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龍星本山編
白マフィア運動会 part2
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「じゃあ皆さん。準備はできましたね?今から開会式ですよ。」
赤城が声をかけるが、
「俺はパスで頼む。」
「私は監視官ですからねぇ。」
「そんなツマンネーことやんねーよ。」
誰一人行こうとしない。なんて統率力の無い奴らなんだ。
だが俺はどうしようか。
正直どっちでもいいんだけどなぁ。
「卍原クン。ボク一人はヤダから一緒に来ておくれよ。」
「大丈夫っすよ、野畑さんは一人の方が似合ってますから。」
「そんなこというなよ~。面白い奴ら沢山いるよー?可愛い子もいるかもよー?」
「えー、まぁそこまで言うならまぁいいっすけど。」
「私も行きます。」
そう言い俺の後ろからピョコッと出てきたのは清嶺地先輩。
「えっ?先輩行くんすか?」
「私が行くのはおかしいですか?」
「確かに清嶺地チャンが行くとはボクも驚きだね。何か目的でも?」
「敵の情報を集めることは何事にも優先しますので。」
「なるほど、清嶺地チャンらしいね。」
そういうことですか。それなら納得だ。
「それで、野畑さん。俺たちは何の準備すればいいんですか?」
「とりあえず着替えて、う~ん、そんな所かな。」
「んじゃ着替えてきますわ。」
「2分後にここで。」
「いやいや今日はそこまで焦らなくていいよ。」
~30分後~
「まさか、男用のトイレすら用意されてないとはね、、、。」
「小はともかく大はどうしろって言うんですかね?これ。」
そんなことを話していると少し遅れて先輩がやってくる。ん?何か見覚えのあるものを持ってるけど、あれって確か。
「何でギロチン持って来てるんすか!?え?これって殺すのアリなの?」
「流石に仕事以外で殺人をする気はありませんよ。ほら。」
そう言って先輩は刃を見せてくる。刃が鉄ではなくプラスチックに変わっている。
「ほんとだー。スッゲー。」
「刃の付け替えが可能じゃないと色々不便ですから。他にも痺れ、毒、会心などの状態を付与できる塗り薬なんかもあるんですよ。」
誇らしげに先輩が説明してくれる。あれ、待てよ?
「あの~野畑さんのメリケンサックもこんな感じなんすか?」
「いや、ボクはいつも通りだよ~。そのままで申請通ったからね~。」
「申請?」
「うん。一人一個まで武器の持ち込みが許されてるんだよ、でも申請通さなきゃいけないから受付行かないとだけどね。」
「俺の手榴弾ズどうするんすか?」
「「あ」」
「そういや卍原クンって会社からの支給品しか持ってないんだっけかー。、、、ったっく麗子チャンやっちゃったな~?」
野畑の言う通り俺は会社から支給される使い放題の初心者用手榴弾とフェデーレから貰った拳銃しかない。
「まさか、手榴弾1つしか持ち込み出来ないとかないっすよね?」
「ワンチャンあるかも、、。」
「でも、卍原君はフェデーレさんから銃もらってませんでした?ゴム弾くらいなら貰えると思いますけど?」
「えーっと。銃の練習サボってたんで、、。ちょっとキツいかなぁーって。」
「はぁ、なるほど。」
「となると俺は?」
「今日は素手だね!」
「死ぬわ!?」
「死なないよ。多分?今回はただの運動会だし~♪」
「ふざけんな!」
「卍原君はーどこぞのゴリラと訓練してたみたいですしー、どうにかなるんじゃないですか?」
あのサンドバックになるだけの練習ではロクなモノが掴めた気がしないが、受け身と回避の能力は上がっただろうし。まぁなんとかなるか。
「そんなことより。」
先輩が指さす先では多くの人が広場に集まっている。
「やっべ、遅刻したらボスに怒られるぞー。いっそげいっそげ~」
「時間には間に合いましたけど、開会式らしさ0ですね。」
開会式が始まり、警察のお偉いさんが演説をしているようだが辺りが煩すぎて何も聞こえない。
護衛のお巡りさん方の表情が次第に険しくなっているような気がするなぁ。
柊さんが来なかったのってこの人達と会うと気まずくなるからだったのでは?
『では続いて、前年度優勝組”ライブラリ”代表による優勝杯返還と優勝グループ代表による演説を行います。』
そのアナウンスが流れた途端、会場の騒がしさが一転し静まる。
「(野畑さん、、、ライブラリってそんなにヤバイところなんすか、、?)」
「(ヤバイってよりかは得体が知れないって方が正しいかな。血を発火させたり凍らせたりする人がいたり、強化版千里眼を持ってる人、半魚人がいるなんて噂があるんだ。)」
「(もしかして、そこの本部アメリカなんじゃ?)」
「(シュガーでビターな人達との関係は不明だね。というかボク彼らと知り合いだけどそんな人達いないし。)」
「じゃあ今までの話なんだったんだよ!?」
視線が一斉にこっちに集中する。
「(話を戻しますが、結局ライブラリってなんなんですか?)」
「(川崎市の図書館を守る自警団兼ヤンキー集団だね。)」
「(え、そんなに凄いところに思えないんですけど。)」
「(全体で見ると大したことはないけど、リーダーの魚ノ目 鯛助が圧倒的なんだよ。全長4mの巨漢で100mを4.16秒で泳ぐらしい。)」
「(それ、本当に人間なんすか?)」
「(政府も何度か捕獲を試したようだけど、ことくごとく返り討ちに合ってたね。)」
『では代表の黒田さん壇上にお上がりください。』
「「!?」」
「えっ野畑さん。代表変わってますよ!?」
「あの、魚ノ目を超える人類が世に残ってるなんてありえないはず、、。」
壇上に上がってきたのはいかにも普通のサラリーマンのような見た目のおじさん。
黒田と呼ばれたおじさんは優勝杯を返還し、演説を始めた。
『えー、皆さんの様子を察するに代表が魚ノ目でないことに驚いてるご様子であることが察せます。そこで、私事なのですが経緯をお話しさせていただきます。』
会場が再びざわめきだす。
『単刀直入に申し上げますと、我らがボスこと魚ノ目鯛助は死亡致しました。』
会場から悲鳴や歓喜など様々な感情の籠った声が聞こえる。
『彼は政府からの命により某国の仕掛けた人口地震発生装置の破壊に赴きました。どうにか破壊には成功したものの流石の彼でも生身では水深3000メートルの中での爆発から逃れることは出来なかったようで、、、消息が途絶えてしまいました。』
再び会場に沈黙が漂う。
「(いや、おかしいですよ、野畑さん!普通の人間が生身で3000 mも潜水できるわけありませんよ!)」
「(あながち彼ならやりかねないんだよ。前回、巨大サイクロンがきて会場が吹き飛ばされたことは話したよね。)」
「(はい、聞きましたけどそれがなにか?)」
「(それなら普通、優勝者は出ないはずだろ?でも彼らが優勝している。それはね、卍原クン。)」
「(は、はい。)」
「(彼はサイクロンの中でもプラスチック板の上に立ち続けていたらしいんだ。)」
「(、、、。)」
野畑と会話していた間にも黒田の話は続き佳境へと差し掛かっていた。
『川崎、いや日本を救うために宇宙から深海まで飛び回り続けた彼の魂は我々とともにあります。
彼に恥じぬ戦いを見せられるよう誇りをもって競技に参加しましょう。
ご静聴ありがとうございました。』
会場全体から大歓声と拍手があがる。
「うっ、なんて漢、敵ながらあっぱれですよ魚ノ目さん、、。」
うおっ先輩が泣いているだと!?
やっぱりこの人感性に異常をきたしているんだろうな。
『ありがとうございました。では、これにて開会式を終了させていただきます。第一競技開始時刻は、、、、。』
「終わったようだね。じゃあ戻ろっか。」
「あの、この開会式って来る必要ありましたか?」
「何を言ってるんですか。魚ノ目さんを知れたじゃないですか。」
「それに関しては微妙だけど、意味はあったね。どこが参加してるかは把握できたよ。まぁ開会式に出て来てない奴らもいるかもだけど。」
「animal the doorに第七銭湯会、その他もろもろ、そしてテュポーン。」
聞いたこともない名前が続々と挙げられていくが全くもって分からない。
「よくそこまで分かったね。テュポーンねぇ、あそこが出てくるってことは新メンバーでも揃えたのかなぁ。」
「何言ってるかサッパリすけど誰が何の競技に出るとか決めなくていいんすか?」
「あぁ、それは麗、、いやボスが決めてたはずだよ。とりあえずテント戻ろっか。」
それからテントに戻り他のメンバーと合流した。
「えーと、1種目が1500m走? って、長すぎでしょこれ。普通100mとかじゃないんすか!?」
「うるせーぞ田中、これ誰でるんだ?」
「ちょっと待ってね~。赤城さんがさっき置いてったリストによるとキーラちゃんみたいだね。」
「私ですか。確かに足に自信はあります。」
「第2種目は騎馬戦ねぇ。」
「それは、私達3兄弟プラス卍原君ね。戦闘服の能力向上機能の使用ってありなんだよね。」
「いいんじゃね?じゃねーとオレはともかく姉ちゃん達は使いもんになんねーぞ。」
「檸檬さん。俺は下の先頭でお願いします。それ以外ならボイコットします。」
「あ?おいクソ野郎テメェ何する気だ?」
「すいませーん。追加でベルガモットが上も禁止でー。」
「は?おいクソっ何考えてるか吐きやがれ!」
「はいはい、そこ二人落ちついて。次行くよー。3種目はボクシング。これはボクだねー。」
「4種目、5種目目は弾入れと借り物競争で出場者はフェデーレと杏ちゃんだね。」
「異議ありですぅ。我、監視官でありますぅ。」
「人数が足りないから仕方ないよ~。ん?今年は最終試合も参加するんだね。」
「!?」
野畑が慌てた様子で檸檬さんからリストを引ったくる。
「最終試合の参加者は、、、卍原クンだと!?」
「ちょっとごめん。行ってくる。」
そう言い、野畑はどこかに走り去ってしまった。
「なんでそこまで慌てていたんでしょうか。最終種目だけで種目名が書かれていませんね。」
「私達も見たことないなー。」
「・・・」
「まぁ、あまり気にしなくてもいいんじゃないですか?死ぬことはないんですし。」
「それもそっすね。でも俺だけ2種目かぁ、まじで最終種目ってなんなんすかね~。」
第1種目 1500m走
『さぁ、今年も始まりました。ホワイトマフィア合同運動会!今年はどんな展開が私達を沸かせてくれるのでしょうか!?
実況は私こと安倍川きなこと~、、』
『解説は私、曲 地雷矢がお送りいたしますー。』
『さてさて~1500m走ですが選手名簿を見る限り、これまた錚々たるメンツが揃いましたねぇ~。』
『はい、素晴らしいですねー。特に1、2、5、8レーンの方々が素晴らしいです。』
『おや?全員女性のようですがー?』
『※今からのセリフは本作に関係の無いものとなっておりますので読む必要はございません。
1レーンの“光陰 灯“選手は第七銭湯会きっての看板娘ですねー。彼女はいわば特攻隊長ですから体力とフィジカルに自信があっての本競技への参加でしょうねー。バストは比較的控えめですから走る際に邪魔にはならないでしょうねー。残念です。ですが、袴姿でも隠しきれないヒップラインは抜群の破壊力ですねー。ぜひトップでゴールして後続選手にも見せつけてあげて欲しいですねー。
2レーンは“ルイーダ・デリンジャー“さん。こちらはストロベリーナイツの方ですねー。アメリカ出身だそうで、、、おぉーこれはすごい。ユニフォームも陸上の競技用服ですねぇ。合うサイズが無かったのでしょうか?胸の辺りがとてもキツそうです。こりゃ眼福、眼福。
走る際に邪魔にならなければいいのですがー。それにしても彼女は確か房中術と近接格闘のプロフェッショナルだったはずですが、走ることに適性があるのですかねー?夜の戦いで培った体力を生かして走りきってもらいたいものです。
5レーン、え?“牧志オリエ“?。すいません、目の錯覚を起こしていたようです。まぁ一応紹介しときますねー。ティアラNY所属、御年35歳となるこちらのお方が今年も懲りずに参戦ですか。良いお年なんですから、いい加減身の程を弁えて若い子に席を譲ってもらいたいものですねー。しかしながら体型は他の子にも負けず劣らず、、、いやよく見ると、そういうわけでもありませんでしたねー。ほんとにさっさと良い相手見つけて寿退職してもらいたいものです。
8レーン、まさかまさかの女子高校生です。本人の希望でコードネームでの登録となっております、“アイアンメイデン“選手。学校にバラしちゃうぞーとか脅したらヤラしてくれませんかねー?
残念なことに服装はスーツですかー。ですが服の上からでも胸の大きさは確認できますねぇ。パッドが入っていないか触診しなければいけませんね。そうですよ、こういう子がもっと私は見たいんですよ。だから、、、
さっさと出てけや牧志ぃ!!
ってことで私的には1、2、8レーンの女の子達のポロリを期待しております。』
『全く意味のない趣味全開の解説ありがとうございました。えっとー、男性陣の方の紹介はよろしいのでしょうか?選手の方々からブーイングが起こっているようですが、、?』
『あー、、、。皆さん、凶悪な顔をしていますね~。』
『終わり!?これで終わり!?これは酷い。選手からのブーイングがさらに高まっております。暴動が起きない内に初めてしまいましょう。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
うわぁーひっでえなぁ、これ解説じゃなくてただのセクハラ親父やろ。
「どうしたんだい卍原クン?」
「あ、野畑さん。どこ行ってたんすか?」
「ちょっと聞きたいことがあったんだけどねー。会ってもらえなかったや。」
「そっすか。とりあえず、先輩の応援いきましょう。」
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全く舐められたもんですね私も。
わざわざ制服に着替えて競技に参加するとなっても周りは皆、腑抜けたような奴らばかり。
競技中に攻撃をするために武器の持ち込みをアリにしているのだと思っていたけれど、見る限り武装しているようには見えないし本当にただ競争をしようとしているようだ。
「ガキが裏社会にいるだなんて世も末ね。」
「貴方は、確か、婚期逃しオバサンじゃないですか。」
「ぶっ飛ばすわよ。オリエよ、牧志オリエ。アンタ達ん所とウチのが賭けしてるみたいだけど。少女でいたいなら降りた方が身の為よ。」
「ふざけたこと言わないでください。年で体が動かないからって脅しですか?」
「ったく、、。でもま、覚えときなさい。確かにココでは命を落とすことはない。いや、殺人をした場合は罪となるから基本的に誰も命まで獲ろうとはしない。でもね、殺人が出来ないだけで犯罪が禁止されている訳じゃないのよ。」
そう言って立ち去る牧志。
あぁ、なるほど。そういうことですか。本当にくだらない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『始まりました。第一試合、輝く栄冠は誰の手に、スターターが今ピストルを構える!』
On your Marks
全員が走る構えを取る。
(RX01-3起動。)
Set
(最初からクライマックスです。)
パァン
スタートの合図が鳴り響き全員が一斉に走り出す。
と思われたその時。
男どもが一斉に女性参加者に飛びかかる。
「きゃっ!?」
「woo!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『さぁ、いきなり女性陣に男性陣が飛びかかったぞー!?しかし、牧志選手とメイデン選手は飛び出した。男性陣、一体何を考えているのだろうかー!?』
『おぉーいきなり洗礼が始まりましたねー。暗黙の了解となっている1試合目での潰しですねー。見せしめにして相手の気力を下げる気でしょう。今回は女性が多いですからねー狙われても仕方ありません。』
『汚いとても汚い!?さすが、腐っても反社です! 一方で先頭はメイデン選手!圧倒的です! あとを牧志選手が追うような形となっております。さぁ、開始から数秒の間にもう1周目に差し掛かっている。彼女はこれが1500mということを理解しているのだろうかー!?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やはり、そういうことでしたか。先程からチラチラと感じた視線。
今回ばかしはオバサンに救われましたね。
でも、ここまで差をつけてしまえば、あと4周程度、乗り越えられるはず。
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『おっとー?スタート地点が何やら慌ただしい様子ですねー?
何ということでしょう!?男どもが転げ回っています。』
『女性を甘くみた末路ですねー。一試合目のお決まりを分かっていながらも出場しているのですから、半端物じゃないことくらい推測できたでしょうに。』
『なんでしょうかあれは?ルイーダ選手が何かに乗って猛追しております。まだまだレースは分かりません!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「hoo !!ヨウヤク追いつきましたネー」
まさか?と思い後ろを向くと
「ルイーダさんでしたっけ?、、、なんですかそれ?」
「ンー?走リナガラ後向クノ危険デスヨー♡」
なぜかこの女、豚に乗っている。
確かに一人一つという制約を守れば基本、審査を通過できるはずではあるけど、、、。
「ハイヨーレッツゴーブータン!」
豚がスピードを上げ私を抜き去っていく。
「くっ」
負けじと足の回転数を上げて食らいつくものの
豚の後ろは走りづらすぎる!
ほんとに、こんなことなら舐めていないでギロチンを持ってくるべきだった。
というより、どこから豚なんて出したんですかね!?あんな体の大きさが自分ほどある生き物を隠せるなんて人間には不可能でしょうが!
ええい、もう、こうなればヤケです。
「フギィイイ!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『おっとぉ!メイデン選手が豚と思わしきものに蹴りを入れたー!!』
『良いですねー。らしくなって来ましたよー。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「チョッ、何スルデスカー!?」
「ふんっ!ふんっ!」
「フギィイイ!フギィイイイイ!!」
「落チ着クデス、ブータン!!!!アー!モウっ悪イ子ニハ仕置きデス!」
ルイーダが豚の上に立ち、並走している清嶺地に蹴りをかます。
「くぅっ」
器用っていうか無茶苦茶なんですけどこの外人。
戦いながら走るなんて私では体力が保たない。でも、後ろを考えるとやはり走り続けなければならないですよね。
「hey!!!」
「はぁっ!」
二人の足がぶつかり合う。
睨み合う二人、どちらも引く気はない。
走りながら蹴り合うとか私超不利じゃないですか。
でもまぁ、、、
根性で乗り切りますかぁ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『なんということでしょうか!先頭二人が走りながら凄まじい蹴りの攻防を繰り広げております。これには会場も大盛り上がりです。』
『素晴らしい!!!ルイーダさんが動くたびに胸が大きく揺れて非常に素晴らしいです!!!これはポロリも期待できますねー!』
『おやぁ?先頭の前方に誰かが陣取っております。あれは、あれは1レーンの光陰選手だー!!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あんさん方、速すぎて追いつけまへんがな。なんで、ここで文字通り足を奪わせてもらいまっせ。」
まじですか、、。この豚女だけでもキツいってのに薙刀女が前からくるなんて、、、
「腹立つなぁあああああ!!!死に晒せぇぇぇ!!!!」
清嶺地は加速し、光陰に突撃する。
その拳は顔面にヒットし光陰は吹っ飛ばされる。
その直後、空中に留まっている清嶺地に鈍い衝撃が伝わる。
「背中ガお留守デース!」
地面に打ち付けられ転がる清嶺地に豚が追撃をかけ再び空中に打ち上げられる。
これじゃあ、いつまでも体制を立て直せない。このままでは、、。
清嶺地の思いも虚しく、ルイーダ&ブータンは清嶺地に接近する。
しかし、それもまた阻まれる。
「ほんまに痛いなぁ、八つ当たりさせてもらいます。」
「ホエ?」
飛ばされたはずの光陰がいつのまに真下に現れ鋭い突きを腕目掛けて放つ。
なんとか、避けるものの刃先が肩に擦り体制を崩す。
だが、そこで終わらないのがこのルイーダという女。
落下の勢いで光陰を押し倒す。
「ブータン!!!ジャパニーズガールを追ウデス!!」
「フゴッ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『現在、先頭はどさくさに紛れて逃走を図った清嶺地選手。それをルイーダ選手の豚が追っております!!!
残された、光陰選手とルイーダ選手は走ることを止め本格的に戦闘を始める!!!』
『あー走るのを止めてしまったのは悪手ですねー。だってアイツが来ちゃいますから。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はぁ、はぁ、よーやく追いついた。やっぱ年取ってんのかねー?」
「あなたは!」
「さて、あのクソガキはだいぶ前だね。そんじゃ、さっさと片付けなくちゃねぇ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『メイデン選手、最終ラップに入りました! なんてことだー!!!先程まで立っていたはずの光陰選手、ルイーダ選手がひれ伏している!!!』
『だからあの人には早く引退してほしいんですよねー。先鋒殺しのオリエの名は未だ健在ですか。あの人がいるだけで全ての試合が喧嘩に変わるんですよね。』
『ここでまさかの新設定だー!!トラックにはルーキーとベテランが残るという展開になりました!
うーん。この種目は1500m走のはずなのに二人しか残っていないって今思うと意味不明ですね。』
『そんなもんですよ。個人的にはメイデンちゃんに勝ってほしいものですが。難しいでしょうねー。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「また会ったわねクソガキ。私の意見は役に立ったかしら?」
「はい、その説はどうも。ではさようなら。」
「逃がすわけないでしょ。」
清嶺地の足元に鞭がとぶ。
「いい?これはもう競争じゃないの。一方的な殲滅。お分かり?」
牧志が鞭を振るうたびに風を切る音が鳴る。
「だからもう降参なさい。アンタみたいなのはクレープ食べるの生きがいにして、箸が落ちるたびに笑ってるくらいが良いのよ。」
「ご忠告どうも。でも、クレープはもう古いですよ。」
走り出す清嶺地。
バチィンッ
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!!」
しかし、鞭の壁に阻まれる。
激しい痛みが体を通り思わず叫び声を上げてしまう。
「無駄よ。スーツが体全体を覆ってなかったことを恨みなさい。」
それでも再び走り出す清嶺地。
またもや鞭の餌食かと思われたが、そこには既に清嶺地の姿はない。
「上、ね。」
高く跳び上がり回避。そのまま、はるか頭上を飛び越える。
「馬鹿正直に突っ込み続けるわけないでしょうが。バーカ」
着地した途端、鞭が足に襲いかかる。
「へぐぅ!」
「馬鹿はアンタよ。そんな着地地点見え見えじゃあねぇ。」
くそっ、足が動かないっ。早く逃げなくちゃ間違いなく壊される。
「諦めなさいな。大丈夫、一撃で終わらすから。」
鞭が地面を叩く音が近づいてくる。嘘っ、また負けるの?でも、でもぉ、、。
「フゴォォォ!!」
「痛ったぁ!?」
後ろにいたはずの豚が何故か牧志にタックルをかまし突き飛ばす。
「な、なんで? ですか?」
「フゴぉ!」
「ブータン!ソノ、ジャパニーズガールを運ブデース!」
「メイデンさん。これを!」
ボロボロだった二人がよろめきながろも立ち上がる。
「お二人とも、なんで?」
「そんなの、、「三十路ババアに一杯食わせたいからです!」デス!」
「ほら、早よ行きなさいな、それ後で返してくださいよ。」
意味が分からない。そんなことをしても何の価値もないのに。
それに薙刀なんて渡されても使いこなせるわけがない。
けれど、こういうのもアリですね!
でしたら、
「利用させて頂きます!!!行きますよ!豚!」
「フゴぉ!!」
「なんか、これじゃあアタシが悪役みたいじゃあないの。」
「事実、悪役でございます。わっちらからしてみれば。」
「ココは、俺に任セテ先に行ケー!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『奇跡の共闘だぁーー!!!ルーキーをゴールさせるために意思を託し、立ち上がる。よもやこんな光景を見れる日がくるとは思っておりませんでしたぁああー!!!』
『んぐっ、んぐっ。いげぇえええーー!!走れぇぇぇえええー!!!頑張れぇぇえオリエェェェーー!!!』
『えぇ!?ここまで散々言っといてそっちぃーー!?
おっとぉー!2人の健闘も虚しく牧志選手は再び走り始めているーー!!メイデン&豚ペアは逃げ切れるのだろうかー!?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ホラァ!」
鞭が後方から飛んでくる。
「フギィ!(泣)」
何とか、豚は避けてくれているものの、いずれ当てられてしまうだろうし、不安定な走りでは転けてしまう恐れもある。
そうなってはお終いだ。
「豚!すいませんが立たせてもらいますよ。私が鞭を弾きます。走りに集中してください!」
「フゴっ!」
何となくだが構える。とりあえず、鞭を切ろうとは考えず弾くことに集中しろ。きた!
「フンっ!フンっ!」
「くっ!」
くそっ鞭の速度が速すぎて全てカバーしきれない。
こうなったら、、。
「(code :リミットアウト)」
『(了解しました。実行に移します。)』
スーツ内の管が青く光出す。
「これでしまいよっ!」
ものすごい速度で打ち出された渾身の一撃がブータンの足めがけて突き進んでいく。
おそらく、普通に切ろうとしてもあのスピードでは掠って終わりだろう。
私の体力的にもいつまで集中力が続くか怪しい。
一撃で仕留めなければ。
「はぁああ!」
薙刀の刃が確かに鞭を捉え、先端を切り裂く。
「嘘でしょ?」
鞭の端が宙を舞い、落下する。
だが、牧志も天に見放されたわけではなかった。それはブータンの足に絡まってしまい、ブータンがフォームを崩す。
放り投げられる清嶺地。
しかし、その目は絶望に染まってはいない。
この足では走ることはおろか歩くことすら厳しい。けれど、跳ぶことならできる!
激痛を堪え落下の反動を跳躍の勢いに変える。
「私を突き飛ばしなさい、豚ぁあああーーー!!!」
その声に呼応したブータンは思い切り清嶺地にタックルを喰らわす。
自身の跳躍のベクトルをブータンの突撃により修正し、打ち出される清嶺地。
その体はゴールテープをしっかり捉え、そして切った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ゴオォーーール!ど根性ゴールです!一位は8レーン、ハピネスクラブ所属、アイアンメイデン選手だぁああ!!!』
『いやぁ、本当に、良い試合でしたねー。もうこれで終わりでいいんじゃないですかー?』
『本当にそうですねー!おっと遅れて2位は5レーン、ティアラNY所属、牧志選手!良いヒールっぷりでしたねー!』
『だから、彼女にはさっさと引退してほしいんですけどねー。』
『全く持って曲さんの人間関係が理解できません!!そんなことは置いておいて、現在の全体順位の発表です!』
1位:ハピネスクラブ 10p
2位:ティアラNY 9p
3位:ストロベリーナイツ
3位:第7銭湯会 0p
3位:ライブラリ 0p
3位:月光兵団 0p
.
.
.
『1位~10位までにはその成績に当てはまる点数が割り振られます。なお、途中棄権や時間切れの場合は点数は入りませんのでご注意を。
いやぁこれまた凄い始まり方でしたねー。』
『まったく、その通りですねー。この調子で続いてくれれば良いのですけれどねー。そうはいかないのがココなんですよねー。』
『なるほどー、まともな意見ありがとうございます。では、皆様、第2試合の準備が行われますのでー、至急トラックから離れてくださーい。ごーきげーんよーう!』
赤城が声をかけるが、
「俺はパスで頼む。」
「私は監視官ですからねぇ。」
「そんなツマンネーことやんねーよ。」
誰一人行こうとしない。なんて統率力の無い奴らなんだ。
だが俺はどうしようか。
正直どっちでもいいんだけどなぁ。
「卍原クン。ボク一人はヤダから一緒に来ておくれよ。」
「大丈夫っすよ、野畑さんは一人の方が似合ってますから。」
「そんなこというなよ~。面白い奴ら沢山いるよー?可愛い子もいるかもよー?」
「えー、まぁそこまで言うならまぁいいっすけど。」
「私も行きます。」
そう言い俺の後ろからピョコッと出てきたのは清嶺地先輩。
「えっ?先輩行くんすか?」
「私が行くのはおかしいですか?」
「確かに清嶺地チャンが行くとはボクも驚きだね。何か目的でも?」
「敵の情報を集めることは何事にも優先しますので。」
「なるほど、清嶺地チャンらしいね。」
そういうことですか。それなら納得だ。
「それで、野畑さん。俺たちは何の準備すればいいんですか?」
「とりあえず着替えて、う~ん、そんな所かな。」
「んじゃ着替えてきますわ。」
「2分後にここで。」
「いやいや今日はそこまで焦らなくていいよ。」
~30分後~
「まさか、男用のトイレすら用意されてないとはね、、、。」
「小はともかく大はどうしろって言うんですかね?これ。」
そんなことを話していると少し遅れて先輩がやってくる。ん?何か見覚えのあるものを持ってるけど、あれって確か。
「何でギロチン持って来てるんすか!?え?これって殺すのアリなの?」
「流石に仕事以外で殺人をする気はありませんよ。ほら。」
そう言って先輩は刃を見せてくる。刃が鉄ではなくプラスチックに変わっている。
「ほんとだー。スッゲー。」
「刃の付け替えが可能じゃないと色々不便ですから。他にも痺れ、毒、会心などの状態を付与できる塗り薬なんかもあるんですよ。」
誇らしげに先輩が説明してくれる。あれ、待てよ?
「あの~野畑さんのメリケンサックもこんな感じなんすか?」
「いや、ボクはいつも通りだよ~。そのままで申請通ったからね~。」
「申請?」
「うん。一人一個まで武器の持ち込みが許されてるんだよ、でも申請通さなきゃいけないから受付行かないとだけどね。」
「俺の手榴弾ズどうするんすか?」
「「あ」」
「そういや卍原クンって会社からの支給品しか持ってないんだっけかー。、、、ったっく麗子チャンやっちゃったな~?」
野畑の言う通り俺は会社から支給される使い放題の初心者用手榴弾とフェデーレから貰った拳銃しかない。
「まさか、手榴弾1つしか持ち込み出来ないとかないっすよね?」
「ワンチャンあるかも、、。」
「でも、卍原君はフェデーレさんから銃もらってませんでした?ゴム弾くらいなら貰えると思いますけど?」
「えーっと。銃の練習サボってたんで、、。ちょっとキツいかなぁーって。」
「はぁ、なるほど。」
「となると俺は?」
「今日は素手だね!」
「死ぬわ!?」
「死なないよ。多分?今回はただの運動会だし~♪」
「ふざけんな!」
「卍原君はーどこぞのゴリラと訓練してたみたいですしー、どうにかなるんじゃないですか?」
あのサンドバックになるだけの練習ではロクなモノが掴めた気がしないが、受け身と回避の能力は上がっただろうし。まぁなんとかなるか。
「そんなことより。」
先輩が指さす先では多くの人が広場に集まっている。
「やっべ、遅刻したらボスに怒られるぞー。いっそげいっそげ~」
「時間には間に合いましたけど、開会式らしさ0ですね。」
開会式が始まり、警察のお偉いさんが演説をしているようだが辺りが煩すぎて何も聞こえない。
護衛のお巡りさん方の表情が次第に険しくなっているような気がするなぁ。
柊さんが来なかったのってこの人達と会うと気まずくなるからだったのでは?
『では続いて、前年度優勝組”ライブラリ”代表による優勝杯返還と優勝グループ代表による演説を行います。』
そのアナウンスが流れた途端、会場の騒がしさが一転し静まる。
「(野畑さん、、、ライブラリってそんなにヤバイところなんすか、、?)」
「(ヤバイってよりかは得体が知れないって方が正しいかな。血を発火させたり凍らせたりする人がいたり、強化版千里眼を持ってる人、半魚人がいるなんて噂があるんだ。)」
「(もしかして、そこの本部アメリカなんじゃ?)」
「(シュガーでビターな人達との関係は不明だね。というかボク彼らと知り合いだけどそんな人達いないし。)」
「じゃあ今までの話なんだったんだよ!?」
視線が一斉にこっちに集中する。
「(話を戻しますが、結局ライブラリってなんなんですか?)」
「(川崎市の図書館を守る自警団兼ヤンキー集団だね。)」
「(え、そんなに凄いところに思えないんですけど。)」
「(全体で見ると大したことはないけど、リーダーの魚ノ目 鯛助が圧倒的なんだよ。全長4mの巨漢で100mを4.16秒で泳ぐらしい。)」
「(それ、本当に人間なんすか?)」
「(政府も何度か捕獲を試したようだけど、ことくごとく返り討ちに合ってたね。)」
『では代表の黒田さん壇上にお上がりください。』
「「!?」」
「えっ野畑さん。代表変わってますよ!?」
「あの、魚ノ目を超える人類が世に残ってるなんてありえないはず、、。」
壇上に上がってきたのはいかにも普通のサラリーマンのような見た目のおじさん。
黒田と呼ばれたおじさんは優勝杯を返還し、演説を始めた。
『えー、皆さんの様子を察するに代表が魚ノ目でないことに驚いてるご様子であることが察せます。そこで、私事なのですが経緯をお話しさせていただきます。』
会場が再びざわめきだす。
『単刀直入に申し上げますと、我らがボスこと魚ノ目鯛助は死亡致しました。』
会場から悲鳴や歓喜など様々な感情の籠った声が聞こえる。
『彼は政府からの命により某国の仕掛けた人口地震発生装置の破壊に赴きました。どうにか破壊には成功したものの流石の彼でも生身では水深3000メートルの中での爆発から逃れることは出来なかったようで、、、消息が途絶えてしまいました。』
再び会場に沈黙が漂う。
「(いや、おかしいですよ、野畑さん!普通の人間が生身で3000 mも潜水できるわけありませんよ!)」
「(あながち彼ならやりかねないんだよ。前回、巨大サイクロンがきて会場が吹き飛ばされたことは話したよね。)」
「(はい、聞きましたけどそれがなにか?)」
「(それなら普通、優勝者は出ないはずだろ?でも彼らが優勝している。それはね、卍原クン。)」
「(は、はい。)」
「(彼はサイクロンの中でもプラスチック板の上に立ち続けていたらしいんだ。)」
「(、、、。)」
野畑と会話していた間にも黒田の話は続き佳境へと差し掛かっていた。
『川崎、いや日本を救うために宇宙から深海まで飛び回り続けた彼の魂は我々とともにあります。
彼に恥じぬ戦いを見せられるよう誇りをもって競技に参加しましょう。
ご静聴ありがとうございました。』
会場全体から大歓声と拍手があがる。
「うっ、なんて漢、敵ながらあっぱれですよ魚ノ目さん、、。」
うおっ先輩が泣いているだと!?
やっぱりこの人感性に異常をきたしているんだろうな。
『ありがとうございました。では、これにて開会式を終了させていただきます。第一競技開始時刻は、、、、。』
「終わったようだね。じゃあ戻ろっか。」
「あの、この開会式って来る必要ありましたか?」
「何を言ってるんですか。魚ノ目さんを知れたじゃないですか。」
「それに関しては微妙だけど、意味はあったね。どこが参加してるかは把握できたよ。まぁ開会式に出て来てない奴らもいるかもだけど。」
「animal the doorに第七銭湯会、その他もろもろ、そしてテュポーン。」
聞いたこともない名前が続々と挙げられていくが全くもって分からない。
「よくそこまで分かったね。テュポーンねぇ、あそこが出てくるってことは新メンバーでも揃えたのかなぁ。」
「何言ってるかサッパリすけど誰が何の競技に出るとか決めなくていいんすか?」
「あぁ、それは麗、、いやボスが決めてたはずだよ。とりあえずテント戻ろっか。」
それからテントに戻り他のメンバーと合流した。
「えーと、1種目が1500m走? って、長すぎでしょこれ。普通100mとかじゃないんすか!?」
「うるせーぞ田中、これ誰でるんだ?」
「ちょっと待ってね~。赤城さんがさっき置いてったリストによるとキーラちゃんみたいだね。」
「私ですか。確かに足に自信はあります。」
「第2種目は騎馬戦ねぇ。」
「それは、私達3兄弟プラス卍原君ね。戦闘服の能力向上機能の使用ってありなんだよね。」
「いいんじゃね?じゃねーとオレはともかく姉ちゃん達は使いもんになんねーぞ。」
「檸檬さん。俺は下の先頭でお願いします。それ以外ならボイコットします。」
「あ?おいクソ野郎テメェ何する気だ?」
「すいませーん。追加でベルガモットが上も禁止でー。」
「は?おいクソっ何考えてるか吐きやがれ!」
「はいはい、そこ二人落ちついて。次行くよー。3種目はボクシング。これはボクだねー。」
「4種目、5種目目は弾入れと借り物競争で出場者はフェデーレと杏ちゃんだね。」
「異議ありですぅ。我、監視官でありますぅ。」
「人数が足りないから仕方ないよ~。ん?今年は最終試合も参加するんだね。」
「!?」
野畑が慌てた様子で檸檬さんからリストを引ったくる。
「最終試合の参加者は、、、卍原クンだと!?」
「ちょっとごめん。行ってくる。」
そう言い、野畑はどこかに走り去ってしまった。
「なんでそこまで慌てていたんでしょうか。最終種目だけで種目名が書かれていませんね。」
「私達も見たことないなー。」
「・・・」
「まぁ、あまり気にしなくてもいいんじゃないですか?死ぬことはないんですし。」
「それもそっすね。でも俺だけ2種目かぁ、まじで最終種目ってなんなんすかね~。」
第1種目 1500m走
『さぁ、今年も始まりました。ホワイトマフィア合同運動会!今年はどんな展開が私達を沸かせてくれるのでしょうか!?
実況は私こと安倍川きなこと~、、』
『解説は私、曲 地雷矢がお送りいたしますー。』
『さてさて~1500m走ですが選手名簿を見る限り、これまた錚々たるメンツが揃いましたねぇ~。』
『はい、素晴らしいですねー。特に1、2、5、8レーンの方々が素晴らしいです。』
『おや?全員女性のようですがー?』
『※今からのセリフは本作に関係の無いものとなっておりますので読む必要はございません。
1レーンの“光陰 灯“選手は第七銭湯会きっての看板娘ですねー。彼女はいわば特攻隊長ですから体力とフィジカルに自信があっての本競技への参加でしょうねー。バストは比較的控えめですから走る際に邪魔にはならないでしょうねー。残念です。ですが、袴姿でも隠しきれないヒップラインは抜群の破壊力ですねー。ぜひトップでゴールして後続選手にも見せつけてあげて欲しいですねー。
2レーンは“ルイーダ・デリンジャー“さん。こちらはストロベリーナイツの方ですねー。アメリカ出身だそうで、、、おぉーこれはすごい。ユニフォームも陸上の競技用服ですねぇ。合うサイズが無かったのでしょうか?胸の辺りがとてもキツそうです。こりゃ眼福、眼福。
走る際に邪魔にならなければいいのですがー。それにしても彼女は確か房中術と近接格闘のプロフェッショナルだったはずですが、走ることに適性があるのですかねー?夜の戦いで培った体力を生かして走りきってもらいたいものです。
5レーン、え?“牧志オリエ“?。すいません、目の錯覚を起こしていたようです。まぁ一応紹介しときますねー。ティアラNY所属、御年35歳となるこちらのお方が今年も懲りずに参戦ですか。良いお年なんですから、いい加減身の程を弁えて若い子に席を譲ってもらいたいものですねー。しかしながら体型は他の子にも負けず劣らず、、、いやよく見ると、そういうわけでもありませんでしたねー。ほんとにさっさと良い相手見つけて寿退職してもらいたいものです。
8レーン、まさかまさかの女子高校生です。本人の希望でコードネームでの登録となっております、“アイアンメイデン“選手。学校にバラしちゃうぞーとか脅したらヤラしてくれませんかねー?
残念なことに服装はスーツですかー。ですが服の上からでも胸の大きさは確認できますねぇ。パッドが入っていないか触診しなければいけませんね。そうですよ、こういう子がもっと私は見たいんですよ。だから、、、
さっさと出てけや牧志ぃ!!
ってことで私的には1、2、8レーンの女の子達のポロリを期待しております。』
『全く意味のない趣味全開の解説ありがとうございました。えっとー、男性陣の方の紹介はよろしいのでしょうか?選手の方々からブーイングが起こっているようですが、、?』
『あー、、、。皆さん、凶悪な顔をしていますね~。』
『終わり!?これで終わり!?これは酷い。選手からのブーイングがさらに高まっております。暴動が起きない内に初めてしまいましょう。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
うわぁーひっでえなぁ、これ解説じゃなくてただのセクハラ親父やろ。
「どうしたんだい卍原クン?」
「あ、野畑さん。どこ行ってたんすか?」
「ちょっと聞きたいことがあったんだけどねー。会ってもらえなかったや。」
「そっすか。とりあえず、先輩の応援いきましょう。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全く舐められたもんですね私も。
わざわざ制服に着替えて競技に参加するとなっても周りは皆、腑抜けたような奴らばかり。
競技中に攻撃をするために武器の持ち込みをアリにしているのだと思っていたけれど、見る限り武装しているようには見えないし本当にただ競争をしようとしているようだ。
「ガキが裏社会にいるだなんて世も末ね。」
「貴方は、確か、婚期逃しオバサンじゃないですか。」
「ぶっ飛ばすわよ。オリエよ、牧志オリエ。アンタ達ん所とウチのが賭けしてるみたいだけど。少女でいたいなら降りた方が身の為よ。」
「ふざけたこと言わないでください。年で体が動かないからって脅しですか?」
「ったく、、。でもま、覚えときなさい。確かにココでは命を落とすことはない。いや、殺人をした場合は罪となるから基本的に誰も命まで獲ろうとはしない。でもね、殺人が出来ないだけで犯罪が禁止されている訳じゃないのよ。」
そう言って立ち去る牧志。
あぁ、なるほど。そういうことですか。本当にくだらない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『始まりました。第一試合、輝く栄冠は誰の手に、スターターが今ピストルを構える!』
On your Marks
全員が走る構えを取る。
(RX01-3起動。)
Set
(最初からクライマックスです。)
パァン
スタートの合図が鳴り響き全員が一斉に走り出す。
と思われたその時。
男どもが一斉に女性参加者に飛びかかる。
「きゃっ!?」
「woo!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『さぁ、いきなり女性陣に男性陣が飛びかかったぞー!?しかし、牧志選手とメイデン選手は飛び出した。男性陣、一体何を考えているのだろうかー!?』
『おぉーいきなり洗礼が始まりましたねー。暗黙の了解となっている1試合目での潰しですねー。見せしめにして相手の気力を下げる気でしょう。今回は女性が多いですからねー狙われても仕方ありません。』
『汚いとても汚い!?さすが、腐っても反社です! 一方で先頭はメイデン選手!圧倒的です! あとを牧志選手が追うような形となっております。さぁ、開始から数秒の間にもう1周目に差し掛かっている。彼女はこれが1500mということを理解しているのだろうかー!?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
やはり、そういうことでしたか。先程からチラチラと感じた視線。
今回ばかしはオバサンに救われましたね。
でも、ここまで差をつけてしまえば、あと4周程度、乗り越えられるはず。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『おっとー?スタート地点が何やら慌ただしい様子ですねー?
何ということでしょう!?男どもが転げ回っています。』
『女性を甘くみた末路ですねー。一試合目のお決まりを分かっていながらも出場しているのですから、半端物じゃないことくらい推測できたでしょうに。』
『なんでしょうかあれは?ルイーダ選手が何かに乗って猛追しております。まだまだレースは分かりません!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「hoo !!ヨウヤク追いつきましたネー」
まさか?と思い後ろを向くと
「ルイーダさんでしたっけ?、、、なんですかそれ?」
「ンー?走リナガラ後向クノ危険デスヨー♡」
なぜかこの女、豚に乗っている。
確かに一人一つという制約を守れば基本、審査を通過できるはずではあるけど、、、。
「ハイヨーレッツゴーブータン!」
豚がスピードを上げ私を抜き去っていく。
「くっ」
負けじと足の回転数を上げて食らいつくものの
豚の後ろは走りづらすぎる!
ほんとに、こんなことなら舐めていないでギロチンを持ってくるべきだった。
というより、どこから豚なんて出したんですかね!?あんな体の大きさが自分ほどある生き物を隠せるなんて人間には不可能でしょうが!
ええい、もう、こうなればヤケです。
「フギィイイ!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『おっとぉ!メイデン選手が豚と思わしきものに蹴りを入れたー!!』
『良いですねー。らしくなって来ましたよー。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「チョッ、何スルデスカー!?」
「ふんっ!ふんっ!」
「フギィイイ!フギィイイイイ!!」
「落チ着クデス、ブータン!!!!アー!モウっ悪イ子ニハ仕置きデス!」
ルイーダが豚の上に立ち、並走している清嶺地に蹴りをかます。
「くぅっ」
器用っていうか無茶苦茶なんですけどこの外人。
戦いながら走るなんて私では体力が保たない。でも、後ろを考えるとやはり走り続けなければならないですよね。
「hey!!!」
「はぁっ!」
二人の足がぶつかり合う。
睨み合う二人、どちらも引く気はない。
走りながら蹴り合うとか私超不利じゃないですか。
でもまぁ、、、
根性で乗り切りますかぁ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『なんということでしょうか!先頭二人が走りながら凄まじい蹴りの攻防を繰り広げております。これには会場も大盛り上がりです。』
『素晴らしい!!!ルイーダさんが動くたびに胸が大きく揺れて非常に素晴らしいです!!!これはポロリも期待できますねー!』
『おやぁ?先頭の前方に誰かが陣取っております。あれは、あれは1レーンの光陰選手だー!!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あんさん方、速すぎて追いつけまへんがな。なんで、ここで文字通り足を奪わせてもらいまっせ。」
まじですか、、。この豚女だけでもキツいってのに薙刀女が前からくるなんて、、、
「腹立つなぁあああああ!!!死に晒せぇぇぇ!!!!」
清嶺地は加速し、光陰に突撃する。
その拳は顔面にヒットし光陰は吹っ飛ばされる。
その直後、空中に留まっている清嶺地に鈍い衝撃が伝わる。
「背中ガお留守デース!」
地面に打ち付けられ転がる清嶺地に豚が追撃をかけ再び空中に打ち上げられる。
これじゃあ、いつまでも体制を立て直せない。このままでは、、。
清嶺地の思いも虚しく、ルイーダ&ブータンは清嶺地に接近する。
しかし、それもまた阻まれる。
「ほんまに痛いなぁ、八つ当たりさせてもらいます。」
「ホエ?」
飛ばされたはずの光陰がいつのまに真下に現れ鋭い突きを腕目掛けて放つ。
なんとか、避けるものの刃先が肩に擦り体制を崩す。
だが、そこで終わらないのがこのルイーダという女。
落下の勢いで光陰を押し倒す。
「ブータン!!!ジャパニーズガールを追ウデス!!」
「フゴッ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『現在、先頭はどさくさに紛れて逃走を図った清嶺地選手。それをルイーダ選手の豚が追っております!!!
残された、光陰選手とルイーダ選手は走ることを止め本格的に戦闘を始める!!!』
『あー走るのを止めてしまったのは悪手ですねー。だってアイツが来ちゃいますから。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はぁ、はぁ、よーやく追いついた。やっぱ年取ってんのかねー?」
「あなたは!」
「さて、あのクソガキはだいぶ前だね。そんじゃ、さっさと片付けなくちゃねぇ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『メイデン選手、最終ラップに入りました! なんてことだー!!!先程まで立っていたはずの光陰選手、ルイーダ選手がひれ伏している!!!』
『だからあの人には早く引退してほしいんですよねー。先鋒殺しのオリエの名は未だ健在ですか。あの人がいるだけで全ての試合が喧嘩に変わるんですよね。』
『ここでまさかの新設定だー!!トラックにはルーキーとベテランが残るという展開になりました!
うーん。この種目は1500m走のはずなのに二人しか残っていないって今思うと意味不明ですね。』
『そんなもんですよ。個人的にはメイデンちゃんに勝ってほしいものですが。難しいでしょうねー。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「また会ったわねクソガキ。私の意見は役に立ったかしら?」
「はい、その説はどうも。ではさようなら。」
「逃がすわけないでしょ。」
清嶺地の足元に鞭がとぶ。
「いい?これはもう競争じゃないの。一方的な殲滅。お分かり?」
牧志が鞭を振るうたびに風を切る音が鳴る。
「だからもう降参なさい。アンタみたいなのはクレープ食べるの生きがいにして、箸が落ちるたびに笑ってるくらいが良いのよ。」
「ご忠告どうも。でも、クレープはもう古いですよ。」
走り出す清嶺地。
バチィンッ
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!!」
しかし、鞭の壁に阻まれる。
激しい痛みが体を通り思わず叫び声を上げてしまう。
「無駄よ。スーツが体全体を覆ってなかったことを恨みなさい。」
それでも再び走り出す清嶺地。
またもや鞭の餌食かと思われたが、そこには既に清嶺地の姿はない。
「上、ね。」
高く跳び上がり回避。そのまま、はるか頭上を飛び越える。
「馬鹿正直に突っ込み続けるわけないでしょうが。バーカ」
着地した途端、鞭が足に襲いかかる。
「へぐぅ!」
「馬鹿はアンタよ。そんな着地地点見え見えじゃあねぇ。」
くそっ、足が動かないっ。早く逃げなくちゃ間違いなく壊される。
「諦めなさいな。大丈夫、一撃で終わらすから。」
鞭が地面を叩く音が近づいてくる。嘘っ、また負けるの?でも、でもぉ、、。
「フゴォォォ!!」
「痛ったぁ!?」
後ろにいたはずの豚が何故か牧志にタックルをかまし突き飛ばす。
「な、なんで? ですか?」
「フゴぉ!」
「ブータン!ソノ、ジャパニーズガールを運ブデース!」
「メイデンさん。これを!」
ボロボロだった二人がよろめきながろも立ち上がる。
「お二人とも、なんで?」
「そんなの、、「三十路ババアに一杯食わせたいからです!」デス!」
「ほら、早よ行きなさいな、それ後で返してくださいよ。」
意味が分からない。そんなことをしても何の価値もないのに。
それに薙刀なんて渡されても使いこなせるわけがない。
けれど、こういうのもアリですね!
でしたら、
「利用させて頂きます!!!行きますよ!豚!」
「フゴぉ!!」
「なんか、これじゃあアタシが悪役みたいじゃあないの。」
「事実、悪役でございます。わっちらからしてみれば。」
「ココは、俺に任セテ先に行ケー!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『奇跡の共闘だぁーー!!!ルーキーをゴールさせるために意思を託し、立ち上がる。よもやこんな光景を見れる日がくるとは思っておりませんでしたぁああー!!!』
『んぐっ、んぐっ。いげぇえええーー!!走れぇぇぇえええー!!!頑張れぇぇえオリエェェェーー!!!』
『えぇ!?ここまで散々言っといてそっちぃーー!?
おっとぉー!2人の健闘も虚しく牧志選手は再び走り始めているーー!!メイデン&豚ペアは逃げ切れるのだろうかー!?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ホラァ!」
鞭が後方から飛んでくる。
「フギィ!(泣)」
何とか、豚は避けてくれているものの、いずれ当てられてしまうだろうし、不安定な走りでは転けてしまう恐れもある。
そうなってはお終いだ。
「豚!すいませんが立たせてもらいますよ。私が鞭を弾きます。走りに集中してください!」
「フゴっ!」
何となくだが構える。とりあえず、鞭を切ろうとは考えず弾くことに集中しろ。きた!
「フンっ!フンっ!」
「くっ!」
くそっ鞭の速度が速すぎて全てカバーしきれない。
こうなったら、、。
「(code :リミットアウト)」
『(了解しました。実行に移します。)』
スーツ内の管が青く光出す。
「これでしまいよっ!」
ものすごい速度で打ち出された渾身の一撃がブータンの足めがけて突き進んでいく。
おそらく、普通に切ろうとしてもあのスピードでは掠って終わりだろう。
私の体力的にもいつまで集中力が続くか怪しい。
一撃で仕留めなければ。
「はぁああ!」
薙刀の刃が確かに鞭を捉え、先端を切り裂く。
「嘘でしょ?」
鞭の端が宙を舞い、落下する。
だが、牧志も天に見放されたわけではなかった。それはブータンの足に絡まってしまい、ブータンがフォームを崩す。
放り投げられる清嶺地。
しかし、その目は絶望に染まってはいない。
この足では走ることはおろか歩くことすら厳しい。けれど、跳ぶことならできる!
激痛を堪え落下の反動を跳躍の勢いに変える。
「私を突き飛ばしなさい、豚ぁあああーーー!!!」
その声に呼応したブータンは思い切り清嶺地にタックルを喰らわす。
自身の跳躍のベクトルをブータンの突撃により修正し、打ち出される清嶺地。
その体はゴールテープをしっかり捉え、そして切った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ゴオォーーール!ど根性ゴールです!一位は8レーン、ハピネスクラブ所属、アイアンメイデン選手だぁああ!!!』
『いやぁ、本当に、良い試合でしたねー。もうこれで終わりでいいんじゃないですかー?』
『本当にそうですねー!おっと遅れて2位は5レーン、ティアラNY所属、牧志選手!良いヒールっぷりでしたねー!』
『だから、彼女にはさっさと引退してほしいんですけどねー。』
『全く持って曲さんの人間関係が理解できません!!そんなことは置いておいて、現在の全体順位の発表です!』
1位:ハピネスクラブ 10p
2位:ティアラNY 9p
3位:ストロベリーナイツ
3位:第7銭湯会 0p
3位:ライブラリ 0p
3位:月光兵団 0p
.
.
.
『1位~10位までにはその成績に当てはまる点数が割り振られます。なお、途中棄権や時間切れの場合は点数は入りませんのでご注意を。
いやぁこれまた凄い始まり方でしたねー。』
『まったく、その通りですねー。この調子で続いてくれれば良いのですけれどねー。そうはいかないのがココなんですよねー。』
『なるほどー、まともな意見ありがとうございます。では、皆様、第2試合の準備が行われますのでー、至急トラックから離れてくださーい。ごーきげーんよーう!』
0
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