スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第79話 僕達に訪れた突然の危機、そして #1

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セカンケイブダンジョンの攻略を開始して今日で10日目、【スティール】はまだ進化しない。
うーん、このまま続けて本当に進化するのかな……

それでも踏破にかかる時間はちょっとずつ短くなってきて、今日はこれが2周目。
それももう目の前の階段を降りれば、あとは最下層の6階層目を残すだけだ。
さあ、マジシャン君とソーサラー君、今日もよろしく!



――スキルが進化しました

っ!? 今のって!
「きたぁぁぁぁ!!」

最下層の中盤を過ぎたあたり、弱らせたゴブリンマジシャンの魔石を【スティール】したところで、ついにその時がやってきた。
……ははっ、嬉し過ぎて思わず叫んじゃった。

「カルア! もしかして!?」
「進化、したのか?」
「そうなの、カルア君?」
「きた?」

僕の様子に、何があったかをすぐに察したみんなが集まってきた。
みんな嬉しそうに顔を輝かせてる。そしてきっと今の僕も同じような顔をしてる。

「うん、今『進化しました』って声が……ちょっと待って……」
確認、確認……僕のスキル……っと見えた!

――コアスティールDp3デプススリー

「やった! ちゃんと『Dp3』になってる!」

「やったじゃない!」
「おめでとうカルア君!」
「ああ! おめでとうカルア!」
「カル師、おめ。祝☆進化」

みんな……
「うんっ! ありがとうみんなっ!!」

それにクーラ先生も……
「よかったわねカルア。……本当に進化するんだ」
「あははは……ありがとうございます」

それから暫くみんなから祝福を受けて、そして――
「さあみんな、お祝いはここまで。そろそろ気を引き締めなさい。ここはダンジョンの最下層なんだから。この続きはボスを倒して街に帰ってから……盛大にやるわよ!!」
「「「「「はいっ!」」」」」

よーし、そうと決まったらソーサラー君はささっと倒しちゃって……
うん、今夜が楽しみ!!



まずは進化した【スティール】の試し撃ち。
最初に出会ったゴブリンマジシャンにそのまま――
「【スティール】」

すると……
「【スティール】、出来たわね」
ゴブリンマジシャンは崩れ落ち、僕の目の前には魔石が浮かぶ。見慣れた光景。

「ああ。弱らせる必要は無かったな」
「一撃、必殺」
「スキルが進化したからか、それとも今の個体が弱かったのかな。もう少し検証が必要かも」
「そうね。ノルトの言う通り、ここからはカルアの【スティール】だけで進みなさい。カルア以外は手を出しちゃだめよ」



結論から言うと、ゴブリンマジシャンもゴブリーダーも全て一撃だった。
モリスさんの推察通り、【スティール】が進化して大きな魔力を持つ魔物からもコアを【スティール】出来るようになったって事みたい。

そこから僕達の進行速度は一気に上がり、そしてあっという間にボスの間へと到着した。
目標だった【スティール】の進化を果たした訳だし、ここに来るのもこれが最後かな。ここには何回くらい来たんだろう……少なくとも30回は越えてる気がする。
お陰でここのソーサラー君ともすっかり顔馴染みで……思わず挨拶とかしちゃったり?

『よく来たナ。待っていたゾ』

……はい?

「ちょっとカルア、今喋ったのって……よね?」
「うん、僕にもそう見えたけど……クーラ先生?」

是非ご意見を!

「うーん、喋る魔物がいるのは知ってたけど……でもゴブリンソーサラーが喋るなんて聞いた事が無いわ」

喋る魔物、いるんだ。
……初めて見た。

『フン、何を驚いていル。まさか言葉を理解するのが自分達だけだとでも思っていたのカ?』
「そんな事はないけど、喋るゴブリンソーサラーってのはあなたが初めてよ。それであなた、私達に話し掛けてきたのは何が目的かしら?」

驚く僕達の前で普通に話し始めるクーラ先生。流石です。

『……夢を見タ。何度も何度も殺される夢ダ。ある時は剣で斬らレ、ある時は棒で殴らレ、またある時は素手デ……そして最後は突然意識を失くした。その夢でワタシを殺すのハ、いつも必ずお前達だっタ』

待って、まさかそれって……

『そしてその夢の最後に母は言っタ。お前達とは戦ってはいけないト。会話し命を燃やしなさいト』
「命を燃やす? いえその前に『母』って誰?」
『母は母ダ。ワタシや同胞達を生みしこのダンジョン。全ては母より生まれ母のもとに帰ル。故にワタシ達は母の言葉に決して逆らわなイ』
「ダンジョンが……母……」

『だからワタシはお前達と会話しタ。だから次はワタシの命を燃やス。そしてお前達を招待しよウ。我らが母の、真なる最下層へト! ルラァァァァ!!!!』

うわっ!? ちょ眩し…………



その光が収まると、自分のすぐ目の前にいたカルア達5人は、全員がその姿を消していた。
その事にクーラは一瞬呆然とし、だがすぐに我を取り戻す。
「あの子達をどうしたの!? 答えなさい!!」

クーラのその様子を見たゴブリンソーサラーはニタリと笑い、そして答えた。
『言っただろウ、真なる最下層へと招待するト。夢でワタシを殺さなかったお前ハ、その対象ではなイ』

その言葉を聞いたクーラは唇を噛み締め、そして射殺さんばかりの殺気と共に血を吐くような叫びを放つ。
「今すぐあの子達をここに戻しなさい! それが無理なら、私も同じ場所に跳ばしなさい!!」
だが――

『無理ダ。ワタシの命は全て燃やし切っタ。もはやワタシには腕一本動かす事も出来ン』
「そんな!?」
『ではワタシは母のもとに還ろう……ハハハ、真なる最下層に住む最強の同胞達よ、我が恨みを……』

そう言い残し、ゴブリンソーサラーはダンジョンの地面の中に沈むように消えていった。

「何て事っ!! カルア! アーシュ! ノルト! ワルツ! ネッガー……」
クーラは辺りを見回し気配を探るが、カルア達を見付ける事はおろか感じ取る事すらも出来ない。
「くっ、私にはどうする事も出来ない! 応援を……応援を呼ばなきゃ!!」
そしてクーラは走り出した。



ダンジョンを出たクーラは、フタツメに向かって走り続けていた。

「誰に連絡したら……フタツメの冒険者には無理、もっと実力者じゃないと……でもそれだけじゃダメ! これは時間との勝負、すぐに来れる人じゃないと……」
そして思い当たった一人の男。
「インフラ技術室のモリス室長! あの人にならギルド間通信で連絡出来る! それにカルア君の推薦者だから他の関係者への連絡も! あと何より……【転移】を使える!!」

「みんな! 私が行くまで持ちこたえててよっ!!」
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