スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第97話 フィラストダンジョンの謎?です #2

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「――とそんな訳だからさ、僕達と一緒にフィラストダンジョンへ行って、君達のお姉さんに説明して欲しいんだ」
セントラルダンジョンにやって来た僕達は、セカンとラルに今日これからの事を伝えた。説明担当は勿論モリスさん。

「もちろんオッケーよ」
即決のセカン。ラルも隣で嬉しそうだ。
「フィラスト姉さんに会うのってどれくらい振りかな? 楽しみね、セントラル」
「ですです。さあ早くラルを連れて行くです!」
「そうねセント――え? あなた今自分の事『ラル』って……?」
「この間から一人称これにしたです。カルアお兄ちゃんの趣味です」
「……ほぉ」
「ちょっ、ラルぅ!?」

急に何を言い出すんだこの子は……

「ふふふ、ホントは単なるイメチェンで心境の変化です。髪切るようなものです」
「そうなんだ……でもそうすると皆あなたを『ラル』って呼ぶようになるわよ? それはいいの?」
「問題ないです。真名は無暗むやみに教えるもんじゃないです」
「真名とかまた古臭い事を……てゆーかそもそもダンジョン名で名前バレしてるじゃない」
「おおっと、こいつは盲点だったです」

そんな姉妹の掛け合いじゃれ合い。仲いいなー。

「じゃあ出発するです。カルアお兄ちゃんワンメーター相乗りでよろしくです」
そんなラルのよく分からない号令を受けて【転移】を発動!
全員を連れてフィラストダンジョンの前へとやって来た。

「ここに来るのは久し振りだなぁ。ちょっと前まで、トラップの調査とかカルア君の時空間魔法の訓練とかでしょっちゅう来てたよねぇ。それこそ年パス買った常連さんかってくらいにさ」

んー、僕は気配察知の訓練とかで割と最近も来てたかな。

「こんなとこで立ち話とかしてる場合じゃないです。早くお姉ちゃんのとこに行くですよ!」
そんなラルに背中を(物理的に)押された僕は、ダンジョンに入るべく転送装置にギルドカードを翳した。

そして入口の間。
そこから一歩踏み出すとやっぱり赤い光に包まれたんだけど、もうこれはいつもの事。気にせずそのまま奥へ歩いていく。
コアの間へは行った事あるからここから直接【転移】で行けるけど、どんな感じなのか見てみたいって言うセカンとラルのリクエストに応えて、ね。

「この階層もまた何てショボい……フィラスト姉さんの苦労が偲ばれるわ」
「でもほら、これはこれで初心者向けとして重宝されてるって事でさ――」
「だから余計に可哀想です! モリスお口チャックです!」
「うわ……久し振りに言われたソレ」

そんな会話と共に僕達は一匹も魔物が出てこないダンジョンを突き進み、そしてあっという間に最下層『ダンジョンコアの間』へと到着した。



「やっほー、フィラスト姉さーん」
「フィラストお姉ちゃーん! ラルが来ーたでーすよーっ」

ダンジョンコアに話し掛けるふたり。
……だが何も起きなかった。

「あれ? 返事がない……?」
「ただのしかば――丸い石ころのようです」

何のリアクションもないダンジョンコアに首をかしげ、やがてラルがポンと小さく手を打った。
「モリス、結界を解除するです。そしたらきっとラル達の声もよく聞こえるようになるですよ」

まるでラルの手下にでもなったかのような扱いに苦笑しつつ、モリスさんが結界を解除すると、セカンとラルはもう一度コアに呼び掛ける。
「じゃあもう一度……フィラスト姉さーん」
「フィラストお姉ちゃーん、ラールでーすよー!」

すると今度は反応あり!
ダンジョンコアはまるでビックリしたみたいに激しく明滅を繰り返し、そして――

「あらあらあらぁ? どうしたのあなた達……」
コアの前にお姉さんが現れた。
――もうホント、『お姉ちゃんって言ったらこんな感じだよね』って誰もが想像する、そんな『ザ・お姉ちゃん』って感じのお姉さんが。

「セカンケイブ、それにセントラルも……。また会えてお姉ちゃんすっごく嬉しいけど、でも本当にどうしたの? あ、もしかしてあなた達……ダンジョンが崩壊しちゃったの?」

えっ、何でそんな物騒な話に――ってそうか、ダンジョンからは離れられないって言ってたっけ。

「そんな事ないって。この身体は操化身アバターだから。私達、それぞれ自分のダンジョンから操作してるの」
「ですです、そうですよー」
「ええ、操化身? それって、あの……?」
「そうそう、その操化身よ。ここにいるカルアが作ったんだ」

そう言って僕を指差すセカン。そのセカンの指の指し示す先にゆっくり視線を動かすフィラストさん、その到達する先は当然……僕。
……そして見つめ合う僕とフィラストさん。

「あらあら大変、私ったらお茶もお出ししないで……あら、でも冒険者さんとかだったらお茶よりも魔物をお出しした方がいいのかしら? あの、お好きな魔物とかあります? リソースが少ないのでリクエストにお応えできるかは分かりませんが……」

……魔物って『おもてなし』だったんだ。

「お姉ちゃん落ち着くです。急に魔物の好き嫌いとか訊かれても、多分困っちゃうですよ」
「そう言えばそうね、偉いわセントラル。そんな事に気付けるなんて、あなたもがんばって成長したのね。セントラルの言う通りよ冒険者さん――ええっとカルアさんって言ったかしら。魔物の好き嫌いなんかしちゃダメ。何でもよく食べないと大きくなれないんですからね」

ちょっとずつ話がずれてくこの感じ……
どうしよう、とりあえず『はい』って頷けばいいのかな?

「いやフィラスト姉さん、そうじゃなくって……今日は姉さんのコアを囲んでる結界を改良しに来たのよ。私達と通信お話ししたり操化身でお出掛けしたり出来るようにって」

ここでキッチリ軌道修正を計るセカン。ナイス!

「結界……お話し……お出掛け……イヤっダメよ! そんな事絶対ダメ! 結界はこのまま! 絶対に緩めたりしちゃダメよ!」

と突然感情が高ぶったみたいなフィラストさん。
一体何事? ここ喜んでくれるとこじゃ……?

「ちょっお姉ちゃん急にどうしたです? お姉ちゃんってそんな引き籠るキャラじゃなかったです。どうしちゃったです?」
「………………」

今度は口を閉ざすフィラストさん。
そんなフィラストさんに今度はセカンがポツリと問いかけた。
「ねえ姉さん、もしかして……何かあった?」

暫く俯いていたフィラストさんだったけど、やがて小さくひとつ息を吐くと、意を決したって感じで顔を上げる。
「……そうよね、あなた達にも伝えておかなきゃ。あなた達だって他人事じゃないかもしれないもの」
そしてセカンとラルの二人に向かって語り始めた……
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