忙しくなる。それまでの休暇だと思えばいい」
「そうだけどさ。生徒も来ないし、この部署の存在意義がないような気がするよ。給料泥棒になってないかな」
「おっさんが必要だと思ってるなら問題ないだろ」
オリーはデスクの上で何かをいじりながら僕に返事を返していた。僕はその様子をボーッとしながらながめていると、窓からニョロニョロと黒蛇がやってきた。
[月モノが来ないとハンナが言っています。まだ、子がいるか確認は取れていません。来週あたりに判断できるそうです]
それだけ言うと黒蛇はスゥッと消えていった。僕はポカンっとしたまま黒蛇がいた場所を眺めてから、勢いよく立ち上がった。
「オリー!聞いた!?」
「ああ」
何かをいじりながら生返事をするオリーの頭を僕はペチペチと叩いて目線をこちらに向けさせた。
「来週、判明したら、どうする!?」
「…判明?」
「だから、アイザックさん達の子供!!」
「……できたのか!?」
「ああ、もう!聞いてなかったな!子供ができたかもって。来週にはわかるってさ」
「っっ!!」
オリーは目を見開くとガタッと音を立てて立ち上がった。そして僕の両脇に手を入れると軽々と持ち上げてそのままクルクルと回り始めた。
「やった、やったぞ!」
「うわ、わわ。まだわかんないんだよ!?うわぁぁ!オリー!!!」
「やった、やったぞ!!」
オリーは興奮しているのか、離して欲しいと暴れている僕に気がつかずクルクルと回った。気がすむまで回り続けてやっと床におろしてもらえた頃には、僕はグッタリしていた。
「す、すまん」
「ぅうう。もう…嬉しいのはわかるけど興奮しすぎだよ」
クラクラする頭を押さえて椅子に座ると、オリーもデスクの椅子に座った。
「あの2人で子供ができたなら、成功と言っても間違いないな」
「まぁ、そうだね」
オリーはそれだけ言うと何かを噛み締めたような顔になって作業の続きを始めた。僕は頭を押さえながらも、その様子を眺めた。
次の週。ハンナさんは懐妊したと連絡が来た。
僕達の研究は大成功という結果になった。
子供ができず悲しむ夫婦が減る
第二の聖女マイカを生み出さなくて済む
この2点はオリーの悲願でもあった。オリーはアイザックさんからの連絡を聞いてから、嬉しくて嬉しくて涙をポロポロとながして、聖女マイカの魔力石を抱きしめた。
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