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第97話 フィラストダンジョンの謎?です #3
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「――あれはそう、ダンジョンコアが結界に囲まれてすぐの事だったわ。あの頃の私はよくコアから出てダンジョンの中をうろうろしてたの。結界の息詰まるような感じがイヤだったし、コアのお引っ越しも出来なくなっちゃったし、何よりあなた達とのお喋りも出来なくなっちゃったんだもの」
ちらっとモリスさんを見ると、ちょっと気まずそうな顔してる。今はモリスさんがその結界の管理を引き継いでるから、きっと責任とか感じてるんだろうなぁ。
「そんな時だったわ。ある日、私の前に一人のエルフが現れたの」
エルフ?
校長先生を見ると、ブンブンと首を振ってる。
校長先生は知らないみたい……っていうか疑われたって思ったのかな。
「そのエルフはね、『貴様を私の時空間魔法の糧としてやろう。さあ、ダンジョンコアを渡すのだ。ぬははははは』なんて言って怖い目で私を見てるの。それがもうホントにホントにすっごく怖くって、お姉ちゃん、急いでダンジョンコアに逃げ込んだの。今でも覚えてるわ。あの時の気持ち悪さ――」
その時の恐怖がぶり返したのか、フィラストさんは自分の体を抱き締めて小さく震えてる。罪もない精霊のお姉さんをこんなに怖がらせるなんて許せない!
「それに悪寒と頭痛と咳と喉の痛みと鼻詰まりと節々の痛みと……」
あれ? 恐怖じゃなくって風邪の引き始めだった?
「でもね、結界のお陰で助かったの。そのエルフは暫く色々してたけど結局ダンジョンコアには届かなくて、そのうち諦めて帰っていったわ」
よかったねモリスさん、結界が役に立ったみたいだよ。
「だけどそれで終わらなかったの。そのエルフはそれから毎日毎日やってきて、ダンジョンコアを手に入れようと毎日毎日結界を弄り続けたの。あの気持ち悪い目でね」
うわ、何てしつこい……
「でね、お姉ちゃんそれを見て『いつか結界が壊されちゃうかも』って思ったの。だからお姉ちゃん、もうエルフがここまで来れないようにって、ダンジョンに新しい仕掛けを作ったの」
ん? 仕掛け?
「この結界を作った人達ってね、ダンジョンの入り口を塞いで、代わりに転送装置を取り付けてったの。だからね、エルフがその転送装置で入ってきた時だけダンジョンの中を赤く光るようにしたの。エルフが来たぞーーって、すぐ気付くように」
んん……?
「でも気付くだけじゃダメじゃない? それでどうしようかなって考えて、そしたらすっごく良い事思い付いちゃったの。赤い光でビックリしたエルフが外に出ようとしたら、そのまま別の部屋に閉じ込めて魔物達にやっつけさせちゃえって。だからお姉ちゃん、転送装置に干渉して転移先を変えちゃうようにしたの」
その仕掛けってすっごく心当たりが……っていうか実体験……
「――といっても、もともとお姉ちゃんのダンジョンは特別な役割があって、その仕組みを使っただけなんだけどね。あ、そういえばこれ言っちゃダメな話だった。ええっと……みんな、今のはここだけの秘密ねっ」
特別な役割って……
言っちゃダメって……
ここだけの秘密って……
急に気になるワードだらけだよ!
「……ねぇフィラスト君、ちょっと訊きたいんだけどさ」
ここでモリスさんからの質問。モリスさんも当然気付くよね。
「入ってきたのがエルフかどうかって、どうやって判別してるの?」
「えっ? ええとあのね、エルフって時空間魔法だけは凄いでしょ? だから時空間魔法の適性で判断するようにしたの」
ああ、やっぱり……
こちらに視線を飛ばしたモリスさんに僕もそっと頷き返す。
「それからお姉ちゃん、ずっとずっとダンジョンコアの中で目を閉じてじっとしてたの。でもそのエルフは来なくって。でも最近になって何度も何度も仕掛けが作動するようになって……ああ、やっぱりあのエルフは諦めてなかったんだ、また来るようになったんだって……」
すみません、それきっと僕達です……
「それで今日も仕掛けが作動したから、また来ちゃったーって……そしたらあのエルフじゃなくてあなた達が来るんだもの、お姉ちゃんビックリしちゃった。きっとセカンケイブの適性に仕掛けが反応しちゃったのね。あれ? そこのあなたはエルフさん? じゃああなたに反応しちゃったのかしら」
校長先生に気付いたフィラストさん。そんなフィラストさんに校長先生が話し掛ける。
「私はラーバル、仰る通りエルフです。それであなたを酷い目に会わせたそのエルフですが、名前などは言っていませんでしたか? もし分かれば、他の同胞に声を掛けてその者を厳正に処罰いたします」
おおー、流石は校長先生。頼りになる!
「うーん、名前は言っていなかったかなあ。それに姿とかも記録してなかったし。こんな事だったらちゃんと記録しておけばよかったなあ。お姉ちゃん大失敗。えへっ」
……右手で頭をコツンって!
「そうか……カルア君の大冒険は、その非常識なエルフのとばっちりだった、って事なんだねえ」
あ、あのモリスさんの表情……
決壊前の表情……
「いやあ、ダンジョンの途轍もない秘密に足を踏み入れたのかと思いきや、エルフホイホイに引っ掛かっただけとは……ぷぷ、カルア君、何て言うか……災難だったねえ……ぶふっ!」
ほっといて下さい、モリスさんっ!
「あのお、それってどういう事なのかしら? そちらの、ええっとカルア君? が引っ掛かった? ってお姉ちゃんの仕掛けにって事?」
「あ、あの……ええっと……はい、そうです」
「ええっ、だって君エルフじゃなくって……あれ? 君もしかして――」
「そう、カルア君は人間だけど、時空間魔法の適性がとても高いんだ。そして実はこの僕もね。だからさ、君のトラップは僕達が入った時にも発動しちゃうんだよ」
「ええっ、そうなの? それは……ご迷惑をおかけしました」
深々と頭を下げるフィラストさん。
「あっいえ……そんな気にしないで下さい」
……だって、ねえ。
「初めての時は大変だったけど、2回目からはむしろトラップに掛かりに行ったというか……途中からは素材とか食材でとても儲かったというか……あ、沢山の金属バット、ご馳走様でした。とっても美味しかったです。いろんな意味で」
「あ、はい。喜んでもらえたのならお姉ちゃんも嬉しいです。あれ、でもちょっと待って? それってつまり、最近のはあのエルフじゃなくてあなた達だったって事? じゃあ本当にあのエルフはあれからここに来ていなかったって事? それはそれでちょっと残念なような……ううん、とってもいい事よね。トラップでやっつける事は出来なかったけど、来ないのならその方が絶対いいものっ」
そう言って清々しい笑顔を見せてくれたフィラストさん。
この様子なら結界の話を続けても大丈夫そうかな。
それにしても……
あれが単なる防犯装置だったとか。
……何だかなぁ。
▽▽▽▽▽▽
フィラストダンジョンのトラップの謎が少しだけ判明しました。
ちらっとモリスさんを見ると、ちょっと気まずそうな顔してる。今はモリスさんがその結界の管理を引き継いでるから、きっと責任とか感じてるんだろうなぁ。
「そんな時だったわ。ある日、私の前に一人のエルフが現れたの」
エルフ?
校長先生を見ると、ブンブンと首を振ってる。
校長先生は知らないみたい……っていうか疑われたって思ったのかな。
「そのエルフはね、『貴様を私の時空間魔法の糧としてやろう。さあ、ダンジョンコアを渡すのだ。ぬははははは』なんて言って怖い目で私を見てるの。それがもうホントにホントにすっごく怖くって、お姉ちゃん、急いでダンジョンコアに逃げ込んだの。今でも覚えてるわ。あの時の気持ち悪さ――」
その時の恐怖がぶり返したのか、フィラストさんは自分の体を抱き締めて小さく震えてる。罪もない精霊のお姉さんをこんなに怖がらせるなんて許せない!
「それに悪寒と頭痛と咳と喉の痛みと鼻詰まりと節々の痛みと……」
あれ? 恐怖じゃなくって風邪の引き始めだった?
「でもね、結界のお陰で助かったの。そのエルフは暫く色々してたけど結局ダンジョンコアには届かなくて、そのうち諦めて帰っていったわ」
よかったねモリスさん、結界が役に立ったみたいだよ。
「だけどそれで終わらなかったの。そのエルフはそれから毎日毎日やってきて、ダンジョンコアを手に入れようと毎日毎日結界を弄り続けたの。あの気持ち悪い目でね」
うわ、何てしつこい……
「でね、お姉ちゃんそれを見て『いつか結界が壊されちゃうかも』って思ったの。だからお姉ちゃん、もうエルフがここまで来れないようにって、ダンジョンに新しい仕掛けを作ったの」
ん? 仕掛け?
「この結界を作った人達ってね、ダンジョンの入り口を塞いで、代わりに転送装置を取り付けてったの。だからね、エルフがその転送装置で入ってきた時だけダンジョンの中を赤く光るようにしたの。エルフが来たぞーーって、すぐ気付くように」
んん……?
「でも気付くだけじゃダメじゃない? それでどうしようかなって考えて、そしたらすっごく良い事思い付いちゃったの。赤い光でビックリしたエルフが外に出ようとしたら、そのまま別の部屋に閉じ込めて魔物達にやっつけさせちゃえって。だからお姉ちゃん、転送装置に干渉して転移先を変えちゃうようにしたの」
その仕掛けってすっごく心当たりが……っていうか実体験……
「――といっても、もともとお姉ちゃんのダンジョンは特別な役割があって、その仕組みを使っただけなんだけどね。あ、そういえばこれ言っちゃダメな話だった。ええっと……みんな、今のはここだけの秘密ねっ」
特別な役割って……
言っちゃダメって……
ここだけの秘密って……
急に気になるワードだらけだよ!
「……ねぇフィラスト君、ちょっと訊きたいんだけどさ」
ここでモリスさんからの質問。モリスさんも当然気付くよね。
「入ってきたのがエルフかどうかって、どうやって判別してるの?」
「えっ? ええとあのね、エルフって時空間魔法だけは凄いでしょ? だから時空間魔法の適性で判断するようにしたの」
ああ、やっぱり……
こちらに視線を飛ばしたモリスさんに僕もそっと頷き返す。
「それからお姉ちゃん、ずっとずっとダンジョンコアの中で目を閉じてじっとしてたの。でもそのエルフは来なくって。でも最近になって何度も何度も仕掛けが作動するようになって……ああ、やっぱりあのエルフは諦めてなかったんだ、また来るようになったんだって……」
すみません、それきっと僕達です……
「それで今日も仕掛けが作動したから、また来ちゃったーって……そしたらあのエルフじゃなくてあなた達が来るんだもの、お姉ちゃんビックリしちゃった。きっとセカンケイブの適性に仕掛けが反応しちゃったのね。あれ? そこのあなたはエルフさん? じゃああなたに反応しちゃったのかしら」
校長先生に気付いたフィラストさん。そんなフィラストさんに校長先生が話し掛ける。
「私はラーバル、仰る通りエルフです。それであなたを酷い目に会わせたそのエルフですが、名前などは言っていませんでしたか? もし分かれば、他の同胞に声を掛けてその者を厳正に処罰いたします」
おおー、流石は校長先生。頼りになる!
「うーん、名前は言っていなかったかなあ。それに姿とかも記録してなかったし。こんな事だったらちゃんと記録しておけばよかったなあ。お姉ちゃん大失敗。えへっ」
……右手で頭をコツンって!
「そうか……カルア君の大冒険は、その非常識なエルフのとばっちりだった、って事なんだねえ」
あ、あのモリスさんの表情……
決壊前の表情……
「いやあ、ダンジョンの途轍もない秘密に足を踏み入れたのかと思いきや、エルフホイホイに引っ掛かっただけとは……ぷぷ、カルア君、何て言うか……災難だったねえ……ぶふっ!」
ほっといて下さい、モリスさんっ!
「あのお、それってどういう事なのかしら? そちらの、ええっとカルア君? が引っ掛かった? ってお姉ちゃんの仕掛けにって事?」
「あ、あの……ええっと……はい、そうです」
「ええっ、だって君エルフじゃなくって……あれ? 君もしかして――」
「そう、カルア君は人間だけど、時空間魔法の適性がとても高いんだ。そして実はこの僕もね。だからさ、君のトラップは僕達が入った時にも発動しちゃうんだよ」
「ええっ、そうなの? それは……ご迷惑をおかけしました」
深々と頭を下げるフィラストさん。
「あっいえ……そんな気にしないで下さい」
……だって、ねえ。
「初めての時は大変だったけど、2回目からはむしろトラップに掛かりに行ったというか……途中からは素材とか食材でとても儲かったというか……あ、沢山の金属バット、ご馳走様でした。とっても美味しかったです。いろんな意味で」
「あ、はい。喜んでもらえたのならお姉ちゃんも嬉しいです。あれ、でもちょっと待って? それってつまり、最近のはあのエルフじゃなくてあなた達だったって事? じゃあ本当にあのエルフはあれからここに来ていなかったって事? それはそれでちょっと残念なような……ううん、とってもいい事よね。トラップでやっつける事は出来なかったけど、来ないのならその方が絶対いいものっ」
そう言って清々しい笑顔を見せてくれたフィラストさん。
この様子なら結界の話を続けても大丈夫そうかな。
それにしても……
あれが単なる防犯装置だったとか。
……何だかなぁ。
▽▽▽▽▽▽
フィラストダンジョンのトラップの謎が少しだけ判明しました。
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