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《146》綺麗
しおりを挟む「お前な····今この瞬間、筋肉好きを変態だと決めつけて否定したんだぞ?なんて酷いやつだ」
「否定はしてない」
やはり、二人にはしっかり変態だと思われていたらしい。もはや弁解の余地もない。
「まあまあ、後輩とは裸で語り合うもんだよ。遠征の醍醐味じゃないか」
仲の良い上級生2人のやり取りを聞きながら、ノワは両手で水をすくった。
身体は、やっと冷水になれたようだ。
何度か遊ぶように掬っては、それで顔を流した。
「俺も、さっきノワの身体を見た時に興味が湧いたんだ」
「···············?」
ノワははたと動きを止める。
沈黙は、ロイドとノワが思考を中断していた時間だ。
「ひゃあっ?」
ノワは裏返った声で叫んだ。
水中で、何かが背を撫でたのだ。
「へえ、驚くほど滑らかな身体だね」
「·····変態はお前だったようだ」
ノワの肩を、ロイドが引き寄せる。
「いかがわしく捉えようとするからいけない」
レイゲルはやれやれと首を振った。
「ノワ、触れてもいいだろう?」
ギョッとしてレイゲルを見上げる。
こちらに向けられているのは、全く邪気のない微笑みだ。
ノワはあたふたして、腕が伸ばされると、流されるように頷いた。
「パトリック」
ロイドが咎めるように名前を呼ぶ。
頭の後ろで、硬い胸元が上下した。気を取られているうちに、伸びてきた指が脇腹を撫でた。
「脇毛も生えてないなんて、驚いたな」
「あ·····っ」
腰を掴まれ、ノワは思わず声を漏らした。
レイゲルの手先が止まる。
「くすぐったかった?」
声には隠しきれない愉快さが込められていた。
「ロイドにも触ってもらおうか」
「悪ふざけは止せ」
一段と低い声が、レイゲルを制した。
その場が静まりかえる。
程なくして笑い声を上げたのは、レイゲルだった。
「ごめんごめん、やりすぎたよ」
「··········」
沈黙が重い。
やがて、ロイドは無言のまま岸辺へと向かっていった。
「おかしいな、あんなに怒るなんて」
レイゲルが意外そうに言った。
「あ、ごめん、驚いたよね?」
「え?いや·····はい·····」
「去年の遠征なんか、2年の間で逸物の大きさを競ったんだ」
誰が1位か知りたい?と笑うレイゲル。
ノワは慌てて首を横に振った。
遠征や合宿場での水浴び場で上級生が下級生をからかうのは、恒例行事のようなものらしい。
前世でもそういう事があったのを思い出す。
ちなみに高校生の頃の自分は、逸物が小さいとからかわれた。ちなみに今はもっと小さい。
「まあ、少し変な雰囲気になって、俺も戸惑ったけどね」
「変な雰囲気·····?」
「君の身体、綺麗で触り心地がいいから」
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