6 / 12
アホ共
ゲバーズ(雅治、恵、久枝、慎三、秀隆、康昭)
しおりを挟む
<概要>
先月発表分「京都から東京まで」の中で早紀が憤慨した連中の話。
ヤツラが性懲りなくやらかす。
<略系図>
天沼・松永家四代略系図
満喜子(旧鍋島)┳天沼稔(ヘタレ)
┏━━━┻━┓
雅治┳恵 久枝┳松永慎三
┣━┓ ┣━┳━━━┓
秀隆 康昭 愛佳 葵┳尚 健太朗
子
<登場人物>
故・天沼満喜子一味。
・満喜子(マキコ(故人)):旧姓、鍋島。久枝と雅治の母。儲け話に目がなかった元祖ゼニゲバー。
・雅治(マサハル(85)):満喜子の息子。ゲバーズのボス。
・恵(メグミ(83)):雅治の妻。
・秀隆(ヒデタカ(60)):雅治と恵の長男。真面目で一本気。
・康昭(ヤスアキ(58)):雅治と恵の次男。穏やかで気弱。
・松永久枝(ヒサエ(82)):満喜子の娘。旧姓、鍋島。
・松永慎三(マツナガシンゾウ(78)):久枝の夫。正常。
とにかく、この連中クソ。
<本文>
〔2023年晩夏・天沼雅治宅(昼)〕
玄関口、豚の蚊取り線香受けの真上部分が失くなったまま現役。
ホコリ被ったままの腐れ神棚。
その真ん前に松永久枝、天沼雅治、天沼恵が横一列になり、戦隊風ポーズで、
アホども「コストカット!コストカット!」
勢いあまって踊り疲れ、ゼエハァヒーフ―…
一連の流れを、冷ややかな目で眺める松永慎三。
慎三M「折しも、雅治の息子・秀隆と康昭がオフシーズン帰省していた」
呼吸が早く戻った雅治から、すっかり呆れ果てた顔の長男・秀隆と康昭へ、
雅治「オイ、秀隆、康昭」
秀隆「何だよ」
康昭「あぁ」
雅治「(咳払いする)此度(こたび)ウチは株式投資を再開することになった」
秀隆、顔から血の気が引く。
秀隆「は?今更?頭狂ってら。何度すりゃ満足すんだ。普段から株式チャートすらロクに読まないくせに」
康昭、ギョッとした顔。
康昭「面倒事やめろや(汗)」
久枝、クネクネと媚びながら、
久枝「チョットはお金稼ぎし・た・く・て♡」
秀隆と康昭、互いに顔を見合わせる。
秀隆M「どこが何がコストカットだ。笑えねぇ…」
康昭M「言ってることが分かんねぇ…」
秀隆「お前らマジで、バカの一つ覚えw」
康昭「…」
雅治と恵、襖を開け、隣室から白い布をかけられたごついブツを居間へ運ぶ。
置くなり布を取る。
中からは金のシャチホコが出現。
恵「レディースア~ンドジェントルマン!壮麗かつ煌めく逸品をご覧ください(^з^)-☆」
深い溜め息を吐く慎三。
すっかり白けている秀隆と康昭。
康昭「何だこの展開・・・」
秀隆「ますますバカかお前ら。しかもきめぇ…」
慎三M「秀隆が言い放ったのには、相応の理由がある。彼ら誰一人、経営センスのかけらもないのだ。これは大層由々しき問題と言わざるを得ない」
秀隆、雅治の目を見ながら、
秀隆「元はと言えば雅治サン、アンタと満喜婆さんの二人で当時羽振り良かった某実業家の口車にまんまと乗せられ会社作って壊して大金溶かすことになっただろ。おかげで当時コッチにまで返済迫られてな!そん時につき合ってた女にも去られてね…今でも恨んでるよ」
康昭「あん頃、兄さん大わらわで色んなとこ出向いて…そりゃひどかったよ」
慎三M「コチラは結局大型倒産した一流企業と連鎖倒産させられた件について」
雅治、手酌しながら皆、特に息子たちに、
赤ら顔の雅治「金はあるだけ使っちまうほうがえべっさんが喜ぶんだ。だろ?」
皆、一様に肯定の頷き。
秀隆と、実は帰省最終日の康昭、青ざめる。
康昭の手に、新幹線指定席のチケット。
券面に「東京―鹿児島」の記載。
彼の横に帰り支度を済ませた荷物がある。
康昭M「疲れる・・・。突発で決まった明日の現場に響いたらヤダな…」
康昭が立ち上がり、玄関先へ向かう。
一家全員、後に続く。
〔天沼雅治宅・玄関〕
康昭、帰る。
見送る皆。
久枝から別の話題が振られる。
久枝「そいやぁ、元旦以外に年一でやるお祓いどうする?神社の賽銭箱ん前でパンパンか、何だったら本殿ん中入っちゃう?」
横に並ぶ恵と雅治、しばらく考え、
その二人「その額は用立てられるが……」
久枝「?」
雅治「せいかつひ・・・」
恵、首を大きく縦に振る。
恵の顔全体が明るくなり、
恵「そうよ!鍋島の早紀サンへ相談しましょ!あの人なら何とか知恵、いや、現ナマ工面してもらえるかも♡」
秀隆のおでこに青筋がくっきり浮かび上がり、皆を睨みつける。
秀隆「ざ、、、けんな。お前ら」
皆、秀隆の変わりぶりに混乱する。
雅治「(汗)」
恵「(汗)」
久枝「(汗)」
慎三、無表情で秀隆を見、
慎三「代弁ありがとう。もういいよ。ここからは、僕が話す」
秀隆、この場は踏み留まる。
秀隆M「結局反対と批判を繰り返した俺と静かに聞いていた慎三さんが何とかして押し止めるも、ゲバーズは心底では納得しなかった。しゃあないわ」
(了)
Q&A
Q.お祓いのディスカウントって、できるの?
A.多分可能。料金表示がない神社で一見さんの場合、渋々で千円くらい割引可。昇殿参拝の経費(初穂料/都心の神社)は高めに設定。実質水増額。
後援会等に寄付している家族割引あるいは無料になることも。これはその家族の一人から聞いた。
―― 参考資(餌)料 ――
金のシャチホコの模型(1/10)
https://news.ntv.co.jp/category/society/235977
世界()のサカモトのアホ動画(おしゃれカンケイ 90年代後期)【作者は非追悼扱いで載せる】
https://www.youtube.com/watch?v=WU9ub9u5TIM
最近の四季報
日経ヴェリタス
祈祷の料金案内
先月発表分「京都から東京まで」の中で早紀が憤慨した連中の話。
ヤツラが性懲りなくやらかす。
<略系図>
天沼・松永家四代略系図
満喜子(旧鍋島)┳天沼稔(ヘタレ)
┏━━━┻━┓
雅治┳恵 久枝┳松永慎三
┣━┓ ┣━┳━━━┓
秀隆 康昭 愛佳 葵┳尚 健太朗
子
<登場人物>
故・天沼満喜子一味。
・満喜子(マキコ(故人)):旧姓、鍋島。久枝と雅治の母。儲け話に目がなかった元祖ゼニゲバー。
・雅治(マサハル(85)):満喜子の息子。ゲバーズのボス。
・恵(メグミ(83)):雅治の妻。
・秀隆(ヒデタカ(60)):雅治と恵の長男。真面目で一本気。
・康昭(ヤスアキ(58)):雅治と恵の次男。穏やかで気弱。
・松永久枝(ヒサエ(82)):満喜子の娘。旧姓、鍋島。
・松永慎三(マツナガシンゾウ(78)):久枝の夫。正常。
とにかく、この連中クソ。
<本文>
〔2023年晩夏・天沼雅治宅(昼)〕
玄関口、豚の蚊取り線香受けの真上部分が失くなったまま現役。
ホコリ被ったままの腐れ神棚。
その真ん前に松永久枝、天沼雅治、天沼恵が横一列になり、戦隊風ポーズで、
アホども「コストカット!コストカット!」
勢いあまって踊り疲れ、ゼエハァヒーフ―…
一連の流れを、冷ややかな目で眺める松永慎三。
慎三M「折しも、雅治の息子・秀隆と康昭がオフシーズン帰省していた」
呼吸が早く戻った雅治から、すっかり呆れ果てた顔の長男・秀隆と康昭へ、
雅治「オイ、秀隆、康昭」
秀隆「何だよ」
康昭「あぁ」
雅治「(咳払いする)此度(こたび)ウチは株式投資を再開することになった」
秀隆、顔から血の気が引く。
秀隆「は?今更?頭狂ってら。何度すりゃ満足すんだ。普段から株式チャートすらロクに読まないくせに」
康昭、ギョッとした顔。
康昭「面倒事やめろや(汗)」
久枝、クネクネと媚びながら、
久枝「チョットはお金稼ぎし・た・く・て♡」
秀隆と康昭、互いに顔を見合わせる。
秀隆M「どこが何がコストカットだ。笑えねぇ…」
康昭M「言ってることが分かんねぇ…」
秀隆「お前らマジで、バカの一つ覚えw」
康昭「…」
雅治と恵、襖を開け、隣室から白い布をかけられたごついブツを居間へ運ぶ。
置くなり布を取る。
中からは金のシャチホコが出現。
恵「レディースア~ンドジェントルマン!壮麗かつ煌めく逸品をご覧ください(^з^)-☆」
深い溜め息を吐く慎三。
すっかり白けている秀隆と康昭。
康昭「何だこの展開・・・」
秀隆「ますますバカかお前ら。しかもきめぇ…」
慎三M「秀隆が言い放ったのには、相応の理由がある。彼ら誰一人、経営センスのかけらもないのだ。これは大層由々しき問題と言わざるを得ない」
秀隆、雅治の目を見ながら、
秀隆「元はと言えば雅治サン、アンタと満喜婆さんの二人で当時羽振り良かった某実業家の口車にまんまと乗せられ会社作って壊して大金溶かすことになっただろ。おかげで当時コッチにまで返済迫られてな!そん時につき合ってた女にも去られてね…今でも恨んでるよ」
康昭「あん頃、兄さん大わらわで色んなとこ出向いて…そりゃひどかったよ」
慎三M「コチラは結局大型倒産した一流企業と連鎖倒産させられた件について」
雅治、手酌しながら皆、特に息子たちに、
赤ら顔の雅治「金はあるだけ使っちまうほうがえべっさんが喜ぶんだ。だろ?」
皆、一様に肯定の頷き。
秀隆と、実は帰省最終日の康昭、青ざめる。
康昭の手に、新幹線指定席のチケット。
券面に「東京―鹿児島」の記載。
彼の横に帰り支度を済ませた荷物がある。
康昭M「疲れる・・・。突発で決まった明日の現場に響いたらヤダな…」
康昭が立ち上がり、玄関先へ向かう。
一家全員、後に続く。
〔天沼雅治宅・玄関〕
康昭、帰る。
見送る皆。
久枝から別の話題が振られる。
久枝「そいやぁ、元旦以外に年一でやるお祓いどうする?神社の賽銭箱ん前でパンパンか、何だったら本殿ん中入っちゃう?」
横に並ぶ恵と雅治、しばらく考え、
その二人「その額は用立てられるが……」
久枝「?」
雅治「せいかつひ・・・」
恵、首を大きく縦に振る。
恵の顔全体が明るくなり、
恵「そうよ!鍋島の早紀サンへ相談しましょ!あの人なら何とか知恵、いや、現ナマ工面してもらえるかも♡」
秀隆のおでこに青筋がくっきり浮かび上がり、皆を睨みつける。
秀隆「ざ、、、けんな。お前ら」
皆、秀隆の変わりぶりに混乱する。
雅治「(汗)」
恵「(汗)」
久枝「(汗)」
慎三、無表情で秀隆を見、
慎三「代弁ありがとう。もういいよ。ここからは、僕が話す」
秀隆、この場は踏み留まる。
秀隆M「結局反対と批判を繰り返した俺と静かに聞いていた慎三さんが何とかして押し止めるも、ゲバーズは心底では納得しなかった。しゃあないわ」
(了)
Q&A
Q.お祓いのディスカウントって、できるの?
A.多分可能。料金表示がない神社で一見さんの場合、渋々で千円くらい割引可。昇殿参拝の経費(初穂料/都心の神社)は高めに設定。実質水増額。
後援会等に寄付している家族割引あるいは無料になることも。これはその家族の一人から聞いた。
―― 参考資(餌)料 ――
金のシャチホコの模型(1/10)
https://news.ntv.co.jp/category/society/235977
世界()のサカモトのアホ動画(おしゃれカンケイ 90年代後期)【作者は非追悼扱いで載せる】
https://www.youtube.com/watch?v=WU9ub9u5TIM
最近の四季報
日経ヴェリタス
祈祷の料金案内
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる