暁のソロモン

抹茶

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異世界到着

毒舌赤ずきんと優しい狼

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さわさわ…

「ん…」
鼻をくすぐる若葉の匂いが底へ落ちた意識を浮上させる。
ゆっくりと目を開けると流れる雲と青い空が目に入った。
「どこだここ…?」
体を起こして辺りを見回すとそこは見慣れない場所。
見渡す限り広がる青々とした草原と遥か向こうには切り立った巨大な岩のような山々が連なっていた。
こんな広い場所は家の近くにはない、むしろ日本にあるのかも怪しい。
なぜ俺はここにいるんだ。
「待て、思い出せ…。ここに来る前何があったか考えれば…」
首を捻り記憶を辿る。
俺の名前はコウで、小学校5年生…よし記憶喪失になったわけではないみたいだ。
今日は海斗たちと学校の裏の林に行って噂を確かめようとして、そしたら噂の白い服を着た女は実は違っていて。
「そうだ!ケルベロス!」
赤い目の彼女、ケルベロスに出会った。
彼女の姿を思い出した途端記憶が水瓶から水が溢れ出てくるように頭の中を満たしていく。
黒い化け物ズールと戦い、ケルベロスは俺を守るために戦った。
でも偶然戦いの場にいた野うさぎを助けるために俺が飛び出して、そのせいでケルベロスは怪我をした。
その次だ、ケルベロスが手のひらから炎を出した途端光が現れて興味本位で触ってしまって…そこで記憶は途切れている。
「あの光に触ったせいか…」
何の危機感もなく光に触れてしまったことがあだになったようだ。
しかしよく分からないものに触れたからとは言え、知らない場所に飛ばされるなんて俺以外だとしても考えもしないだろう。
せめてケルベロスがいてくれたら協力してくれたのに彼女の姿はどこにもない。
それどころか辺りを見回しても人ひとりいない。
「あーもう!どうすればいいんだよ…」
半ば自棄になって勢いよく柔らかい草原の上に仰向けに倒れこんだ。
目の前一杯に広がる青空の中に一羽の鳥が円を描いて飛んでいる。
あのまま元の場所に俺を乗せて連れて行ってくれないだろうか。
叶えられもしない願いを愚痴るように心の中で零す。
すると投げやりな願いが偶然にも空へ届いたのか鳥がこちらに向かって急降下してきた。
しかし小さいとは言え俺の体を鳥が運べるとは思えない。
数年前外国の民族のドキュメンタリー番組で大きな鷲が赤ん坊を攫った映像を見たが流石にそこまで小さくはないし。
恐らく俺を動物の死骸と勘違いしているのだろう、馬鹿な鳥だ。
その目は鳥目か、鳥だけに。
だんだん近くなっていく距離と比例し鳥の影も大きくなっていき、ついに影はすっぽり俺の体を覆ってしまった。
あれ、おかしい。
まだ距離はあるはずなのに影が大きすぎないか。
嘘だろ。
あり得ない、だが今目に見えるものは紛れもない事実だ。
倒れた体を無理やり起こし、反射的に真横に飛ぶと同時に地震の揺れとも違わない振動が全身に伝わってきた。
頭上で響く羽ばたきの音と巻き起こされる暴風のような風。
先ほどまで寝転がっていた場所には巨大な三つの爪痕が残されていた。
見上げれば遥か遠くで爛々と光る鋭い瞳と目が合う。
その目は獲物を追い詰めたハンターのように俺から視線を外そうとしない。
もう一度言おう、嘘だろあり得ない。
でかすぎる、世界最大の鳥であるダチョウだってこんなに大きくはないし、あの巨体で飛ばない。
しかしこいつはダチョウよりも遥かに大きい体で飛んでいた。
あの嘴の大きさを見てみろ、大人も軽く丸のみしてしまうほどだ。
地球上にこれだけ大きな鳥は果たしていたか。
鳥が甲高い声を上げ、自然と体がすくみ上る。
目を見れば分かる、あいつは俺を食べる気だ。
しかしそれを分かっていながら俺の体は先ほどのように反射的に動いてはくれなかった。
生存本能よりも恐怖心が勝ってしまったようだ。
ズールの時とは違う、あの時はケルベロスがいた。
今は誰もいない、助けてくれる人はいない。
鳥の嘴が上下に開き、俺の頭目掛けて振り下ろされた。
「伏せろ!!」
震えた体が稼働する。
謎の声が停止した体にスイッチを入れ直してくれたようだ。
誰の声かと考える間もなく、俺は声の言う通りにその場に頭を抱えるようにして伏せる。
その瞬間、鳥の悲鳴と共に鈍く大きな音が頭上から聞こえた。
大きな鳥の羽が数枚宙に舞い、恐る恐る顔を上げるとその体が数メートル先に見えた。
鳥は倒れた体を奮い立たせこちらに向かって威嚇するように甲高い声を上げている。
その声に応えるように俺の体を覆うようにして立つそれも低く唸り声を上げた。
長い鼻筋に鋭い牙、銀色の毛並みが頭上の太陽の光で反射し煌めきを放つ。
一見狼のように見えるが一般の狼とは似て異なる部分がある。
まずその大きさ、馬と同等に大きく大人を背に乗せ軽々運べそうなほどである。
そして背に生えた黒い翼は通常狼には無いもの。
翼と言えば軽い印象を受けるが、この獣に生えている翼は見たところ鉄や鋼で出来ており寧ろ重たく感じられる。
あれでは鳥のように空を自由に飛べそうもない。
「グラ!私がやる!」
場違いに鈴が鳴ったような声が聞こえたと思えば目の前に小さな影が舞い降りた。
背を向けているため顔は見えないがどうやら少女のようで、俺よりも年齢は下に見える。
少女が俺を庇うように一歩足を踏み出すと頭上から大きな溜息が聞こえた。
「…ルル、あれくらい俺で十分だ。弾が無駄になるだろ」
しゃべった、狼が。
しかし俺が驚き目を丸くしても一人と一匹は気にも留めずに会話を続ける。
「何よグラだけいつも前に出て戦って、私だって戦えるのよー!」
「身を隠して獲物を殺すことがお前の得意分野だろ、それにこの間の戦闘で随分弾を減らしたはずだ。いざと言う時のために残りの弾をとっとけ」
「もー!もうすぐ王都に着くんだから弾はすぐ補給できるわ」
「まだ王都に着いたわけじゃない」
「あの…」
互いの語気が次第に強くなっていることにいたたまれず思わず口を挟むと、二対の瞳が同時に俺に突き刺さった。
グラと呼ばれた狼の鋭い視線はもちろん怖いが、俺の前で腰に手を当て胸を張って立つ少女もなかなかの迫力だ。
「何?あんな雑魚に腰抜かす弱虫は黙ってなさいよ」
「こらルル。悪い、こいつは少し口が悪いだけで悪気はないんだ。犬に噛まれたと思ってくれ」
「は、はあ」
その姿をしたあんたが言うか。
思わずそう言ってしまいそうになる口は無理やり閉じ、二人に見守られながら足に力を入れようやく立ち上がると軽い眩暈に襲われた。
「大丈夫か」
「うん、ありがとう」
怖い見た目によらず、優しく気配り上手のようだ。
逆にこちらの少女は可愛い見た目からは想像もつかないような冷たい目で俺を見上げている。
白いAラインのワンピースに裾にレースがあしらわれた黒いレギンス、それに加えて赤いポンチョを身に着けポンチョについたフードを被っている姿はまるで童話の赤ずきんのようだ。
しかしその手にあるものはケーキと葡萄酒を入れた手編みの籠ではなく二丁の拳銃である。
しかも本来退治するはずの狼は何故か相棒のように寄り添っているし、狙ったかと疑うくらいに矛盾しているコンビだ。
「やっと立ち上がったとこ悪いけどそこでぼーっとしてなさい。ちゃちゃっとあいつ片付けてくるから!」
「おい待て!…ったくルルのやつ…」
「だ、大丈夫なの?一人で…」
「ま、怪我はしないだろうな。安心しろ、直ぐに終わる」
狼はそう言って俺の隣に伏せの態勢で腰を下ろしくつろぎ始めた。
琥珀色の瞳に心配の色は微塵も感じられず、欠伸を漏らしているほどだ。
その狼の言う通り、心配は要らなかった。
「ほーら、どこ見てんのウスノロ!」
少女は巨大な鳥の背丈を軽々飛び越えるほどの跳躍力を見せながら、挑発するように鳥の体に次々弾丸を叩きこむ。
鳥はその度に悲鳴を上げるものの戦意は衰えず、必死に弾丸の出所を追いかけようとするも少女の動きが速すぎて追いつけていない。
「あーきた!そろそろ遊びはおしまい!」
宙で一回転し鳥の頭に降りた少女は鳥が振り払うよりも先に頭上から弾丸を一発叩きこんだ。
すると鳥は目を開けたままゆっくりと真横に倒れていく。
どうやら今の一発が決定打になったようだ、少女は高く跳躍し狼の目の前に着地すると自慢げに鼻を鳴らした。
風に揺れてフードが外れる。
「どーお?華麗な戦いだったでしょ?」
「無駄打ちが多すぎる、それにわざわざ頭の上から撃たなくてもあの鈍さなら狙撃した方が効率良く殺れた」
「もー少しは褒めてくれたっていいじゃん!」
顎で丁寧に切り揃えられた金髪が風に乗って踊る。
フードが外れる前から分かっていたが瞳は日本人にはあり得ないアメジストを連想させるような紫色。
そして脱色しているとは思えない自然な色の金髪、おまけに頭の上についたある物体に俺の目は一瞬にして奪われた。
「み、耳…?」
「何よ、驚くことでもないでしょ獣人なんて」
少女は自身の頭の上に生えているうさぎのような耳を撫で不思議そうに首を傾げた。
一般的なうさぎの長い耳ではなくネザーランドドワーフのような小さな耳ではあったが、表情に合わせ自然に動いているところを見ると紛れもなく少女の耳から生えているものだろう。
しかし少女は自分の頭を見られても平然としている、寧ろ俺の方がおかしいのではないかと疑っている。
まるで自分のこの容姿は普通で、俺が普通ではないと言っているようだ。
俺の周りに今まで頭から耳が生えた人間はいたか?言葉を話す狼はいたか?
この場所はまさか。
「なあ、ここってどこか教えてくれる?」
「え、あんた頭でも打って…」
「頼むよ!教えてくれ…」
「グランディア王国の国境付近の草原だ」
少女の代わりに答えたのは狼だった。
「グランディア…?」
「知らないのか?ソロモン王が治める国だぞ」
「知らない…」
グランディアもソロモン王という言葉も聞いたことが無い。
それに日本は王政ではない、外国と言う線もあるがいくらここが外国だとしても彼らのような存在は聞いたことが無い。
絶望が押し寄せる、膝から一気に崩れ落ち目の前で少女が慌てたように駆け寄ってきた。
少女が何かを言っているがよく聞こえない、頭の中はある一つの可能性で一杯だった。
「嘘だろ…異世界なんて…」
漫画やアニメでよく聞いた異世界トリップという言葉。
その多くは日本で暮らしていた主人公がある日魔法や魔物が存在する異世界に飛ばされ悪と戦うと言うもの。
最近は異世界で店を開いたり、ドラゴンを育てたりほのぼのした物語も増えてきている。
勿論見る方は現実にはない新鮮味のある話に心躍らせるだろうが、それは現実にはあり得ないからこそ興味惹かれるものだ。
こうして現実に起こるなんて思いもしない。
「あの…日本って国は聞いたことは?」
「…無いな」
一縷の望みで聞いても望んだ言葉は返ってこなかった。
やはりここは異世界なんだ、これからどうすればいいのだろう。
知っている人はいないことは当たり前だ、ここは地球ですらないのだから。
せめてあのズールたちを倒したケルベロスがいてくれたら頼もしいのに。
会った時間は数分だったはずなのに随分信頼を寄せたものだ、思わず自嘲の笑みが零れた。
「今頃どうしてるんだろケルベロス…」
「ケルベロス?お前ソロモン王の眷属と知り合いなのか?」
「知ってるの!?」
「当たり前じゃない、ケルベロスと言えば初代ソロモン王の時からグランディア王家に仕える眷属よ。そんなことも知らないの?」
「お願い!ケルベロスに合わせて!」
「人の話を聞きなさい!」
少女が何やら細かいことを話している気がするが気にしている余裕はない。
それよりも今この危機から脱しようとする気持ちで一杯一杯だった。
この想いよ伝われと言わんばかりに必死に狼に縋りつく。
狼は俺の目をじっと見つめ僅かに目を細めると「ルル」と少女の名を呼んだ。
「時間まで余裕はあるよな」
「…まさかグランディアに行くつもり?私たちの身分でそんな簡単にケルベロスに会えると思っているの?」
「そこまで面倒は見ない、ただグランディアまで連れていくことは可能だろ」
狼のわざとらしく口角を上げた表情に少女は諦めたように肩を落とす。
「もー、勝手にしてよ…ほんと子供に甘いんだから」
「決まりだな。おい小僧、ケルベロスに会いたいんだったな」
「え、会えるの?」
「いや、俺たちができるのはケルベロスがいると思われるグランディア王国までお前を連れていくことだ。訳ありでな、俺らは国の中には入れない。それでも良いか?」
「良い!大丈夫!」
猫の手も借りたいくらいの状況だ断るわけがない。
「俺の名前はコウって言うんだ!その、グランディアってとこまでよろしくな!」
「ああ、俺のことはグラと呼べ。でこっちはルル」
「私たちはそこまで暇人じゃないの、ぼさっとしていると置いて行くわよ」
態度は冷たいが本気で嫌がっていないところを見ると、グラの言った通り根っからの悪人と言うわけではないらしい。
ルルは外れたフードを再び被るとその場で高く飛び、慣れたようにグラの背に乗る。
鳥に襲われた時ルルの姿が見えなかったのは背に乗っていたからか、納得した。
「ほら、お前も行くぞ」
「え、わっ!」
親犬が子犬を運ぶ要領でパーカーのフード付近を軽く咥えられたかと思えば強い力で引っ張り上げられた。
体が宙で一回転し、気づけば柔らかい毛皮の上に座っていた。
「俺も乗って良いの!?二人だよ!重くない!?」
「平気だ」
「グラなら平気よ。と言うかあんたの歩幅に合わせてたら日が暮れてもグランディアに着けないのよ」
「そんなに遠いの?グランディアって」
「歩けばの話よ。でもグラなら、そうねぇ…30分かな」
「いや20分で着ける」
体にゆったりとした振動が伝わる、グラが態勢を低くし始めたからだ。
両前足の付け根の筋肉が隆起し思わず崩れ落ちそうになるところを毛皮にしがみつき必死に耐える。
その動きがおかしかったのか前方から馬鹿にしたような笑いが聞こえてきた。
「そんなことでぐらぐらしてたら直ぐに振り落とされるわよ」
「へ」
「行くぞ、しっかり捕まっとけ」
一体どういう意味なのか聞く間もなかった。




「ぎゃあああああーーーーーー!!」
「あーもーうるさーい!!」
広大な草原に悲鳴ともとれる叫び声が響く。
これが原因でその後ジェットコースターに乗れなくなるなんて今の俺には知る由もなかった。
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