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noise
rapid
しおりを挟む雫は全ての物に感動していた。
目にうつるものは全てが新鮮で、自分の元いたあの世界とは全く違って見えていた。
「…今日は色々とありがとうございました。…総司にもお土産買えましたし……」
「楽しんでもらえたんならよかったよ。佐之さんたち、途中でいなくなって焦ったけど」
二人の空気を察した訳ではなく、耐えきれなかった永倉が帰ると言い出したため、原田も帰ってしまったのだ。
「…あのさ」
帰り道、周りに人はいるけれど、皆無関心。
だからある意味では二人ぼっち。
だからこそ平助は気になっていたとある質問をした。
「…雫ってここに来る前、何をしてたの?」
一瞬、雫は顔を強張らせたが、すぐに平静を取り戻す。
その質問に、未来は含まれないから。
「……あまり、聞いて気分の良い話ではありませんが、自分は生まれてからずっと、両親に目の敵のようにされていました。とあることがきっかけで、その生活から逃げ出し、京にやって来たところを総司に救われた。…そんな感じです。だから、何をしていたかと訊ねられると、何もしていませんでした、と答えるのが正しいのかと……」
笑顔で答える雫だが、自虐的な笑みに、平助は質問をしたことを後悔した。
雫は「気にしないで下さいね」といつものように笑うが、平助はそんな雫に声を荒らげる。
「お前がそんな風に笑うときは大抵嘘をついているときだ。前の時みたいに敬語抜きで話せよ」
前の、とは寝起きの雫が総司にうるさいと怒鳴っていたときのことだ。
本心を聞きたいと思っているからこそ、嘘をつかないでほしいと思っていた。
「嘘じゃない。どんなに辛くても、あれが私の日常だった。異常な日常だった!………平助、もう私に構わないでよ。こんなことしてくれなくても十分幸せだよ」
「幸せなら笑え!」
平助は雫の顔を両手ではさみ、無理やり笑顔を作った。
「…両親に愛されていないのは俺も同じだ。…総司もだ。だけどお前みたいに卑屈な顔をしないだろ?…お前も今が幸せだと思うんならしっかりと笑え」
「…うりゅしゃい…てをはなせ……」
「その顔で悪態ついても可愛いだけだぞー」
「…やめんかボケ」
手を払い、頬をさする。
「好んで卑屈になってるんじゃないよ。どうやって笑えばいいか知らないの。私の知っている笑顔はこれだけだから…」
恥ずかしそうに顔をそらす。
「…へ、平助みたいに本気の笑顔が、少し……ほんの少しだけ羨ましい」
「お、そーかそーか!!そんな感じで本音をちゃんと言ってくれよなー!顔色窺うのとかめんどいからよ!」
そのあと、八百屋などのお店も教えてくれたので、今度からは雫一人で食材の買い物も行けるようになった。
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