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24 証明の仕方ぁぁぁ!!
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「そんな安物が何だと言うんだ」
「俺も、同じ物を身に着けています。互いの目の色を模した物を互いに持ち合う。これの意味する事は、当然お分かりになりますよね」
俺と同じ様にアルフも襟元から革紐を引っ張り、俺と同じデザインのガラス玉を取り出した。俺のと違う点はガラス玉の色が明るいヘーゼルだという事。ちなみに、俺の目もこのガラス玉と同じ明るいヘーゼルだ。
……………………なんで、そんなモン持ってんだ! この男!!
キモイキモイ! いつから? いつから持ってた!? そんなの見せられたら、誰だって「俺と、お前で、お揃いだ♡」「キャ♡」つって着けてる様にしか思われねぇだろうが!
見ろ! 旦那様と親方の顔を!! 「マジ?」って顔でドン引いてんじゃねぇか!
「俺は、毎日昼の時間はドニーの所に行って一緒に過ごしています。その事は執事長にも許可を貰って行っているので確認して頂いても構いません。その時に良く若奥様がドニーの所にいるのは確認しています。失礼を承知で言わせて頂きますが、俺からは若奥様の方がドニーに付き纏っている様に見えていました」
「妻の方がこんな男に言い寄っていたと言うのか?」
「そうとは言っていません。ただ、ドニーは自分から若奥様の元へは行っていないのは確かです。若奥様がドニーに言い寄られて困っている、と言うのなら、自らドニーのいる庭に訪れるのはおかしいと思いませんか? ドニーはいつも真面目に庭で仕事をしていました。そうですよね? マルタさん。ドニーの上司なら、いつもドニーが庭にいるのも、いつも若奥様の方が庭に訪れていたのもご存知ですよね?」
「そうなのか? マルタ……」
「ぐ……」
親方がアルフの言葉に苦い顔をして言い淀むのも仕方が無い。だって、親方はいつも俺に仕事を押し付けて現場にいねぇんだもんな。だから、庭での俺の様子なんて何も知らねぇはずだ。
アルフの言葉に頷いちまうと、若奥様の方から俺の所に来ていたって認めちまう。だけど、それをすると、さっきまで俺を責め立てていた事との矛盾が出て来る。だからと言って下手に否定も出来ない親方は旦那様の問いにも答えず、忌々しそうに俺を睨んで来る。
「若奥様が毎日ご自分でお庭に出られ、ドニーに話しかけていたのは執事もメイドも知っていた事ですし、旦那様にも若奥様が毎日お庭に出て過ごしておいでなのはお伝えしていたはずですが」
「確かに……それは、ジェイドから聞いてはいたが」
すげぇ、旦那様がアルフの淡々とした理詰めに完璧に押されてる。
「俺という恋人が同じ職場にいて、他からの目もある。そんな中でドニーが若奥様にチョッカイを掛けられる訳がありません」
「なら、なぜ彼女はそんな事を言ったんだ。それに、ソイツの所に自ら行っていたと言うのなら、なんの為に……」
「あ、あの……旦那様の気を引きたかったんだと思います」
その疑問には、俺しか答える事が出来ないだろうから口を挟ませて貰う。
本来の旦那様は叡智に富んだ優れた統治者なんだけど、若奥様が絡むと、思考も行動も暴走しちまうポンコツになっちまうらしい。だけど、アルフが親方を黙らせて旦那様を説得してくれた今なら、旦那様は俺の話を聞いてくれるかも知れない。
てか、聞いてくれなきゃ困る。
「私の気を?」
「若奥様は、ずっと旦那様との事で相談に来られていたんです。どうやったら旦那様と会話出来るか、とか。ハンカチの刺繍の事とか手作りのクッキーの事とか、旦那様に喜んで貰う為にはどうしたら良いかって、ずっと悩んでらしたみたいで。若奥様、旦那様の事を凄くお慕いしていらして。毎日、旦那様のお話をされに来るんです」
「ずっと、私の事を……」
さっきまでの俺の発言全否定だった旦那様が、若奥様が旦那様の事を話していたと聞いた途端、小鼻をヒクつかせて俺の話に身を乗り出して来た。あきらかに旦那様の俺を見る目がさっきと違う。
旦那様が俺の話に食い付いた今がチャンス!
拗れに拗れたこの辺境伯夫婦の互いへの誤解をこの機会に解いて俺は物語からフェードアウトするんだ! これ以上相談地雷女な若奥様に付き纏われてたまるか!!
俺に若奥様が毎日毎日これ見よがしに呟いていた言葉を、今ここで旦那様にぶちまけてやる。
「俺も、同じ物を身に着けています。互いの目の色を模した物を互いに持ち合う。これの意味する事は、当然お分かりになりますよね」
俺と同じ様にアルフも襟元から革紐を引っ張り、俺と同じデザインのガラス玉を取り出した。俺のと違う点はガラス玉の色が明るいヘーゼルだという事。ちなみに、俺の目もこのガラス玉と同じ明るいヘーゼルだ。
……………………なんで、そんなモン持ってんだ! この男!!
キモイキモイ! いつから? いつから持ってた!? そんなの見せられたら、誰だって「俺と、お前で、お揃いだ♡」「キャ♡」つって着けてる様にしか思われねぇだろうが!
見ろ! 旦那様と親方の顔を!! 「マジ?」って顔でドン引いてんじゃねぇか!
「俺は、毎日昼の時間はドニーの所に行って一緒に過ごしています。その事は執事長にも許可を貰って行っているので確認して頂いても構いません。その時に良く若奥様がドニーの所にいるのは確認しています。失礼を承知で言わせて頂きますが、俺からは若奥様の方がドニーに付き纏っている様に見えていました」
「妻の方がこんな男に言い寄っていたと言うのか?」
「そうとは言っていません。ただ、ドニーは自分から若奥様の元へは行っていないのは確かです。若奥様がドニーに言い寄られて困っている、と言うのなら、自らドニーのいる庭に訪れるのはおかしいと思いませんか? ドニーはいつも真面目に庭で仕事をしていました。そうですよね? マルタさん。ドニーの上司なら、いつもドニーが庭にいるのも、いつも若奥様の方が庭に訪れていたのもご存知ですよね?」
「そうなのか? マルタ……」
「ぐ……」
親方がアルフの言葉に苦い顔をして言い淀むのも仕方が無い。だって、親方はいつも俺に仕事を押し付けて現場にいねぇんだもんな。だから、庭での俺の様子なんて何も知らねぇはずだ。
アルフの言葉に頷いちまうと、若奥様の方から俺の所に来ていたって認めちまう。だけど、それをすると、さっきまで俺を責め立てていた事との矛盾が出て来る。だからと言って下手に否定も出来ない親方は旦那様の問いにも答えず、忌々しそうに俺を睨んで来る。
「若奥様が毎日ご自分でお庭に出られ、ドニーに話しかけていたのは執事もメイドも知っていた事ですし、旦那様にも若奥様が毎日お庭に出て過ごしておいでなのはお伝えしていたはずですが」
「確かに……それは、ジェイドから聞いてはいたが」
すげぇ、旦那様がアルフの淡々とした理詰めに完璧に押されてる。
「俺という恋人が同じ職場にいて、他からの目もある。そんな中でドニーが若奥様にチョッカイを掛けられる訳がありません」
「なら、なぜ彼女はそんな事を言ったんだ。それに、ソイツの所に自ら行っていたと言うのなら、なんの為に……」
「あ、あの……旦那様の気を引きたかったんだと思います」
その疑問には、俺しか答える事が出来ないだろうから口を挟ませて貰う。
本来の旦那様は叡智に富んだ優れた統治者なんだけど、若奥様が絡むと、思考も行動も暴走しちまうポンコツになっちまうらしい。だけど、アルフが親方を黙らせて旦那様を説得してくれた今なら、旦那様は俺の話を聞いてくれるかも知れない。
てか、聞いてくれなきゃ困る。
「私の気を?」
「若奥様は、ずっと旦那様との事で相談に来られていたんです。どうやったら旦那様と会話出来るか、とか。ハンカチの刺繍の事とか手作りのクッキーの事とか、旦那様に喜んで貰う為にはどうしたら良いかって、ずっと悩んでらしたみたいで。若奥様、旦那様の事を凄くお慕いしていらして。毎日、旦那様のお話をされに来るんです」
「ずっと、私の事を……」
さっきまでの俺の発言全否定だった旦那様が、若奥様が旦那様の事を話していたと聞いた途端、小鼻をヒクつかせて俺の話に身を乗り出して来た。あきらかに旦那様の俺を見る目がさっきと違う。
旦那様が俺の話に食い付いた今がチャンス!
拗れに拗れたこの辺境伯夫婦の互いへの誤解をこの機会に解いて俺は物語からフェードアウトするんだ! これ以上相談地雷女な若奥様に付き纏われてたまるか!!
俺に若奥様が毎日毎日これ見よがしに呟いていた言葉を、今ここで旦那様にぶちまけてやる。
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