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2章

56話

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エクスプロと一郎は包囲されていた村に向かう。

念の為、警戒されない様に一郎はスケルトン部隊をちらせて村の周囲の数カ所に分けて伏せさせる。

またスケルトン神輿をやめてエクスプロの馬に乗せてもらった。

砦の様な外壁の周りは特に大きな損害を受けておらず周りも数匹のゴブリンが転がっているのみであった。

気がついた見張りが合図を送り、頑丈な門が音を立てて開く。

「いいタイミングで来たな。
さっきまでモンスター同士の大規模な争いがあって大変な事になっていたんだぞ」

「そうだったんですか。それは運がよかったです。所で…」

今回包囲していたゴブリンの軍団について質問をする。

最初に一度攻めてきたが高い塀に阻まれ早々に撤退して包囲をしたそうだ。

その後1週間硬直状態になっていたそうだ。

「これはまずいかもしれませんねぇ」

「旦那どういうことだい?」

「まだ推測の域を出ませんが、この近辺のモンスターの一代勢力ができている可能性があります。
先ほど倒したゴブリン達は包囲戦を行なっていました。
1週間の長期にわたり包囲を維持する為にはそれなりの物資と兵力が必要になります。
敵の配置からソルトロック方面に本拠地がある可能性が高いです。
最悪の事態も考えられます」

「なるほど旦那あっしらにも読めてきましたぜ。
商人ギルドキャラバンの消息がわからない原因はこのせいだと」

「最悪私達だけで対峙しなければならない可能性も…」

 この村の状況を確認する。

村人に聞くと幸いこの村は食料の収穫を終えた後で食料の備蓄があった為、問題ないそうだ。

今回の様にモンスターが出てきても基本防衛に徹してモンスターがいなくなるのをやり過ごす方針らしい。

地形の関係上大型のモンスター移動しにくいので理にかlなっているのだろう。

そしてその食料になんと「米」があった。

この世界に来てからの一郎の主食はパンとパスタであった。

小麦は初めに召喚された街でも生産されていたので食にははじめから困らなかった。

召喚される前も戦略ゲームをプレイするついでに食事をする為、パンとコーヒーで済ますことが多かった。

しかし、手に入らないと無性食べたくなるものである。

村の食堂から漂う懐かしい匂いにつられ店に入ると、料理の一つに粥が出されていた。

どうやら米はこの世界ではスープの中に入れる具の一種らしく香りとほのかな甘みが出る為、村の中でも人気だそうだ。

一郎も粥を口に入れると確かにシンプルで上手いが米の量が足りないと感じる。

米の出所を店主に質問したところ、この湿原で自生しているそうだが収穫量は多くない為、この村で消費され他では出回らないとのこと。

「これは近いうちに田を作って米を栽培する必要がありそうですね」

粥をいくつも追加注文する一郎を不思議に思うエクスプロのメンバーであった。

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