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これにてごめん
エピローグ?
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「サミュエル様。また変更されるのですか?」
「うん。呼びやすい名前の方があの子も過ごしやすいでしょ」
「そうですね」
珍しく机に向かって仕事をしている上司に目を向けたモリーは片手でメガネの位置を整えてから、彼が今必要な資料をそっと彼の机に置いた。
「現在まで使われていた呼称の種類です。変更中の呼称以外にも以前変更された箇所も記載されております」
「ん!ありがと。えーっと、ベアは熊に変えたし、うんと。あとはカウと牛っと」
もらった資料を参考にしながら、彼は【世界】の書き換えを続けた。
「今回の任期は100年でよろしいでしょうか」
「んー、あの国が滅んでほしいわけでもないし。80年かな」
「かなり短いですね」
「うん。前任者が良い仕事してくれたからそれくらいで大丈夫。次の子が来たら【世界】の様子を見てまた長くなるかもだけど」
「かしこまりました。ではそのように」
モリーはペコリと頭を下げるとその場から去っていった。彼女は今から何かを設定しに行くようだ。
「ふー、こんなもんかな」
出来たーっと両手をあげて伸びーッと伸びたサミュエルは机の上にある水晶をチラリを眺めた。
「それにしても、コレが自分のルーツに気がつくとは。やっぱり変に勘が鋭い。あの日に取引を持ちかけてどこまでやれるのか見るのも楽しかったけど…裏目に出ちゃったなー。まさか取引を持ちかけてくるとは…」
水晶に映る黒い鳥を眺めてサミュエルは悔しそうな顔になった。
「まっ、良いんだけどさ。彼女にとって不利益なことはないと思うし、むしろよかったのかもね…」
そこまで語るとサミュエルは一旦口を閉じた。そして机の引き出しを開けて一枚の紙を取り出した。
それはあの日、可決の箱に入れた紙だった。
ーーーーーーーーーー
【エントリーNo.101 高藤 鈴子(享年59)】
1、死因
心臓麻痺
※寿命の先刈り取り。
2、経歴
小学~大学卒業。特に秀でた才能はなし。28歳の時、夫:茂成と結婚。翌年長女:伊織を出産。その3年後、次女:友梨奈を出産。子供を出産後は正社員から時短勤務に変更。40歳の頃、伊織(当時20歳)が行方不明者リストに載る。
※長女は神々契約により移転。
徐々に精神をやむ。神々契約の規定により親族のケアを施すが、彼女だけ記憶が全て消えず。妄想として残ったため精神科に入院。
寿命は80歳まであったが、こちら側の不手際にて命の刈り取りを施行。
刈り取った時間が長く神々契約もあるため、結びつきの強い世界へと移動。時間については本人の能力に追加として補填。また、記憶の浄化により欠片を取り外し、別のカケラを埋め込み完了。
ーーーーーーーーーー
「君の幸運はこの世界にあったのかもね」
サミュエルはフッと微笑むと見ていた紙を元の場所にしまった。アレが取引を持ちかけた日に資料室から引っ張り出してきた紙はまた眠りについた。
「家族っていいなあ」
ポツリと呟いてから、彼は仕事をしているモリーに目線を向ける。彼女は相変わらず机に向かって真面目に仕事をしている。しかし、その姿は美しく艶っぽい。
サミュエルはモリーを眺めつつため息をついた。
「ぜーんぜん、俺の視線なんて気が付かない。構ってほしくて色々悪戯してるけど…。あっ、でもこの前のビームは楽しかったなー。またやりたいかもー。はあ、ベッド以外でももっとイチャイチャしたいなあ。俺達上司と部下である前に夫婦じゃんかあ。モリーのバーカ。ケーチ!」
口を尖らせながら呟いた彼は座っていた椅子をクルクルと回し始めた。コレをすると遊び始めたと勘違いをしたモリーの目線がこちらにくる。
呆れたような目線でもいいのだ。彼は彼女の目線をずっと向けさせたいのだから。
サミュエルはその視線を感じながら次は何をしようかと考え始めた。
ーーーーーー
最後まで読んでくださりありがとうございます。
久々の長期連載で話が進むにつれ、作者本人が「あれー?コレってアレだっけ」など流れを忘れてしまいそうになりつつ、物語を最後まで紡ぐことができました。まだまだ誤字脱字があると思いますので、随時変更をしていこうと思います。
またお時間がございましたら、感想等頂けると嬉しいです。久しぶりにアプリを使ったのでハートやエールについてはあまりわかっておりません…。しかし、この作品を評価してくださった方もいらっしゃる事がわかりとても嬉しかったです。
他の作品については公開されているものは全て完結済みです。暇つぶしの一つにでも選んでもらえれば幸いです。
あさリ23
「うん。呼びやすい名前の方があの子も過ごしやすいでしょ」
「そうですね」
珍しく机に向かって仕事をしている上司に目を向けたモリーは片手でメガネの位置を整えてから、彼が今必要な資料をそっと彼の机に置いた。
「現在まで使われていた呼称の種類です。変更中の呼称以外にも以前変更された箇所も記載されております」
「ん!ありがと。えーっと、ベアは熊に変えたし、うんと。あとはカウと牛っと」
もらった資料を参考にしながら、彼は【世界】の書き換えを続けた。
「今回の任期は100年でよろしいでしょうか」
「んー、あの国が滅んでほしいわけでもないし。80年かな」
「かなり短いですね」
「うん。前任者が良い仕事してくれたからそれくらいで大丈夫。次の子が来たら【世界】の様子を見てまた長くなるかもだけど」
「かしこまりました。ではそのように」
モリーはペコリと頭を下げるとその場から去っていった。彼女は今から何かを設定しに行くようだ。
「ふー、こんなもんかな」
出来たーっと両手をあげて伸びーッと伸びたサミュエルは机の上にある水晶をチラリを眺めた。
「それにしても、コレが自分のルーツに気がつくとは。やっぱり変に勘が鋭い。あの日に取引を持ちかけてどこまでやれるのか見るのも楽しかったけど…裏目に出ちゃったなー。まさか取引を持ちかけてくるとは…」
水晶に映る黒い鳥を眺めてサミュエルは悔しそうな顔になった。
「まっ、良いんだけどさ。彼女にとって不利益なことはないと思うし、むしろよかったのかもね…」
そこまで語るとサミュエルは一旦口を閉じた。そして机の引き出しを開けて一枚の紙を取り出した。
それはあの日、可決の箱に入れた紙だった。
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【エントリーNo.101 高藤 鈴子(享年59)】
1、死因
心臓麻痺
※寿命の先刈り取り。
2、経歴
小学~大学卒業。特に秀でた才能はなし。28歳の時、夫:茂成と結婚。翌年長女:伊織を出産。その3年後、次女:友梨奈を出産。子供を出産後は正社員から時短勤務に変更。40歳の頃、伊織(当時20歳)が行方不明者リストに載る。
※長女は神々契約により移転。
徐々に精神をやむ。神々契約の規定により親族のケアを施すが、彼女だけ記憶が全て消えず。妄想として残ったため精神科に入院。
寿命は80歳まであったが、こちら側の不手際にて命の刈り取りを施行。
刈り取った時間が長く神々契約もあるため、結びつきの強い世界へと移動。時間については本人の能力に追加として補填。また、記憶の浄化により欠片を取り外し、別のカケラを埋め込み完了。
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「君の幸運はこの世界にあったのかもね」
サミュエルはフッと微笑むと見ていた紙を元の場所にしまった。アレが取引を持ちかけた日に資料室から引っ張り出してきた紙はまた眠りについた。
「家族っていいなあ」
ポツリと呟いてから、彼は仕事をしているモリーに目線を向ける。彼女は相変わらず机に向かって真面目に仕事をしている。しかし、その姿は美しく艶っぽい。
サミュエルはモリーを眺めつつため息をついた。
「ぜーんぜん、俺の視線なんて気が付かない。構ってほしくて色々悪戯してるけど…。あっ、でもこの前のビームは楽しかったなー。またやりたいかもー。はあ、ベッド以外でももっとイチャイチャしたいなあ。俺達上司と部下である前に夫婦じゃんかあ。モリーのバーカ。ケーチ!」
口を尖らせながら呟いた彼は座っていた椅子をクルクルと回し始めた。コレをすると遊び始めたと勘違いをしたモリーの目線がこちらにくる。
呆れたような目線でもいいのだ。彼は彼女の目線をずっと向けさせたいのだから。
サミュエルはその視線を感じながら次は何をしようかと考え始めた。
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最後まで読んでくださりありがとうございます。
久々の長期連載で話が進むにつれ、作者本人が「あれー?コレってアレだっけ」など流れを忘れてしまいそうになりつつ、物語を最後まで紡ぐことができました。まだまだ誤字脱字があると思いますので、随時変更をしていこうと思います。
またお時間がございましたら、感想等頂けると嬉しいです。久しぶりにアプリを使ったのでハートやエールについてはあまりわかっておりません…。しかし、この作品を評価してくださった方もいらっしゃる事がわかりとても嬉しかったです。
他の作品については公開されているものは全て完結済みです。暇つぶしの一つにでも選んでもらえれば幸いです。
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