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ally
bite
しおりを挟む「…っ………ハァ……」
我慢、我慢しないと……
真夜中、井戸の側で雫は一人痛みと戦っていた。
赤い目の代償として薬で抑えていた痛みは、薬が無くなった今、根性で抑えなくてはいけない。
この時代に来る前に持っていた薬はもう無い。
とっくの昔に無くなっていた。
「…………とり、あえず…落ち着いた」
痛みは20時間周期で襲ってくる。
今日は夜中で良かった。
昼間の時は誰もいない場所まで隠れないといけないから。
「…池田屋事件まであと二月……それまで我慢すればいい……」
それ以降は総司を戦線離脱させたことにしてもさほど問題はないようだ。
歴史は順調に進んでいる。
山南さんも怪我をする。
それがもうすぐのはずだ。
自分の記憶がどこまで正確か、不安になる時がある。
自分がいつ死ぬか、そんなことを考えたりする。
「…池田屋事件で、総司を守れたら……私はもういなくなろう」
言葉にすることで、決心がついた。
この痛みを隠すのも限界に来ていたし、何より自分の死が身近に迫っているのも感じていた。
「……私は、誰かのために、生きれるのかな」
雫の呟きは闇に溶けた。
*****
朝食の後、土方に呼び出された雫は廊下を歩いていた。
呼び出されるのも久しぶりだが、何かあっただろうか……
「土方さん、暁月です」
「入れ」
やっぱり怒ったような声だ。
煙は……今日は煙管を吸ってないみたい。
「今日は、どうしたんですか?」
まだこちらを振り返ってはくれない。
「…あの、土方さん?」
「…すまんすまん、遅れてしもた」
山崎さんがいつもの笑顔で降りてきた。
その反応から、自分を呼んだのが彼だと分かる。
「…いえ、大丈夫ですけど……」
山崎は普段の動きやすい服装ではなく、女物の着物を着ていた。
その上化粧が少し残っていて、艶やかという言葉が当てはまるような雰囲気をしていた。
「…今日は、どこに潜入していたんですか?」
「…ん?島原やで?」
残りの化粧を落とすと、いつもの山崎さん。
本人も素顔の方が居心地が良さそうだ。
着物はそのままで、山崎は雫に向き直った。
「…あんな?雫ちゃんに仕事手伝ってもらいたいんや」
「…………島原で、ですか?」
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