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2章
20話 憩いは束の間、迫りくる恐怖
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魔女
「さてと、ティーテーブルだな・・・」
何もなかったはずの場所にティーテーブルが現れる。
魔女
「それじゃあ、こっちおいで。
折角来たんだし、ゆっくりしていきなよ。」
「あ、ああ・・・」
そんなこんなで椅子に腰を掛ける。
魔女
「今までの話は理解したのかな?」
「まぁしたっちゃしたが、ちょっと話が急すぎて追いつけなかったというか、一応俺これでも昨日一睡もしてないんだよ。」
魔女
「君はほんとに何してるのさ・・・。
そうだなぁ。
今日はここで寝なさい。
今の君の精神状態は本当に危ない。
今君がこうやって一見普通に見えるのは、君が私の霧の中にいて私の処置を受けたからだよ。
それでも内面的な傷に対する処置はそんなにできちゃいない。
しかも、私の治癒はこの霧の中でのみ働く。
もし君がここを出たらおそらく、村に着くまでに死ぬね。
だからとりあえず、君がそれなりに精神的にも肉体的にも回復するまではここで過ごしてもらうよ。
君には生きてもらわないといけないからね。」
「・・・そうしないと死ぬってんならそうするしかねえよなぁ。」
魔女
「うん、そうだ。
とはいえまだお昼時だからね。
お休みと行くには少し早すぎる。
だから、少し私のお供でもしてもらおうってかんじだけど、いいよね?」
「あ、あぁ。」
「そういえば、お前なんで俺のこと色々知ってんだよ。」
この世のものとは思えないくらい綺麗な草原を歩きながらそう問う。
思い返せば疑問だ。
ここに来たのはこれで二回目だが、一回目なんて大した会話はしていない。
それなのにさっき、あんなに俺のことを語っていた。
そういえば、魔人の長もそうか。
魔女
「私が魔女だから、って言ったら納得してくれる?」
「じゃあ魔人の長は?」
魔女
「・・・彼が魔人の長だから」
「なんだそれ。
お前ら人の過去でも覗けるのか?」
魔女
「うーん。
覗けるわけじゃないんだけど、覗いちゃったんだよね。」
「えっ、なにそれ怖いな。」
魔女
「その質問は勘弁しておくれよ。
私も言えないことの1つや2つぐらいあるさ。
もしどうしても君が知りたいなら、もっと強くなるんだ。
そうすれば答えはそのうちわかるよ。」
「・・・やっぱ怪しいよなぁ。」
魔女
「そんなこと言わないでよ。
私だって別に好きでこうやってるわけじゃないんだよ?」
「・・・まぁ、お前が助けてくれたことは確かだし、その辺のことは感謝してるよ。
ありがとう。助かった。」
魔女
「ああ、いいとも。
あれぐらいは容易い御用だよ。」
「俺はほんとにこの先どうしようかなぁ。」
ふと、いつかにも思ったことがまた出てくる。
魔女
「この先?」
「あぁ。
ここを出てから別に何かしたいとかってわけじゃねえんだよな。」
魔女
「あれ、言ってなかったっけ。」
「ん?何をだ?」
魔女
「君はこれから、私たちの元で生活するんだよ?」
「・・・・・・え?」
魔女
「うん。」
「・・・・・・。」
そーゆー大事なことは先言えよ。
「・・・あ、荷物。
俺の荷物、近くの町に置いてきたんだけど。」
魔女
「あー。いる?」
何で要らねえんだよ。
「何で要らねえんだよ。」
魔女
「それなら明日にでも取りに行ったらいいよ。」
「飯は?」
魔女
「ここなら私に言えば好きなだけ食べられるよ。
私の気分次第だけどね。」
「・・・まぁ、それならいいか。」
どうせここを出たところですることなんて無いからな。
「俺は何のためにここに残るんだ?」
魔女
「強くなるためだよ。
私たちが君を強くする。」
「俺、魔人の長と闘うのか?」
魔女
「まさか。
・・・まぁその辺りの話は彼から。
君は明日、彼に会いに行きなさい。」
「・・・俺が話す資格を持ったってことでいいのか?」
魔女
「その精神のカタチを見れば、それなりに成長はしたんだってわかるよ。
あと必要なのは彼と話す覚悟だね。
今から言って怖がらせるつもりはないんだけど、明日の話は相当重いよ。
今からどれだけ覚悟してもしきれないぐらいにね。」
「・・・。」
魔女
「一応、覚悟だけでもしておいた方が多少はマシかもだからね。
そのための今日だよ。
君はこの散歩が終わったら、食事をとって寝なさい。
その時に明日の覚悟でも決めていたら、ちょっとぐらいは役に立つかもね。」
「・・・わかった。
そうするよ。」
覚悟を決めろって言ったって何に対するものかがわからないから、覚悟のしようがないことには夕食のときに気付いた。
魔女にそう言おうかと思ったけど、言ったところでって感じがしたからやめておいた。
今は芝の上で寝転がっている。
だから、今日あったこと、魔女の言っていたことをもう一回自分で考え直した。
「自覚、責任、かぁ・・・。」
正直、明日が怖い。
つい昨日ボロカスに言われたとこだし、その上さっき思いっきりブチギレされたし。
それなのに明日またなんかドえらい事言われに行くわけだ・・・。
何より、あいつの元に行ったら重い話が来るって既にわかっているお陰で憂鬱でしかない。
「・・・っと、こんなこと考えても仕方ねぇ・・・。」
そう口では言っても、考えれば考えるほど明日に対する恐怖がより大きさを増していく。
心臓がうるさい。
唇が小刻みに震えていた。
「くそっ・・・・・・」
結局俺一人じゃ恐怖にすら打ち勝てないってことか・・・。
クッソ弱いな、俺・・・。
少し何か飲んで落ち着こうと思い、起き上がって椅子に腰を掛けた。
彼女は対の席で一人、霧の彼方を眺めているように見えた。
魔女
「・・・おや、どうしたのかな。
まぁ、きっと恐怖に打ち勝てなかったとか、そんなところだろう?」
「う・・・ま、まぁそうだけど・・・。」
魔女
「君もお茶飲むかい?」
「あぁ。お願いするよ。」
飲んだことのない味だった。
冷たいのに、穏やかに、暖かくなった。
魔女
「それで、どうしたんだい?」
「・・・明日のことを考えれば考えるほど怖くなる。」
魔女
「・・・そうだろうね。」
「覚悟なんかできる訳ねぇって、どうしても思ってしまうんだ。」
魔女
「まぁ、そうだろうね。」
「・・・え?」
魔女
「覚悟できないんだろう?」
「お、おう。」
魔女
「そりゃあそうだよ。
そうなるってわかってたよ。」
「・・・・・・」
ちょっと意味不。
やっぱこいつ魔女してるなと思った。
「さてと、ティーテーブルだな・・・」
何もなかったはずの場所にティーテーブルが現れる。
魔女
「それじゃあ、こっちおいで。
折角来たんだし、ゆっくりしていきなよ。」
「あ、ああ・・・」
そんなこんなで椅子に腰を掛ける。
魔女
「今までの話は理解したのかな?」
「まぁしたっちゃしたが、ちょっと話が急すぎて追いつけなかったというか、一応俺これでも昨日一睡もしてないんだよ。」
魔女
「君はほんとに何してるのさ・・・。
そうだなぁ。
今日はここで寝なさい。
今の君の精神状態は本当に危ない。
今君がこうやって一見普通に見えるのは、君が私の霧の中にいて私の処置を受けたからだよ。
それでも内面的な傷に対する処置はそんなにできちゃいない。
しかも、私の治癒はこの霧の中でのみ働く。
もし君がここを出たらおそらく、村に着くまでに死ぬね。
だからとりあえず、君がそれなりに精神的にも肉体的にも回復するまではここで過ごしてもらうよ。
君には生きてもらわないといけないからね。」
「・・・そうしないと死ぬってんならそうするしかねえよなぁ。」
魔女
「うん、そうだ。
とはいえまだお昼時だからね。
お休みと行くには少し早すぎる。
だから、少し私のお供でもしてもらおうってかんじだけど、いいよね?」
「あ、あぁ。」
「そういえば、お前なんで俺のこと色々知ってんだよ。」
この世のものとは思えないくらい綺麗な草原を歩きながらそう問う。
思い返せば疑問だ。
ここに来たのはこれで二回目だが、一回目なんて大した会話はしていない。
それなのにさっき、あんなに俺のことを語っていた。
そういえば、魔人の長もそうか。
魔女
「私が魔女だから、って言ったら納得してくれる?」
「じゃあ魔人の長は?」
魔女
「・・・彼が魔人の長だから」
「なんだそれ。
お前ら人の過去でも覗けるのか?」
魔女
「うーん。
覗けるわけじゃないんだけど、覗いちゃったんだよね。」
「えっ、なにそれ怖いな。」
魔女
「その質問は勘弁しておくれよ。
私も言えないことの1つや2つぐらいあるさ。
もしどうしても君が知りたいなら、もっと強くなるんだ。
そうすれば答えはそのうちわかるよ。」
「・・・やっぱ怪しいよなぁ。」
魔女
「そんなこと言わないでよ。
私だって別に好きでこうやってるわけじゃないんだよ?」
「・・・まぁ、お前が助けてくれたことは確かだし、その辺のことは感謝してるよ。
ありがとう。助かった。」
魔女
「ああ、いいとも。
あれぐらいは容易い御用だよ。」
「俺はほんとにこの先どうしようかなぁ。」
ふと、いつかにも思ったことがまた出てくる。
魔女
「この先?」
「あぁ。
ここを出てから別に何かしたいとかってわけじゃねえんだよな。」
魔女
「あれ、言ってなかったっけ。」
「ん?何をだ?」
魔女
「君はこれから、私たちの元で生活するんだよ?」
「・・・・・・え?」
魔女
「うん。」
「・・・・・・。」
そーゆー大事なことは先言えよ。
「・・・あ、荷物。
俺の荷物、近くの町に置いてきたんだけど。」
魔女
「あー。いる?」
何で要らねえんだよ。
「何で要らねえんだよ。」
魔女
「それなら明日にでも取りに行ったらいいよ。」
「飯は?」
魔女
「ここなら私に言えば好きなだけ食べられるよ。
私の気分次第だけどね。」
「・・・まぁ、それならいいか。」
どうせここを出たところですることなんて無いからな。
「俺は何のためにここに残るんだ?」
魔女
「強くなるためだよ。
私たちが君を強くする。」
「俺、魔人の長と闘うのか?」
魔女
「まさか。
・・・まぁその辺りの話は彼から。
君は明日、彼に会いに行きなさい。」
「・・・俺が話す資格を持ったってことでいいのか?」
魔女
「その精神のカタチを見れば、それなりに成長はしたんだってわかるよ。
あと必要なのは彼と話す覚悟だね。
今から言って怖がらせるつもりはないんだけど、明日の話は相当重いよ。
今からどれだけ覚悟してもしきれないぐらいにね。」
「・・・。」
魔女
「一応、覚悟だけでもしておいた方が多少はマシかもだからね。
そのための今日だよ。
君はこの散歩が終わったら、食事をとって寝なさい。
その時に明日の覚悟でも決めていたら、ちょっとぐらいは役に立つかもね。」
「・・・わかった。
そうするよ。」
覚悟を決めろって言ったって何に対するものかがわからないから、覚悟のしようがないことには夕食のときに気付いた。
魔女にそう言おうかと思ったけど、言ったところでって感じがしたからやめておいた。
今は芝の上で寝転がっている。
だから、今日あったこと、魔女の言っていたことをもう一回自分で考え直した。
「自覚、責任、かぁ・・・。」
正直、明日が怖い。
つい昨日ボロカスに言われたとこだし、その上さっき思いっきりブチギレされたし。
それなのに明日またなんかドえらい事言われに行くわけだ・・・。
何より、あいつの元に行ったら重い話が来るって既にわかっているお陰で憂鬱でしかない。
「・・・っと、こんなこと考えても仕方ねぇ・・・。」
そう口では言っても、考えれば考えるほど明日に対する恐怖がより大きさを増していく。
心臓がうるさい。
唇が小刻みに震えていた。
「くそっ・・・・・・」
結局俺一人じゃ恐怖にすら打ち勝てないってことか・・・。
クッソ弱いな、俺・・・。
少し何か飲んで落ち着こうと思い、起き上がって椅子に腰を掛けた。
彼女は対の席で一人、霧の彼方を眺めているように見えた。
魔女
「・・・おや、どうしたのかな。
まぁ、きっと恐怖に打ち勝てなかったとか、そんなところだろう?」
「う・・・ま、まぁそうだけど・・・。」
魔女
「君もお茶飲むかい?」
「あぁ。お願いするよ。」
飲んだことのない味だった。
冷たいのに、穏やかに、暖かくなった。
魔女
「それで、どうしたんだい?」
「・・・明日のことを考えれば考えるほど怖くなる。」
魔女
「・・・そうだろうね。」
「覚悟なんかできる訳ねぇって、どうしても思ってしまうんだ。」
魔女
「まぁ、そうだろうね。」
「・・・え?」
魔女
「覚悟できないんだろう?」
「お、おう。」
魔女
「そりゃあそうだよ。
そうなるってわかってたよ。」
「・・・・・・」
ちょっと意味不。
やっぱこいつ魔女してるなと思った。
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