川崎マフィア 〜こちら、HAPPINESS CLUB〜

ニコラテトラ

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龍星本山編

六話 俺たちの日常が間違っている件について

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ピピピピピピピピー

スマホのアラーム音で目が覚める。

一日いなかっただけなのに、自室の天井が久しぶりの光景に思える。

「学校行きたくねーなぁ。」

史上最凶の土日を送った少年にも等しく月曜日はやってくるのだ。

思い体を無理やり動かしながら着替えを行い、リビングへと向かう。

「おはよう。朝ごはん食べちゃって。」

「はいはい。」

リビングでは母さんが朝ごはんの片付けをしていた。

父さんや妹たちは既に家を出ているみたいだ。

「あんた、引っ越し準備は済んだの?」

「うん。学校終わったら取りくる。」

「住み込みバイトねぇ。まぁ頑張りなさいよ。」

今日でこの家とも当分おさらばかぁ~。

日曜の朝、川崎の抗争地帯に放置された俺はチンピラハイエナどもから逃げつつ命からがらハピネスクラブへと帰還した。

店では既に改修工事が行われており、驚くべきことに店の内部は殆ど直されていた。

店で片付けを行っていたホストに言われ事務所で待っていると赤城が待っていたのだが、、

「人生初の殴り込みはどうでしたか?バーサーカー君。」

「仲間の命を救ったのに呂布扱いはないですよー。」

「救った結果が仲間二人に重症を負わせ、建物の資産価値を0にし、敵を逃がすですか。ちなみに私はヘラクレス世代ですので、あなたの言っている比喩がよく分かりません。」

赤城からの辛辣なお言葉である。

「で、でも。当初の目的であった龍星組は崩壊したんですし良いじゃないですか。」

「あなた達が襲撃したのは、龍星組富士見支部ですよ。大元は別にいます。そっちを壊滅させるのが目的であって、今回の襲撃だって本基地の位置情報だけ奪ってさっさと逃げればよかったはずなのに、、、。」

「野畑の指示に従ってたんで、俺は悪くないです。」

「全くですよ!あれほど四津露くんには無茶するなっていってるのに何で言う事聞いてくれないんですか!?」

裏赤城が出てきて机に台パンをかます。あれ?赤城って野畑のこと名前で呼んでたっけか。

「結局、俺はどうすればいいんですか、腹でも切れば良いってことですかぁ!?」

「あなた本当に自分の立場分かってるんですか?なんでそんなに高圧的でいれるんですか?
まぁそれは良いとして、今日はもう帰っていいですよ。」

「はい?今日、この後働かされる予定だったんですか俺!?」

「当たり前でしょう。何言ってるんですか?」

こいつは何を言っているんだ、、、。

「あ、それと明後日にはウチの職員寮に越してきてもらう予定だから用意しておいて下さい。」

「は?」

というわけで今に至るわけなのだが

「たくろー。時間大丈夫なの?」

「やべっ」

速攻で朝食と着替えを済ませ、駅へ向かう。

「うおぉっ。」

駅で電車を待っていると、いきなり誰かにタックルを喰らった。
呆れつつ、後ろを振り向くと

「よっ!」

「朝からどつくのは止めろよ、玲也。」

「悪い悪い!怒った?」

笑いながら肩をバシバシ叩いてくるこいつは三鷹玲也(ミタカ レイヤ)。

髪の色はビビットピンク、ツンツンヘアー、目つきが悪いと一見ただのヤンキーにしか思えない風貌をしているが、中身は陽気な凄い良い奴だ。

保育園の特からずっと同じクラスで塾のクラスまで一緒という腐れ縁だったのだが、彼は残念なことに受験には落ちてしまい現在は違う学校に通っている。

「なぁ、卓郎、話聞いてるー?」

「ん、聞いてねーよボケ。何?」

「殺すぞ(笑)。学校なんだけどさーマジで、、、、てかそうだ!俺、最近新しいバイト始めたんだよ!これが結構時給よくてよ~。」

「ファミレスのバイト、時給高いって気に入ってたじゃん。それより高いのか?」

「あんなのの比じゃねーよ!マジでバンバン入ってくる。」

「麻薬の密売とかか。川崎は危ないから気をつけろよ~。」

「ちげーわ!まぁ川崎は合ってるけどー。いうて安全なあそこ。」

「そうか?わざわざ川崎でするって、家計の手助けする気になったのか?」

玲也の家はシングルマザーで、玲也の母さんは小さい頃から女手一人で玲也と妹ちゃんを育てているのだ。

「なわけあるか、あんのクソババアに金入れる気はないっつーの。色々やって将来企業すんだよ!」

非行に走ることはなかったものの残念なことに絶賛反抗期である。

「妹ちゃんは親思いの良い子なのになぁ、なんでこうなった。」

「るっせ。てか卓郎も経済の勉強しといて、お前ウチの経理な。」

「やんねーよ。まじで企業すんのかよ、夢見過ぎだろ(笑)」

「お前は夢見なさすぎな(笑)」

こいつは非現実的なことばかり言っているが、それでも友人が多くクラスの中心人物である。
それは玲也にはずば抜けたカリスマ性があるからだろう。

「まぁお前なら本当に成功しそうだけどな。」

「だろ?だからお前も
「やるわけねーだろアホ」

「だよなぁ~。ま、諦めねーけどな!!」

屈託のない明るい笑顔を浮かべる玲也。

おいおい、その笑顔で何人の女子を落としてきたんだよ。

やっぱり玲也には勝てねーな。

『次はー新橋ー新橋ー。お降りの方はー、、、。』

「次、下りるわ。」

「おう!じゃあ、また明日な!」

「おう。」

そして、改札を通り通学路を通る。

通学路を歩いていると突然後ろから見覚えのある女子生徒が声をかけてくる。



なんてことはなく、ただひたすらに他生徒を抜かしながら歩き続ける。

そして、何事もないまま席に座る。

そして普通に友達と他愛ない会話をしたり、意味ありげに窓の外をみたり、授業を真面目に受けてみたりと時間は過ぎていく。

6限の授業が終わり、部活動へ向かう生徒達が急いで教室を出ていく。

「おーい、卍原~。今日、カラオケでも行かね?」

「わり、今日はバイトだわ。」

「お前、バイト始めたんだ。まぁガンバー。」

友人は特に気にした様子もなく他に行ける人がいないか探しに行く。

クラスメイトともこれからは当分遊べそうにないなー。

これからはこんな当たり前の日常が大切に思える日がくるのだろうか。

いや、多分ないだろうな。今思えば、そこまでこの学校に思い出なかったわ。

校舎を出ると、校門の方が騒がしいことになっている。

「遅いですよぉ。卍原くん~。」

そこには「ほっけ」と書かれた白ティーに自衛隊がつけてそうなヘルメットを被り、日本刀を腰に携えた眼帯不審者。

またの名を柊さんがいた。

「何やってるんすか?」

「お迎えですぅ。」

柊さんの後ろにはいつぞやのミニバンがあった。

「いやです。」

「なぜですかぁ?」

「絶対そのミニバンの行き先は魔境(カワサキ)に決まってるからだ!!!」

「はいはーい。うるさいですよぉ。」

柊さんが俺を羽交い締めにして無理やり車に乗せようとしてくる。
この人も力強っ!いや、そういや柊さんは監視官だからそんなもんか。

「助けてー!!!国家公務員に拉致されるー!!!犯されるー!!」

俺の悲痛な叫びは同級生の笑い声にかき消される。

「テメェら見せもんじゃねーぞ!!おい!!そこ!写真は止めてぇ!」

いつか学校が爆破されることがあったとしても絶対助けてやんね。

車に引きずり込まれドアが閉められる。

「いやダァー!!せめて、せめて家の荷物だけは回収させてくれぇ!!」

「窓を叩かないでくださいよぉ。割れちゃうじゃないですかぁ。それと、荷物ならもう後ろに積んで起きましたよぉ。」

荷台を見てみると、用意していたトランクとリュックサックそして、リュックサックから溢れ出し散乱するエロゲ、ギャルゲの数々。

「おおぉい!うちの子達の扱い雑過ぎだろぉ!」

「多いですねぇ。お母様も驚いてましたよぉ。」

「このクソあまァ!!おい、降ろせ!お前も降りろ!ぶっ殺してやる。」

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて~。」

「落ち着けるかボケ!」

こうして車内で口論を続けること20分。連れてこられた場所は

「くら寿司?」

「はい、他の方々は中で待ってますからお先に行ってくださいぃ。」

そう言い残し、柊は車を停めに向かった。

くら寿司を知らない人はいないだろうが一応説明すると、寿司を食べると食べた分に比例してミニゲームに挑戦でき、運が良ければ景品がもらえるといったシステムを導入した回転寿司屋であり子供に大人気である。
排出率も良すぎず悪すぎずと子供を利用して金を奪うことに関してはピカイチであり実質ソシャゲである。

中に入り、店員に案内された席へと向かうと、そこには天田3兄弟と死んだはずの黒人ガンマンがいた。

「なんでフェデーレさん生きてんの!?」

「勝手に殺すんじゃない。大体、俺は全身やけど程度だ一日あれば直してもらえるんだよ。」

「ほらほらー早く座って座ってー。」

檸檬さんがこちらに手招きをしてくる。隣に座って良いということだろうか。

「待て、そのカスはこっちだ。」

向かいの席に座っていたベルガモットが脅し口調で言う。

「なんでー?別にどっちでも良いじゃん?」

「姉貴達は危機感なさすぎなんだよ、だから俺がソイツが姉貴達に手出せないように監視すんだよ。」

「おいおいベルガモット。俺だってこんな所で手出さんよ、もっと人気の少ない所でだなぁ、、」

「死ね。」

結局、ベルガモットのワガママによって俺はベルガモットとフェデーレに挟まれて座ることになった。

食べづれぇー

「そういや、先輩や野畑さんはいないんすか?」

「あの二人ならねー。今、治療中だよぉー。本当は皆で来たかったのにねー。」

確かにあの二人は相当な深傷を負っていた。いくら内海先生の機材があったとしても一日程度では完治できないのだろう。
ん、ということは先輩は現在、全裸であの透明な巨大カプセルに入っているはず。向こうに着いたら絶対に観にいこう。

後から遅れて、柊がやってきた。

「はいはい、杏こっちこっちー。」

すると、檸檬さんは一度立ち上がり柊を蜜柑さんの間に座らせた。

待って。それは聞いてない。美少女姉妹にサイコ女が挟まれるとか誰得の絵面だよ。
これは抗議しなければ、

「なんで俺がオッサンとガードの硬い俺っ娘に挟まれて寿司を食べなきゃいけなくて、そいつがに座るんだよ!?は元々俺の場所だぞっ!!抗議する!変われ!」

「誰が俺っ娘だとぉ?殺すぞテメェ。てか俺だって、こんなむさ苦しい奴らと飯食いたくねぇわボケ!あと杏、絶対変わるな。」

「オッサンはともかく俺は臭くねぇわ乳牛!!!」

「おいカス。お前今なんつった?」

「乳牛って言ったんだよホルスタイン!!」

「性犯罪者予備軍は始末しとかねぇとなァ、、、。あとテメェもフェデーレもクセェわ死ね!!」

「え?まじ?臭い?まじで臭い?」

「どんだけアホ臭いことで喧嘩してるんですかぁ~?そんなに席って大事ですかねぇ~?」

「「大事だ!!!」」「ちょま、まじで臭い?」

ベルガモットとの口論が激化していく中、蜜柑さんが珍しく口を開いた。

「ここの代金、、、フェデーレの奢り、、。」

沈黙する両者。

「いやぁー、フェデーレさんみたいな大人の男と飯をともにできるなんて光栄っすわホンマ。ささお茶どうぞ、、。」

「悪いなフェデーレ。臭いのはやっぱこいつだけだったわ、お前に臭いが移るといけねぇからさ追い出しとこうぜ。」

「おいコラ、何媚び諂ってんだカス?」

「お前こそ誰が臭いって!?いや、本当にここだけの話ガチで匂う?」

「坊主ども、とりあえず静かにしろ。他の客の迷惑になっているぞ。」

フェデーレさんの鶴の一声でその場はどうにか収まった。

その後は柊が回転寿司のルールを知らずに皿から寿司だけ取っていく、ベルガモットがレーン越しにガンを飛ばす、蜜柑さんのお茶にワサビを溶かす悪戯をするなど色々あったが楽しい食事会が続いた。

しかし、それだけで終わらないのがカワサキである。

それはだいぶお皿が溜まってきた終盤に起きた。

「杏はさぁ、回転寿司くるの初めてなんでしょ?」

「はいぃ。これまではお爺さんたちが目の前で握ってくれるのばかりだったので楽しいですぅ。」

「そっかそっか!じゃあこれも知らないよね!」

そう言い、檸檬さんが皿を投入口に5枚入れる。

すると、上のモニターでアニメーションが始まる。

今日は射的のようだ、残念なことに画面のキャラが撃った弾は的に当たる前に落ちてしまいハズレの文字が表示される。

「あぁー残念だったね。」

「このキャラクターはおかしいですよぉ。どんな撃ち方したら弾が届かないなんてこと起きるんですかぁ。」

「まぁまだ皿はたくさんあるし諦めずにいこー!!!」

しかし、結果は全敗。60枚近くあった皿は全て無に帰した。

「まさか、こんなに当たらないとはねー。はははー。」

「壊して良いですかぁ?」

柊が日本刀を持って立ち上がる。

「ちょま!ちょま!杏ストーップ!」

どうにか檸檬さんが止めるも、柊がキレかけるのもしょうがない。

このゲームのハズレ演出はいちいちしょうもない物ばかりでムカつくのだ。

心なしかベルガモットもさっきから俺の足を蹴ってきている気がする。

ここでフェデーレが再び大人な振る舞いをする。

「良いだろう。お前ら好きなだけ皿を取って回せ。」

そう言い残しフェデーレさんは喫煙所に向かった。

カッケェよあんたの背中。

こうして、延長戦を迎えた我々であった。

しかし!

現実は非情である。

「おい!この台、確率操作されてんだろ!?」

追加で5回ほど挑戦したもの、一向に当たる気配がない。

「確かにここまでくると疑っちゃうよねー。でも後一回分は残ってるよ!」

「肉体的にも時間的にも次がラストですか。」

入店から既に3時間ほど経過しており、店員や周りの客から視線が痛くなってくる。

「いくぞ、、、。」

ベルガモットが最後の一枚を投入する。

最後は射的のようだ。

キャラクターが弾を撃つ。

「おっ!」

「ちゃんと飛んだ!」

「いけますよぉ!」

キャラクターの弾は途中で落ちることなく飛び続け、障害物も躱し、景品へと進んでいく。

「「いっけぇーーーー!!!!」」

弾が当たると誰もが思った瞬間。

突如、画面上に現れた敵キャラが弾を叩き落とした。

「「、、、。」」

唖然とする一同を嘲笑うかのように踊りだす敵キャラ。

その瞬間、破裂音とともに敵キャラが表示されていた部分に穴が開く。

音の発生源にはいつのまに喫煙所から戻ってきたフェデーレが立っていた。

皆が次々と無言で立っていく。

あぁ、そういうことか。

「柊さん。、余ってたら貸してください。」

「良いですよぉ。はいどうぞぉ。」

柊から借りた拳銃を握りしめる。ちゃんと使えるか心配だがまぁ大丈夫だろう。

全員が武器を皿回収機に向ける。

「「◎$♪×△¥●&?#$ヴァアアアーーー!!!!!」」

各々が自分達にできる最大限を活かして寿司屋を破壊していく。

ひたすらに皿を割り続ける蜜柑さん。

無言で全ての皿回収機を壊し続けるベルガモットとフェデーレ。

逃げ惑う客と店員、そして刀を振りまわし笑いながらそれを追いかけ回す柊。

そして、それをスマホで撮って配信サイトで一発狙おうとしている俺と檸檬さん。

「いいよいいよ~。どんどん派手にやっちゃって~!!」

「いいですね柊さん!その調子でもっと民衆を追い詰めてくださいよー!」

くら寿司川崎下平間店は15分ほどで地獄絵図となった。

ん?何か店の外から人の声が聞こえる。

『君たちは既に包囲されている。大人しく投降したまえ。』

「あ、これマズくねぇか?」

「なぁベルガモット。これってお巡りさん?」

「多分そうじゃね?」

なるほど。どうしよう。

「やばいよ皆!!そういえばココ抗争地帯じゃなかったじゃん!!」

「えぇ~?なんで警察が来るんですかぁ?もしかしてスピード違反がバレてしまったんですかねぇ。」

「まずいな。お前ら、最低限の荷物だけ持て。」

そう言いフェデーレは警察がいない駐車場側の窓を突き破り、こちらを見てくる。

「やっぱそれしかないよね!」

「お先、、。」

「おいてかないでくださいよぉ。」

檸檬さん、蜜柑さん、柊もすぐさま続いて窓から脱出する。

「なぁベルガモット。今ならレジから金取り放題じゃね?」

「お前、天才だな。」

そして、俺たちはレジへと走り出した。


くら寿司からだいぶ離れた住宅街では卍原、ベルガモット以外の全員が合流していた。

「おい、お前の妹と新人はついてきてないのか?」

「あれ?本当だ。蜜柑、知ってる?」

フル( ー_ー 三 ー_ー)フル

「あれま!どこ行っちゃったんだかね。」


その頃、卍原達は、、、

事故現場からパクった物を自動車に詰め込んでいた。

「全部、入ったぞー。」

「よしっ、エンジンはかかった!柊さんが鍵をおいてってくれてて助かったぜ。」

「おい!お前運転したことあんのかよ!?」

「あぁ。小学校の時の職業体験は自動車教習場だったからな。任せろ。」

「おぉ。それなら安心だな。任せた。俺はお前と一緒に死ぬなんてごめんだから、やばくなったら飛びおりるからな!」

「オーケー!このまま、地獄へのハネムーンと行こうかベイビー!」

「殺すぞテメェってアアアアア!?!?」

卍原達を乗せた柊の車は警察達の包囲網をまるでないかというように突っ切っていく。

そのまま、道路を爆速する乗用車。

「おっおっ、はぁ、、。まじでビックリした。時速何キロ出してんだよこれ。」

「90キロだって。でもパトカーって普通車より速いんしょ?もっと上げなきゃ。」

そう言い、思いっきりアクセルを踏んだ。





「もう追ってきてねーぞ。」

「よーし!車の運転って案外簡単だな。」

そうは言っているが柊の車はボロボロである。

あれから30分ほどサツとカーチェイスを繰り広げ、どうにか巻くことにゲーム成功した。

「あれ、動かなくなったぞ。おいベルガモット、叩いてなおせ。」

「直るわけねーだろ。それに車のナンバーバレてるだろうから、こいつは置いてって中だけ持って帰るぞ。」

「ならよ、事故ったように見せかけようぜ。」

「確かにそれはありだな。」

ベルガモットが車のマフラーの中に爆弾っぽい物をぶっさす。

「お前そんなの持ち歩いてんのかよ。」

「いや、杏の車の助手席においてあった。」

「なるほど。」

綺麗な夜空に、見た目だけは良い俺っ娘。そしてリュックサックいっぱいのゲームと現金。

#ドカアアァァン____#

あと、爆発した車。

これから、辛いことがあってもコイツらとならやっていける気がする。もっともっと色んなことをやって今日以上の思い出を作ろう。

「なに、ニヤついてんだよ、お前キメェぞ。」

「いやぁ。こんないい感じ風に終わらせれば許してもらえるかなぁって。」

「何言ってんだオメェ。」




続く








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