スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第39話 逆襲のフィラストダンジョンです #2

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早足でギルドを出た僕は物陰からサクっと【転移】、さあダンジョンに到着っと。
「よし、油断せずに行こう」
そう気を引き締め直してから入り口の装置にカードを翳し、そしてダンジョン内へ。
そこから一歩踏み出せば、ダンジョン内は赤い色に包まれた――うん、いつも通りだ。
そこでもう一度出口の転送装置へとカードを翳すとトラップが発動して、そして僕は魔物部屋へと跳ばされた。これまたいつも通りに。

「【界壁】」
展開したのは、オートカさんの『やりたい放題障壁』を参考に作った僕の【界壁】。
だからオートカさんのと同じで、外からの攻撃は防いで中からはやりたい放題。これの事『ズルい』って言ってたのって誰だったっけ――スラシュさんだったかな?

目の前を埋め尽くすのは壁から出てきた四種混合バット達。でも当然【界壁】の中には入ってこれない。
ああ……そう言えば一人でこの部屋に来たのって時以来だ。思えばあれがすべての始まりだったなぁ……
その次からは毎回、調査団の人達とかモリスさんやギルマスと一緒だったっけ。オートカさんはいつも必ず一緒で、僕達を障壁で守ってくれてたなあ。

何て事をしみじみ考えてたけど――そろそろ頃合いかな?
じゃあ始めようか。空間把握からの――
「【スティール】」
目の前に現れた魔石をそのまま【ボックス】に入れたら次の群れを待つ。これを3回繰り返したところで全ての魔物が出し尽くしたみたいだ。
バット素材は買い取り停止中だから部屋の隅に移動して、と。これで部屋中スッキリ、階段の在り処もよく見えるようになった。
やっぱり【収納】を経由して片付けるのってすごく簡単便利だ。みんなにお勧めしたいなぁ。

階段を降りると下の部屋、そこに出てきたのは今回もやっぱり金属バットだ。あ、でもそういえば金属バットって毎回属性が違うんだった。【界壁】を展開してるし、今回は何の属性か見てみようかな。

……今回のは火の属性だったみたい。
火の塊がふよふよ飛んできて――【界壁】に当たってすぐ消えた。
これが金属バットの火魔法か。確認も出来たところで――
「【スティール】」
うん、比べてみるとやっぱり金属バットの魔石は他のよりちょっと大きいみたいだ。ダンジョンのボスだから――かな?
金属バットは買い取って貰えるから回収してっと。
下の階へは――やっぱり今日も行けないか……。何が条件なのかなあ。

上の階から扉を出て転送の間、そして外へ出た。うーーん、のびのびーー。
大きく伸びをして――それじゃあ2周目、行ってみよー!

そしてまたまた転送の間に到着。なんだけど……あれ? そういえばこの先って行った事無いな。いつも魔物部屋に【転移】してたから……。赤くても行けるのかな?
よし、試してみよう。

フィラストダンジョンは地上1階と地下2階の3階層、最下層の地下2階にはダンジョンコアがあって、そのコアは【結界】で守られている。のだけど――
もうすぐコアに到着するはずなのに、ここまで魔物が1匹も出てきていない。あ、もしかして全員魔物部屋に出張中とか?



という事で僕は今ダンジョンコアの前にいまーす。
おおー、確かに【結界】に守られてるね。あ、この結界って時空間魔法の感じだ――ってそれはそうか、ギルドが管理してるんだから。魔道具は本部で作られたのを使うよね、普通。

それで部屋の隅には――ああ、あった。あれが監視の魔道具みたいだね。誰かギルドで見てるかな? 手を振ってみようかな……。うん、怒られそう――『ダンジョンでふざけちゃ駄目』って。やめとこうっと。

あれ? あれあれ? この感じってまさか!? ……ってやっぱり出た!!
でもどうして? コアが結界で囲まれてからは出なくなったんだよね?
それなのに何故出てきたの、金属バット君!
でもまあ――取り敢えず【スティール】っと。

もう出てこないかな? 出てこないよね? ボスだし。
……出てこない、ね。
じゃあ金属バット君を回収して戻ろうか。

転送の間に戻るまでずっと考えてた。予感っていうか、もしかしてって。
これで魔物部屋をクリアして金属バットも倒したら今度は――

やっぱり!!
金属バットの部屋に出た階段、今度は降りられるよ!!
ならこれはもう行くしかないよねっ!

って事で階段を降りると――
「ちょっと! 眩しいんだけど!!」

部屋中を埋め尽くすくらいの大量の金属バットが一斉に光を反射して目に優しくない――どころか目に厳しい!!
そして……さっきから色々飛んできて界壁に当たってる。火とか水とか石とか、あとよく見えないけど風とか。

成程、下は金属バットの魔物部屋だったかぁ。
まあ上の階も金属バットだったし、分かってみれば別に意外って程でも無いかも。

いや、でもちょっと待って。この部屋って実はかなり危険なんじゃない?
同じ属性の魔法で攻撃してもあまり効果ないだろうし、どのバットがどの属性か見分けられないし。
やるとしたら、ひたすら物理攻撃するか、属性を見極めて魔法攻撃するか。でもどっちでやるにしても、この量を捌かなくちゃならない。
うん、やっぱり相当危険な部屋だ――ただしモリスさんは除いて。だって【空間ずらし】……

って事で――はい、把握からの【スティール】。で、今出てきてるのは全滅と。
僕の場合は上の階とやる事変わらないんだよね。

――スキルが進化しました
はいぃぃぃ!?



この階でもやっぱり1回じゃ終わらなかった。
もうあと3回繰り返して合計4回、それでやっと追加バットが出てこなくなった。上の魔物部屋と同じ回数なのは偶然?
ともあれ、目の前の大量の金属バットとその魔石を全部回収して……っと。
あーあ、これギルマスに何て報告しよう……



目的の魔石も手に入れたし今日はこれで終了。で、帰りももちろん【転移】で。
ギルマスへの報告は気が重いけど、だからって歩いて帰るのはちょっとね。
「ただいまー」

ほっとした顔のピノさん。やっぱり心配かけちゃってたみたい。
「おかえりなさいカルア君。大丈夫? 怪我とかしてませんか?」
「はい、大丈夫です。油断せずに行きましたから」
「ほっ……よかった。じゃあ今から換金ですか?」
「あの、ギルマスいますか? 報告しなきゃいけない事があって」

今度はハッとした顔になるピノさん。やっぱりそうなるよねぇ――だって今までが今までだったし。いくら僕だって自覚はあるよ!
「――胃薬案件ですか?」
「ええと……多分?」
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