スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第58話 僕たちの冒険の準備が整いました #4

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「ちょっと何よそのとんでもない機能! そんな凄い剣を安心して持ち歩くとか、出来る訳ないじゃない!!」

えっ……
あっそうか、ちょっと考えが足りなかった!

「そうだよね、盗まれちゃったしたら大変だもんね」
流石はアーシュ、足りないところを的確に突いてくる。確かに盗難対策は大事だよ……

「じゃあさ、自分の魔力を登録して他の人には使えないようにするってのはどう? あとは鞘に剣を取り寄せる機能を付けるとか……」

最初に作った魔剣、それとピノさんの首飾りに付けた防犯機能の組み合わせ。

「ああもうっ、何で話が通じないのよ!? 大体剣に付与って何よ! それってなんて魔剣!? それとも聖剣だとか言うの!?」
「何言ってるのさアーシュ、お伽噺とかじゃないんだから聖剣なわけ無いじゃないか。これはちょっと頑丈なだけの、ただの魔剣だよ」

そうそう、火も出なければ斬撃も飛ばない――そんなギリギリ魔剣。

「魔っ――!? ……もう無理、クーラ先生助けて……」
「こっ、ここで私に!? ええっ一体どうしたら……ええと……」
そんなドタバタな感じでアーシュと話していたクーラ先生だったけど……
ふと表情を改めてこんな事を訊いてきた。
「ねえカルア君、どうして君はみんなに剣をプレゼントしようって思ったの?」

それはだって……冒険者になるって事は……

「もしかしたら知ってるかも知れないけど、僕は前にトラップで魔物部屋に【転送】された事があるんです。それで必死に剣を振り続けたけど途中で剣が折れちゃって……もうちょっとで死ぬところだったんです」

そう、あの時生き残れたのは、たまたま【スティール】が進化してくれたおかげ。
そんな奇跡は普通起きないから――

「だからみんなには『絶対に折れない剣』を持って欲しくって。でも初心者が良い剣を買う事なんて出来ないから、だからせめて僕が作ろうって思ったんです。冒険者にとって何より大切なのは……命と安全だから」
「「「「「…………」」」」」

ああ……こんな話をしたせいで、みんなしんみりした表情になっちゃった。
ホントは笑顔で受け取って貰いたかったんだけどなぁ。

――とここでクーラ先生が大きく息を吐いて、それから口を開いた。
「これはもう受け取るしか無いんじゃない? みんな、彼の気持ちを汲んで大切に使わせて貰いなさい。それとカルア君、みんなの剣には盗難対策を付けてあげて頂戴。せめて少しでもして持ち歩けるように……。みんなもいいわね?」

そして今までで一番ってくらい真剣な表情で一言追加――
「あと、この剣の事は絶対に他の人に言っちゃ駄目よ?」


こうしてようやく……ちょっと回り道しちゃったけど、みんな笑顔で剣を受け取ってくれた。
「分かったわカルア、この剣は大切に使わせてもらうから」
「ああ、俺もだ。ありがとうなカルア!」
「もちろん僕もだよ。それに秘密は絶対に守る。ありがとう」
「カル師、大切に使う。一時いっときも離す事無く」

「よかった……。みんな、ありがとう!」
あとワルツ、寝る時とかは離しとこうね。危ないから。

そしてアーシュからの最後のお言葉が――
「ああそうだ、この事はお祖母様にだけは報告しておくから。後できっちり叱られなさい」
やっぱりか……でもベルベルさんには最初に相談したから、きっと大丈夫!
だといいなあ……



その後はみんなで小物や消耗品を買うために道具屋へ向かった。これも放課後授業の一環って事で、クーラ先生の引率でね。
お店では色んな事を教えてくれて凄く為になった。冒険に必要なアイテムの説明とか、便利な使い方とか。3年間冒険者をやってたけど、まだまだ知らない事だらけだってよく分かったよ。

あ、ベルベルさんの店には行ってないよ?
別に叱られるのが嫌だったって訳じゃなくって、あそこはほら……道具屋さんじゃなくって『魔道具屋さん』だから。

で、次は防具だ……と思ったけど、みんな防具は持ってたから買う必要なし。今持ってる防具はちょっと前まで剣術の実技授業で使ってたから、サイズの調整とかも要らなかったみたい。
よかった、防具も結構高いからね。

――とまあそんな感じで、全部の準備は全て完了した。
さあ、明日はいよいよ冒険者登録の日だ!



時は少し遡り、カルアがマイケル工房に赴き、錬成した5本の剣に『とある事』を話し掛けていた時の事。

ギルド本部インフラ技術室室長室にて――
キュピーーーン☆
「おっと来たか。ラーバル君がんばってね」

某王都在住エルフ宅にて――
キュピーーーン☆
「ほう、これが例の音か。だが今日は休校日、モリス氏の出番だな」

と、こんな綺麗なお見合いが発生し、そして……



世界に新たな魔剣が誕生した。



▽▽▽▽▽▽
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