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〖第四十三話〗

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囁きと共に、つぼみへ冷たいものが当てられる。
物質が何かを理解する前に、それはネロの穴へと差し込まれた。


「ぁ·····ん"·····っ♡」

「気に入っていたペンだったけれど、ネロのせいで汚れちゃいましたね」


突然の快楽に震える体を押さえつけられる。ステファンは、押し込んだそれで容赦なくナカを掻き混ぜはじめた。


「はぁ···っ♡はぁ···♡ぁ、はぁ···っ!♡」


痛みなど微塵も感じられなかった。
むしろ物足りなさに悶えながら、ネロは細いペンを締め付ける。

媚薬を盛ったにしても、これだけ嬲られ慣れた孔はそう無いだろう。
小さな蕾が自分のペンを咥え込み揺れるのを眺めながら、ステファンは机に置かれていたペン立てを手に取った。

直径4センチほどの細長い小瓶である。
途中丸く膨らんだ部分があるが、この下品な孔ならば問題なく飲み込みそうだ。


「声を懸命に押し殺して····気付かれなければ良いと思ってるんだ?」

「ふ·····っ♡っ·····」


涙を零しながら快楽を甘受する身体へ、ステファンはそう問いかけた。


「けどそれでは、イヴァンを裏切る事と何ら変わりないのでは?」


悪い子だと、彼は囁いた。
勢いよく抜かれたペン先を追って、ネロの陰茎から薄い白濁が飛び散る。


「主人との約束を破り、貴賓の部屋へ侵入し·····この俺の私物で下品な自慰に夢中になっているなんて」


告げられる言葉に、ネロは訳が分からず首を振った。
彼は何を言っているのだろう。
ただ自分は、イヴァンを喜ばせたくて彼の捜し物を見つけに来ただけだ。彼に連れられるままこの部屋へ入り、そして───。


「そ、んな·········ちが·····っ」

「おまけに、虚言まで」


朦朧とする意識の中、彼の言葉に真実がごちゃ混ぜになってゆく。
どうしてここへ来たのだろう。
確かに、この手で扉を開き、ここまで歩いてきた。自分から望んできたことは間違いない。
絶対に果たそうと決めたのに、自分自身がイヴァンとの約束を破ったのだ。


「あ·····ごめ、なさ·····ごめんなさい·····」


両手を握りしめ、ネロは何度もそうつぶやく。

視界の先で、妖麗な男がほくそ笑んだ。
影の中揺らめく碧眼は、まるで魔力のこめられた宝石のようだった。


「仕置が必要なようですね」


ひくつく孔を見下ろしながら、彼の表情から笑みが消える。
彼と初めて会った日、庭で見た時と同じ冷たい瞳に、ネロは体を強ばらせた。


「卑しい奴隷がどのように償うべきか、俺が教えてあげましょう」


長い指が手にしたガラス瓶が、蕾に当てられる。


「あ♡ぁ、だめ、だめ·····っ♡お願····」


抵抗しかけたネロは、そして目の前の男の視線に動きを止めた。
快楽だけを欲しがる脳内で、なぜこうなってしまったのかを必死に思い出す。
全て自分が悪いのだ。そしてそれ相応の罰を、彼は与えると言っている。


「次は、いい子にできるね?ネロ」


彼の片足がベッドへ侵入し、ギジリと木の軋む音がした。

(あんなの、入るわけない·····怖い·····!)


怯えるネロを眺める瞳は、どんなに美しい絵画の似顔絵よりも繊細にゆがめられる。
そして、冷たく硬いそれは一息に奥へ押し込まれた。


「あぁ"っ·····~~~っ♡」


それを締め付けながら、ネロの身体は大きく痙攣した。
ポロポロとこぼれる涙がシーツに滲みこんで、硬い物質は休む間も与えず動き出す。


「あっ♡あっ、あ、あ♡」


幼獣のような鳴き声に、ステファンは嘲笑をこぼした。


「こんな風にされて善がるのだから、下品なこと極まりない」


ぽろぽろと涙を流すネロを、彼はそう罵倒する。
まだ幼い成長途中の身体は、生意気にも快楽を甘受しみだらに湿っていった。

開かされた足先がピンと伸びる。
ステファンは涙を散らすネロを嘲笑うように、ガラス瓶で奥を蹂躙し続けた。


「ほら···イきたい?イかせてあげるよ」


だからこちらを見ろと言っても、ネロは睫毛を震わせながらうつむいて、そのくせ孔は旨そうに瓶へしゃぶりつく。


「どうしようもなく卑しい奴隷だ」


(卑しい、奴隷)


快楽の拷問を受ける中、ネロは彼の言葉を脳内で繰り返す。
突如与えられた痺れるような痛みと快楽に目の前がチカチカと光るが、ステファンの手は止まらなかった。

再びゆっくりと引き抜かれたそれは、やがてまたネロのナカへと侵入してくる。
胸を焦がしたのは、恥辱よりもずっと大きな悲しみの感情だった。

これはきっと、身分もわきまえず思い上がった罰なのだ。
遠のいてゆく意識の中、ネロは主人の名を呟いた。


「イヴァ、さま·····」


呟かれた男の名前に、ステファンはふと腕を止めた。
今にも狂いそうな尻穴は、お預けをくらいヒクヒクと痙攣している。


「あ、ぁ··········♡」


「どれだけ想ってもむだだよ。あの男は、必ずお前を捨てる」


優美なほほ笑みを浮かべ、低い声はネロの脳内へ話りかける。


「使い捨てなんだ」


物分りの悪い子供に優しく言い聞かせるような声は、彼からは想像もできないほど冷たい言葉を吐いた。


「·····~~~っ♡!」


叫ぶような喘ぎは、ステファンの手のひらに遮断される。
ずぷずぷとナカを擦られ、腹の奥は痛みと快楽が綯い交ぜになった。
大きなものが迫ってくるような予感に、ネロはステファンの袖を握りしめる。


「·····ん"·····!」


身をよじるも、孔を苛むそれは決してネロを逃がさなかった。


「あ"ぅ"♡♡はぁ、ぁ·····ステファン様·····」


行為中、初めて呟いたらイヴァン以外の男の名前だった。
笑みを浮かべていたステファンの表情が凍てつく。


「怖い·····」


呟きをもらす声は、今度は柔らかな唇で塞がれた。
激しく出入りするそれに孔を散々虐められ、神経は快楽のみに集中してゆく。
脈打った身体が、痙攣を繰り返した。













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