15 / 47
まだ旅は途中
ギャオオオオン!
しおりを挟む
「いーやぁぁぁぁあ!!」
「ガウッ(オラァッ)」
『ふふふ。なかなか切れ味の良い剣ですね』
只今、魔道具〈盾ソルくん〉を持って悲鳴を上げている私。久しぶりの魔獣狩りだと張り切って(?)自慢の爪を使うケイレブ。ニコニコの微笑みのまま踊るように剣を振るっているベルナール(人型)が迫り来るゴブリンのような魔獣と対峙中です。
はい、交戦中ですっ!
「ちょ、血が飛んできてる!」
「ガウッ(濡れてないならいいだろ)」
「よくないよくない!盾ソルくんに血溜まり付くの嫌だぁぁ」
魔獣(ゴブ野郎)は草むらから飛び出して全方向からやってきている。キィキキキとか変な声を出し涎を垂らして飛び出してくるのだ。臭い、そして臭い。
もう本当全方向はやめてほしい。私の討伐必須アイテム〈盾ソルくん〉は全方向防御には弱いのだ。何故かって?それは前世の世界にある傘をイメージしてもらえれば分かるでしょう!
ちなみに盾ソルくんは雨傘、日傘としても使えモードの切り替えで傘の色や素材が変わるのだ。まあ、これも私が作ったらなんか出来ちゃった、量産は出来ません!な魔道具の一つである。
自分でもその組み合わせでなぜ出来上がったのかさっぱりわからない。幸運だったとしか言えない。
スパッ、グシャッなどの効果音と共にゴブ野郎達の体の一部が血飛沫と共に飛んでいく。ケイレブは私の前方、ベルナールは後方を守るように奴らと対峙している。
ケイレブが私の前なのは、彼は引き裂くように倒すため血飛ばし認定一級保持者なためである。つまり後ろに居たら私はベッチャリコースだ。
2人は慣れた様子で切っては裂いて繰り返し、時折会話もして余裕ぶっている。私は必死に盾ソルくんでカードして攻撃が当たらないようにするのに精一杯だった。血も嫌だが涎アタックも嫌だ。
そもそも私は戦闘に参加する気はなかったのに、あれよあれよという間に参加が決まった。まあ、私が欲に釣られたのが悪い。
でもここに私がいるのは悪どい大人3人のせい!
戦闘が苦手な私に必須な盾ソルくんは、防御モードだと敵がぶつかりに来ると反動で相手を吹っ飛ばす機能がある。次にハンドルにあるボタンを押せば先端の突起(石突き)からビリビリッと雷属性攻撃ができる。しつこい敵には電撃攻撃で麻痺させ動けなくなったところを周りにやっつけてもらうのだ。
コレがあればある程度戦闘に参加はできるが…。前線ではなく、いつも通り後方にいたかった!しかも悪どいタイチョーズは盾ソルくんの素晴らしさをみて、作戦を少し変更したのだ。
この作戦も嫌だったのに!なんてひどい大人達!
戦闘好き(?)な残り2人は顔色も変えずに作業を続けている。2人で時折話している様子から、割と仲良くなっているようだ。
『それにしても思ったより数が多いですね』
「ガウガウ(確かになー。ちょいダル)」
『これは報酬が楽しみですね』
「ガウ!ガウガウ!(確かに!俺生肉が食べたい!)」
『いいですね。沢山稼いで市場の食材を買い占めましょう』
「ワオーン!(イェーイ!)」
「ちょっと!話してないで手を動かしなさいよっ。いやぁぁ!顔が飛んできたぁぁぁ」
楽しそうな2人に囲まれピィピィと悲鳴をあげている私。
なぜ、こんなことになったのか。
それはあの町に立ち寄ったのがもそもそも始まりだった。
ーーー
砂漠を抜け、隣国のガーバール国に辿り着いた私達は森へ向かうためあまり寄り道せずに進んだ。まず中心部の首都に向かうため、相変わらず街道を使わず険しい道を使って直線最短で向かった。
首都に着いた際には出店が沢山あって私の涎は滝のように流れた。が、ケイレブに物資の調達以外で寄り道はしないと怒られた。おかしい、ここは観光して特産品を食べるために来たはずなのに!
ケイレブにこっぴどく怒られ(ベルナールの件で結構不満が溜まってた)、渋々観光は諦めた。
が、シュシューはどうしてもどうしても食べたいと私が駄々をこね、呆れた顔のケイレブをよそに100個ほど購入。だって、前世のシュークリームそのまんまだったんですもの!甘いのは大事!!
しっかり収納にぶち込んで、日々の楽しみの一つにした。100個もあれば足りるはず、いや私だけが食べれば足りるはずだ。ケイレブには?あげなくてもいいんです!
で、買い物を済ませてオーバール国を横断するように進んだ。この国の魔獣の出現は他国より比較的少ない。故に観光国としても有名なのだ。
険しい道のりでも他の国よりスムーズに進んだ。
そして何事もなくあと少しで隣国に入る距離まで進んだ。私達は相談し、次は国が小さいため街道沿いではなく、山道を突き進み寄り道せずに進む事に決めた。
しばらく野宿になるし、少しゆっくりしようか。なんて3人で話し、この国で最後の物資補給のためにニポニテという名前の町に立ち寄った。
それが2日前だ。
《2日前》
「なんか、辛気臭い町ね。どうしたのかしら。観光客も少ないし…」
『本当ですね。市場も活気がありません』
「ベルナール。私達は買い物してくるから情報収集してきて」
『かしこまりました』
カラスに擬態しているベルナールは私の肩の上に乗っていた。そこから旅立っていくのを見届けて私は市場の道を歩いた。
ベルナールは移動中は並走して飛んでいるが、私がケイレブをケージポーチに入れ歩いてる時には肩に乗っている。初めはコイツを肩に乗せるのが嫌だったが、首都でシュシューを買うことが出来たのもベルナールがとりなしてくれたからだった。
意外と使える奴じゃん!と認識を改めた事で肩のりを許可した。耳元で話されるのはうるさいがシュシューの恩は大きいのだ。
「グルルル(なんか、臭いな)」
「ん?そう?」
野宿に必要なものを買い足しながら市場を歩いていると、ミニ狼ケイレブが前足で鼻を押さえていた。
「ガルル…(嗅いだ記憶があるような…)」
「私には全くわからないんだけど。とりあえずベルナールが戻るのを待ってからどうするか考えよ」
ある程度買い出しが終わったら、ベルナールを待つために近くの店に入った。観光国なだけあって観光客が一休みする空間や店が他の国よりも多い。
軽食と飲み物が出てくるカフェのような店は久しぶりだ。外の景色を眺めながら軽食を楽しめるテラス席に案内してもらうよう頼み、席にたどり着いて椅子に座ると私はメニューも見ずに店で1番甘いケーキと1番人気のお茶を頼んだ。
ケイレブはケージのまま机の上に置いた。ぬいぐるみ狼なので周りを怖がらせることもないだろう。疲れたなぁと2人でのんびりしながらケーキが届くのを待った。
この世界のお茶は前世の紅茶によく似た味だ。ただ色は真っ黒だ。まるでコーヒーのよう。コーヒーに似た味の飲み物もあるらしいが、まだ出会ったことはない。
店員さんがきてテーブルに品物が並べられると、ケイレブはクンクンッと鼻を動かしてからオエッとえずいた。甘いものが苦手なので甘ったるい匂いがするといつもこの反応だ。
そんなことは気にせずズビビッと音を出してお茶を飲んでいると、ベルナールが帰ってきた。コイツは私の所在を把握しているため何処に居ても帰ってくる。
パサパサッと音を立てて私の肩に乗ったベルナールは私達だけに聞こえる声で話し始めた。
『どうやら魔獣が頻繁に出没していようです』
「…普段よりどれくらいの多いの?」
『3倍以上かと』
「ガウッ!?(マジかよ!?)」
「討伐隊が討伐するにも手が足りていなさそうね」
魔獣の討伐は各国が定めた団体が行うのがこの世界の決まりだ。私の国であれば私やケイレブが率いていた戦闘隊。公国の戦闘部隊は治安維持部に分類され、他には警備隊や消防隊など公国民の安全を守る部署がある。
それも国によっては討伐組織と併用させていたりと、各国の治安については国によって考え方が違うのだ。
この国は国土も広いため各地域に国が運営している討伐組織から隊員が派遣されている。つまり騎士団のようなものだ。魔獣討伐専門の討伐組織は各地域の魔獣出現率によって派遣される隊員の規模が違うそうだ。
何故それを知ってるかって?そりゃあ、旅をする上で情報収集は大事なのでね、ふふん。
さて、話を戻すが二ポニテ所属の全隊員を出動させても追いつかない状態だとすれば、他から応援も来ているはずだ。それでも追いつかないほどであれば相当の数が出現していることになる。
私がふーむっと顎に手を当てて少し考えていると、ベルナールは片方の羽を広げて毛繕いをする真似をしながら話を続けた。
『出てくるのが人を襲って攫っていくゴブタイプのようです。それで狙われやすい幼い子供や女性が外を出歩けない状態のようですね』
「うわ、ゴブタイプってあのゴブリンよね。ヤダァ」
「ガウガウ(だから臭いんだな)」
ゴブタイプは前世のおとぎ話やファンタジー物語に出てくるゴブリンとよく似ている。
大人の人間の膝ほどの背丈。灰色の髪の毛。緑の体。知能は割とある。人間の子供が好物。女は犯す遊びに使う。そして臭い。口も体も臭い。常に涎を垂らしている。とにかく臭い。つまり臭い。
私が嫌いな魔獣ベスト3に入る奴らだ。
ゴブタイプの魔法を使う個体出現率は低い。いつも集団で襲ってきてギャーギャーすることが多い。武器は拾った剣や槍や棍棒など。防具も奪ったものを着ている事がある。
が、魔法を使う個体がいる場合は珍しい魔石が出る可能性が高い。個体の能力によっては何がでてくるかわからないが、希少な〈空間〉〈時間〉の2種類が出る可能性がないわけではないのだ。その2つは収納ポーチに使ってる石だ。
「魔石が出そうな個体はいそう?」
『可能性はあります。かなりの群れのようですし』
「ふーん。ベルナール、アンタは戦える?」
『剣さえ頂ければ』
「よし、よく切れるものを手に入れましょう」
「ガウ…ガウガウ(嫌な予感…もしかしてお前)」
顔を青ざめているケイレブに目線を向けてニヤッと笑えば、彼はプルルッと体を震わせた。
「やるわよ!!!!アンタらが!!!」
「ギャオオオオン(いやだぁぁぁあ)」
ケイレブがここまで嫌がるのには理由があった。それは旅に出てからというもの、私が魔石欲しさに群れている魔獣の住処に押し込んで遊ばせたことがあるからだ。
1匹で討伐するのはかなり疲れるようで、その遊びが終わるたびに涙を流していたケイレブ。少しトラウマになっているようだ。
扱いが酷い?いいえいいえ、彼の能力を錆びさせないためなのです。あとダラダラして太ってしまうのを防ぐためでございます。ついでに魔石をもらって魔道具を作るためなので、一石二鳥です。
ちょっとは悪い事したなぁとは思ってはいる。
が、思っているだけでケイレブの扱いを変える気持ちは正直ない私であった。まあ今回は1匹でやるのではないからいいでしょう!
「ガウッ(オラァッ)」
『ふふふ。なかなか切れ味の良い剣ですね』
只今、魔道具〈盾ソルくん〉を持って悲鳴を上げている私。久しぶりの魔獣狩りだと張り切って(?)自慢の爪を使うケイレブ。ニコニコの微笑みのまま踊るように剣を振るっているベルナール(人型)が迫り来るゴブリンのような魔獣と対峙中です。
はい、交戦中ですっ!
「ちょ、血が飛んできてる!」
「ガウッ(濡れてないならいいだろ)」
「よくないよくない!盾ソルくんに血溜まり付くの嫌だぁぁ」
魔獣(ゴブ野郎)は草むらから飛び出して全方向からやってきている。キィキキキとか変な声を出し涎を垂らして飛び出してくるのだ。臭い、そして臭い。
もう本当全方向はやめてほしい。私の討伐必須アイテム〈盾ソルくん〉は全方向防御には弱いのだ。何故かって?それは前世の世界にある傘をイメージしてもらえれば分かるでしょう!
ちなみに盾ソルくんは雨傘、日傘としても使えモードの切り替えで傘の色や素材が変わるのだ。まあ、これも私が作ったらなんか出来ちゃった、量産は出来ません!な魔道具の一つである。
自分でもその組み合わせでなぜ出来上がったのかさっぱりわからない。幸運だったとしか言えない。
スパッ、グシャッなどの効果音と共にゴブ野郎達の体の一部が血飛沫と共に飛んでいく。ケイレブは私の前方、ベルナールは後方を守るように奴らと対峙している。
ケイレブが私の前なのは、彼は引き裂くように倒すため血飛ばし認定一級保持者なためである。つまり後ろに居たら私はベッチャリコースだ。
2人は慣れた様子で切っては裂いて繰り返し、時折会話もして余裕ぶっている。私は必死に盾ソルくんでカードして攻撃が当たらないようにするのに精一杯だった。血も嫌だが涎アタックも嫌だ。
そもそも私は戦闘に参加する気はなかったのに、あれよあれよという間に参加が決まった。まあ、私が欲に釣られたのが悪い。
でもここに私がいるのは悪どい大人3人のせい!
戦闘が苦手な私に必須な盾ソルくんは、防御モードだと敵がぶつかりに来ると反動で相手を吹っ飛ばす機能がある。次にハンドルにあるボタンを押せば先端の突起(石突き)からビリビリッと雷属性攻撃ができる。しつこい敵には電撃攻撃で麻痺させ動けなくなったところを周りにやっつけてもらうのだ。
コレがあればある程度戦闘に参加はできるが…。前線ではなく、いつも通り後方にいたかった!しかも悪どいタイチョーズは盾ソルくんの素晴らしさをみて、作戦を少し変更したのだ。
この作戦も嫌だったのに!なんてひどい大人達!
戦闘好き(?)な残り2人は顔色も変えずに作業を続けている。2人で時折話している様子から、割と仲良くなっているようだ。
『それにしても思ったより数が多いですね』
「ガウガウ(確かになー。ちょいダル)」
『これは報酬が楽しみですね』
「ガウ!ガウガウ!(確かに!俺生肉が食べたい!)」
『いいですね。沢山稼いで市場の食材を買い占めましょう』
「ワオーン!(イェーイ!)」
「ちょっと!話してないで手を動かしなさいよっ。いやぁぁ!顔が飛んできたぁぁぁ」
楽しそうな2人に囲まれピィピィと悲鳴をあげている私。
なぜ、こんなことになったのか。
それはあの町に立ち寄ったのがもそもそも始まりだった。
ーーー
砂漠を抜け、隣国のガーバール国に辿り着いた私達は森へ向かうためあまり寄り道せずに進んだ。まず中心部の首都に向かうため、相変わらず街道を使わず険しい道を使って直線最短で向かった。
首都に着いた際には出店が沢山あって私の涎は滝のように流れた。が、ケイレブに物資の調達以外で寄り道はしないと怒られた。おかしい、ここは観光して特産品を食べるために来たはずなのに!
ケイレブにこっぴどく怒られ(ベルナールの件で結構不満が溜まってた)、渋々観光は諦めた。
が、シュシューはどうしてもどうしても食べたいと私が駄々をこね、呆れた顔のケイレブをよそに100個ほど購入。だって、前世のシュークリームそのまんまだったんですもの!甘いのは大事!!
しっかり収納にぶち込んで、日々の楽しみの一つにした。100個もあれば足りるはず、いや私だけが食べれば足りるはずだ。ケイレブには?あげなくてもいいんです!
で、買い物を済ませてオーバール国を横断するように進んだ。この国の魔獣の出現は他国より比較的少ない。故に観光国としても有名なのだ。
険しい道のりでも他の国よりスムーズに進んだ。
そして何事もなくあと少しで隣国に入る距離まで進んだ。私達は相談し、次は国が小さいため街道沿いではなく、山道を突き進み寄り道せずに進む事に決めた。
しばらく野宿になるし、少しゆっくりしようか。なんて3人で話し、この国で最後の物資補給のためにニポニテという名前の町に立ち寄った。
それが2日前だ。
《2日前》
「なんか、辛気臭い町ね。どうしたのかしら。観光客も少ないし…」
『本当ですね。市場も活気がありません』
「ベルナール。私達は買い物してくるから情報収集してきて」
『かしこまりました』
カラスに擬態しているベルナールは私の肩の上に乗っていた。そこから旅立っていくのを見届けて私は市場の道を歩いた。
ベルナールは移動中は並走して飛んでいるが、私がケイレブをケージポーチに入れ歩いてる時には肩に乗っている。初めはコイツを肩に乗せるのが嫌だったが、首都でシュシューを買うことが出来たのもベルナールがとりなしてくれたからだった。
意外と使える奴じゃん!と認識を改めた事で肩のりを許可した。耳元で話されるのはうるさいがシュシューの恩は大きいのだ。
「グルルル(なんか、臭いな)」
「ん?そう?」
野宿に必要なものを買い足しながら市場を歩いていると、ミニ狼ケイレブが前足で鼻を押さえていた。
「ガルル…(嗅いだ記憶があるような…)」
「私には全くわからないんだけど。とりあえずベルナールが戻るのを待ってからどうするか考えよ」
ある程度買い出しが終わったら、ベルナールを待つために近くの店に入った。観光国なだけあって観光客が一休みする空間や店が他の国よりも多い。
軽食と飲み物が出てくるカフェのような店は久しぶりだ。外の景色を眺めながら軽食を楽しめるテラス席に案内してもらうよう頼み、席にたどり着いて椅子に座ると私はメニューも見ずに店で1番甘いケーキと1番人気のお茶を頼んだ。
ケイレブはケージのまま机の上に置いた。ぬいぐるみ狼なので周りを怖がらせることもないだろう。疲れたなぁと2人でのんびりしながらケーキが届くのを待った。
この世界のお茶は前世の紅茶によく似た味だ。ただ色は真っ黒だ。まるでコーヒーのよう。コーヒーに似た味の飲み物もあるらしいが、まだ出会ったことはない。
店員さんがきてテーブルに品物が並べられると、ケイレブはクンクンッと鼻を動かしてからオエッとえずいた。甘いものが苦手なので甘ったるい匂いがするといつもこの反応だ。
そんなことは気にせずズビビッと音を出してお茶を飲んでいると、ベルナールが帰ってきた。コイツは私の所在を把握しているため何処に居ても帰ってくる。
パサパサッと音を立てて私の肩に乗ったベルナールは私達だけに聞こえる声で話し始めた。
『どうやら魔獣が頻繁に出没していようです』
「…普段よりどれくらいの多いの?」
『3倍以上かと』
「ガウッ!?(マジかよ!?)」
「討伐隊が討伐するにも手が足りていなさそうね」
魔獣の討伐は各国が定めた団体が行うのがこの世界の決まりだ。私の国であれば私やケイレブが率いていた戦闘隊。公国の戦闘部隊は治安維持部に分類され、他には警備隊や消防隊など公国民の安全を守る部署がある。
それも国によっては討伐組織と併用させていたりと、各国の治安については国によって考え方が違うのだ。
この国は国土も広いため各地域に国が運営している討伐組織から隊員が派遣されている。つまり騎士団のようなものだ。魔獣討伐専門の討伐組織は各地域の魔獣出現率によって派遣される隊員の規模が違うそうだ。
何故それを知ってるかって?そりゃあ、旅をする上で情報収集は大事なのでね、ふふん。
さて、話を戻すが二ポニテ所属の全隊員を出動させても追いつかない状態だとすれば、他から応援も来ているはずだ。それでも追いつかないほどであれば相当の数が出現していることになる。
私がふーむっと顎に手を当てて少し考えていると、ベルナールは片方の羽を広げて毛繕いをする真似をしながら話を続けた。
『出てくるのが人を襲って攫っていくゴブタイプのようです。それで狙われやすい幼い子供や女性が外を出歩けない状態のようですね』
「うわ、ゴブタイプってあのゴブリンよね。ヤダァ」
「ガウガウ(だから臭いんだな)」
ゴブタイプは前世のおとぎ話やファンタジー物語に出てくるゴブリンとよく似ている。
大人の人間の膝ほどの背丈。灰色の髪の毛。緑の体。知能は割とある。人間の子供が好物。女は犯す遊びに使う。そして臭い。口も体も臭い。常に涎を垂らしている。とにかく臭い。つまり臭い。
私が嫌いな魔獣ベスト3に入る奴らだ。
ゴブタイプの魔法を使う個体出現率は低い。いつも集団で襲ってきてギャーギャーすることが多い。武器は拾った剣や槍や棍棒など。防具も奪ったものを着ている事がある。
が、魔法を使う個体がいる場合は珍しい魔石が出る可能性が高い。個体の能力によっては何がでてくるかわからないが、希少な〈空間〉〈時間〉の2種類が出る可能性がないわけではないのだ。その2つは収納ポーチに使ってる石だ。
「魔石が出そうな個体はいそう?」
『可能性はあります。かなりの群れのようですし』
「ふーん。ベルナール、アンタは戦える?」
『剣さえ頂ければ』
「よし、よく切れるものを手に入れましょう」
「ガウ…ガウガウ(嫌な予感…もしかしてお前)」
顔を青ざめているケイレブに目線を向けてニヤッと笑えば、彼はプルルッと体を震わせた。
「やるわよ!!!!アンタらが!!!」
「ギャオオオオン(いやだぁぁぁあ)」
ケイレブがここまで嫌がるのには理由があった。それは旅に出てからというもの、私が魔石欲しさに群れている魔獣の住処に押し込んで遊ばせたことがあるからだ。
1匹で討伐するのはかなり疲れるようで、その遊びが終わるたびに涙を流していたケイレブ。少しトラウマになっているようだ。
扱いが酷い?いいえいいえ、彼の能力を錆びさせないためなのです。あとダラダラして太ってしまうのを防ぐためでございます。ついでに魔石をもらって魔道具を作るためなので、一石二鳥です。
ちょっとは悪い事したなぁとは思ってはいる。
が、思っているだけでケイレブの扱いを変える気持ちは正直ない私であった。まあ今回は1匹でやるのではないからいいでしょう!
11
あなたにおすすめの小説
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる