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びっくり箱の人
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久しぶりに顔を出したら、予想以上に歓迎されたので、ご無沙汰してしまったのが申し訳なくなった。
こっちに戻ったら、もう少しまめに顔を見せなきゃなあって、思う。
それにしても平日の夜なのに、何故か客が多い。
平日だから大丈夫と思ってバイトを減らしてしまったとかで、店の中はちょっとした戦場になってた。
「チュンチュン! 救世主!」
「もー、大将、オレ客なのにー」
歓迎の勢いのまま、エプロンを差し出すマスター。
あれ、これおれを歓迎してくれた以上に、チュンの戦力期待してる?
割とよくあることだから、苦笑いしか出てこないんだけどね。
「あとでいい思いさせてあげるから、お願い」
「しょうがないなあ! この弘樹さまが、手伝って差し上げましょう!」
慣れたもので、軽口をたたきながらチュンは背広の上着をおれに預けて、マスターからエプロンを受け取っていた。
おれはカウンターの端っこ、荷物置きになっていることが多い小さな椅子に腰を下ろして、久しぶりの店を楽しんでる。
さっき、店の外におつかいに出たチュンが、大声でマスターを呼ぶ。
「たーいしょー、ちょっと手伝ってー!」
「なあに?」
ガラスに影が映っている。
チュンのシルエットより一回り大きい影が映っているところを見ると、誰かが一緒にいるらしい。
誰か拾ってきたのかな?
やれやれとマスターがドアを開けると、チュンと一緒になだれ込んできた。
身体の大きいその相手を、チュンが支えきれなくなったらしい。
って、え?
「テル、さん?」
へたり込んだ見覚えのある姿。
おそるおそる呼びかけたら、テルさんだった。
「いっくん? ……何で、ここにいるの?」
おれの顔を見て、周囲を見回して、またおれの顔を見てから、困ったようにテルさんが尋ねてきた。
「ぶー? 誰?」
「家主さん……」
「ああ、この人がそうなんだ。生方の親友、雀部弘樹です。いつも生方が、お世話になってます」
一緒にへたりこんでいたチュンが、テルさんの正面に正座して言った。
おい、待て!
「やめれ! お前、おれのオカンか?!」
「え~。こんな面倒くさい息子はいらねーわ。けど、保護者気分になることは多々ある。お前、一人じゃ放っておけないからな」
「家主の、関照好です。お見苦しい状態で申し訳ない。こちらこそ、郁くんにはお世話になってます」
ははは、と力なく笑いながら、テルさんが頭を下げる。
やーめーてー。
なんでここで三者懇談状態になってるんだよ!
あんたら、おれの保護者じゃないから!
「あらま、テルちゃん、ひとりなの? 珍しい」
「え?」
マスターまで乱入してきて、おれは固まる。
え、何?
知り合いなの?
「ひとりでこの辺来るの、禁止されてるって言ってなかった?」
「ああ、そうなんだけど、なんか……」
「足にきてるって、結構呑んでるんじゃない? ひーちゃんは?」
マスターがテルさんの肩を撫でながら、問う。
家で、シュンやおれの面倒をみていて、すごくしっかりしていると思っていたテルさんが、ものすごく情けない顔でふるふると首を横に振った。
それから、きゅうっと座ったまま足を抱えこんでしまう。
あの夜明けに、おれの布団の横でシュンがしていたように。
「そう。ここじゃ何だから、ちょっとソファに移動しようか」
マスターが示したところに、チュンとおれで運ぶ。
テルさんは大柄だから、チビなおれ達じゃ二人がかりでもヨレヨレだ。
ソファに納まったテルさんの前に、チュンが水を置く。
マスターは店の奥に入ってしまった。
多分、ひーさんって人に連絡しているんだろう。
「ぶー、お前こっち」
チュンがグラスと荷物を持ってきてくれた。
移動しろってことかな。
おれがテルさんの向かいに座ったのを見て頷いて、慣れた様子でカウンターに入って、洗い物を始める。
テルさんに気を遣ってくれたらしい。
「ごめん、情けないとこみせて」
テルさんは、ぐったりとソファにもたれる。
情けない……?
っていうか。
大きな熊がしゅんってしているみたいで、すごくかわいいんだけど。
「テルさん、びっくり箱だ」
「へ?」
「おれ、テルさんには驚かされてばっかりだ。シュンと親子かと思ったら、年の離れた兄弟だし。しっかり者だと思ってたら、ここですげえかわいいことになってるし。ただの独身男と思っていたら、こっち側の人だし」
テルさんが、ゆっくりとおれを見た。
わざわざ聞くようなことじゃないから、確認したことはなかったけど、この店はその手の――主にゲイの人たちが呑みに来る店。
当たり前のようにマスターが接してて常連っぽい様子だったから、きっと、テルさんも男が好きな男。
「俺はなんとなく、いっくんはそうかなって思っていたけどね」
「醸し出してた?」
「いや、勘だけど……年の功?」
「それ、なんか違う」
年の功って、亀じゃないんだからさ。
「そう?」
ふう、吐息をつくようにテルさんが笑って、ちょっとだけ、いつもの感じに戻った。
「テルさんのこと、シュンは知っているんだ?」
「ああ。ひーに懐いてるし」
そういえば、シュンがそう言ってたっけ。
ひーちゃんはテルちゃんの恋人で、一緒にシュンを育ててくれたって。
「おれ、ひーさんって女性だと思ってた」
「聖っていうんだ、男だよ。名波聖」
その名前を聞いて、驚いた。
最近時々話題になっている、知る人ぞ知るって感じの、フォトグラファー。
そういえば寺のパンフレットに使われている、やたらときれいな写真に名前が入っていた。
「ここのマスターは、ひーのトモダチ。あいつ、誰彼かまわず威嚇するから……下手なとこで呑めなくて。でも、ここで呑むとひーに筒抜けになるから、どうしようかって思って、迷ってるうちに足にきた」
「何やってるんですか」
「ホントにね……何してるんだろうな、俺……」
「テルさん?」
ソファの上に膝を抱えて、テルさんは顔を隠してしまう。
「シュンはかわいいんだ。とんでもない母親だなって思うけど、シュンを生んでくれたことには感謝してる。嫌いじゃない。憎んでもない。ただ、あの人と俺は、どうしようもないんだ」
「うん」
「シュンをずっと手元においておけると思ってた。ひーには感謝してる。我慢させてるのも知ってる。でも、シュンがかわいいんだ」
「うん、見ててわかる。テルさん、めっちゃシュンのことかわいがってる」
丸まっていたテルさんが、ちらっとおれを見た。
「いっくんは、優しいな」
「テルさんほどじゃないですよ」
「口がうまいし」
「チュンほどじゃないです」
「それにかわいい」
「何言ってるんですか」
いいなあ、いっくんはかわいいなあと、テルさんはうわごとのように繰り返した。
どうなんだろうこの感じ。
割とシャキシャキ話しているけど、繰り言になっているってことは酔っているのかな?
素面だって言い張っているけどやっぱりテルさんは酔っていて、あちこちに散っていく話を聞くだけ聞いて、組み立てる。
最初はここに来るつもりだったけど、何故だか急に迷ってしまったこと。
今日、聖さんに会うつもりはなかったこと。
聖さんは旅先で写真を撮ることが多いから、なかなか会えないこと。
ふたりでシュンを育てるのは、すごく楽しかったこと。
シュンがかわいくて仕方ないこと。
母親に対して、マイナスの気持ちはないけどうまくいかないこと。
うまくいかない大きな原因は、自分の性的志向だと思っていること。
ぽつりぽつりと、テルさんは言葉を繋ぐ。
それは全然違うようで、おれにもよくわかる気持ち。
しばらく雨だれのように話していたテルさんは、急に口をつぐんだ。
で、少し躊躇ってから、言った。
「母親が、シュンを引き取りたがってるんだ」
テルさんが泣くのかと思った。
それくらい、絞り出したような声だった。
「え?」
「だからって、あの人が手元に置くとは思えないんだけどね。どうも、全寮制の進学校に行かせたいらしい……多感な年ごろに、俺みたいな『偏った』奴のところに置くのは、不安なんだってさ」
「テルさん……」
「駄々こねても、シュンは行くと思う。そうじゃないって何度言っても、シュンは自分がいると俺がひーといられないって思いこんでいるから……それに、母親が言う通り、俺のところにいない方が、シュンの道は開けると思う」
しょんぼりとつぶやくテルさんは、大きい体なのにすごくかわいくて、おれは隣に座ってテルさんの背中に腕を回した。
「テルさん、ホントにかわいいなあ」
「見るからにかわいいいっくんに言われてもなあ……」
二人して同じような顔して、同じように相手のことを思うなんて。
ホントに似ててかわいい、この兄弟。
「おれはかわいくないです」
「かわいいよ」
かわいいかわいいと、背中を撫でていたら、べりっと引きはがされた。
「はい、ここまでな。離れる! 面倒見ていてくれたのはありがたいけど、もう充分!」
「ひー」
そこにいたのは、ワイルドって形容詞がよく似合いそうな、しなやかな男性だった。
テルさんと並ぶか少し低いくらいの身長で、程よく鍛えている感じの肉付きで、シンプルなシャツとパンツを身に着けてて、身体を見せつけている感じじゃないのが好感持てる。
その人がつけているシルバーのアクセサリーが、ちゃりって鳴った。
「ええと?」
「ひーちゃん、ぶーちゃんのことは威嚇しないでねー。その子、繊細なんだから、優しくしてあげてね」
ほほほほほ、と、マスターののんきな笑い声が店に響いた。
おおう。
これが、ひーさん。
確かにすごい威嚇されちゃってるよ、おれ。
っていうか。
「テルさん、めっちゃ、愛されてるねえ」
しみじみとそう言ったら、テルさんはソファに沈み込み、チュンが大爆笑した。
なんで?
こっちに戻ったら、もう少しまめに顔を見せなきゃなあって、思う。
それにしても平日の夜なのに、何故か客が多い。
平日だから大丈夫と思ってバイトを減らしてしまったとかで、店の中はちょっとした戦場になってた。
「チュンチュン! 救世主!」
「もー、大将、オレ客なのにー」
歓迎の勢いのまま、エプロンを差し出すマスター。
あれ、これおれを歓迎してくれた以上に、チュンの戦力期待してる?
割とよくあることだから、苦笑いしか出てこないんだけどね。
「あとでいい思いさせてあげるから、お願い」
「しょうがないなあ! この弘樹さまが、手伝って差し上げましょう!」
慣れたもので、軽口をたたきながらチュンは背広の上着をおれに預けて、マスターからエプロンを受け取っていた。
おれはカウンターの端っこ、荷物置きになっていることが多い小さな椅子に腰を下ろして、久しぶりの店を楽しんでる。
さっき、店の外におつかいに出たチュンが、大声でマスターを呼ぶ。
「たーいしょー、ちょっと手伝ってー!」
「なあに?」
ガラスに影が映っている。
チュンのシルエットより一回り大きい影が映っているところを見ると、誰かが一緒にいるらしい。
誰か拾ってきたのかな?
やれやれとマスターがドアを開けると、チュンと一緒になだれ込んできた。
身体の大きいその相手を、チュンが支えきれなくなったらしい。
って、え?
「テル、さん?」
へたり込んだ見覚えのある姿。
おそるおそる呼びかけたら、テルさんだった。
「いっくん? ……何で、ここにいるの?」
おれの顔を見て、周囲を見回して、またおれの顔を見てから、困ったようにテルさんが尋ねてきた。
「ぶー? 誰?」
「家主さん……」
「ああ、この人がそうなんだ。生方の親友、雀部弘樹です。いつも生方が、お世話になってます」
一緒にへたりこんでいたチュンが、テルさんの正面に正座して言った。
おい、待て!
「やめれ! お前、おれのオカンか?!」
「え~。こんな面倒くさい息子はいらねーわ。けど、保護者気分になることは多々ある。お前、一人じゃ放っておけないからな」
「家主の、関照好です。お見苦しい状態で申し訳ない。こちらこそ、郁くんにはお世話になってます」
ははは、と力なく笑いながら、テルさんが頭を下げる。
やーめーてー。
なんでここで三者懇談状態になってるんだよ!
あんたら、おれの保護者じゃないから!
「あらま、テルちゃん、ひとりなの? 珍しい」
「え?」
マスターまで乱入してきて、おれは固まる。
え、何?
知り合いなの?
「ひとりでこの辺来るの、禁止されてるって言ってなかった?」
「ああ、そうなんだけど、なんか……」
「足にきてるって、結構呑んでるんじゃない? ひーちゃんは?」
マスターがテルさんの肩を撫でながら、問う。
家で、シュンやおれの面倒をみていて、すごくしっかりしていると思っていたテルさんが、ものすごく情けない顔でふるふると首を横に振った。
それから、きゅうっと座ったまま足を抱えこんでしまう。
あの夜明けに、おれの布団の横でシュンがしていたように。
「そう。ここじゃ何だから、ちょっとソファに移動しようか」
マスターが示したところに、チュンとおれで運ぶ。
テルさんは大柄だから、チビなおれ達じゃ二人がかりでもヨレヨレだ。
ソファに納まったテルさんの前に、チュンが水を置く。
マスターは店の奥に入ってしまった。
多分、ひーさんって人に連絡しているんだろう。
「ぶー、お前こっち」
チュンがグラスと荷物を持ってきてくれた。
移動しろってことかな。
おれがテルさんの向かいに座ったのを見て頷いて、慣れた様子でカウンターに入って、洗い物を始める。
テルさんに気を遣ってくれたらしい。
「ごめん、情けないとこみせて」
テルさんは、ぐったりとソファにもたれる。
情けない……?
っていうか。
大きな熊がしゅんってしているみたいで、すごくかわいいんだけど。
「テルさん、びっくり箱だ」
「へ?」
「おれ、テルさんには驚かされてばっかりだ。シュンと親子かと思ったら、年の離れた兄弟だし。しっかり者だと思ってたら、ここですげえかわいいことになってるし。ただの独身男と思っていたら、こっち側の人だし」
テルさんが、ゆっくりとおれを見た。
わざわざ聞くようなことじゃないから、確認したことはなかったけど、この店はその手の――主にゲイの人たちが呑みに来る店。
当たり前のようにマスターが接してて常連っぽい様子だったから、きっと、テルさんも男が好きな男。
「俺はなんとなく、いっくんはそうかなって思っていたけどね」
「醸し出してた?」
「いや、勘だけど……年の功?」
「それ、なんか違う」
年の功って、亀じゃないんだからさ。
「そう?」
ふう、吐息をつくようにテルさんが笑って、ちょっとだけ、いつもの感じに戻った。
「テルさんのこと、シュンは知っているんだ?」
「ああ。ひーに懐いてるし」
そういえば、シュンがそう言ってたっけ。
ひーちゃんはテルちゃんの恋人で、一緒にシュンを育ててくれたって。
「おれ、ひーさんって女性だと思ってた」
「聖っていうんだ、男だよ。名波聖」
その名前を聞いて、驚いた。
最近時々話題になっている、知る人ぞ知るって感じの、フォトグラファー。
そういえば寺のパンフレットに使われている、やたらときれいな写真に名前が入っていた。
「ここのマスターは、ひーのトモダチ。あいつ、誰彼かまわず威嚇するから……下手なとこで呑めなくて。でも、ここで呑むとひーに筒抜けになるから、どうしようかって思って、迷ってるうちに足にきた」
「何やってるんですか」
「ホントにね……何してるんだろうな、俺……」
「テルさん?」
ソファの上に膝を抱えて、テルさんは顔を隠してしまう。
「シュンはかわいいんだ。とんでもない母親だなって思うけど、シュンを生んでくれたことには感謝してる。嫌いじゃない。憎んでもない。ただ、あの人と俺は、どうしようもないんだ」
「うん」
「シュンをずっと手元においておけると思ってた。ひーには感謝してる。我慢させてるのも知ってる。でも、シュンがかわいいんだ」
「うん、見ててわかる。テルさん、めっちゃシュンのことかわいがってる」
丸まっていたテルさんが、ちらっとおれを見た。
「いっくんは、優しいな」
「テルさんほどじゃないですよ」
「口がうまいし」
「チュンほどじゃないです」
「それにかわいい」
「何言ってるんですか」
いいなあ、いっくんはかわいいなあと、テルさんはうわごとのように繰り返した。
どうなんだろうこの感じ。
割とシャキシャキ話しているけど、繰り言になっているってことは酔っているのかな?
素面だって言い張っているけどやっぱりテルさんは酔っていて、あちこちに散っていく話を聞くだけ聞いて、組み立てる。
最初はここに来るつもりだったけど、何故だか急に迷ってしまったこと。
今日、聖さんに会うつもりはなかったこと。
聖さんは旅先で写真を撮ることが多いから、なかなか会えないこと。
ふたりでシュンを育てるのは、すごく楽しかったこと。
シュンがかわいくて仕方ないこと。
母親に対して、マイナスの気持ちはないけどうまくいかないこと。
うまくいかない大きな原因は、自分の性的志向だと思っていること。
ぽつりぽつりと、テルさんは言葉を繋ぐ。
それは全然違うようで、おれにもよくわかる気持ち。
しばらく雨だれのように話していたテルさんは、急に口をつぐんだ。
で、少し躊躇ってから、言った。
「母親が、シュンを引き取りたがってるんだ」
テルさんが泣くのかと思った。
それくらい、絞り出したような声だった。
「え?」
「だからって、あの人が手元に置くとは思えないんだけどね。どうも、全寮制の進学校に行かせたいらしい……多感な年ごろに、俺みたいな『偏った』奴のところに置くのは、不安なんだってさ」
「テルさん……」
「駄々こねても、シュンは行くと思う。そうじゃないって何度言っても、シュンは自分がいると俺がひーといられないって思いこんでいるから……それに、母親が言う通り、俺のところにいない方が、シュンの道は開けると思う」
しょんぼりとつぶやくテルさんは、大きい体なのにすごくかわいくて、おれは隣に座ってテルさんの背中に腕を回した。
「テルさん、ホントにかわいいなあ」
「見るからにかわいいいっくんに言われてもなあ……」
二人して同じような顔して、同じように相手のことを思うなんて。
ホントに似ててかわいい、この兄弟。
「おれはかわいくないです」
「かわいいよ」
かわいいかわいいと、背中を撫でていたら、べりっと引きはがされた。
「はい、ここまでな。離れる! 面倒見ていてくれたのはありがたいけど、もう充分!」
「ひー」
そこにいたのは、ワイルドって形容詞がよく似合いそうな、しなやかな男性だった。
テルさんと並ぶか少し低いくらいの身長で、程よく鍛えている感じの肉付きで、シンプルなシャツとパンツを身に着けてて、身体を見せつけている感じじゃないのが好感持てる。
その人がつけているシルバーのアクセサリーが、ちゃりって鳴った。
「ええと?」
「ひーちゃん、ぶーちゃんのことは威嚇しないでねー。その子、繊細なんだから、優しくしてあげてね」
ほほほほほ、と、マスターののんきな笑い声が店に響いた。
おおう。
これが、ひーさん。
確かにすごい威嚇されちゃってるよ、おれ。
っていうか。
「テルさん、めっちゃ、愛されてるねえ」
しみじみとそう言ったら、テルさんはソファに沈み込み、チュンが大爆笑した。
なんで?
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