スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第88話 セントラルよいとこ一度はおいで #2

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急にセカンと人形が全く同じ動きで、全く同じ声で叫んで……
とりあえず失敗とかじゃなかったみたい。でも――

操化身アバター?」
って何?

「ええっとね、これは精霊に伝わる言い伝えなんだけど……」
精霊の言い伝え? 何だか凄そう。

「すっごく昔の事だけど、ある時この世界を作った神様が、その世界を自分の目で見てみたくなったの。でも神様は自分の世界に降り立つ事が出来ない。神様の持つ強大な神力が世界を壊してしまうから」
世界を作った神様……えっ、精霊の言い伝えって事はもしかして実話!?

「神様はそれでもどうしても諦めきれず、そしてある事を思い付いた。そうだ、自分の分身となる人形を作って、その人形で世界を見て回ろうって。神様が作ったその人形の名前……それが操化身アバターっていうの」
うーん、神様が思い付いたにしては……案外普通?

「ははは……カルア君ってば、今度は神話の魔道具を作っちゃったよ……どうしよ」

いやいや神話って……モリスさん流石に大袈裟すぎ!
だってこの仕組み、今までやってきたのを組み合わせただけだよ?
普通に作れちゃうくらいのものだよ?

でもモリスさんもセカンも黙って首を振るだけで――
それが静かなプレッシャーになって――
嫌な汗が頬をつーっと――

「じゃ、じゃあ次はセントラルダンジョンで! あーー、向こうでもちゃんと繋がるといいなあ、あはははは……」

――って事でラルのところに【転移】っ!

「ふぅ、ただいまー」
「お兄ちゃんおかえりなさいです。あれ? 手に持ってるのはセカンお姉ちゃんです? まさか連れ出しちゃったです? セカンケイブダンジョン崩壊の危機です!?」

えっ、ダンジョンって精霊を連れ出すと崩壊するの!?
何それ怖い。

まあでもそれはおいといて――
「セカン、どう? セントラルダンジョンに着いたけど」
そう手に持ったセカンの――もう操化身って名前でいいや――に声を掛けてみた。

「大丈夫みたい。ちゃんと見えるしそっちの声も聞こえるわよ。体も……うん、何の違和感もなく動かせるわね。さっきまでと変わらず、自分の体みたいに」

よかった、大丈夫そうだ。

「えっ、セカンお姉ちゃん? セカンお姉ちゃんだけど……セカンお姉ちゃんじゃないです? 一体どういう事です?」

僕の手のひらの上で座り直したセカンの操化身は、頭の上に?マークをたくさん浮かべたラルを見つめながらゆっくりと語り掛けた。妹のその成長した姿に戸惑いながら。

「セントラル、落ち着いて聞きなさい。この非常識カルアがね、言い伝えにあった操化身を作っちゃったの。信じられないかもしれないけど……今あなたの目の前にいるのは私の操化身よ」

あ、ラルの頭の上にたくさん浮かんでるのが、?マークから!?マークに……

「ええっ!? 嘘です!? 神様でもないのにそんなの作れるです!?」
「それを……作っちゃったのよ……さっき私の目の前で……あっという間に……」

そう肩を竦めるセカンの操化身には、目の周りに沢山の縦線が……
んー、我ながらよく出来てるなぁ。

「カルアお兄ちゃん、流石にコレは……わたし、お兄ちゃんの事を尊敬すればいいのかドン引きすればいいのか……今その境界線上でフラフラしてるですよ……?」

そんな……軽く背中をもう一押しするだけでドン引きされちゃうレベル?

「ふふんっ! よく分からないけど、要するに『精霊から見てもカルアは非常識』って事ねっ!」

あ、その一押しが……
じゃなくて、アーシュは何故そんなに自慢気なのさ。
しかも全然嬉しくない方向に……



「まあでもおかげでこうしてセントラルの顔も見れたし、ありがとうねカルア」
おおっ、アーシュの妹さんは良く出来た精霊ひとだった!
今はあたたかなフォローが身に染みる……

「……ってちょっとセントラル、あなたホントに大きくなったわね。顔も大人っぽくなってるし、それに身長なんて人間と変わらない大きさじゃないの」
「はいです! だからこうしてカルアお兄ちゃんと並んで立っても、ちゃんと兄妹に見えるですよ」
そう言ってセントラルは僕の隣へ。

「むう、それはちょっと羨ましいかも。私もアーシュ姉さまと並んで……あ、でもそしたらこんな事出来なくなっちゃう」
セカンはそう言うと僕の手からふわりと浮かび上がり、そのままアーシュの元へと飛んで行くと、その肩の上にちょこんと座った。
「何よ急にそんな可愛い……ああもう、全く姉妹で何を張り合ってるんだか」

はは、アーシュはもうすっかりお姉ちゃんって感じだ。
嬉しそうな様子を隠しきれてないのは触れないでおこう。

「むむぅ、それはそれで羨ましいです! カルアお兄ちゃん、こちらも負けてられないです! いざ肩車です!」

いや、勝ち負けとかじゃないからね?
そろそろ話を戻そうよ。

「あー、それよりもセカン? ダンジョンコアの置き場を見たかったんだよね? ほら、あれがそうだよ?」
「ん? コア? ええっと……何だったかしら…………あー……んー……ああ! そう言えばそんな話もあったっけ。操化身の衝撃が大き過ぎてすっかり頭から抜けてた!」

やれやれ……

「そう、アレがそうなのね。……うん、やっぱり非常識カルア。さすが非常識カルア。もうホント信じられない非常識カルアね。どうやったら『根幹の魔力』への直結回路なんて作れるのよ」
「ええ……そんなの知らないよ、そもそも作ろうと思って作った訳じゃないし。ダンジョンコアに魔力を注いだだけなんだからさ」

「……そもそもそれが疑わしいのよね。それだけでこんな事になるのかしら……セントラル、ちょっとコア見せて」
そう言ってセカンはラルのダンジョンコアに向かってじっと目を凝らし――

「あ、これ……」
えっ、何か見つけた?

「ダンジョンコアの性質に干渉を受けた形跡があるわ。これは……えっ、まさか付与? いやそんなまさか……でも確かにこれは……あっ、そうか! そういう事かぁ」
何か分かった、のかな……?

「分かったわ、原因はカルアの『大きくなあれ』よ」
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