【完結】兄さん、✕✕✕✕✕✕✕✕

亜依流.@.@

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「ふわぁ」

「変な声出すなよ·····」


少しの間意識が飛んでいたらしい。
気がつけば店の外だ。なんだか、めちゃくちゃ頭がぼうっとする。

「ちゃんと立て」


言いながらも、ケイはしっかりとこちらを支えてくれていた。
また払わせてしまった。


「ケイサマ、太っ腹~、普段よりイケメンに見える」

「こりゃ相当酔ってんな」


せっかくおだててやったのに可愛くないやつめ。


「ねえ、なんで蓮のこと、変なやつって思うの」


酒の勢いに任せて聞く。
もしかしたら何か知っているのかもしれない。

だとしたら、こんな風に平静でいられないだろうか。
そんなふうに分析する自分だって大概だ。


「なんとなく」


帰ってきたのは素っ気ない返事だった。


「気に入らないんだ」

「ほえ」


ふざけた相槌を打つ。
やっぱり陸上部の出来事を根に持ってるんだろう。

負けず嫌いな性格が、時に羨ましい。


「ケイもかっこいいよ」

「そうだろうな、あれだけ俺の金で食ったんだから」

「照れるなよ~、チューしよう」

「はいはい」


車へ引きずり込まれる。
時刻は24時前だ。


「まだ帰りたくないよ」


帰るには少し早い。
だってこの時間じゃ、あいつはまだ起きているかもしれないから。

「シートベルト閉めろ」

「嫌だァ~、僕赤ちゃんだからできない~」


思えばその日はなんだか変な感じがしていた。

隣の運転席に座っていたケイが、こっちへ覆いかぶさってくる。
ベルトをつけてくれるのかと思ったが、近づいてきたのは顔面だった。


「··········?」


咄嗟に、彼の唇に手のひらを押し付けた。


「赤ん坊は、キスしようなんて言わないぞ」


熱い唇だ。
意外にも柔らかい。慌てて手を離すと、ケイはすぐに身を翻した。

しばらくチカチカした道を進んで、信号で止まる。


「ケイが冗談にノってくるなんて、らしくないよ」


車は再びなめらかに走り出す。


「泊まってくだろ?」


彼は前を向いたまま言った。
いつもと同じルートだ。

本当にいつもと同じだろうか?


「今日は帰る」


郊外に入ったとき、路地裏の影を黒猫が駆けていった。
酔いが少し冷めた。


「そうか?」


車は適当なところでUターンしはじめた。
ここから歩いて、15分くらいで着く。降ろしていいと言ったら、近いんだから送っていくと言い返された。


「階段でコケるなよ」

「任せろ」


車を降りて、ちょっとよろけてからガッツポーズ。
薄暗くても相手が顔を顰めたのはわかった。


「頼もしいな」


皮肉を言い残して車が去ってゆく。
辺りはしんと静まり返っている。4月上旬の夜は、まだ結構涼しかった。











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