スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第76話 セカンケイブ攻略、はじめました #3

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そしてセカンケイブダンジョンに到着。初めて見るフィラスト以外のダンジョン、その光景は――
岩肌に取り付けてある大きな扉、そしてその横の転送装置。
――ってあれ? あまり違いが無いかも。

「あの装置にギルドカードを翳すとダンジョンの中に転送されるわ。一塊になってれば全員纏めて一度に入れるから、ここはチームリーダーのカルアが代表してカードを翳すのがいいかしらね」

えっ僕? ええっと……

「――あのさ、僕って転移トラップに引っ掛かった思い出しかなくって、普通にダンジョンに入れた事が無いんだよね。今回は別のダンジョンだから多分大丈夫だとは思うけど、念の為ここはアーシュにお願いするよ」

「……あたしもその方がいいと思うわ。カルアだし」
軽いため息とともにアーシュがそう答え……って最後の一言ぉ!

みんな転送装置の前に集合し、アーシュが珍しく緊張した表情を見せつつカードを翳すと――

僕達は全員ダンジョンの中にいた。
よし、これであとは一歩足を踏み出して何事も無ければ――

「やった! 初めてダンジョンに入れた!」
部屋も赤くならないし、外に出ようとカードを翳しても……あ、それは今試せないや。

でもこのまま奥に進んでいいって事だよね!
そんな当たり前なはずの事に、何だか不思議と感動。ダンジョンに初めて「受け入れてもらえた」なんて気までしてくるよ……

「じゃあみんな、これからダンジョン探索を始めるけど……いい、最初は普通に踏破するのよ? カルアのスティール無しでね」

今回の引率にあたって、クーラ先生には僕のスキルや魔法についてある程度説明してある。もちろんチームのみんなに相談したうえでね。
みんなすぐに同意してくれた。隠し事で命の危険があったら本末転倒だからってね。

……クーラ先生のチーム入りは近い?



しばらく進むと、ここセカンケイブダンジョンでの第一ゴブリンに遭遇した。
「こいつは様子見で俺が行っていいか?」
ここのゴブリンはどれくらいの強さでどんな動きをするのか……まずはネッガーが剣だけで相手をして見る事になったんだけど……

身体強化無しのネッガーが程々の力で相手をして、かなりアッサリ勝利しちゃった。
「森にいたゴブリンと変わらないみたいね。住んでる場所で違いとかは無いのかしら?」
軽く首を捻ったアーシュだけど、でもすぐに興味を無くしたみたい。
「まあいいわ、次からは普通に相手するわよ」

出会いはゴブリン、時々ゴブラット。
ほとんどは1匹づつで、たまに2~3匹で出てくる事もある。でもあっさりと剣だけで倒せちゃうから魔法の出番は全く無い。
まあ、こっちは5人だしね。

そして大した広さも複雑さもない第1階層はあっという間に踏破し、僕達は下層に向かう階段へと到着した。

「マッピングしてみてどうだった?」
今回は練習のためマッピングは持ち回りでやる事になっていて、この階層の担当はワルツだった。クーラ先生がそのワルツに感想を訊くと、ワルツは書いたマップを出して得意気な表情を見せた。
「むふふ、完璧。今のわたしは地図職人」

ワルツからマッピングした紙を受け取り、ギルド製の公式地図と見比べるクーラ先生。
「驚いた、これ本当に完璧じゃない。そのまま丸写しにしたって言われても全く気付かないレベルよ?」
「料理とダンジョンは同じ。正しい道順を描けなければ、正しい料理ゴールには辿り着けない」

ごめんワルツ。
良い事を言ってるのかもしれないけど、高度過ぎて僕にはよく分からないよ……



階段を降りればそこは第2階層。
出てくる魔物は同じ、でもさっきよりも一度に出てくる数が増えた。
1匹だけで出てくる事はほとんど無くて、多い時には4~5匹の群れで出てくる。
でもやる事はさっきまでとそれほど変わらない。
だってほら、こっちは5人だし……

そしてこの階もまた順調に進み、下層への階段に到着した。
そしてクーラ先生のマップチェック、今回のマッピング担当はネッガーだった。
「――これも物凄く正確ね」
「歩幅を揃えたのと【気配察知】の応用で」
僕が覚えたアクティブ型の【気配察知】でも、確かに時空間魔法の【空間把握】に近い事は出来たけど……
もしかしてネッガーの【気配察知】って、パッシブ型なのに【空間把握】レベルなの!?



第3階層。
この階層までは出てくる魔物が第1階層と変わらない。
一度に出てくる数は上の階と同じくらい、でも出会う頻度がぐんと増えた。
そのお陰でちょっと忙しいけど、でも結局やる事はさっきまでと変わらない。
だってやっぱり、こっちは5人だし……

そして恒例のマッピングチェック、今回の担当はノルトだ。
「距離感が正確じゃなきゃ、農地の管理どころか種蒔きだって出来ないし……」
はい、という事で今回も超正確。



第4階層。
ここからは、ゴブリンとゴブラットに加えてゴブリーダーが出てくる。
そしてゴブラットはゴブリーダーの指令を受けて、攻撃を連携してくる。
でもゴブリーダーの強さはゴブリンと変わらないから、やっぱり大した事はない。
普通はゴブラオに進化なんてしないからね。伝説になるくらいだし。
それにこっちは5人……ってこれはもういっか。

今回のマッピングはアーシュ。
「アーシュも正確……」
「今いる階層なら今この場でだってマッピング出来るわ。【空間把握】で」
「それって時空間魔法? ……だとするとカルアも?」
「ええ。今のうちに第6階層までの地図作りましょうか?」
「はぁ……まったく何なのかしら、この新人パーティ」

階段を降りる前に、一旦ここで休憩する事になった。
「だったらここでお昼も済ませちゃうわよ。冒険者らしく携帯食でね」

ああ、そう言えば王都で携帯食を買ったんだった。
そして僕が張った結界の中で、みんな携帯食を取り出してボリボリと齧りだした。

「うーん、あんまり美味しくないわねコレ」
「まあ保存性と携帯性と腹持ち重視だからね。でもこれ、以前より大分マシになったのよ?」

あ、言われてみれば確かにそうかも。前食べたのはもっと不味かった気が……

「ねえワルツ、オリジナルの携帯食を作って売り出してみたらどう?」
おお、ノルトらしい提案。そしてワルツ向きの提あ――
「むむう、多分これ、カル師向き案件」
「えっ、僕向き?」

ワルツ向きじゃなくって? 僕ご飯とかあまり作れないよ?

「そう。包み紙の時間を【固定】すれば、オールおっけー」
「あっ、なるほど……」

そういう意味か……って実は凄いアイデアじゃないかな、これ?

「むふふ、わたしは、夫を立てる女」
「わっワルツあんたまた!?」

ワルツのこれって、どこまで本気なんだろう?
で、そこからアーシュが突っ込むまでの流れが最近固まりつつ……
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