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void
family
しおりを挟む久坂は周りに倒れている隊士達を一瞥して、
「今日の分の仕事は終了してるんだ。無駄に動かないで。帰るよ」
雫は僕に背を向け、闇に消えていく。
そのとき、小さく口元が『ごめん』と動いた。
久坂はそれに気付かずに、総司を見てニヤリと笑い、
「…じゃあ、またね」
と暗闇に消えていった。
*****
屯所はバタバタしていた。
雫に斬られた隊士達の治療をしていたのだ。
医術の心得を持っているのは山崎だけなため、山崎が他の隊士に指示を出しながら素早く治療していた。
未来である程度の処置は習っていた。
死ぬべきではない人間が死ぬのを防ぐためでもあった。
目の前にいる一番隊の隊士の治療を始めた。
「…お、きた隊ちょ…」
「喋らなくていいよ。足の感覚はある?」
動けないようにするためが目的か、隊士の傷はほとんどが足であった。
隊士は首を縦に振る。
痛みを感じているならまだ問題はない。
圧迫し血を止め、包帯を巻いていく。
「感覚を常に確認すること。もし無くなってきたら僕を呼んでね」
「…た、いちょう……雫、は……」
何も答えることが出来なかった。
総司はニコッと微笑むと次の隊士の治療へと移る。
「……総司、大丈夫?」
「…あぁ、うん」
疲れて縁側に座る僕を、平助が心配して声をかけた。
平助も疲れているようだった。
「…雫、家族が長州の側についてたんだな」
事情を知らない皆にはそう伝えている。
ある意味間違いではないから問題ないだろう。
平助は寂しそうにため息をついた。
「…雫、やっぱり変な家族なのかな?兄の警護とか軟禁とか…」
「……!」
顔に出さないように気をつけて、平静を保とうとした。
東雲から雫についての過去の概要は聞いていた。
それでも尚助けたいか、と。
答えはイエスだった。
「血の繋がりがあるだけの人を、家族だなんて呼ばないよ」
叫びたくなる気持ちを抑えて、総司はその場を立ち去った。
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