スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第41話 魔力増の謎とプレゼント作りです #2

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えっ、『マリョテイン』? だってあれってベルベルさんのレシピだって……
えーっと、ピノさん……?
って、『やっぱりそれかー』みたいな顔してる。

「ピノ、あんたこの『マリョテイン』って、昔あたしが教えたレシピから随分変えてるだろう?」
「ええと……あはは……。前にちょっと配合を間違えちゃった事があって。何故かそちらの方が美味しく感じて、それから色々試してみて……。それで一番美味しかった配合にしたのが今の『マリョテイン』なんです」
「やっぱりそうかい……」

右手で額を押さえて溜息をつくベルベルさん。
変えたのが良くなかったって事?
他のみんなも不思議そうな顔をしてる。

「あのさ、『良薬口に苦し』なんて言葉があるけど、この『マリョテイン』は薬じゃなくって調味料だろ? だからね、美味しく感じるってのは体がそれを求めてる――つまり効果が高いって事なんだよ」
「成程、確かにそういうものかもしれませんね。それで校長、その『マリョテイン』の効果というのはどの様なものなのですか?」
「効果は『魔力トレーニングによる最大魔力量増加のサポート』だ。つまり――」
「摂取した魔力の吸収率を高めると同時に、体内に蓄積できる魔力を増やす効果――ですか。成程、ようやく話が見えてきました」

「ああ。つまりだ、カルアがあり得ないほど魔力が多い食材を用意して、ピノがその魔力をあり得ないほど吸収できる料理を作る。それを食べたカルアがあり得ないほどクソまじめにトレーニングする――そいつを毎日繰り返してきた。まあ二人掛かりでやらかしちまったって訳だね、全く……。天然二人の傍迷惑な共同作業さ」

「「あは、ははは……」」

「まあでもね、どうもカルアの魔力の増え方はそれだけじゃまだ説明が付かないんじゃないか、って思うんだ。原因の半分がこれだったとしても、他にも何か大きな原因って奴が残ってそうな気がしてならないんだよ――カルア自身の中にさ」
「そうだねえ、カルア君だしねえ」
「ええ、カルア殿ならばありえますね」
「カルアくん、まじカルアくん!」
「ぅぅ、また胃が……」
「ギルマス、お薬です」

あれっ!? ピノさん、いつの間にかそっち側!?

「さて、ここでの検証は以上だ。今日は全員寝る前に魔力トレーニングをやるんだよ。それで明日どれだけ魔力が増加したか報告しな! カルア、あんたがやってるトレーニングは『石ころに回復魔法』って言ってたね?」
「はい、そうです」
「って事だ。全員同じ方法でやんな。【回復】を使えない奴はいるかい? ……よしいないね。あとカルア、今日はこれで解散だけど、あんた時間があるからってトレーニング時間を増やしたりするんじゃないよ? いつもと同じの量にしとかないと他の連中との比較が出来ないからね!」

あっ、そうだ――
「あのベルベルさん、その事でちょっと相談があるんですけど……?」
「ああ、なんだい?」
「最近トレーニングの前に魔力を空っぽにするのが凄く大変なんです。何か良い方法とか無いですか?」

「――また相談された側が激怒しそうなくらい贅沢な悩みをぶち込んできたね。と言ってもあんた程の量の魔力を使い切る、ってのは確かに大変そうだ。いつもはどうしてるんだい?」
「えっと、最近は遠くの国まで転移してすぐに戻るのを繰り返したりとかしてます」
「そいつはまた途轍もない魔力の無駄遣いだね。聞くだけでクラクラするよ……。まあ確かにあんたの魔法で一番重たいのは【転移】だからそれも仕方ないかね。で、それでもまだ使い切るのが大変と。うーん、どうしたもんかねえ」

ベルベルさんが頭を悩ませてると、その横でミレアさんが『はいっ』と手を上げた。
「ししょー、使うんじゃなくって魔石に注入しちゃったらどうです?」
「ああ、その手があったね。ただそうすると――今度は魔力が目一杯充填されたその魔石をどうするかって問題が出てくるね」

そのベルベルさんの声に今度はモリスさんが手を上げる。
「それは是非ともうちに任せてよ。ほら、これから『魔石抜き』が増えるだろ? そうしたら入荷する魔石の大部分が抜いた魔石に置き換わって、今ギルドの機器の燃料源になってる通常の魔力入り魔石の入手が困難になるんだよね。だからさ、カルア君の余った魔力はギルドの新たな燃料源にさせてもらうよ。こっちで空っぽの大きな魔石を用意するからさ、カルア君の魔力はそいつにチャージしてくれるかい? 幾つか用意しておいて、魔力を使い切って空になったのをローテーションで持ってくるようにするよ」

「モリス、それ自体はいいがカルアの魔力をあてにし過ぎるんじゃないよ。カルアが充填出来なかったからギルドが回らないなんて洒落にならないからね?」
「あははは、そうならないように充填済みの魔石を予備として沢山用意しておくのと、カルア君が不在の時には30人掛かりくらいで充填出来る体制を構築しておきますよ。その辺りの仕組み作りはインフラ技術室の得意分野ですからね」
「ならいいさ。あとカルアにちゃんと代金を支払うんだよ?」
「それはもちろん。っていうか、カルア君の魔力量だと、これだけを仕事にしてもかなり裕福な生活が出来ちゃうだろうね。君一人で一体王宮魔法師何人分くらいの充填量になるやら」

何だかなぁ……
最近冒険者以外の仕事の選択肢がどんどん増えてくんだけど……

「じゃあみんな今度こそ解散だよ。明日はうちに集合だからね。それじゃあモリス、発進」
「ははは、僕とうとう乗り物扱いだよ。じゃあカルア君、またねえぇぇ……」

「さて、我々もこれで終了だな。ああそうそう、今日の金属バットも換金でよかったのかな?」
「はい、それでお願いします」
「うむ、分かった。では我々と一緒にギルドへ【転移】してくれるかな」
「お願いしますね、カルア君」
「はいっ」

ギルマスとピノさんをギルドに送り届けてそのまま金属バットを換金。ここ最近立て続けに金属バットを沢山納入したけど、そのうち金属バットも買い取り停止になったりするのかな? 今度訊いてみよう。まあそうなった時は食べる分だけ持って帰るようにすればいいか。金属バット、美味しいしね。
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