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2章
26話 命の洗擢
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今日も今日とて
「っつはぁ、、ッ、はぁ、、はぁ、」
初日と何ら変わりなかった。
動けない呪いみたいなのをかけられて、水の中へ放り込まれて。
束の間の苦痛を味わって、目覚める。
魔女
「はい、今日の鍛錬は終わり。
お疲れ様。」
「・・・お疲れ・・・。」
かれこれ、今日でこの訓練を一週間繰り返したことになる。
進歩はない。
・・・・・・・出来るようになるまで、って
いつ終わるんだろうか。
個人的には、よく一週間もこれに耐えたものだと思う。
回数をこなす毎に慣れるとか、そういう次元じゃない。
その数分がどれだけ苦しいか。
何にも形容できない。
その苦しみを知っても尚、繰り返される。
繰り返せば繰り返す程、その苦しみが体に焼き付く。
繰り返し体に刻まれる。
ある時から、ふとした瞬間にその苦しみに襲われるようになった。
繰り返し刻まれることで、その苦しみはより鮮明に、より鋭くなる。
まだ1週間でこれだ。
いつできるようになるかわからない。
正直、この課題を超えられるかもわからない。
そうなれば俺は、ただひたすらにここで毎日侵されるのか。
一カ月は経っただろうか。
結局何の進歩もなく、ただ毎日を侵され、過ぎていった。
少し前から、眠れなくなった。
前までは不意に襲われる程度だったが、ここ最近は気を抜けばすぐ侵される。
特に寝るときは、意識がフッと落ちていきようやく眠りにつけるかと思うと、何度も何度も刻まれた恐怖に包まれる。
その度に『はぁはぁ』って息を切らしながら目を開く。
あぁ、また眠れなかったな、と。
魔女
「おや、おはよう。
と言ってもまだ日も出ていないよ。
・・・・・顔色が悪いね。
どうしたんだい?」
「・・・・・・・・・・・・・」
言えない
苦しいなんて
辞めたい、逃げたいなんて
俺は、、俺は、人を殺し、これからも殺し続けるのに・・・!
魔女
「・・・・ふむ。
それじゃあ、いったん休憩にしようか。」
「・・・え?」
魔女
「だから、休みだよ。
鍛錬は休み。
30日ぐらい休みなしで繰り返したからね。
ちょっとぐらい休みがあってもいいでしょう。」
「で、でも、、休みって言われても、何もすることねえよ。」
魔女
「たまには外の世界にも出てみたらどうだい?
ここに閉じこもってばっかは楽しくないじゃない。」
「あ、ああ、そうか。
俺そういえばずっとここに居たな。」
少し、ほんの少しだけ、気が軽くなったような気がした。
霧を抜けた先は快晴で、視界の彼方にはいつかの村が見える。
あそこに行こうかとも考えたのだが、
「お別れみたいなのしちまったしなぁ・・・。」
それに、これ以上迷惑をかける訳にはいかない。
霧の中で生活しておよそ一カ月
今となっては、魔人の長の言ったことを完全に信じている。
まぁ、普通に考えて水中で溺れて2時間放置された人間が生存する、それも数十回とか、普通に考えないでもわかる。
ちなみに、自殺も試みた。
結局うまくはいかなかったけど。
俺が死なないことが証明されたことで、いつかに俺が大量殺人をする未来が来るということも事実のように感じてしまう。
一度魔女に『未来を変える方法』を聞いてみたが、そういう能力を持っていないと変わらないらしい。
そんな便利な能力は俺は持ってない。
だから、出来るだけ多くの人と関わらないと決めた。
俺が戦う理由は、俺が大事にするものを守る為。
今の俺にはそれが無い。
なら、出来るだけ作らない。
そうすれば、争いは訪れない。
一応魔女にも、俺といたら争いに巻き込まれるかもしれないぞと言ってみたのだが、『君の相手如きが私をどうこうできる訳ない』らしい。
「どこ行こうか・・・。」
いつかに女王に貰った地図を取り出す。
人里以外で言うと、山を一つ越えた先に滝があるらしい。
「・・・ここにする、、かぁ。」
体の内に漲るものを感じた。
あぁ、そういえば俺は凄い力を持ってたんだ。
久しぶりに使ってみる。
風を切ることはこんなにも心地よかっただろうか。
柔らかい暖かさが少し、くすぐったいようで、心地良い。
「あはっ、あははっ、」
冷静に考えれば、笑いながら走っているなんて変な奴だ。
でも、笑いが収まらなかった。
笑いというか、・・・笑顔、というか。
とにかく、ここ最近の生き地獄での生活の苦しさが、それまでの生活の幸せさを教えてくれる。
「ほんと、よく耐えたよな。
・・・・・まぁ、まだ全然できてねえけど。」
滝はこの方角だ。
霧の中より澄んだ心で、山の中を歩いた。
「っつはぁ、、ッ、はぁ、、はぁ、」
初日と何ら変わりなかった。
動けない呪いみたいなのをかけられて、水の中へ放り込まれて。
束の間の苦痛を味わって、目覚める。
魔女
「はい、今日の鍛錬は終わり。
お疲れ様。」
「・・・お疲れ・・・。」
かれこれ、今日でこの訓練を一週間繰り返したことになる。
進歩はない。
・・・・・・・出来るようになるまで、って
いつ終わるんだろうか。
個人的には、よく一週間もこれに耐えたものだと思う。
回数をこなす毎に慣れるとか、そういう次元じゃない。
その数分がどれだけ苦しいか。
何にも形容できない。
その苦しみを知っても尚、繰り返される。
繰り返せば繰り返す程、その苦しみが体に焼き付く。
繰り返し体に刻まれる。
ある時から、ふとした瞬間にその苦しみに襲われるようになった。
繰り返し刻まれることで、その苦しみはより鮮明に、より鋭くなる。
まだ1週間でこれだ。
いつできるようになるかわからない。
正直、この課題を超えられるかもわからない。
そうなれば俺は、ただひたすらにここで毎日侵されるのか。
一カ月は経っただろうか。
結局何の進歩もなく、ただ毎日を侵され、過ぎていった。
少し前から、眠れなくなった。
前までは不意に襲われる程度だったが、ここ最近は気を抜けばすぐ侵される。
特に寝るときは、意識がフッと落ちていきようやく眠りにつけるかと思うと、何度も何度も刻まれた恐怖に包まれる。
その度に『はぁはぁ』って息を切らしながら目を開く。
あぁ、また眠れなかったな、と。
魔女
「おや、おはよう。
と言ってもまだ日も出ていないよ。
・・・・・顔色が悪いね。
どうしたんだい?」
「・・・・・・・・・・・・・」
言えない
苦しいなんて
辞めたい、逃げたいなんて
俺は、、俺は、人を殺し、これからも殺し続けるのに・・・!
魔女
「・・・・ふむ。
それじゃあ、いったん休憩にしようか。」
「・・・え?」
魔女
「だから、休みだよ。
鍛錬は休み。
30日ぐらい休みなしで繰り返したからね。
ちょっとぐらい休みがあってもいいでしょう。」
「で、でも、、休みって言われても、何もすることねえよ。」
魔女
「たまには外の世界にも出てみたらどうだい?
ここに閉じこもってばっかは楽しくないじゃない。」
「あ、ああ、そうか。
俺そういえばずっとここに居たな。」
少し、ほんの少しだけ、気が軽くなったような気がした。
霧を抜けた先は快晴で、視界の彼方にはいつかの村が見える。
あそこに行こうかとも考えたのだが、
「お別れみたいなのしちまったしなぁ・・・。」
それに、これ以上迷惑をかける訳にはいかない。
霧の中で生活しておよそ一カ月
今となっては、魔人の長の言ったことを完全に信じている。
まぁ、普通に考えて水中で溺れて2時間放置された人間が生存する、それも数十回とか、普通に考えないでもわかる。
ちなみに、自殺も試みた。
結局うまくはいかなかったけど。
俺が死なないことが証明されたことで、いつかに俺が大量殺人をする未来が来るということも事実のように感じてしまう。
一度魔女に『未来を変える方法』を聞いてみたが、そういう能力を持っていないと変わらないらしい。
そんな便利な能力は俺は持ってない。
だから、出来るだけ多くの人と関わらないと決めた。
俺が戦う理由は、俺が大事にするものを守る為。
今の俺にはそれが無い。
なら、出来るだけ作らない。
そうすれば、争いは訪れない。
一応魔女にも、俺といたら争いに巻き込まれるかもしれないぞと言ってみたのだが、『君の相手如きが私をどうこうできる訳ない』らしい。
「どこ行こうか・・・。」
いつかに女王に貰った地図を取り出す。
人里以外で言うと、山を一つ越えた先に滝があるらしい。
「・・・ここにする、、かぁ。」
体の内に漲るものを感じた。
あぁ、そういえば俺は凄い力を持ってたんだ。
久しぶりに使ってみる。
風を切ることはこんなにも心地よかっただろうか。
柔らかい暖かさが少し、くすぐったいようで、心地良い。
「あはっ、あははっ、」
冷静に考えれば、笑いながら走っているなんて変な奴だ。
でも、笑いが収まらなかった。
笑いというか、・・・笑顔、というか。
とにかく、ここ最近の生き地獄での生活の苦しさが、それまでの生活の幸せさを教えてくれる。
「ほんと、よく耐えたよな。
・・・・・まぁ、まだ全然できてねえけど。」
滝はこの方角だ。
霧の中より澄んだ心で、山の中を歩いた。
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