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2章
17話 誤解と魔女
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魔女
「ほら、いつまでそうやって這いつくばってるのさ。
早く立ちなよ。大した外傷もないんだし。」
「、、ッハァッ、、ハッ、、、」
た、立つってどうやってだよ・・・!
も、もう体が、動かねぇよ、、
魔女
「はぁ・・・
全く、内が弱いと外も脆いんだから。
仕方がないから多少は治してあげるけどさ。
じゃあそのまま、這いつくばりながら聞いてね。
今の君は、間違いなく弱い。
今の君は、っていうのは今までの君も含めてね。」
「・・・俺のこの力も、弱いって言うのか・・・?」
魔女
「そうだなぁ、いろいろと君には誤解がある気がするんだよ。」
「誤解・・・?」
魔女
「まずそもそも、その力は君のものじゃない。
まぁ、ほぼ君のものって感じなんだけど、言うなれば君が『半永久的』に借り続けているようなものだ。」
「・・・いつか、返す時が来るってことか?」
魔女
「理屈上はね。
とはいえ、そうなるにしてもまだ先の話だから心配しなくていいさ。
それより大事なのは、君がその力を使いこなすに至っていないということだよ。」
「・・・・・・。」
魔女
「そう落ち込むことはないさ。
それは当然のことであり、たとえ誰であってもそうなるからね。」
力を振り絞って、仰向けに崩れた体を表に返す。
「一応聞くが、お前と魔人の長は何かしら関係があるよな・・・?」
魔女
「ふふっ。
何かしら、ね。
そうだね。私たちはお互いを知ってるし、彼が君に何を言ったのか、何に怒ったのか、何を求めているのかも知っているさ。
なにせ、君は私たちの希望だからね。」
「・・・おい。
それはどういうことだ。」
魔女
「気にすることはない。
こちらの話だ。
・・・誤解されないように言っておくが、私たちは君の味方だよ。
これは本当だ。この命に懸けてね。」
「・・・俺の知る魔女は絶対に信用してはいけない奴なんだが、それを証明することはできないのか?」
魔女
「証明する意味はあるかい?」
「・・・今の俺は何も信じる気がないんだよ。」
本当はそうではない。
もうなんだっていい。
魔女
「そういう風には見えないけどね。
まぁ、これが証明になるかはわからないが、私たちが君に味方する訳は、君に味方することが私たちにとってメリットだからだよ。
確かに君の言う通り、私たちはあまり人間が信じるべき存在ではないことは認めよう。
しかしその『信じる』という言葉の意味は、人格的なものだろう?
『君を信じる』みたいな、君たちで言う信頼とか、そういった人間性とかの部分は、私たちに求めてはいけないよ。
魔女と人は異なる存在だからね。
人間性を説いたところでどうもこうもないんだよ。
でも、利害が一致するなら協力するのは万物共通の摂理だろう?」
「・・・そうだな。
まぁ、一応信じてはおくよ。
裏切られたところで失うものはないからな。」
そうだ。
俺にあるのはこの力ぐらいだと思っていたが、それも俺のものでないとするともう、俺は文字通りの一文無しということになる。
リスクがどうこうとかの話にすらならない。
魔女
「・・・そうかそうか。
それは良かった。
ちなみに、今のもある意味の『誤解』だってことは理解できるよね。
君にはそんな、意外と厄介な誤解、勘違いがいろいろと重なっている。
だから彼に怒鳴られて、そんな姿になるんだよ。」
魔女の言うことがすんなりと入ってくる。
彼女の言うことはその通りだと思う。
魔女
「それじゃあ、そろそろ本題に入るとしようか。
君が弱い、その訳の話さ。」
「ほら、いつまでそうやって這いつくばってるのさ。
早く立ちなよ。大した外傷もないんだし。」
「、、ッハァッ、、ハッ、、、」
た、立つってどうやってだよ・・・!
も、もう体が、動かねぇよ、、
魔女
「はぁ・・・
全く、内が弱いと外も脆いんだから。
仕方がないから多少は治してあげるけどさ。
じゃあそのまま、這いつくばりながら聞いてね。
今の君は、間違いなく弱い。
今の君は、っていうのは今までの君も含めてね。」
「・・・俺のこの力も、弱いって言うのか・・・?」
魔女
「そうだなぁ、いろいろと君には誤解がある気がするんだよ。」
「誤解・・・?」
魔女
「まずそもそも、その力は君のものじゃない。
まぁ、ほぼ君のものって感じなんだけど、言うなれば君が『半永久的』に借り続けているようなものだ。」
「・・・いつか、返す時が来るってことか?」
魔女
「理屈上はね。
とはいえ、そうなるにしてもまだ先の話だから心配しなくていいさ。
それより大事なのは、君がその力を使いこなすに至っていないということだよ。」
「・・・・・・。」
魔女
「そう落ち込むことはないさ。
それは当然のことであり、たとえ誰であってもそうなるからね。」
力を振り絞って、仰向けに崩れた体を表に返す。
「一応聞くが、お前と魔人の長は何かしら関係があるよな・・・?」
魔女
「ふふっ。
何かしら、ね。
そうだね。私たちはお互いを知ってるし、彼が君に何を言ったのか、何に怒ったのか、何を求めているのかも知っているさ。
なにせ、君は私たちの希望だからね。」
「・・・おい。
それはどういうことだ。」
魔女
「気にすることはない。
こちらの話だ。
・・・誤解されないように言っておくが、私たちは君の味方だよ。
これは本当だ。この命に懸けてね。」
「・・・俺の知る魔女は絶対に信用してはいけない奴なんだが、それを証明することはできないのか?」
魔女
「証明する意味はあるかい?」
「・・・今の俺は何も信じる気がないんだよ。」
本当はそうではない。
もうなんだっていい。
魔女
「そういう風には見えないけどね。
まぁ、これが証明になるかはわからないが、私たちが君に味方する訳は、君に味方することが私たちにとってメリットだからだよ。
確かに君の言う通り、私たちはあまり人間が信じるべき存在ではないことは認めよう。
しかしその『信じる』という言葉の意味は、人格的なものだろう?
『君を信じる』みたいな、君たちで言う信頼とか、そういった人間性とかの部分は、私たちに求めてはいけないよ。
魔女と人は異なる存在だからね。
人間性を説いたところでどうもこうもないんだよ。
でも、利害が一致するなら協力するのは万物共通の摂理だろう?」
「・・・そうだな。
まぁ、一応信じてはおくよ。
裏切られたところで失うものはないからな。」
そうだ。
俺にあるのはこの力ぐらいだと思っていたが、それも俺のものでないとするともう、俺は文字通りの一文無しということになる。
リスクがどうこうとかの話にすらならない。
魔女
「・・・そうかそうか。
それは良かった。
ちなみに、今のもある意味の『誤解』だってことは理解できるよね。
君にはそんな、意外と厄介な誤解、勘違いがいろいろと重なっている。
だから彼に怒鳴られて、そんな姿になるんだよ。」
魔女の言うことがすんなりと入ってくる。
彼女の言うことはその通りだと思う。
魔女
「それじゃあ、そろそろ本題に入るとしようか。
君が弱い、その訳の話さ。」
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