117 / 278
第58話 僕たちの冒険の準備が整いました #4
しおりを挟む
「ちょっと何よそのとんでもない機能! そんな凄い剣を安心して持ち歩くとか、出来る訳ないじゃない!!」
えっ……
あっそうか、ちょっと考えが足りなかった!
「そうだよね、盗まれちゃったしたら大変だもんね」
流石はアーシュ、足りないところを的確に突いてくる。確かに盗難対策は大事だよ……
「じゃあさ、自分の魔力を登録して他の人には使えないようにするってのはどう? あとは鞘に剣を取り寄せる機能を付けるとか……」
最初に作った魔剣、それとピノさんの首飾りに付けた防犯機能の組み合わせ。
「ああもうっ、何で話が通じないのよ!? 大体剣に付与って何よ! それってなんて魔剣!? それとも聖剣だとか言うの!?」
「何言ってるのさアーシュ、お伽噺とかじゃないんだから聖剣なわけ無いじゃないか。これはちょっと頑丈なだけの、ただの魔剣だよ」
そうそう、火も出なければ斬撃も飛ばない――そんなギリギリ魔剣。
「魔っ――!? ……もう無理、クーラ先生助けて……」
「こっ、ここで私に!? ええっ一体どうしたら……ええと……」
そんなドタバタな感じでアーシュと話していたクーラ先生だったけど……
ふと表情を改めてこんな事を訊いてきた。
「ねえカルア君、どうして君はみんなに剣をプレゼントしようって思ったの?」
それはだって……冒険者になるって事は……
「もしかしたら知ってるかも知れないけど、僕は前にトラップで魔物部屋に【転送】された事があるんです。それで必死に剣を振り続けたけど途中で剣が折れちゃって……もうちょっとで死ぬところだったんです」
そう、あの時生き残れたのは、たまたま【スティール】が進化してくれたおかげ。
そんな奇跡は普通起きないから――
「だからみんなには『絶対に折れない剣』を持って欲しくって。でも初心者が良い剣を買う事なんて出来ないから、だからせめて僕が作ろうって思ったんです。冒険者にとって何より大切なのは……命と安全だから」
「「「「「…………」」」」」
ああ……こんな話をしたせいで、みんなしんみりした表情になっちゃった。
ホントは笑顔で受け取って貰いたかったんだけどなぁ。
――とここでクーラ先生が大きく息を吐いて、それから口を開いた。
「これはもう受け取るしか無いんじゃない? みんな、彼の気持ちを汲んで大切に使わせて貰いなさい。それとカルア君、みんなの剣には盗難対策を付けてあげて頂戴。せめて少しでも安心して持ち歩けるように……。みんなもいいわね?」
そして今までで一番ってくらい真剣な表情で一言追加――
「あと、この剣の事は絶対に他の人に言っちゃ駄目よ?」
こうしてようやく……ちょっと回り道しちゃったけど、みんな笑顔で剣を受け取ってくれた。
「分かったわカルア、この剣は大切に使わせてもらうから」
「ああ、俺もだ。ありがとうなカルア!」
「もちろん僕もだよ。それに秘密は絶対に守る。ありがとう」
「カル師、大切に使う。一時も離す事無く」
「よかった……。みんな、ありがとう!」
あとワルツ、寝る時とかは離しとこうね。危ないから。
そしてアーシュからの最後のお言葉が――
「ああそうだ、この事はお祖母様にだけは報告しておくから。後できっちり叱られなさい」
やっぱりか……でもベルベルさんには最初に相談したから、きっと大丈夫!
だといいなあ……
その後はみんなで小物や消耗品を買うために道具屋へ向かった。これも放課後授業の一環って事で、クーラ先生の引率でね。
お店では色んな事を教えてくれて凄く為になった。冒険に必要なアイテムの説明とか、便利な使い方とか。3年間冒険者をやってたけど、まだまだ知らない事だらけだってよく分かったよ。
あ、ベルベルさんの店には行ってないよ?
別に叱られるのが嫌だったって訳じゃなくって、あそこはほら……道具屋さんじゃなくって『魔道具屋さん』だから。
で、次は防具だ……と思ったけど、みんな防具は持ってたから買う必要なし。今持ってる防具はちょっと前まで剣術の実技授業で使ってたから、サイズの調整とかも要らなかったみたい。
よかった、防具も結構高いからね。
――とまあそんな感じで、全部の準備は全て完了した。
さあ、明日はいよいよ冒険者登録の日だ!
時は少し遡り、カルアがマイケル工房に赴き、錬成した5本の剣に『とある事』を話し掛けていた時の事。
ギルド本部インフラ技術室室長室にて――
キュピーーーン☆
「おっと来たか。ラーバル君がんばってね」
某王都在住エルフ宅にて――
キュピーーーン☆
「ほう、これが例の音か。だが今日は休校日、モリス氏の出番だな」
と、こんな綺麗なお見合いが発生し、そして……
世界に新たな魔剣が誕生した。
▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
えっ……
あっそうか、ちょっと考えが足りなかった!
「そうだよね、盗まれちゃったしたら大変だもんね」
流石はアーシュ、足りないところを的確に突いてくる。確かに盗難対策は大事だよ……
「じゃあさ、自分の魔力を登録して他の人には使えないようにするってのはどう? あとは鞘に剣を取り寄せる機能を付けるとか……」
最初に作った魔剣、それとピノさんの首飾りに付けた防犯機能の組み合わせ。
「ああもうっ、何で話が通じないのよ!? 大体剣に付与って何よ! それってなんて魔剣!? それとも聖剣だとか言うの!?」
「何言ってるのさアーシュ、お伽噺とかじゃないんだから聖剣なわけ無いじゃないか。これはちょっと頑丈なだけの、ただの魔剣だよ」
そうそう、火も出なければ斬撃も飛ばない――そんなギリギリ魔剣。
「魔っ――!? ……もう無理、クーラ先生助けて……」
「こっ、ここで私に!? ええっ一体どうしたら……ええと……」
そんなドタバタな感じでアーシュと話していたクーラ先生だったけど……
ふと表情を改めてこんな事を訊いてきた。
「ねえカルア君、どうして君はみんなに剣をプレゼントしようって思ったの?」
それはだって……冒険者になるって事は……
「もしかしたら知ってるかも知れないけど、僕は前にトラップで魔物部屋に【転送】された事があるんです。それで必死に剣を振り続けたけど途中で剣が折れちゃって……もうちょっとで死ぬところだったんです」
そう、あの時生き残れたのは、たまたま【スティール】が進化してくれたおかげ。
そんな奇跡は普通起きないから――
「だからみんなには『絶対に折れない剣』を持って欲しくって。でも初心者が良い剣を買う事なんて出来ないから、だからせめて僕が作ろうって思ったんです。冒険者にとって何より大切なのは……命と安全だから」
「「「「「…………」」」」」
ああ……こんな話をしたせいで、みんなしんみりした表情になっちゃった。
ホントは笑顔で受け取って貰いたかったんだけどなぁ。
――とここでクーラ先生が大きく息を吐いて、それから口を開いた。
「これはもう受け取るしか無いんじゃない? みんな、彼の気持ちを汲んで大切に使わせて貰いなさい。それとカルア君、みんなの剣には盗難対策を付けてあげて頂戴。せめて少しでも安心して持ち歩けるように……。みんなもいいわね?」
そして今までで一番ってくらい真剣な表情で一言追加――
「あと、この剣の事は絶対に他の人に言っちゃ駄目よ?」
こうしてようやく……ちょっと回り道しちゃったけど、みんな笑顔で剣を受け取ってくれた。
「分かったわカルア、この剣は大切に使わせてもらうから」
「ああ、俺もだ。ありがとうなカルア!」
「もちろん僕もだよ。それに秘密は絶対に守る。ありがとう」
「カル師、大切に使う。一時も離す事無く」
「よかった……。みんな、ありがとう!」
あとワルツ、寝る時とかは離しとこうね。危ないから。
そしてアーシュからの最後のお言葉が――
「ああそうだ、この事はお祖母様にだけは報告しておくから。後できっちり叱られなさい」
やっぱりか……でもベルベルさんには最初に相談したから、きっと大丈夫!
だといいなあ……
その後はみんなで小物や消耗品を買うために道具屋へ向かった。これも放課後授業の一環って事で、クーラ先生の引率でね。
お店では色んな事を教えてくれて凄く為になった。冒険に必要なアイテムの説明とか、便利な使い方とか。3年間冒険者をやってたけど、まだまだ知らない事だらけだってよく分かったよ。
あ、ベルベルさんの店には行ってないよ?
別に叱られるのが嫌だったって訳じゃなくって、あそこはほら……道具屋さんじゃなくって『魔道具屋さん』だから。
で、次は防具だ……と思ったけど、みんな防具は持ってたから買う必要なし。今持ってる防具はちょっと前まで剣術の実技授業で使ってたから、サイズの調整とかも要らなかったみたい。
よかった、防具も結構高いからね。
――とまあそんな感じで、全部の準備は全て完了した。
さあ、明日はいよいよ冒険者登録の日だ!
時は少し遡り、カルアがマイケル工房に赴き、錬成した5本の剣に『とある事』を話し掛けていた時の事。
ギルド本部インフラ技術室室長室にて――
キュピーーーン☆
「おっと来たか。ラーバル君がんばってね」
某王都在住エルフ宅にて――
キュピーーーン☆
「ほう、これが例の音か。だが今日は休校日、モリス氏の出番だな」
と、こんな綺麗なお見合いが発生し、そして……
世界に新たな魔剣が誕生した。
▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
52
あなたにおすすめの小説
一流冒険者トウマの道草旅譚
黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。
しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。
そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――
銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」
世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。
魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。
彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。
一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。
構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。
彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた
Mr.Six
ファンタジー
仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。
訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。
「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」
そう開き直り、この世界を探求することに――
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる