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《327》独占欲
しおりを挟むある時、見栄っ張りで強気な彼が、好きな男のせいで傷つくのを見た。
大きな瞳から涙がこぼれおちる時は、まるで花が枯れてしまうような不安を感じた。
力ずくで押さえ付けるなんてとても出来ない。
彼の笑顔を守ってやりたいと思うようになっていた。
ぬかるんだ地面に眼帯が解れ落ちる。
雨で洗われた夜空には、満天の星空が広がっていた。
宮殿に帰ってきた日から、ノワは一日の大半を部屋の中ですごした。
使用人たちが皆、部屋を出るのを渋るようになったのだ。
レイゲルとロイドも同様だった。
外出など以ての外。街に行きたいと告げると、二人は揃って首を横に振った。
恐らく、フィアンから命令が下ったのだろう。
「·····ノワ、動けるか?」
今夜も、耳元で彼が囁く。
頷きながら、後ろ手にはみ出た熱を撫でる。
こんなに太いものを、もう何度飲み込んだだろう。
「はあ·····ぅんっ」
思い切って腰を下ろす。
反り上がった鉄が腹の奥を突きあげるたび、おかしくなってしまいそうだ。
「ひ·····っ?ぁ、·····!」
初めての体制は、体を串刺しにされるような衝撃だった。
深すぎる。
慌てて腰を浮かせようとするが、脚には力が入らない。
「あ、だめ·····!·····~~~っ」
弱い所を押し解され、ノワは彼を握りしめたまま絶頂した。
「はあ·····は·····っ」
「·····お前と深く繋がっている時こそ·····」
びくびくびく、と、身体中が痙攣する。
「俺は心から·····」
眩い金が、愛おしく歪む。それを目の前で見つめながら、彼の全てが捧げられるのを、余さず飲み込む。
「抜、て、くださ·····お、ねが·····──"っ」
下から腰を突き上げられる。
ズチュ、と、腹の奥で、何かが潰れるような音がした。
「イ·····~~~っ"」
だらしなく開いた口は熱い唇に塞がれた。
「ん、ン·····」
腹が苦しい。
身体が熱くて、火傷してしまいそうだ。
そう思うのに、一度離れていった唇に、自ら舌を伸ばす。
「可愛いな、ノワ」
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